【動画つき】オペレーションの変更点を確認しよう 楽天SKUプロジェクト解説 #2

こんにちは。坂本です。
楽天SKUプロジェクトが「楽天出店者にとってどんな意味があるか」、解説していくシリーズの第二弾です。

前回の記事では、「SKUプロジェクトって何?」「どういう意味があるの?」ということをお伝えしました。
それを踏まえて、今回は「出店者は何をしたらいいのか?」という疑問にお答えしていきます。
ステップ2ということで、守りの部分「新システム対応において、どんなオペレーションの変更があるのか」を解説。ざっと前回のおさらいをしてから、オペレーションの説明をします。

はじめに

全部で5本の記事です

1~5までのシリーズ記事です。今回は2本目です。

  • 1:SKUプロジェクトの意味
  • 2:守り:オペレーション変更点を確認しよう
  • 3:攻め:商品統合の判断と手順について
  • 4:計画:作業項目の洗い出し・分担・スケジュール化
  • 5:よくある質問と「今後の業界展望」

※状況が流動的なので、情報が後から追加されたり変わったりすることがあると思います。その場合、説明を補足しますので、あわせてご覧ください。くれぐれも正確な情報は、楽天公式にお問い合わせください。

動画で見る

動画でみたい方はこちらからご覧ください。
(忙しい方は、歯車アイコンから速度を調整してご覧ください)

前回のおさらい

楽天SKUプロジェクトとは

楽天SKUプロジェクトでは、要はこんな感じでAmazonみたいな商品ページになります。

これまで「1商品ページ1商品」だったのが、「1つの商品ページに複数の商品(=SKU)がぶら下がる形」に統合されます。

  • 「複数の商品を1つのカートに統合する機能」(=マルチSKU)が導入される
  • 価格の違う「サイズ違い・色違い」などのバリエーションが、1つのカートに統合される(Amazon化)

商品の意味が変わり、店構えがも変わります。マルチSKUになることで、商品は売れやすくなります。

  • カテゴリページのような「いろんな商品がぶら下がっている商品ページ」になり、商品ページの存在感が高まる
  • 検索順位もランキングも「商品ページ単位」なので、SKU統合することで有利になる
  • 「マルチSKUな商品」は、検索結果画面でもいろんな情報が表示されるようになる
  • これまで手作業だった「引き込み導線のリンク設置」が自動化され、買い回りもスムーズになる。回遊動線として非常に有効

そんな感じでいいことばかりみたいですけど、楽天出店者のみなさんは対応が大変です。

システムが変わるので、受注処理も変わるし、商品ページ一括更新のCSVも変わるし、商品ページの編集画面も変わります。
あらゆるEC担当者が、新しいシステムや業務手順に対応する必要があります。
なので、「守りの対応を終えてから、売上が伸びるチャンスであるSKU統合をしていきましょう」ということをお伝えしました。

詳しくは前回の記事をご覧ください。

「プラナリアとイカ」でわかる、新しい商品ページの仕様

ここからが本題、守りの話「オペレーションの変更点」を確認していきます。

「商品情報の構造」が変わります

今回の一番大きな変更は、「複数の商品が一つの商品ページにぶら下がる」というように、商品情報の構造が変わります

これによって、当然システムやデータの持ち方が変わるわけですね。そして、いろんな業務手順も変わります。

特にポイントは、商品情報や注文情報のCSVの項目が変わること
これによって既存の業務フローが崩れる可能性があるので、ちゃんと確認して動く状態にしましょう。

すごいまんじゅう好きの人みたいですが、前回に続き今回もまんじゅうを例にあげて説明します。

これまで「まんじゅう大」「まんじゅう中」「まんじゅう小」は、それぞれ別の商品ページ
これからまんじゅうの商品ページに「大・中・小の情報」が紐づく

というふうに変わります。すなわち、商品情報が2階層になるわけです。

商品情報が「商品ーSKU」の2階層になります

商品情報が2階層になるので、図解するとこうなります。
左側がプラナリア、右側がイカです(私の手書きのイラストなので、わかりづらかったらすみません!)。

Before(プラナリア)商品ページ情報だけ
After(イカ)商品ページ情報と、そこにぶら下がる(複数の)SKU情報とに分かれる

このように、商品情報の構造が変わって複雑化します

Before=コピペ量産の商品ページ(プラナリア)

プラナリアとは何かというと、クローンみたいな感じで、分裂して同じプラナリアがどんどん生まれてくる生物です。

実際、楽天の昔ながらの商品ページも、商品画像や商品説明文・キャッチコピーはほぼ同じなのに、クローンみたいな商品ページを量産していましたよね(まんじゅうの大も中も小も、実態は全部同じまんじゅうで、入っている数が違うだけ、とか)。

