こんにちは。坂本です。
楽天SKUプロジェクトが「楽天出店者にとってどんな意味があるか」、解説していくシリーズの5本目、最終回です。
これまでの記事をご覧いただいている前提で、「よくあるご質問」や「今後の展望」について解説をします。
- 目次 -
はじめに
全部で5本の記事です
1~5までのシリーズ記事です。過去の記事はこちらからご覧ください。
- 1:SKUプロジェクトの意味
- 2:守り:オペレーション変更点を確認しよう
- 3:攻め:商品統合の判断と手順について
- 4:計画:作業項目の洗い出し・分担・スケジュール化
- 5:よくある質問と「今後の業界展望」
※状況が流動的なので、情報が後から追加されたり変わったりすることがあると思います。その場合、説明を補足しますので、あわせてご覧ください。くれぐれも正確な情報は、楽天公式にお問い合わせください。
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よくある質問
検索順位への影響
SKU統合したら、検索順位は上がるんですか?
正式な回答は、実は「いいえ」です。「SKU統合したことで上がる」わけではありません。
ただ、検索順位が「商品ページ単位の売上実績」に左右されるし、ランキングも「商品ページ単位の売上実績」で決まるし、ランキングが上がると露出は増えます。なので「順位が上がる」可能性は高まるでしょうね。
以下、詳しく説明します。
検索順位は、売上実績で決まる |
「SKUを統合したら自動的にプラス1ポイントだから、順位が1コ上がる」というようなルールはありません。
ただ、状況証拠から言って、検索順位は商品ページの売上実績で決まります。
マルチSKUの商品ページは、複数のSKUが一つの商品ページ売上実績にカウントされます。
その結果、「検索順位が上がりやすくなる」ということが推測で言えますよね。
ランキングも、売上実績で決まる |
「ランキングも商品ページ単位の売上実績で決まる」ということは、楽天が明言してるわけです。ランキングを上がると露出が増えますね。売上が上がると検索上位が上がります。
売上アップ→検索順位アップの可能性が増える |
そういうわけで、状況的には、売上が上がる可能性があるので、検索順位が上がる可能性が当然増えるわけです。
直接的な影響ではなく間接的な影響があります。「直接的な因果関係ではない」というニュアンスですね。
「風が吹けば桶屋が儲かる」感じで、連鎖的に検索順位が上がることが期待されます。
わかりやすい方がいいんですが、正確に説明すると、以上のような内容です。
商品属性に入れてさえいれば、キーワードは商品名から削除してもいい?
「影響しない」とは言い切れなそうです。
以前、商品属性の話をしましたよね。イカの足についている吸盤です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
商品属性に「ウクレレのメイプル」と書いてあれば、商品説明文に「メイプル」というキーワードを書かなくても、ちゃんと検索に引っかかります。ということは、商品名にキーワードがなくても、検索順位に影響はないのか?
これはまた聞きなんですけど、あるイベントである店舗さんが楽天の人に問い合わせたところ、「影響しないとはちょっと言い切れない」ということです。なので、
- 「商品説明文に書いてあるキーワード」は商品属性に入れない
- 「商品属性に入れたキーワード」は商品説明文から消す
という面倒くさい調整をする必要はない、というのが私の意見です。
複数店舗を運営している場合 |
楽天とYahoo!に出店していたら、効率化のためにだいぶデータを使い回しますよね。
Yahoo!や他モール・本店のことを考えると、商品説明文にキーワードを一通り入れておくと思います。こういったことを考えても、消す必要はない、ということです。
ちょっとマニアックな、あまりない問い合わせのような気もしますが。そんな感じです。
統合基準と表示内容
SKU統合は必須?
