セミナーレポート「これから選ばれる店の条件とは?」

こんにちは、坂本です。

東京・名古屋・大阪でセミナーをしてきましたので、レポートします。3会場で、350人ほどにお聞き頂き、盛況でした

タイトルは、「これから選ばれる店の条件とは?」。業界動向やお客さんの傾向が変わってきた。何かしないといけない。世の中の変化に対応し、売れ続けるために何をすべきか。・・というテーマです。

これらの大きな問題については、残念ながら、私が「正解を知っている」わけではありません。ただ、目にした事例や、明らかな傾向、それらからわかった因果関係やパターンをお伝えするという趣旨です。簡単にいうと、時代が変わったので「表層的に成功テクニックをなぞるだけではダメ(むしろ害)」「本質から考えよう」ということです。精神論じゃないですよ。詳しくは後述します。

大阪セミナーでは、最初100席で募集をしたら即埋まり、会場を倍にして200席にしたらまた満席になって、申し込めない人がいたほどでした。

こんなセミナーでした

世の中の変化に対応し、売れ続けるためには何をすべきか
以下の内容を順番にお伝えしました

(1)まず「ECの何が変わったのか」を解説
(2)新しい環境での「新しい成功事例」を紹介
(3)時代の流れに合わせるための「有りがちな間違い」と解決策

ちなみに大阪会場では、パネルディスカッションで、ECと何かを組み合わせて新しい動きを生み出す、という考え方や事例が紹介されました。実践者の皆さんが話す言葉は説得力があり、私も大変勉強になりました。

※これら3都市でのセミナーは、JFEC、TEK、EBSという各団体の主催で開催ができました。関係者の皆さんありがとうございました!

(1)世の中の変化と「我々の課題」

私のセミナーではまず、この10年の、EC業界の変化について解説しました。といっても、変わったのはEC業界だけではないですね。まず世の中の大きな変化があり、EC業界がそれにひっぱられて変化している

では、その大きな変化とは何か?スマホを使うようになった・スマホ比率が上がった、だけではありません。他にも様々な変化があります。

お客さんの動き方が変わりました。たとえば、メルマガを素直に読まなくなった。縦長ページも読み飛ばす。以前だったら通じていた訴求が通じなくなりました。通じなくなったのはどんな訴求か。それはなぜか。どのように訴求をアップデートしなければいけないか。そんな話をしました。

また、競争が激しくなっている一方で、実は、同時に大きなチャンスも生まれています。我々が目指すべき「新しいチャンス」とは何か。ピンチとチャンスが同時に生まれるメカニズムとは。などなど。

一般的に、講演・セミナーというのは、大抵「すぐに売上に繋がる小技」のほうがウケます。ただ、今回のセミナーに関しては、各地に共通して、テクニックより本質論のほうが好評でした。

参加者の方に感想を聞くと「テクニック論も良かったのですが、本質的な話が聞けて良かったです」「本質って何ですか?」「大きく世の中がどのように変わっていて、自分がこれからどこに向かっていくべきなのか、がわかった。それがとても大きな収穫です。」というコメントを何人かから頂きました。

やはり、時代は変わった。型をなぞればよかった時代は終わりました。デキる人ほどそれを感じているように思います。

今回のセミナーに参加された方から、たくさんの感想をお寄せ頂いています。ありがとうございます。以下、頂いた声を一部ご紹介します。

このパートの感想

  • ここ10年でEC業界がどう変わり、今後どういう取り組みをしなければいけないかのお話をとても分かりやすく、しかも、楽天にご在籍だった際の当事者としての観点も含めてお話し頂けたのが、とても分かりやすく、勉強になりました(KDDIコマースフォワード株式会社/湊 真一郎 様)
  • ECを取り巻く状況/環境の変化について、自分の中で一定の裏付けが取れた事。頭の中で「もしかして…?」と想像していた内容が「やっぱり…!」に変わりました。今後の運営方針や本質的な考え方がとてもクリアになりました。(Callum shop/明智 裕史 様)
  • 小売業なのですが、昔にくらべて、最近なぜ中小のECでモノが売れにくくなってきたのかがよくわかりました(ARAN株式会社/櫻田隆史 様)
  • 中小企業のこれからやるべきことがわかりやすかったです(大鐘商店/大鐘雅貴 様)
  • 10年前、今、そしてこれから求められるコト・モノ。すごくわかりやすく参考になりました(株式会社ハグリネット/後藤泰司 様)
  • 過去と現在のECの違いから、取り組み方を簡潔にご説明いただいた点(株式会社夢や/松井博幸 様)
  • 過去と現在の比較による説明が分かりやすかった(株式会社ロウダン/淺野啓太 様)
  • 古くから続くメーカー体制の中、世の中についていけず売れなくなった所でしたので、目から鱗のヒントだらけで大変感銘を受けました(長谷煉瓦/永岡 ゆかり 様)
  • 自分が漠然と感じていたことを具体的に言葉で理解できた(株式会社HAPPYJOINT/片山明彦 様)
  • EC市場の現状を踏まえて、今どういうお店であるべきか、お店の事例を挙げて具体的にご説明いただいた点がとても分かりやすかったです(サンローズ株式会社/小竹ひとみ 様)
  • 自分達ではわかりづらい現在のユーザーの傾向を説明して頂けたこと。小規模な会社向けの情報だったこと(株式会社はちみつクリエイト/田中慧子 様)

