こんにちは、坂本です。
今回は「上達論シリーズ」の第2回です。前回、マニアックすぎてスルーされるだろうと思っていたのですが、結構な数の「いいね」数を頂きましたw ありがとうございます。
前回のテーマは、「上級者は、何が違うのか?」。
今回のテーマは、「初心者が早く中級者になるには」。
「入社したばかりの新人」などの「初心者」が、いち早く中級者へとレベルアップするためには何が必要か、について考えます。
- 目次 -
本シリーズ開始にあたり考えたこと
- ネットショップの売上アップは、慣れとか上達が大事なのでは。なぜなら、聞いたノウハウをすぐに真似て売上伸ばせる人ってそういないから。
- ノウハウも、トライアンドエラーを繰り返して習得するはず。つまり、早く上達すると、早く売上が伸びるはず。
- ところで、いまは「ECの仕事を学んでいる」段階の人でも、過去、ほかの何かには上達したことがあるはずです。部活とか習い事、勉強など。
- なので、一般的な「上達への道のり」を振り返ると、ECの仕事でも参考になるかも、と思った次第。そこで、評判の良さそうな「上達論」の本を選んで、比べつつ読解し、まとめなおしてみました。
第1回の趣旨
それを踏まえて、前回は「上級者の行動パターン」についてまとめました。
ザックリまとめるとこんな感じです。
- ああ来たらこうなる、というパターン経験が沢山溜まる
- それにより現象パターンを予測できる → 状況対応の「自動回路」が確立
- この「自動回路」があるから、体と頭が勝手にベストな動き方をする
- だから、早い・疲れない
- だから、細部まで深く考える余裕がある → 更に上達する
今回のテーマ
というわけで、今回のテーマは「初心者が早く中級者になるには」。
「入社したばかりの新人」や「初心者」が、いち早く中級者へとレベルアップするためには何が必要か。前回に続き、上達論の本から抜粋し、まとめてみました。(出典については前回の記事をご覧下さい)
※色んな考え方があると思いますが、本稿では、「自分が新人だとすればどう学ぶべきか」という観点から、トレーニング論としてまとめています。
1:まず全体感を掴む
「良い入門書」を読む
まず最初に、勉強する分野の全体像を、大まかにつかむ。具体的には、「分量が少なくて読みやすい入門書」を読むなど。
短時間でざっと読むのがポイント。わからない部分は気にせず、まずは何度も何度も繰り返し読む。理由は以下の通り。
- 先に行けばわかることが多い
- 繰り返し読めば、2回目3回目でわかる
- 何度も読んで情報を整理すれば、頭に入る
※そういえば拙著にも同じようなことを書きました。著者の方と意見が合って嬉しいですw
刺激を受ける
モチベーションも大切。理性だけでなく感情も揺り動かすことで、学習が進みやすくなる。
- これから学ぶスキルが、自分の人生やアイデンティティにとってどれだけ重要かについて調べる。
- 身につけたスキルで何ができるか考えてみる。目標を立てる。
- これから学ぶスキルの中にある「心惹かれる何か」を探してみる。
- いまはまだ全然分からなくても、とりあえず一流の仕事ぶりを見てみる。
- 前述の「入門書」も、書き手の情熱が感じられる本が良い。(感情が刺激されるため)
2:観察を徹底する
「盗む」意識を持つ
入門書は、あくまで全体感を学ぶためのもの。実践者として高いレベルに達するには、マニュアルを超え、言語化されていない箇所まで読み取る必要がある。
この「技を盗む力」は、技を盗もうとする意識によって向上する。漫然と眺めるのではなく、何度も、細かい箇所を凝視し、感じ取る。教えられたものを学ぶだけでなく、教えられていない箇所からも学ぶ。
動作を分解して理解する
「盗む」ための具体論。
実践の様子を何度もじっくり見て、心の中に「精度の高い動画」を作る。見るべきポイントは、全体的な印象ではなく、具体的で細かな要素。つまり、全体を眺めるだけでなく、細かい単位に分解して、それぞれがどうなっているかを把握するのが大切。
- 例えば、歌手が「高音を出す時」の「唇の形」と「張り」。
- ゴルファーの「バックスイングの頂点」での「左肘の角度」。
- 細かな表現や書き方、見せ方の違い。
そのようにして沢山の枝葉をチェックしつつ、以下の問いを自分に投げかける。
- これらの中で、もっとも重要な動きは何か?
- その人は、自分とどんな点で「違う動き」をしているか?
