こんにちは、坂本です。
今回は、実店舗では売れている商品が「ネットでは中々売れない」理由と対策、地場産品をネットで売るときの「ありがちな間違い」などのお話です。
岐阜県庁主催のネットショップ向けセミナーの内容から抜粋です。岐阜県はEC支援にすごく力を入れているようで、盛況でした!
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ネット販売でありがちな落とし穴
で、私の講演内容は、基本から応用まで色んなことをお話ししましたが、特に地場産品や「実店舗では売れている商品」をネットで売る際に、よくある落とし穴について力説しました。
以下、失敗パターンを列挙します。前半は失敗例が続きますが、後半で「具体的にどうすれば良いか」を紹介します。
「地元メーカー」の失敗パターン
こんな感じの話がよくあります。
「技術が自慢なんです。技術力があるから、人工芝でスマホケース作ったんです。でも売れないんですよ。どうすればいい?」という相談。
自治体や地銀の方がよく愚痴っていますよ。「作る前に相談してください・・」。
商品企画って「まずモノを作って、次に売る」という順番ではないんですよね。「売れる商品を考えて、次に作る」つまり逆です。
普段の商品は「作ってから売る」なので、その習慣が抜けないんでしょうね。新商品企画では逆なんです。そんな感じで、事前に相談してくれれば、色々話せることもあるんですけどね。
作った後に「これを作ったから売りたい」と持ってくる人が多い。まずは作る前に考えましょう。そうすれば打開策が見つかります。
「地場産品」の失敗パターン
地場産品を扱う方がよく仰るフレーズがあります。
「伝統があります。手作りです。職人がこだわってます。これをなんとかして売りたいんです」しかし・・
- 日本全国あらゆる地域に伝統があります。
- そういった商品は全て手作りで、全て職人がこだわっています。
- 「なんとか売りたい」のも皆同じ
手作り、職人、こだわり・・全部そうなんです。こういったアピールは埋もれます。
インドにカレーを売りに行って「スパイスにこだわったインドカレーです」ってアピールするのと同じです。まわり360度全部インドカレーですよ?
むしろ「スパイスにはこだわりがありません」というほうがまだ目立ちます。自分のことばかり考えないで、まわりの類似商品も見て、まわりとの違いを考えましょう。
そうすれば打開策が見つかります。
「実店舗で売れている商品」の失敗パターン
たとえば、北海道に旅行して、阿寒湖にいくとマリモが売っています。阿寒湖のマリモは有名ですよね。
阿寒湖に行くとマリモを買って帰る人が多い。つまり阿寒湖ではマリモが売れ筋。ですが、東京にいて、通販でマリモ買いますか?お試しで1000円コミコミでも、ポイント10倍でも、送料無料でも、やっぱり買いません。「わざわざ北海道まで行かなくても、阿寒湖のマリモを買えますよ」と言うと確かにお得感があるようでいて、でも買いませんよね。
なぜでしょう?
なぜかと言うと、マリモを買う人は「北海道まで行ってきたぜ」という思い出とか戦利品的な意味でお土産を購入するのであって、マリモそのものが欲しいわけではありません。阿寒湖に行ったからマリモを買ったのであって、函館に行ったら別の土産を買います。モノより思い出を買っているのです。
※私は北海道に行ったことがありませんけど・・
じゃあどうすればいいの?
「売る」より前に「理解する」こと
これを発見できれば、売れるヒントになります。
- コレを買っている人の動機は何か?
- 何のためにこれを買っているのか?
