こんにちは、坂本です。今回はセミナーの開催レポート&予告です。
コロナがまた盛り返してきていて、世の中がどうなるかよく分かりませんが・・EC売り上げが伸びている方が多い一方、催事では試食ができなかったり、実店舗の売上も回復しなかったりと、変化したバランスが中々戻りませんね。。
そんな中、6/22に、愛媛県庁の依頼で、地方の生産者及び事業者を対象に、「EC直販強化」や「EC事業者向けの卸販売」についてオンラインセミナーを開催しました。76社参加で、アンケートでも大変好評でしたので、8/21にも開催することになりました(受付も始まってます)。今回はそのセミナーの内容を少し紹介します。
- 目次 -
ECオンラインセミナーの概要
開催の経緯
愛媛県庁には「営業本部」という組織があり、「デジタルマーケティング」のグループもあります。他の自治体が見学に来るほど先進的なんです。
その営業本部では、「新しい販路として、EC直販やネット卸を活用し、県内事業者の販路の多様化・販売力向上」を支援しようという動きが始まりました。緊急事態宣言後も受注が回復しない事業者は多いし、今後を考えても、県外への販売力向上が重要なためです。
元々、愛媛県庁は楽天株式会社と包括連携協定をしています。私は、以前もブログに書きましたが、楽天さんにお声がけいただき県内の楽天出店者向けに連続セミナーをやってまして、そのご縁から「EC以外のセミナーもぜひ」ということになり、今回のセミナーの開催に至りました。
大切にしたのは、「やり方」よりも「考え方」
このセミナー、単なる「EC参入の一般論」ではありません。
実際のところ、いまやBASEを使えば「ECで店舗構築」なんて半日もかからず開始できるわけですね。BASEのサイトには「30秒で出来る」と書いてました(!)。
もはや、店舗構築はだれでもできる。
そして、「一般的なやり方」は本もたくさん出ているし、ググればわかります。
だからみんなECやりますから、激戦です。埋もれます。
そうなると大事なのは、店より商品です。モノを売るだけなら、メルカリ使えば子供でもできるわけです。つまり、大切なのは「商品の企画や見せ方」。より、商売の本質の部分です。
自分の商品を、単なるモノとして売るのではなく「わざわざ取り寄せる価値のある通販商品」として自らプロデュースしていく能力が必要ではないかと思います。特に地方の生産者や事業者はこれが重要ではないかと。
もちろん売り方も大事ですが、商品の魅力次第で、販売や集客の難易度が全然違いますから。現代においては、魅力的な商品やコンセプトは「引力」を発揮するのです。
そういうわけで、このセミナーでは、単に「EC参入」の講座ではなくて、「いまからの後発参入で競合に埋もれない考え方」や「商品企画のパターン」「商品の魅力を表現・発信する方法」などに力を入れました。
内容はこんな感じです。
- (1)ECの考え方
- 今から参入しても間に合う?今ならではの「ネット販売」の考え方とは
- 中小・地方企業だからこそ有利な要素とは
- 「わざわざ取り寄せる価値がある」と感じてもらうためには
- (2)ECを使った2種類の売り方(卸と直販)
- EC卸の営業、EC店舗を構築して直販、組織体制づくりなど
- (3)「ネットで売れる商品」を作る・魅せる方法とは
- リサーチと企画、コピーライティング、写真、値付け、などなど
※結果、がっつり3時間話して、足りませんでした。。
セミナー参加者の声
前回(6月)のセミナーに参加したみなさんの感想です。大変好評でした!
「ECの原理原則」を理解することができた |
- 想像以上に有意義な3時間となりました。弊社でECはまだまだ取組み始めたばかりですが、狙いや期待する効果を根本から考え直すきっかけとなりました。ありがとうございました!
- 実際のリアル店舗と通販では、売り方やアプローチの仕方が大きく異なるということが分かり勉強になった。
- 今までなんとなくで運営していたECサイトですが、骨格のセオリーがわかって良かったです。
すぐ役に立つ内容だった |
- 本当に勉強になりました。早くセミナー内容を活用して売り上げ拡大につなげていきたいです。
- 費用を多く掛けないやりかたを教えていただいて参考になりました。
- 売れるキャッチコピーの原理は、EC以外でも生かせそうだと感じた。
具体的で、分かりやすかった |
- あまり堅苦しくなく、実際にあった事を元に話されていたので、とても分かりやすかった。
- どのようにスタッフの割り振りをすればいいのかを悩んでおりましたので、具体的に役割を明記していただくことでより見えてきた
セミナーの内容
ざっくりと要点だけ書いてみます。具体策のところは半端にお伝えするのは難しいのですが、「安易なEC参入は危険」だが「答えはある」というところが伝われば幸いです。
今後のECの展望
経産省のデータによると、日本のEC化率(ECで取引された比率)は6.2%、米国は11%。文化や国土は違いますが、まだまだ伸びる余地はありそうです。
そして、これは2019年=コロナ前の情報です。
要は「ECシフトは、まだまだ続く」と言えます。この先、参入事業者がさらに増える、とも言えます。
ECは、魅力的な販路だから激戦
ECは低コストで全国展開できるし、右肩上がりの市場。だから当然激戦になります。先行する企業は多い。この世の中ですから、後発参入も多い。
そして、地元の道の駅や〇〇物産展と違い、全国大会です。競争が激しい。
地域で一番おいしい店は作れても、全国一おいしい店はできるのか。
地域で一番安い店は作れても、全国一安い店はできるのか。
工夫が必要です。
「選ばれる」ことこそが難しい
工夫のポイントは、「わざわざ取り寄せる意味がある」と感じてもらうこと。
- 「干物?近所のスーパーで売っているよね」
「近所のスーパーで売っている」と思われたら、通販では売れません。だから「わざわざ取り寄せる理由」を作らないと、通販事業は成り立たない。実際「ネットで売れない商品」は、大抵「通販では買う理由がない」商品。
これをしないで、特段の差別化・独自化をしないで、無策でEC直販を始めると何が起こるか?