毎日見て、イメージを鮮明に脳裏に焼き付ける。何がどう違うかについて列挙し、記録しておく。
やったつもりになる
盗んだ後、得られた知見を定着させる方法として。
じっくり見て、聴いて、「そのスキルを実行しているような気持ちになる」。達人の動作や意思決定パターンを再現し、そのスキルを実行しているような気持ちになってみる。名演説をそのままマネしてみるなど。他の人に気づかれない程度の小さな動作でも、心の中だけでもいい。
3:基本を徹底する
ここまでは「学習」についての話。しかし、スキルの習得においては、アウトプット量・繰り返しこそが大切。
基本スキルを優先する
技術は、「基本スキル」と「応用スキル」に切り分けて理解する。
- 基本スキル
- いつでも正確に行う必要があるスキル
- バスケットのフリースロー、バイオリンのコード演奏、足し算や九九など。
- 応用スキル
- 基本スキルを組み合わせて、状況に柔軟に対処するためのスキル
- サッカーで守備陣の弱点を見抜いて攻撃に転じる行為、小説家が物語の意外な展開を工夫する行為など
基本スキルの方が「利用頻度が高い」ため、費用対効果が高い。よって、優先して時間を掛ける価値がある。
一方、本番や、「本番と近い実践練習」は、一見すぐに役立ちそうだが、欲や焦りが生じる。結果ばかりが気になってしまい、「体のバランス」「走り方」といった基本動作の出来不出来に注意が向けられなくなる。これにより、スキル習得が妨げられる。
実践形式から切り離された基礎練習を沢山やることで、自分を「欲望」から切り離し、細かい違いを感じ取りながら技術を磨くことが出来る。 つまり、「一見実践的でない練習」こそが大切。
※出典元の本では、基本スキルを「ハードスキル」、応用スキルを「ソフトスキル」と表現しています
繰り返し練習で、基本を完璧にする
サッカーでも野球でも、ギターを弾くのでも、とにかく単純な動作を正確に素早く練習する。基礎を行うことで、脳が鍛えられ、応用動作も無意識のうちに正確に高速にできるようになる。
まず、基本スキルの中で、特に頻度が高く、自分にとって難易度が低いものを選ぶ。それを完璧に習得する。 ここでいう「完璧」とは「無意識でも正しくできる状態」である。
やってみて、注意深く丁寧にミスを修正する。正確にできるまで、繰り返す。ミスをしなくなったら、次に進む。
次に、「隣接する他のスキル」とつなげていく。覚えたスキルと同時に使うことが多いスキル、関連性が高いスキルを身につける。文字をつなげて単語をつくるのと同じ。
そうして、得意分野を作る。得意分野ができれば、他のスキルもどのように高めていけば良いかのイメージが付く。自信も付く。
大げさに練習する
新しい基本動作を初めて学ぶときには、大げさにやってみる。
たとえば、ひざを上げるなら、「天井に向かって」上げる。ギターの弦を強く押さえるなら、「本当に全力で」押さえる。人前で論点を強調するなら、「劇場で派手な演技をするくらいに」力説する。
不慣れな動きだからと言って、おっかなびっくり、ちまちまと、中途半端にやってはいけない。時間の無駄になる。調整は、あとでいくらでもできる。まず、とりあえず大げさにやってみて「動作の限界」を感じとること。 それを感じてから練習をする。
我流に注意する
間違ってもいいから素直に実行する。まずは言われたことを、即座に、言われたとおりにやってみる。分からないことは聞く。
間違いを指摘されることを恐れて、分からないことを聞けないと、成長しない。未熟な段階なのに「自分の考え」を優先してしまうと、成長しない。
理解が甘い段階から、安易に「自分のやり方」を模索していないか。
自己愛が強すぎて、傷つくことを恐れていないか。
自分一人で悶々と考え、堂々巡りをしていないか。
4:試行錯誤を徹底する
漠然と基本動作を繰り返すだけでは、高いレベルには中々到達しない。感覚を研ぎ澄ませ、記録を取りながら、試行錯誤を徹底する必要がある。一度の体験を何度も振り返ることで、「経験量に対しての収穫」が倍増する。
ノートを取る
限られた時間の中で早く成長するためには、記録しながら、試行錯誤を繰り返すこと。具体的には、ノートを取る(記録する)。単に聞いた・言われたことを書くのではなく、自分の感じたことや考えたことを交えて、能動的に書く。
- 書籍や、聞いた話・受けた指示を丸写しするだけで終わらせないように注意。
- 頭に入っているつもりで、実は理解できていない状態になりがち。
