もし、「急ぎの仕事」がなかったら、今年何をしますか?

こんにちは、坂本です。

里帰りをした際に、高知市のひろめ市場にて(高知出身なんです)、同郷の某店舗さんと飲んで色々話をしました。話題は、近況や従来型の商売から「次のステージ」に向けてどう進むかなど。

彼との話の中で出てきた問いが中々深かったので、今日はそれについて書きます。その問いは、「もし今、『急ぎの仕事』が何もなければ、今年は何を最優先にするか」。

今年の目標が「タスク」しか思いつかない件

「もし今、『急ぎの仕事』が何もなければ、今年は何を最優先にするか」。

自分で言った問いなのに、これが中々難しい。

皆さんはどうですか?おそらく「今年これから何をしますか」と問われたら、緊急対応事項が次々に思い浮かぶと思います。で、「今もし『急ぎの仕事』がなければ」と聞かれたら、言葉に詰まるのではないでしょうか(私はそうでした)。

もちろん常に緊急事項がありますし、それはそれで大事なんですが、だからといって「『急ぎの仕事』がなければ何するの?」と問われて、答えられないとしたら・・おかしいですよね。

「お客さんと『コミュニティ的なこと』がやりたい」「日本を元気にしたい」的な曖昧な方向性ならあるかもしれませんが、それは「願望」であって、仕事とか目標とは言えません。

「本当に優先すべき仕事」が曖昧になっている自分に気づきました。
これはまずい。

我々は「急ぎの仕事」が多すぎる

多分、私含め、人間の性質として、目先の「気になる仕事」がたくさんあると、そっちに没頭してしまって、中長期的に考えるべき大切なことが抜け落ちるんでしょうね。

予防策よりも火消しに意識が行きます。まあ確かに、目の前で火事が起こっているときに、スプリンクラー設置については考えられないものです。ところが、我々の仕事は、慢性的にボヤが起こっています(;_;)笑えない

ネットショップの人なら、、

どれも大切なことです。
だからこそ、「本当の優先事項」を考えることが、つい後回しになります。

「緊急の仕事」を優先しすぎていないか

自分を含め、多くの人は、緊急の仕事を「過剰に優先」してしまい、本当の優先事項が「過剰に後回し」にしている側面があると思います。

なぜなら、「緊急の仕事」は、「やらないとまずい」に加えて、「明確な緊急性」「明確な基準」「明確な〆切」「明確なToDo」があり、ゲーム的で、アドレナリンが出て「楽しい」んです。済んだら達成感もあります。

まさに火事場という感じで、チームの一体感も生みます。そういえば弊社クライアントに「バレンタインシーズンに超売れて出荷地獄になったけどその過程でチームがまとまった」という方がいました。「済んだ!おつかれ!わーパチパチパチ」みたいな。よく聞く話です。

一方、経営層が取組む中長期の仕事は、「現状じゃいけないが何をしたらいいか不明」「曖昧な基準」「〆切がない」「ふわっとしている」「でも重要」「部下に言っても中々伝わらない」「孤独」というものが多いw

だから経営層からすると、〆の明確な仕事は「楽しい」んですよね、中長期的な試行錯誤は、締め切りも不明確ですし、今すぐ対応しなくても困りませんし、誰からも急かされませんから、楽しい仕事を優先し、本業が後回しになります。

なってませんか?私はなってます;_;

でも、孤独ですけど、考えないといけない。なぜなら、「実際に動き始める」「仕込みが終わる」「結果が出る」まではタイムラグがあります。だから、考えをまとめるのは、それより1,2テンポ早く取組まないといけない。

組織で動いている場合は、「メンバーに伝える」「伝わる」「動き出してもらう」といったタイムラグがあるので、さらにリードタイム(≒所要時間)が長くなりますね。だから、尚更早く動き始める必要があります。ボートと客船の違いです。船(組織)が大きいほど、方向を変えようとしてから実際に変わるまでに時間がかかります。大手の社長さんはタンカーの船長みたいなもので、尚更大変でしょうね。