・・これだけだと理想論っぽいので例を出しましょう。
「実店舗の売れ筋」が「ネットでも売れる」状態とは
ネットでマリモを買う=わざわざ都内に取り寄せる人は、実在します。もちろんお土産ではありませんよ。
たとえば自分が飼っている魚の水槽の中にマリモを入れるためです。探していたのは「水槽の飾り付け」です。つまり、マリモではなく「水槽の飾り」を買っているわけで、「飾りとしてのマリモ」を買ったんです。
というわけで、本当はネットでもマリモが売れるのですが、それは阿寒湖では買うマリモとは全然意味が違いますよね。
- 「北海道土産」としてマリモが売れる
- 「水槽の飾り付け」としてマリモが売れる
ネットとリアルでは、同じものであっても、購入の目的は全然意味が違うケースがよくあります。ネットとリアルに限りませんけどね。同じネットショッピングでも同じものを違う用途で買ってたりします。
「人工芝のスマホケースが売れる」状態とは
さて問題の「人工芝のスマホケース」。これが売れるってどんな状態でしょうか。
たとえばゴルフ好きな人って、「ゴルフ好きというアイデンティティを表現する」ために、ゴルフっぽい小物を持ってたりします。
アイデンティティを表現する小道具。そのひとつが、スマホケースです。
「人工芝のスマホケース」にゴルフ要素を付け加えてみましょう。ゴルフボールっぽいアクセントを加えるとか・・。「フェアウェイ柄スマホケース」の出来上がり。ちなみにこの商品は実在します。
公式化します
- 「〇〇〇」として△△が売れる
- 「(用途)」として(モノ)が売れる
- 「北海道土産」としてマリモが売れる
- 「水槽の飾り付け」としてマリモが売れる
- 「ゴルフ好きアピール」として人工芝スマホケースが売れる
あなたの商品は、どんな用途として買われていますか?
モノよりも用途に着目しましょう。
用途はどうでも良いからモノ買ってくれよ、というのは無理な話です。お客さん側の事情を理解して、あなたから「〇〇にいかがですか?」と提案してください。
こんにゃく売るのだって、おでん用とか料理だけでなく、ダイエットとか腸活用って言えますよね。例えば。
こんな感じで、いろんなお話をしました。他にはこの方法論を実践して売上20倍にした事例とか、オリジナル商品を売れる商品に育てる方法、価格競争対策とかとか。おかげさまで好評でした。
※以上の話は、講演内容から派生して広げて説明しています。
なお、以下の記事では、ネットショップが売れない具体的な原因と対策を初心者にもわかりやすく解説しています。
「ネットショップを出店したけれど期待していたほど売れない……」
「出店費用さえ回収できていない。本当に成功できるのだろうか……」
とお悩みの方はぜひお読みください。
その他のイベントも盛況でした!
パネルディスカッション
二部のパネルディスカッションは、岐阜県の人気店長さんがこれまでの歩みを振り返って体験談などを話しました。色々良いお話を伺いましたが、特に興味深かったのが、某二代目店長さんの話。
「自分の体制になってから、スタッフみんなでお客さんを観察し、満足を追求することにした。メール返信を丁寧にするとかだけじゃなく、買いやすさを突き詰めていくと、お客さんが「どんな言葉で検索するか」も自然と考えることになるし、その言葉経由で来店したときの「商品の見せ方」も整えることになった」とのこと。
素晴らしい。CSの話なのに、そのままSEO(検索対策)とLPO(ランディングページ最適化)へとつながっていくわけです。
お客さんへのサービスとテクニカルな方法論は一心同体の関係にあり、どちらかが欠けてもいけないよなあ、と再確認させてもらいました。
ネットショップ同士の交流会
そのあとに交流会がありまして、サンドイッチとソフトドリンクで立食というスタイルだったのですが、皆さん活発にお話しされていたので、ついついアルコール漬けになりがちなネットショップの交流会は、実はアルコール無しでもいいんじゃないかと思いましたw 健康的ですしね。
お話をしていて、「本業(地場産業)が厳しくなってきたけど、岐阜県の支援をキッカケとして業態転換して上手くいっている」という会社さんにお話を伺うことが出来ました。岐阜県庁さんグッジョブですね。皆さんのご活躍がこれから楽しみです!
PS
- 「〇〇〇」として△△が売れる
- 「(用途)」として(モノ)が売れる
弊社のコンサルティングの現場でもこういう話が良く出ます。一旦これが分かれば、あとが早いですよ。興味がある方はお問合せください。
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