こんにちは、坂本です。
里帰りをした際に、高知市のひろめ市場にて(高知出身なんです)、同郷の某店舗さんと飲んで色々話をしました。話題は、近況や従来型の商売から「次のステージ」に向けてどう進むかなど。
彼との話の中で出てきた問いが中々深かったので、今日はそれについて書きます。その問いは、「もし今、『急ぎの仕事』が何もなければ、今年は何を最優先にするか」。
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今年の目標が「タスク」しか思いつかない件
「もし今、『急ぎの仕事』が何もなければ、今年は何を最優先にするか」。
自分で言った問いなのに、これが中々難しい。
皆さんはどうですか?おそらく「今年これから何をしますか」と問われたら、緊急対応事項が次々に思い浮かぶと思います。で、「今もし『急ぎの仕事』がなければ」と聞かれたら、言葉に詰まるのではないでしょうか(私はそうでした)。
もちろん常に緊急事項がありますし、それはそれで大事なんですが、だからといって「『急ぎの仕事』がなければ何するの?」と問われて、答えられないとしたら・・おかしいですよね。
「お客さんと『コミュニティ的なこと』がやりたい」「日本を元気にしたい」的な曖昧な方向性ならあるかもしれませんが、それは「願望」であって、仕事とか目標とは言えません。
「本当に優先すべき仕事」が曖昧になっている自分に気づきました。
これはまずい。
我々は「急ぎの仕事」が多すぎる
多分、私含め、人間の性質として、目先の「気になる仕事」がたくさんあると、そっちに没頭してしまって、中長期的に考えるべき大切なことが抜け落ちるんでしょうね。
予防策よりも火消しに意識が行きます。まあ確かに、目の前で火事が起こっているときに、スプリンクラー設置については考えられないものです。ところが、我々の仕事は、慢性的にボヤが起こっています(;_;)笑えない
ネットショップの人なら、、
- 送料など各種値上げに伴う交渉とか値付け見直しとか、
- 値付け以前にどんぶり勘定なので何を直せば良いか分からないとか、
- 配送トラブル対応とか、
- 従業員の急な退職対応とか、
- どんどん人材採用しづらくなっている問題とか、
- 楽天商品画像ガイドライン対応とか、
- 楽天ペイ導入に伴うオペレーション変更とか、
- Yahoo ショッピングや Amazon など各モールでの各種調整作業とか、
- 今年の話題であれば、消費増税対応(10月から)とか・・・
- 働き方改革関連法案の施行に伴う残業時間制限(大手は2019年4月、中小は2020年4月から)とか
- あと面白そうなトレンドやビジネス本が色々出ていて情報収集に忙しい・・
どれも大切なことです。
だからこそ、「本当の優先事項」を考えることが、つい後回しになります。
「緊急の仕事」を優先しすぎていないか
自分を含め、多くの人は、緊急の仕事を「過剰に優先」してしまい、本当の優先事項が「過剰に後回し」にしている側面があると思います。
なぜなら、「緊急の仕事」は、「やらないとまずい」に加えて、「明確な緊急性」「明確な基準」「明確な〆切」「明確なToDo」があり、ゲーム的で、アドレナリンが出て「楽しい」んです。済んだら達成感もあります。
まさに火事場という感じで、チームの一体感も生みます。そういえば弊社クライアントに「バレンタインシーズンに超売れて出荷地獄になったけどその過程でチームがまとまった」という方がいました。「済んだ!おつかれ!わーパチパチパチ」みたいな。よく聞く話です。
一方、経営層が取組む中長期の仕事は、「現状じゃいけないが何をしたらいいか不明」「曖昧な基準」「〆切がない」「ふわっとしている」「でも重要」「部下に言っても中々伝わらない」「孤独」というものが多いw
だから経営層からすると、〆の明確な仕事は「楽しい」んですよね、中長期的な試行錯誤は、締め切りも不明確ですし、今すぐ対応しなくても困りませんし、誰からも急かされませんから、楽しい仕事を優先し、本業が後回しになります。
なってませんか?私はなってます;_;
でも、孤独ですけど、考えないといけない。なぜなら、「実際に動き始める」「仕込みが終わる」「結果が出る」まではタイムラグがあります。だから、考えをまとめるのは、それより1,2テンポ早く取組まないといけない。