- 3回反芻してから書く
- 何も見ないで書く
- 学んだことに、自分の考えたことを書き添える
- 以前自分の考えたことに、今回考えたことを書き添える
- やってみてどうだったかを書く
- 最初はうまく言葉が出てこなくても、「自分の手で整理する」ことで、理解が進む。
偶然うまくできたら、すぐ反芻する
仕事中/練習中、偶然うまくできたら、一旦手を止める。そして、「その感じ」を脳に焼きつけるために、心のテープを巻き戻し、それを心の中でリプレイする。感覚、リズム、心身の刺激を記憶し、反芻する。
振り返りつつ、以下についても考え、記録する。
- 以前の学びと今回の学びに、共通点はないか
- パターン化できないか、法則はないか
- よく知っている動きに置き換えて考えるとどうなるか
ミスをしたら、すぐ検証する
ミスをしたら、すぐに検証する習慣を身につける。
「まただめだった」ではなく、現実と向き合って、冷静に観察し、ヒントを見つけること。たじろがず、目をそむけず、何が起こったのかを見極め、「次はどうすればいいか?」と自問する。そして、これも記録する。
微妙な意識を言語化する
微妙な感覚を言葉にするのが大切。もやもやした感覚や、技術の微妙な勘所を言葉にして記録し、振り返る。
以下の動作で、どちらの意識でやるほうが高いパフォーマンスになるか?
- フレーズを、終盤にいくにしがってより静かに歌う
- フレーズを、風船が空中に舞い上がるように歌う
- できるだけ軽いタッチで弦をつまびく
- 熱いものにふれるように弦をつまびく
- サッカーボールを足でそっと止める
- サッカーボールに足の裏でキスをする
後者、つまり「具体的な意識を持つ」方が高いパフォーマンスになるはずだ。微妙な勘所を「言語化」しておくと、再現しやすくなる。これも記録する。
記録を読み返す
これまでの様々な発見をノート等に記録したら、頻繁に読み返す習慣を作る。「記録した時に感じたことを思い返す」と、反復練習のような効果を得られる。
- 練習や仕事が始まるまでの5分間、昨日のノートを振り返る
- 練習や仕事が終わったあと、ノートを書く
頻度としては、「1週間に1時間」よりも、「1日に5分」がいい。毎日やると、たった5分間でも脳の成長を促進する。
5:制限を掛けてみる
ある程度慣れると、マンネリになる。しかし、楽に自分のペースでやっていては、深い練習にならない。
普通に出来るようになったら、以下のように「制限を掛けてやってみる」ことで、熟練度が上がる。
時間制限を掛ける
現在の能力の限界を記録し、それを少し超える事を目指す。現在の所要時間を計り、その中でスピードを上げていく。
ちょっとだけ「背伸びをする」。「背伸び」をして失敗し、再び「背伸び」をする事が、脳の中に新しい神経回路を作る。
目隠しする
たとえば見ながらやっているものを、見ないでもやれるようにする。目隠し将棋など。ボクシングであればジャブだけで試合をしてみる等。細部への感覚が高まる。疲れるが、鍛えられる。
以上!今回も、あくまで読んだ本をまとめただけなので、偉そうでしたらスイマセン。
まとめると。。
- 学習のスタート地点で、できるだけ早く全体感を持つ。
- 次に「徹底観察」。上級者は何が違うのか、ミリ単位で細部まで観察。
- 見た目の派手な応用練習よりも、頻度の高い基本スキルを徹底反復。
- 基本スキルは、無意識でも出来るようにしておく。すると応用動作がスムーズ。
- 試行錯誤の記録をノートに取る。毎日5分でも、そのノートを読み返す。
- 何度も体験を振り返ると「経験量に対しての収穫」が倍増する。
- 上手くいったら反芻。ミスしたときは検証。
- 微妙な勘所を「言語化」しておくと、再現しやすくなる。
- 慣れてきたら、時間制限を掛けたり目隠しをして、新しい境地に挑む。
何かに上達しようとする際、観察して真似たり、振り返ったりしているのは誰しも同じですよね。たぶん、上達の早い人は、それをより細部まで徹底して観察し、徹底して繰り返してるのではないでしょうか。。うーん出来てない気がするな。。
というわけで、個人的には「中級者になるためのトレーニング」も十分できてない気がしておりますが、興味のある方は是非試してみてください。
PS
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カテゴリー: EC事業の組織論