コピペして増えていく商品ページがプラナリアみたいなので、例えてみました。

After=「商品ページとSKU」の2階層(イカ)

楽天SKUプロジェクトにより、進化してイカになります。
イカは上に商品情報を持っていて、その下に商品のバリエーション情報がぶら下がるという、2階層の構造です。

たとえば、上が「まんじゅう」で、下が「大」「中」「小」とか「こしあん」「つぶあん」です。

従来の商品ページはデータとしてはシンプルでわかりやすいんですけど、お客さんからすると、同じような商品ページで混乱しますよね。

右側は「一つの商品ページに含まれる情報量」が圧倒的に増え、足がいっぱいあるので大変です。
進化した分、管理が大変になります。この商品情報の構造変化が、いろんなことを生んでいくわけです。

「商品管理番号」「商品番号」は従来のまま

細かい話ですが、「商品管理番号」「商品番号」がありますよね。名前が紛らわしいですけど、この二つは従来のままです。
ここに、SKUに紐づく「SKU管理番号」と「SKU番号」という、これまた紛らわしい名前の番号が追加されます。

この辺の細かい仕様は、楽天公式の情報を確認してください。

価格・配送方法・送料などは、SKUに紐づくようになります

キャッチコピーや商品説明文などの情報は、商品ページ(イカの上半分)に含まれます。
一方で、価格や配送方法などは、SKU(足の1本1本)に含まれます。
つまり、SKUごとに全部違う価格にできたり、配送方法や送料を変えたりできるようになります。画像もSKUごとに載せられます。

ポイントは、ビフォーがプラナリア、アフターがイカです。イカは頭と足があり、二階層になっているのがポイントです。

「商品ページの編集画面」が変わります

進化したイカの編集画面はこんな感じです。「イカの頭があって足がある」みたいな構成です。非常に複雑になります。

昔の商品ページは縦スクロールでしたけど、新しい商品ページはタブで切り替えるページ構成になっています。
上半分のイカの頭部分の「基本情報」を入力した後、イカの足1本1本のSKU情報を入れていく流れです。

複雑化したので、入力する項目が当然多くなっています。登録するのが大変そうな商品編集ページになりました。

でも考えてみれば、プラナリアみたいなシンプルな1商品ページだったら、そのページ情報はシンプルです。

新しい商品ページは、一つのカテゴリページに含まれる商品を、まとめて一つの画面で編集しているのですから。
カテゴリページのようなものなので1ページあたりの情報量が多くなり、編集画面も項目が増えますよね。

ということで「仕方ない」と自分を慰めながら作業していただければと思います。

新しくできた「商品属性情報」は、イカの足の吸盤

「商品属性情報」という新しい項目が追加されました。これはSKUに紐づきます。
面倒くさいんですけど、記入することで売れるチャンスにもつながります。

商品属性情報とは?

「商品属性情報とは何か」というと、タグIDが進化したものです。イカの足1本1本に吸盤があるような感じです。
SKU1コ1コに、「商品属性情報」という情報を付け足すことができます

商品ページは頭があって足があり、「イカの足にたくさんついている吸盤が、商品属性情報」と覚えて頂くといいかと思います。

従来の「タグID」は商品単位、「商品属性情報」はSKU単位

前から「タグID」ってありますよね。
タグIDをご存知ない方は調べて頂くか、弊社サイトでも解説していますので、よかったら見てください。

この「タグID」は商品ページに紐づいています。一方で、新しい「商品属性情報」はSKUに紐づきます。

これは完全に私の推測ですが、おそらく「今後は商品属性情報がメインになり、タグIDは段々トーンダウンしていく」のではないじょうか。
多分「商品属性情報の方が大事になる」と想像しています。これはあくまで想像なので、どうなるかはわかりません。

商品属性情報には「必須」「任意」の2種類がある

商品属性情報には、「必須」と「任意」の2種類あります。
楽天が「期日までに絶対入力してください」といっている必須と、「入れたかったら入れてもいいです」という任意の項目です。
家具を例に説明します。

カラー、ブランド、原産国などの必須項目は、SKUごとに入れる必要があります。
任意項目は、ジャンル固有で必要な項目です。「まじか…」というぐらい細かいです。

「テーブルの木材の種類」はわかりますけど、「フットレストの有無」「クッション材の有無」「天井ツッパリ機能の有無」 など。
商品ジャンルごとに、いろんな商品属性情報が定義されています。