(2)新しい環境での成功事例

次に、「新しいタイプの成功事例」を紹介しました。

最近「これからはオリジナル商品が強い」「仕入れ型は不利」と言われています。そういう側面もありますが、ただ最近はオリジナルも「似たようなオリジナル」の中に埋没しますし、仕入れ型でもやりようはあります。

ここでは、価格競争が激しい型番系ジャンルにおいて、競争を避けて、お客さんから愛されながら継続的に売れている事例を紹介しました。そして、事例の裏にある「戦略」の紹介。戦略が生まれた経緯や、なぜ競争を避けられたのかを読み解き、噛み砕いて説明しました。

そして、戦略から導きだされる戦術の紹介。日々の仕事はどんなことをしているか、お客さんからどんな声をもらってどう対応しているか、組織編成などについて。大阪会場ではこれに追加して、独自のポジションを作ることで売上が100倍になったお店の事例についてもご紹介しました。

目先の売上を追い続ければ、いずれ自然と安定する・・・とは限らないのです。むしろ、目先のことを追い続けて迷子になるケースだってある。逆に、目先の売上を追わず、遠回りなようでも、お客さんのほうを向いて商売をする。結果として、そのほうが売れる場合だってあるのです。

それは精神論ではなく、合理的なビジネスとしての話です。今は、非効率なことが実は効率的だったり、効率的なことが、実は非効率だったりします。本当にそれが効率的なのか。本当にそれは非効率なのか。見直す時期に来ています。

昔は、「費用対効果の高い広告」をうまく見つけたり、外注を活用してどんどん商品数を増やしていく方法が王道でしたよね。今でも使えるところがあると思いますが、現在は、「現在ならではの状況」を逆手に取るほうが良いと思います。

このパートの感想

  • 鋭い視点や切り口でECに対する見方が変わりました。対象を分解してもらった事で、伸びしろが見つかりました。(シーアンドエー/天野真佐志 様)
  • 現状、取扱商品が多いため、いかに効率よく商品登録するか、仕入れ・受注・出荷業務をするかと効率重視になってしまっていますが、そこは俯瞰的に見て気をつけないとならないと思いました。(株式会社ピーシーあきんど/富井 敦史 様)
  • 「お客様を◯◯にする」という点が目からうろこでした(株式会社フクプランニング/金江宏幸 様)
  • 色々な事を改善して行く上で何をしたらいいのか、講演を聞いて整理できたような気がします(株式会社arte/中山寿美子 様)
  • 今、注力しなくてはいけないことがわかった(藤久株式会社/内田朱美 様)
  • お客様がどんな言葉で響くか、どんな商品を求めているか、どんな期待をしているか、考えながら日々の業務をこなしていこうと思った。またページづくりなども、実際接客しているつもりでお客様主体でつくらなくてはと思った(株式会社つゆくさ/小川桂子 様)
  • 実店舗の接客の様に、お客様を誘導することのできるページ作り。古いページの見直し。やらなければいけないことは山積みですが、まずはひとつの商品から始めます(株式会社 ぶつだん稲葉/稲葉冬美 様)
  • 専門店性は高めていかなければならないと思ってましたが、「〇〇〇〇〇」ですね(株式会社ヒーロー/小川進一 様)
  • 弊社のジャンルも、「どこで買っても同じ」「参入障壁が低い」という状況ですので、今回の勉強会は非常に楽しみにしておりました。「モノ以外のサービス全体をみがく」という部分は共感いたしました。(株式会社ピーシーあきんど/富井 敦史 様)
  • もう一度、ショップの立ち位置を確認することに気づいたところ(株式会社つゆくさ/兼松一俊 様)
  • WEBでもリアル店舗並みの接客が必要(株式会社 丸大/木田憲二 様)
  • ネットといえども、やっぱり商売なんだなぁと改めて気づかせて頂けました。改善点や出来る事がたくさん見つかりました。ありがとうございます(株式会社ルキュア/井筒大介 様)
  • 弊社に利用できるところが沢山ありました。ありがとうございます(株式会社KAJIN/坂東和久 様)
  • 型番型説明から提案型説明への時代遷移(ソフィアブレイン/小宮山真吾 様)