もちろん現場やお客さんの動向を一番見ているのはメンバーなので、色々話を聞かないといけません。「現場での工夫や改善」は、指示を待たずに自分で考えてやってもらわないとスピードが追いつかないから、そこは任せたい、委ねたいところですよね。

ただ「会社全体の方向性」は、現場から聞いた情報を踏まえ、やはり経営層が孤独に考えなければならないものだと思います。特に今みたいな過渡期は。

どうしても緊急事項が多いと、忙しさにかまけて、考えることから逃げてしまいます。緊急事項をやると盛り上がるし楽しいし、仕事している気分になります。しかし、その間も時間は過ぎているのです。

今年の目標を考えてみよう

ということで、私は今、以下の問いについて考えています。宜しければ皆さんもお付き合い下さい。

  • (Step1)問い:もし緊急事項がなければ、何が最優先か?
  • (Step2)絞り込み:特にどれが優先か?それはなぜか?
  • (Step3)目標化:いつまでに、何を「どのような状態」にするか
  • (Step4)着手:人に伝えて、定期的に(ex.毎週/毎月)振り返る

取り組み方を説明します。

  • Step1:まず、いくつか候補を挙げてみます。新商品・新サービス・新規事業とか、オペレーションやシステムや外注・人材などの足回りとか、人によって優先事項は違うと思います。
  • Step2:次に、候補の中から最優先事項を決め、「なぜそれを選んだのか」を言語化します。Step1で出した幾つかの候補・・AとBとCがあるとして、よく観察してみると、実は各候補の間には「Aが進まなければBとCも進まない」「BやCに着手してもAが未完なら足を引っ張ることになる」といった関係性があります。それが分かれば「だから全部大事だけど、俯瞰して『着手順序』を考えるとまずAが優先」といったことが言えます。
  • Step3:そして、目標化、つまり到達基準を定義します。例えば「3月末までに」「体重を〇kgにする・体脂肪率を〇%にする」といったものです。緊急の仕事は、現れた瞬間に既に到達基準が明確です。だから着手しやすい。一方、中長期の仕事は到達基準が不明確なので、着手しづらい。なので、到達基準を「意図的に」明確化する必要があるわけです。
  • Step4:最後に、人に発表します。緊急の仕事は他の誰かが知っていますから、急かされたり心配されたりします。しかし、中長期の仕事は「自分以外誰も知らない」ことが多い。だから「意図的に」共有するわけです。また、前述の「優先する理由」を添えて「緊急事項に負けないくらい重要」である旨を伝えます。そうすれば理解が得られ、集中しやすくなります。定期的に進捗を発表する機会があると尚良しです。

良く考えたら私、弊社社員に対してはこういう目標設定を義務化しています。。実際、緊急業務に押し負けないための「意図的な目標設計」をすると仕事が良く進みます。しかし自分へはちゃんと適用していなかったという。「社長が決めたルールを社長が破る」典型ですねえ。。

まとめ

要点はコレです。答えられますか?

  • 「もし今、『急ぎの仕事』が何もなければ、今年は何を最優先にするか」

それを考える際に、以下について考慮して下さい。

  • 誰しも「緊急の仕事」に引っ張られるものです
    • 「緊急」に引っ張られる自分の弱さを自覚しましょう
  • 自分の弱さを前提に、「目標を意図的に設計」しましょう
    • 複数の候補から最優先事項を選び、理由を言語化する
    • いつまでに何をどうするか、到達基準を意図的に明確化
    • 「自分がいつまでに何をやろうとしているか」周囲に伝え、進捗も報告

たぶん今年は「過渡期」です。
目先の仕事に引っ張られないようにしたいですね。

お互い頑張っていきましょう。

PS

ピンと来なかった方は、こちらの記事をお読み下さい!
こっちは「自社の『存在意義』を言語化する」ことで進む道を明確化する、というアプローチです。

PPS

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カテゴリー: EC事業の組織論, 判断力と実行力

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