必須項目は、「SKU移行から6か月後」までの登録が必須

楽天から「SKU移行の6ヵ月後までに、必須の商品属性情報を入力完了しなさい」というお達しが出ています。

SKUの移行時期は「6月から移行します」「来年1月から移行します」など、店ごとに違いますよね。
例えば「6月に移行する店」は、12月まで(つまり年内)に必須項目を入力完了しなくてはなりません。

期日までに対応しないと、商品ページが更新できなくなりま’す
時間はありますから、あらかじめわかっていれば準備は間に合うと思います。もし「そうなんだ。知らなかった…」という方は、危うく間に合わなくなる所ですから、今知れてよかったですね。

任意項目は、がんばる価値はあるが後回しでOK

任意項目の対応はマストではないのですが、「ちゃんとやると売上につながる」と思うので紹介します。
商品属性情報は、商品ジャンルごとに定義されています。ものすごくたくさんあります。
「楽天が入力してほしいキーワード」なので、検索対策効果が期待されます。

こういったExcelのファイルが山のようにあります。ちょっと中身を見てみましょう。
楽器のExcelをダウンロードすると、トロンボーン、ギター、ベース用パーツ、エフェクターなど細かく分類が載っています。

ウクレレのシートを開くと、「ウクレレの木材」の入力欄があって「どんな木材を使ってるか入れてください」と書いてあります。

ちなみに、ウクレレは、木材によって音の響きが変わるんだそうです。桜、マホガニー、メイプルとか。
ウクレレやったことないですけど、ウクレレを買う人にとって木材は重要な情報なんですね。

自由記述の商品説明文だけでなく、こういう記入欄も現れたということです。ただ任意項目ですので、記入するのは後でもいいです。
必須項目の入力期限は「SKU移行から6ヶ月以内」ですが、任意項目の期限は決まっていないので、最後にやるといいかと思います。

任意項目のキーワードは宝の山

このシートを見ているだけでも、大事なキーワードが分かります。

今回、楽天は「各商品・各ジャンルでは、どんなキーワードが大事か」をがんばって調べたんでしょう。
「そこまで公式でやるのか」と思いましたけど、制作会社も店舗運営してる方も我々のようなコンサルも、「がんばっていろんなキーワードを含む商品ページを作りましょう」という話はよくしていますよね。

楽天が「これらのキーワードを書くのは大事」と言っているので、いわば楽天公認のキーワード、楽天公認のモールSEOみたいなもの。
「お店の人ついてこれるのかな…」と思いましたけど。もしこれが本当に実現したら、楽天の商品情報・楽天が持ってるマーケティングデータはすさまじい価値を持つようになります。世の中を左右するようなデータになるかもしれないですね。

こういった楽天の試みについては、興味深く見ていくと、今後も発見がありそうです。

余談:任意項目を登録すると自動で表ができる

ちょっと余談です。任意項目を登録すると、自動で表ができるそうです。

つまり、任意項目を入力するだけで、ある程度「見やすい商品ページができる」と言えます。

なので任意項目の登録は、がんばって入力する価値はありそうです。
楽天は、「任意項目について検索順位で優遇します」とは言ってませんけど、優遇されてもおかしくないですよね。
その商品にまつわる公式な情報だから、当然「記入した方が検索上有利になる」ことが考えられます。

何しろものすごく数が多いので、この項目を入力しきるのは1人では無理だと思います。
チームで分担するのが大事。この何年かEコマースはどこに行っても、仕事の種類も量も増えて複雑になりました。
我々はECのコンサル屋なので、「チームを組んでやりましょう」というご支援が本当に増えています。楽天SEOも1人でやるのではなく、パートさんに教えたり、チームでやったりすると非常に効率がよく、売上が伸びやすいんです。

ただし、これは「余力があればやる作業です。まずは守りが大事
つまり、任意項目の対応は後でOKです。必須対応だけでも大変なので。まずは守りを徹底しましょう

SKUプロジェクト全般に言えますが、「がんばる余力・実行力」が問われますね。

「業務手順」も変わります

商品情報の変更に伴って、業務手順がいろいろ変わります。

「受注処理」の変更点の確認

まず、受注処理の手順が変わります。
SKU情報が様々な所に表示されるようになり、SKU番号で検索できるようにもなります。
お客さんとのやり取りでも、SKUの話がたくさん出るようになるでしょう。