組織で動いている場合は、「メンバーに伝える」「伝わる」「動き出してもらう」といったタイムラグがあるので、さらにリードタイム(≒所要時間)が長くなりますね。だから、尚更早く動き始める必要があります。ボートと客船の違いです。船(組織)が大きいほど、方向を変えようとしてから実際に変わるまでに時間がかかります。大手の社長さんはタンカーの船長みたいなもので、尚更大変でしょうね。
もちろん現場やお客さんの動向を一番見ているのはメンバーなので、色々話を聞かないといけません。「現場での工夫や改善」は、指示を待たずに自分で考えてやってもらわないとスピードが追いつかないから、そこは任せたい、委ねたいところですよね。
ただ「会社全体の方向性」は、現場から聞いた情報を踏まえ、やはり経営層が孤独に考えなければならないものだと思います。特に今みたいな過渡期は。
どうしても緊急事項が多いと、忙しさにかまけて、考えることから逃げてしまいます。緊急事項をやると盛り上がるし楽しいし、仕事している気分になります。しかし、その間も時間は過ぎているのです。
今年の目標を考えてみよう
ということで、私は今、以下の問いについて考えています。宜しければ皆さんもお付き合い下さい。
- (Step1)問い:もし緊急事項がなければ、何が最優先か?
- (Step2)絞り込み:特にどれが優先か?それはなぜか?
- (Step3)目標化:いつまでに、何を「どのような状態」にするか
- (Step4)着手:人に伝えて、定期的に(ex.毎週/毎月)振り返る
取り組み方を説明します。
- Step1:まず、いくつか候補を挙げてみます。新商品・新サービス・新規事業とか、オペレーションやシステムや外注・人材などの足回りとか、人によって優先事項は違うと思います。
- Step2:次に、候補の中から最優先事項を決め、「なぜそれを選んだのか」を言語化します。Step1で出した幾つかの候補・・AとBとCがあるとして、よく観察してみると、実は各候補の間には「Aが進まなければBとCも進まない」「BやCに着手してもAが未完なら足を引っ張ることになる」といった関係性があります。それが分かれば「だから全部大事だけど、俯瞰して『着手順序』を考えるとまずAが優先」といったことが言えます。
- Step3:そして、目標化、つまり到達基準を定義します。例えば「3月末までに」「体重を〇kgにする・体脂肪率を〇%にする」といったものです。緊急の仕事は、現れた瞬間に既に到達基準が明確です。だから着手しやすい。一方、中長期の仕事は到達基準が不明確なので、着手しづらい。なので、到達基準を「意図的に」明確化する必要があるわけです。
- Step4:最後に、人に発表します。緊急の仕事は他の誰かが知っていますから、急かされたり心配されたりします。しかし、中長期の仕事は「自分以外誰も知らない」ことが多い。だから「意図的に」共有するわけです。また、前述の「優先する理由」を添えて「緊急事項に負けないくらい重要」である旨を伝えます。そうすれば理解が得られ、集中しやすくなります。定期的に進捗を発表する機会があると尚良しです。
良く考えたら私、弊社社員に対してはこういう目標設定を義務化しています。。実際、緊急業務に押し負けないための「意図的な目標設計」をすると仕事が良く進みます。しかし自分へはちゃんと適用していなかったという。「社長が決めたルールを社長が破る」典型ですねえ。。
まとめ
要点はコレです。答えられますか?
- 「もし今、『急ぎの仕事』が何もなければ、今年は何を最優先にするか」
それを考える際に、以下について考慮して下さい。
- 誰しも「緊急の仕事」に引っ張られるものです
- 「緊急」に引っ張られる自分の弱さを自覚しましょう
- 自分の弱さを前提に、「目標を意図的に設計」しましょう
- 複数の候補から最優先事項を選び、理由を言語化する
- いつまでに何をどうするか、到達基準を意図的に明確化
- 「自分がいつまでに何をやろうとしているか」周囲に伝え、進捗も報告
たぶん今年は「過渡期」です。
目先の仕事に引っ張られないようにしたいですね。
お互い頑張っていきましょう。
PS
ピンと来なかった方は、こちらの記事をお読み下さい!
こっちは「自社の『存在意義』を言語化する」ことで進む道を明確化する、というアプローチです。
PPS
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