SKU統合は任意です。やってもやらなくても構いません。
SKU統合できる商品は、「すべて必ずやってください」という話ではありません。
ですが、統合した方が有利になるし、楽天はやってほしいでしょう。
あからさまに優遇すると「モールが出店者に強権を振るっている」となどいろいろ問題があるので、やらないでしょうが。
「独占的地位の乱用はNG」という法律がありますので、楽天も無茶なことはできないし、しないというところです。
なので、楽天としてはSKU統合してほしいけど、「絶対しないとダメ」ということではないです。
攻めと守りの話でしたように、まず守りを完了させないと、そもそもオペレーションが回りませんので、守りが先です。守りの話は、こちらの記事をご覧ください。
守りが済んだら、じっくりゆっくりSKU統合していけばいいでしょう。一部商品から段階的に進めていくこともできるので。
統合した方が売れるチャンスは増えますが、会社ごとに事情があるでしょうから、ジャッジが難しいところでケースバイケースです。
「一部商品でやってみて様子を見る」というのも、賢い進め方じゃないかと思います。
統合した後はばらせませんので、新しく登録し直しになっちゃいます。なので、慎重にやるのが大事。
どんな商品でも統合できる?
どんな商品でも統合できるわけではありません。ルールがあります。
このシリーズ記事の中でもご紹介したように、「SKUの統合基準」がいろいろあり、楽天がルールを決めています。
ここで説明すると長くなるので割愛します。こちらの記事、あるいは楽天の公式をご覧ください。
- SKUのまとめ方に関するガイドライン(楽天公式)
価格の表示ってどうなるの?
複数の商品の中で、最安値の価格からの「幅」で表示されます(ただし在庫がある商品価格のみで判定)
ビール1缶と24缶が同じ商品ページの場合、「250円~6000円」みたいな表示になります。
SKUごとの商品説明って、どれくらいできる?
サイズや属性など、少し説明する程度のようです。「無理くり統合して、商品説明でカバー」は逆効果になりそうです。
例えば、Tシャツの黒と赤があるとします。
- 黒はこういうふうに黒い
- これとこれとこれの素材を使っていて、こんな黒さです
- 赤はこういうふうに赤い
- これとこれ、こんな理由で、こんなに赤いです
という長い説明をSKUごとに作ってアップしたらその説明が出るか?というと、SKU毎に出し分ける商品説明の情報量は少ないようです。
イカの頭、つまり「各SKU共通の商品説明文」はたくさん書けるので、そこで説明する感じになります。SKUごとに細かい説明を出すことはできなさそうですね。
SKUごとに機種が異なるパーツなどは注意 |
こういった特徴から、たとえばカーパーツなど「SKUごとに適合車種が異なる」ような場合は、トラブルが起きそうです。
この車にこのパーツはつくけど、このパーツはこの車には使えない、など。
使えないパーツを買っちゃったら悲惨ですよね。転換率が下がったり、レビューが荒れたら本末転倒です。なので無理くりいろいろ統合していくと、そういうトラブルが起こりそうなので、ケースバイケースです。
あまりハックの感じで統合しない方がいいと思います。レビューが荒れたり、お客さんに迷惑をかけるといけないので。
そういったハックとか工夫にチャレンジするにせよ、様子を見ながら慎重に行った方がいいでしょう。
項目選択肢別在庫はどうなりますか?
なくなります。こちらの記事で説明しています。
項目選択肢はなくなるの?
残ります。名前が「商品オプション」に変わります。
レビュー統合
複数商品に散らばったレビューはどうしたらいい?
1商品ページにレビューを統合するための申請ができます。ただし受付期間があります。
SKU統合についての解説を、改めてご覧ください。
「レビューをまとめる申請」は商品ページ単位?
商品ページごとの申請だそうです。
商品ページURLを1個ずつ申請することになるので、統合する商品がたくさんある場合は、結構面倒くさいです。
なので進行表を作って、一個ずつ片付けていくような進め方になると思います。
進行表や「SKUプロジェクト対策プロジェクトX」の進め方については、こちらの記事で詳しく説明しているのでご覧ください。
統合したらレビューはどうなる?
移行先商品のレビューに転載され、古い商品ページからは消えます。
統合したレビューは元に戻せる?
戻せません!
1度統合したレビューを、統合した商品ページを分けて元に戻すことはできません。
販促施策
ポイント倍率とかクーポンの設定は、SKU単位で設定できる?