注文検索画面でも、SKU番号の検索ができます。このあたりは、CS受注の担当の方が使い慣れておくとか、理解しておくことが大事です。

「各種ダウンロードCSV項目」の確認

商品ページの項目が変わりますので、当然「商品を一括編集するためのCSV」やItemAPIなどの仕様が変わります。
移行前から、使用方法を把握しておきたいところです。また、受注データのCSV項目も変わります。

  • 商品一括編集は、2023年4月以降、以降店舗から利用可能
  • 受注データのダウンロードは、すでに利用可能(2023年2月以降、すべてのお店で利用可能)

新しいページは2023年4月以降、移行したお店から順に実際に利用できます。現在サンプルがあるので事前に見ておきましょう。
受注データのCSVも、変更がありますので要注意です。こちらも実際に触っておいた方がいいでしょう。

自前で仕組みやツールを作っている人は要注意!

これらの機能を使ってオペレーションを組んでいる人は要注意です。CSV項目が変わったので、テンプレExcelが動かなくなるかも。

恐ろしいのは、CSVを自前の仕組みで使っている場合。
例えば、注文データのCSVをダウンロードし、CSVから伝票データを作っていたら、伝票のレイアウトが崩れて大変なことになります。
自分が作ったちょっとしたExcelも、オペレーションが変わるので要注意です

システムだけでなく、日常業務で使うExcelにも注意しましょう。
こういうちょっとした社内独自の仕組みやツールでボロが出るかもしれないので、要チェックです。

システム周りの確認

システム周りの要確認の話は、前回の記事でお伝えした通りですが、「利用しているシステムの対応状況」を確認しましょう。
「受注管理」「在庫管理」「商品連動」など、いろんなシステムやツールがありますよね。
特に複数モールを運営している人は色々あると思います。

操作手順が変わるのなら、その手順を入手し、社内で閲覧できるようにしておきます。

パッケージ型のシステムは多分大丈夫ですが、カスタマイズ型のシステムはシステム会社の対応が大変かも。早めに確認しましょう。
(Filemakerベースのシステム、特攻店長、通販する蔵、自社開発全般とか)

楽天スーパーセール参加申請の変更と確認

SKU移行後、商品価格が1つの商品ページ内で複数設定できるようになるため、審査事項などが見直されます。

  • 申請する時は「すべてのSKUが10%以上の割引であること」が条件になる
    • 一部のSKUのみで10%以上の割引を許してしまうと、お客さんが商品ページを開いた時に「セール対象が一部のSKUだけだった」ということになってしまうため

スーパーSALE周りでもいろいろ変更がありますが、この辺りは公式の情報をご確認ください。

まとめ

ということで、今回は守りについてお話しました。
SKUプロジェクト導入でシステムが変わると、日々当たり前にやっている業務プロセスも変わるので、要確認&要注意です。

  • 変更点を理解し、「新しいオペレーション」を実際に試そう
    • 「プラナリア」が「イカ」になる。受注もCSも商品の制作も変わる
    • まず関係者で理解する(関係者の皆さんにこの記事を共有するのもオススメ)
    • 実際にやってみる。すると改善点が色々見つかるはず
    • 1コ1コ対応していく
  • 「必須の商品属性情報」を追加記入しよう(6ヵ月以内)
    • 「新システム移行から、6ヶ月以内に商品属性(必須)を記入」する必要あり
    • そうしないと、商品ページを更新できなくなる
  • 商品属性の任意項目は、後回しでOK
    • ちゃんとやったら売上が伸びるが、手間がかかるので後でOK
    • 実施タイミングは、この解説シリーズの4本目「計画」の章で提案予定

ということで、日々のオペレーションがだいぶ変わりますので、みんなでまずは「どんな状況か」を理解しましょう。
実際にやってみないとわからないことが多いので、事前にリハーサルをやることが、本番をスムーズに迎えるポイントです。ぜひ、ご検討いただきたいです。

P.S.

弊社は、「中小EC事業の経営全般を支援するコンサル会社」です。
売上アップや利益改善だけでなく、経営者の忙しさ改善から、ECチーム作りや業務効率化まで、幅広くサポートしています。
今回のような「守り」についても得意分野です。

「楽天SKU対応は必須だと分かっているけど、じゃあうちの店はどうすればいい?」
「上手に役割分担して進めたいけど、スタッフにうまく指示を出せない」

など、SKU対応を実際に進めるには、考えなければならないことも、やらなければならないこともとても多いです。
情報の整理が追いついてない方も多いのではないでしょうか。一人で考えるとパンクしがちなので、「壁打ち相手」を置いて「話しながら頭を整理する」のもおすすめです。
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カテゴリー: EC戦略論

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