克服できない「自分の弱点」と上手く付き合う方法

こんにちは、坂本です。

前回、歴史ネタで記事を書いたら、局地的にウケていましたw ありがとうございます。調子に乗って、また書きます。

えー、大昔の中国の兵法書に「六韜(りくとう)」というものがあります。たぶん2500年前くらい。もっと昔かも。

その本の中に、「王様必見。こういうヤツを出世させてはいけない!10種類の弱点」という趣旨の文章が載っているそうですw

「五才十過」に見る、長所と短所とは?

正しくは「五才十過」といいまして、将軍に必要な5種類の長所(=五才)と、気をつけるべき10種類の欠点(=十過)について述べた項目。で、ここに出てくる「欠点リスト」が面白い。

以下、列挙します(表現や順番は主観で調整しています)。自分に当てはまるのはどれか、考えながら読んでみて下さい。

10種類の欠点(=十過)

・勇にはやって死を軽んずる者
・計画的ゆえに油断する者

・短気で心落ち着かぬ者
・智があり過ぎて恐れを知らぬ者

・欲が深くて利益をむさぼる者
・仁がありすぎて、厳しさにかける者

・信に過ぎて、どんな相手も軽々しく信用する者
・清廉にして人を許せぬ者

・意志が強くてなんでも自分で処理する者
・意志が弱くて何でも人任せにする者

長所は短所、短所は長所

というかコレ、よくよく見ると、内容が矛盾しています。

意志が強くても弱くてもダメ。人に甘くても厳しくてもダメ。短気で衝動的なのはダメだけど、恐れを感じず油断するのもダメ。

って、じゃあ全員ダメじゃん、ってことになるわけですが・・著者の意図を勝手に深読みしますと、「長所は短所、短所は長所」ってことなんでしょうね。

ナポレオンはその長所が仇となった

実際、その後の歴史において、この「十過」そのままの負けパターンにハマッたのが、かのナポレオン

ナポレオンは行政でも軍事でも天才だったそうです。それまで職業軍人が戦争していた時代に、大規模な国民軍(徴兵された一般人)を作り、この素人集団に天才的な命令を出して迅速に動かし、大砲とか騎兵と上手く組み合わせて、ヨーロッパで無敵を誇った。

でも、ある戦いで大負けして、そのあと凋落していきました。何が起こったか。

どうも、軍隊が大きくなり、「天才的な命令」が届かなくなり、連携が取れなくなったようです。まさに、五才十過でいう「意志が強くてなんでも自分で処理する者」です(1日3時間しか寝なかったそうです)。

そんな状態のナポレオンと戦った相手は、こう考えた。「オレこんな大所帯にナポレオンほど上手く命令出せないから、現場指揮官に権限委譲しちゃおう → そして「大体こんな感じでやります、細かいことは自分で決めてね」と指示 → 各人それぞれが的確に動く → ナポレオン振り回されて負ける。

つまり、ナポレオンは、それまでの成功要因故に敗れたわけです(詳しく知りたい人はこちら)。身につまされる社長さん多いんじゃないでしょうか。

克服できない弱点から戦略が産まれる

重要なポイントは、「ナポレオンほど才能ないから、ひとりで頑張らずに現場と役割分担」という発想。ですね。前向きな諦め。「こんな感じで、後やっといて」を命令ではなく「訓令」と言うそうで、以降はそういう戦い方が一般的になっていったとのこと。

私が言いたいのは、権限委譲が大事という話では決してなく、上手いやり方ってものは多分、「克服できない弱点」からヒネリ出されるんです。散々悩んだ後に。で、冒頭の「十過」も、「長所は短所になっちゃうんだから調子に乗るな」っていうメッセージが含まれているように思えます。弱みは強み。強みは弱み。

ちなみにナポレオンに勝った人々はその後、結論の見えない会議で延々時間を浪費(いわゆる「会議は踊る」)して、その隙にナポレオンが復活してしまいます。

自分の弱点の克服事例

私自身、仕事に関して克服できない弱点があります。

お客さんや電話が来るとすぐに集中が途切れてしまうんです(^^;)電話ガンガン使ってこまめに外出して、っていうのが苦手なんですよね。。人付き合い良くないし。

ですが、それを直そうというつもりはまるでありませんww

強みを活かし、弱みを最小化する仕事の工夫

自分の弱点から逃避するかのように、あらゆる仕事を「直接会わずに済ませる」ように工夫しました。その代わり文章を書くのは苦になりませんので、メールやチャット・オンライン会議で打ち合わせします。デスクで作業に没頭したいので、できるだけ外出しません。で、こちらの都合に付き合ってもらう代わりに、コンサル料は安めにしました。

最初は自分の弱点から逃避するような「不純な動機」でそういう体制を作ったわけですが、結果、良いサービスになり、多くの方にご満足頂けています。会社員の頃と比べると、自分の仕事も上手く回ってますね。

※コンサル業界はフットワーク軽く訪問先を飛び回るのが一般的なようです。それはそれで素晴らしいですが、当社は全国に散らばる小規模ショップを対象として、違う形を選んでいます。

ネットショップなら、差別化で競争を避ける

無理に弱点を克服しないスタンスは、人間じゃなくてネットショップでも同じ。例えばペットフードを売るとして

ライバルが強力な安売り店なら、「愛犬の健康を守る高品質な国産の云々」と品質で差別化。ライバルが高品質の店なら、「どれでも○円!元気なワンちゃんにバラエティー豊かなご飯を云々」と価格で差別化。

という感じで、ライバルと正面衝突せず、状況に応じた工夫をすれば、ナポレオンにも勝てると思うんです。逆に、「ナポレオンなんて、あんな田舎者の臭いフェチ野郎に負けねえって」 等と、ライバルを認めずに虚勢を張るようなヤツは絶対ダメ。絶対。

環境を自分に合わせ、弱みを「特性」として活かす

まとめ。

「成功のなかに失敗の芽がある」し、「失敗は成功の母」でもある。長所も短所も表裏一体。つまり、自分の弱点を否定せず、是も非もない「単なる特性」として捉える。

そして、「この特性を殺さずに活かすには」「この特性が強みになるとしたら」という仮定で考えてみる。言い換えると、自分を否定するんじゃなくて、環境を自分に合わせるんです。

徹底して考えれば、たぶん、新しい道が見つかると思います。

PS

弊社のネットショップノウハウ本でいうと法則40とか60の話ですね。ちなみに法則60は、経験上「一流の店長さんほど褒めて頂ける」箇所です。無料で立ち読みできますので、ぜひ読んでみてして下さい。

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カテゴリー: 判断力と実行力

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