商品ページ単位での設定になります。SKUごとに個別設定することはできません(混乱防止の観点とのこと)。
実際に運用が進んでいくと、ルールが変わったり増えたりする可能性がありますので。現時点の情報です。
「結構困る」という声をよく聞くので。個人的には変わるといいな~とは思います、お客さんが混乱するのはダメですから、うまいことバランス取れるといいと思うんですけどね。
RPP広告はSKU単位で設定できる?
検索結果に表示する情報なので、SKU単位ではできません。
検索順位を上げるのと面を取るのどっちがいいですか?
私の個人的な意見ですけど、どちらかといえば「順位が高いほうが良い」と思います。
新しい楽天の商品検索画面や商品ページの仕様を考えると、多分「順位の方が優先度が上がる」ので。
…が、統合したものをもとに戻すことはできないので、無理に統合すると「お客さんが逆に買いづらくなる」など本末転倒で大変なことになるはず。
こういうときは、「少しでも有利な状態を狙う」よりも、本質的に「お客さんのためになる」ことを目指すほうが、多少損したとしても、大きな失敗はしないはずです。「少しでも稼ぎたい!」というお気持ちはわかりますが、小銭のために無用なリスクを抱えることになるかもしれませんよ。じっくりやった方がいいと思います。
今後の業界展望
もしかしたら、マルチSKUは今後の業界標準になるかもしれません。
マルチSKUは「国内モールECの業界標準」になるかも
Amazonは、元々マルチSKUです。まず、ZOZOがマルチSKUになりました。
今回、楽天がマルチSKUに変わります。となると、過去のパターンからして、Yahoo!は楽天に追随する可能性が高いです。
なので、楽天SKU対応は「楽天限定の面倒な対応」ではなく、今後のための備えと見立てた方がいいかもしれません。
Yahoo!の反応で判断できると思います。楽天を追随するYahoo!ショッピングは、マネする可能性が高いです。
独自ドメインの対応は?
先日、futureshopの中の人にお話を伺った所、多くの楽天店舗が使う本店カート「フューチャーショップ」でも、既にマルチSKU化が開発予定に入っています。
- 開発中機能の一覧(futureshop公式サイト)
楽天で実績のあるお店が「本店もやるぞ!」とフューチャーショップを使うケースは多いんですよね。似ていてやりやすく、実績もあってサポートも強く、いろいろこなれているので、futureshopは強いです。
お客さんも慣れてくると思うので、マルチSKUの状態がスタンダードになっていくと、楽天以外のモールもどんどん追随するかもしれないですね。futureshop以外の国内ショッピングカートも、あわせていくかもしれません。
ちなみに、独自ドメインのカートと言えば、世界標準はShopifyですが、こちらはマルチSKUには対応していないっぽいですね。
いろいろプラグインとかカスタマイズできるので、そんな向け方もできるみたいですけど。
楽天SKU対応は、今後のための備えにもなる
楽天SKU対応は、「楽天が言い出して、あわせなきゃいけないんで大変だよね」と思うかもしれませんが、お店にもメリットがあります。
「必須だからやらなければいけない」という悲観的な態度ではなく、今後EC業界が変わっていく動きだと思って、前向きにやった方がいいかと思いました。
ということで、楽天限定対応ではなく、今後のためにも、買いやすいお店になるためにも、がんばって対応していきたいですね。
コマースデザインについて
こういった楽天SKUに関するお問い合わせの回答は、追って追加したり情報発信したりしていくと思います。
我々、コマースデザイン株式会社は、中小ECのコンサルティング会社です。
売上アップのほか、このシリーズでもご説明した「プロジェクトの進め方」や「モールSEOをチームでやりましょう」の話、定例会議や在宅スタッフの活用、商品企画などなど、中小ECの経営全般をサポートする会社です。お見知り置きいただけますと幸いです。
今後もこういった情報も発信していきます。弊社は楽天専門というわけではないんですけど、みなさんお困りでしょうから、楽天SKUに関する情報はどんどん無料で出していきます。
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カテゴリー: EC戦略論