- 「わざわざ高値で取り寄せる理由がない」ので、価格だけがウリになる。
- 近所のスーパーやコンビニと同じくらいの価格にならないと買ってもらえない。
- 結果、「リピート促進のためのお試し販売」という美名のもと、赤字販売が横行。
これでは儲かりません。。
だから、「高くてもわざわざ取り寄せる理由」を、知恵を絞って考える必要があります。
では、どうすればいいのか?
考え方の一つは、「製品」を「商品」にすること。
手持ちの「製品」を、ECで売れる「商品」にする必要があります。
方程式があります。
- 製品+意味=商品
例えばこんな感じ。
- 「ベーキングパウダーと小麦粉」は「製品」
- 「親子で楽しむお菓子作りきキット」は「商品」
「製品」に「親子で楽しむ」という意味が載って、「商品」になっています。
ほかにも、エピソードや用途を追加するなどの言い方・見せ方次第でも「特別な商品」になりえます。実際、弊社の支援先でも「元々は全くの無名商品」がdancyuなどの雑誌から多数掲載・取材されていますよ(事例を少し紹介)。
※その他、こういった考え方を色々と紹介しました。
中小・地方企業に有利な要素もある
競争が激しい。。
理由がないと選ばれない。。
厳しい話が多いですが、一方で、地方や小企業に寄せられる「前向きな期待・先入観」もあります。
こういう心理です。
- わざわざ取り寄せるから、美味しいはず。
- 大量生産でないから、品質が良いはず。
つまり、お客さん側に「納得をしたい」気持ちがあります。その期待に応えれば売れる。
この世界では、「大手じゃないからこそ売れる」という観点もあります。
単なる力比べではありません。あきらめないこと。
その他のお話
- お手本事例の探し方、みどころ
- 商品企画の考え方や事例
- モール?本店?インスタントカート?卸?どう売る?
- スタッフどうする?組織体制作り
- 販売ノウハウの基本
- 特に「現代の後発参入」だから出来る施策
- リサーチやコピーライティングや写真や資材や同封物や値付けなど
・・・などなど。
伝えたいことが多すぎて、我ながら詰めこみすぎたかも…。「盛りだくさんすぎた」とのお声も少々。。。次回はこのあたりも、食べやすいように調整する予定です。
次回、8月の開催予定
次回は、8月21日(金)14-17時で開催。募集はすでに始まっています。参加費は無料です。
オンライン開催なので自宅やオフィスから視聴できます。
ただ、すいません、今回は愛媛県庁主催のセミナーなので、「愛媛県内の生産者・事業者限定」となります。
もし愛媛に知り合いの方がいたら、是非紹介をしてください。ECをまだやっていない事業者でも大丈夫です。
愛媛以外の方に関しても、これからは発信を強化していきます。改めてメルマガでお知らせするので、まだの方、とりあえずメルマガ購読お願いします!
※ちなみに、このセミナーは、楽天株式会社と愛媛県の包括連携協定の一環として、地域の発展のために行われるものなので「楽天オンラインECセミナー」という名称になっていますが、楽天市場に出店していない方も受講可能ですので、ふるってご参加ください。
ますます、多様さが魅力なEC業界へ
コロナについて。特に今月に入ってから、もはや「一時対応」ではなく「ニューノーマル」である、と腹をくくって、新しいやり方を模索している方が増えてきたように感じますねー。※「コロナとEC」については、また近々まとめ記事を案内します。
大手のECも、これでさらに加速しますよね。中小EC事業者としては、ユニクロやイオンやニトリと比較されるケースが増えるわけです。うーむ。
でも、大手のサービスは便利さをもたらしますが、中小は、お客さんにとっての「選択肢の豊かさ」をもたらすはず。実際、今回のセミナーレポートでも、そんな話がありましたよね。
だから私たちコマースデザインは「色々な個性を持ったお店が数多くあり、お客さんに豊かな選択肢があるEC業界」を目指して、今後も精進する所存であります。
最近はコンサルのご依頼やお手伝いが増えてバタバタしていますが、なんとかブログにも時間が充てられるよう頑張りますmm
P.S.自治体の方へ 同様のセミナーが開催可能です
PPS
コンサルについてはお気軽にお問い合わせをどうぞー
カテゴリー: ECセミナー・講演