(3)時代の変化で生まれた「課題」とその対策

ここまでの話は、競争避けると言う観点から、ニッチ寄りの話が比較的多かったので、このパートでは、より幅広い人に向けて「時代の変化への対応方法」をお伝えしました。

  • 「自分の店は独自性がない」と思っている人が多いので、どんな人でもある程度の専門店になれる簡単な方法。
  • 競争を避けるために、新しい需要を生み出す方法は何か。いま扱っている商品を「全く違う客層」に売るための工夫。
  • そもそも安売りすると売れるのはなぜか。それを踏まえ、安くしないで買ってもらうために、商品説明に施すべき工夫は何か。
  • 時代の変化と共に、訴求が古くなっている店があります。「店が古くならないためには」何をしないといけないのか。
  • スマホの浸透や、お客さんの性質の変化を踏まえた、新しい世の中に対応した売り方とは。
  • 今の時代は、オリジナル商品をつくっても埋もれがち。なので、埋もれない為のオリジナル商品の考え方。
  • 自分のお店を覚えてもらえない場合、名前を覚えてもらうためには、どうすべきか。
  • 日々の通常業務が山積み。忙しい中で実行して効果を出すためには何を考えるべきか?

セミナーの内容は以上です。

90分のつもりで準備したのですが、結局2時間コースになりました。参加者の、とある店長さんからは、「これは5時間分の内容です。」と言われました^^; 5時間分の内容を、2時間につめこんだので、ちょっと早口でしたが、大いに参考になったとのお話をいただきました。

このパートの感想

  • レッドオーシャンの価格競争から抜け出す、いろんな方法を教えていただいた点。今あるものを工夫してオリジナル商品ができないか等、これから考えていきたいです(有限会社 堂島広告/宮川真美子 様)
  • 商品アピールの陳腐化対策に関してと、●●のナビゲーションに関してが特に良かったです。戦略商品としてだしているものがしっかりとアピールできているか、すぐに確認しようと思いました(株式会社リクルートライフスタイル/園田 皓太 様)
  • サービス精神旺盛で、普通の講演の三倍くらいのボリュームがあったこと。◯◯◯◯客対策だけで、2時間くらい語って欲しいです!(ユリシーズ/魚住謙介 様)
  • すごくわかりやすい内容でした(株式会社キーポイント/松岡奨 様)
  • 具体的な施策案があって良かった(株式会社CRF/勝 千晶 様)
  • わかりやすい事例などが多く、参考になりました(合同会社アウトワールド/岡村篤 様)
  • 〇〇〇〇ECの事例で、専門店のお話は参考になりました。弊社で扱っている製品ですと、カテゴリ分類も他店と同じ様になってしまっているので、●●目線でのナビゲーションを増やしたいと思います(株式会社ピーシーあきんど/富井 敦史 様)
  • 非常に勉強になりました(株式会社バサラスター/佐山陽介 様)
  • 沢山の事例や対策法など、具体的な話も多く参考になりました(株式会社シーエスプロダクト/飯村千裕 様)
  • 仙台から坂本さんのお話目当てで行った甲斐が有りました。ありがとうございました^^(株式会社ひとつひとつ/笹田俊介 様)

時代の流れを感じました

今回私は、「時代の流れ」に関してのお話をさせていただきましたが、お話を聞いている皆さんの様子を見ていても、改めて時代の流れを実感しました。各地を巡回して、久々に夜遅くまで関係者と話しこんだところ、色々と気付きがありましたので併せて報告します。

新世代が登場しはじめました

参加メンバーが変わってきました。「新世代」が出てきています。昔であれば、ネットショップといえば楽天で、楽天で売上を作って、表彰されると成功事例・・というケースが多かったですが、いまはより多様化してますね。

  • スマホファースト&本店オンリー。楽天などモールに出店したことがなく、本店だけで運営している。しかも、事業開始の時点で「スマホ用にサイトを作っている」。で、PCでは「見れれば良い」。商品は隙間。だけど熱い支持で口コミがすごい。SNS重視。顧客接点重視。
  • 日本人なのにアメリカのアマゾンだけで売っていて、日本で売ったことがない。「そろそろ日本でも売ろうかなと思って勉強しに来ました」とのこと。
  • ECで土台を作ったけど「次のステージへ移行中」という人も多いですね。リアル集客やBtoB取引の促進としてWebを活用している感じ。切り替えるというよりはハイブリッド化するイメージです。

昔の話題は「どんな広告がいいか」「どんなテクニックがいいか」だったのが、今は変わってきています。視野が広がって、事業が広がって、話の幅が広がりました。いいことなんですけど、飛び交う情報量が増えるので、自分が何を目指すのかを強く意識しないと、流されて混乱しますね。そこは気をつけましょう。

「帆船」と「蒸気船」の差が出ている

「需要を拾って、単純にモノを売る」売り方を単純物販と呼んでいます。単純物販の人は、市場動向の影響をモロに受けますね。だから、「モールの追い風で伸ばしていた人」が伸び悩んでいるように思います。帆船は風の影響を受ける、という感じです。

一方、独自のコンセプトを立てて実践している人や、独自の企画を編み出している人は、エンジンを積んでいる感じで、市場の風と関係なく売上を作れますね。蒸気船みたいな感じです。文明開化。「独自化すれば売れる」わけではないですが、「外部要因に左右されにくい状態」を目指すのは、大切なことだと思います。

基本は大切ですが、基本の意味もわからずに成功事例やテクニックを真似しても、もう厳しいと思います。で、なんでもいいから動く、ではなくて、「考えてやる」のが大切。モール多店舗化も本店もいいと思いますが、やればいいってものではない。

そういえば、かつては「モールの勢いを使う」スタンスだったベテラン店長が、「お客さんの手間を減らしてあげる売り方」かつ「Amazonはやらないだろうなー」という売り方を編み出していて、驚きました。「考えてやってる」人は、環境変化に合わせた切り替えができる。それが商売の実力なんだろうなあと思いました。

出世した人と、ずっと多忙な人

出世した人も多いですね。昔は、一人店長で運用していたのが、チームで動く。もしくは、EC事業部長だった人が、役員や社長になったりしていて、EC以外の事業もみなきゃいけないとか。2代目、3代目の店長さんが講演に来るケースが多いですね。組織の話題が増えました。

実際、弊社でも、最初はネットショップの「売上アップ」をメインに考えてコンサルティングをしていたのですが、相談されることにお答えしているうちに、組織・効率化関係の事例も増えてきました。→ 弊社のコンサルティング事例はこちら

一方で、時代の変化の中、忙しくてなかなか身動きがとれない。変わらなきゃいけないのに、変われていない。という方も多くいらっしゃいますね。。忙しい人は、一度にいろいろできないので、まずは何か1つに絞り込んで取り組むのが大切です。そして、その「1つ」をどう選ぶかが大切です

PS
今回ご紹介した方法論以外にも、いろんな考え方・方法論があります。一度になんでもはやれませんから、「優先事項の見極め」が最も大切です。

今何に取り組むべきか・・迷ったら、弊社の顧問コンサルタントがお手伝いできます。御社のこれまでの歴史、店としての強みや武器、今売れてる商品が何か、業務の体制やメンバーなど、幅広い観点からお話を伺って、「御社ならではの優先事項」をご提案できます。

興味のある方は、以下のページをご覧ください。

次回セミナーのお知らせ

今後弊社では、難しい状況の中で「EC事業の舵取り」をする、社長やマネージャーのための特訓セミナーを開催します。前述のように、時代が変わる中で、何を目指すのか?何に力を入れて、何に力を入れないのか。決断をしなければいけません。薄々まずいなーと思いながら、優柔不断で、半年、1年と先延ばしにしていませんか?

このセミナーでは、(1)「いまの時代に沿った戦略」を立て、(2)合理的な「販売戦術」を仕組み化しながら、(3)低コストでスマートな「実行体制」を構築する方法をお伝えします。

当社が10年やってきたコンサルティング内容を、全3回の講座に濃縮してお伝えします。今回のセミナーでお話した内容も、所々に盛り込んでいます。興味のある方は、以下ページをご覧ください。

カテゴリー: ECセミナー・講演

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