【業界展望】AIはEC業界をどう変えていくのか?楽天オプティミズム2023を受けて1ヶ月くらい考えた

こんにちは、坂本です。

今回は、楽天オプティミズム解説記事の後編として、「AIは、これからEC業界をどう変えていくのか」について私の考えを述べてみます(※楽天出店者向けの前編はこちら)。だいぶ間が空いてすいません!

テーマは、「EC事業者にとってのAIとの付き合い方」です。具体的に何にどう使うというテクニックではなく、将来予測などの大局観をお伝えします。AI関係の情報は錯綜していますが、この記事の内容を頭に入れた上でニュースを見たり情報収集をすると、迷子にならないはずです。あくまで個人的な妄想ではありますから、眉に唾をつけながらお読みいただければと思います。

はじめに

楽天とOpenAIの提携について

2023年8月2日~6日の5日間、パシフィコ横浜で「Rakuten Optimism 2023」が開催され、ChatGPTなどを開発・運営するOpenAIとの協業を楽天が発表しました。今回の記事は、この動きを受けて書いています。

前編の記事はこちらをご覧ください。

この記事を書くことにした経緯

実は弊社としても、ChatGPTを中心に、AIを使った取り組みに力を入れてきました。中小EC事業者への全般的な支援が弊社の役割なので、これはもう掘り下げるしかないと思いまして。(あとオタクなので個人的な興味もあります)

今年の3月ごろから、コンサル会員の皆さんとAIの勉強会を毎週開催して、ECの販促や業務効率化など、色んなテーマで皆さんに試していただいて、使えたとか使えなかったとかのお返事を頂いて、また新しく試して・・を半年ほど繰り返して、色々発見をしました。 その結果、これはヤバイということがわかりました。何にでも使えます。

ちなみに、その学びをセミナーで提供して大好評でした。累計300人くらいが受講しています。

次は10/26(木)にやりますので、興味ある人はぜひどうぞ。テンプレ完備してますし、実際に手を動かしながら取り組むので、楽しいですよ。

そんな経緯があった前提で、今回の「楽天とOpenAIの提携」なので、これは書くしかあるまいということで、長文記事を書くことにしました。皆さんの参考になれば幸いです。

ChatGPTを触った人はわかると思いますけど、間違いなくAIはEC業界を変革します。というか、既に変わっています。

ただAI関連情報は、色々錯綜しすぎてて、どう捉えたらいいかが難しいですよね。なので、この記事では、分解して整理しながら、「今後どうなるか」について考えていきます。

※この記事は、「AIについてある程度知っている方」を対象としています。知らない単語については、すいませんが検索するか、ChatGPTに聞いてください。

まず分類してみよう

で、AIはEC業界をどう変えていくのか。
・・話が大きいですよね。

話が大きいときは、まず一旦、分類して整理するのがおすすめ。
ECとAIについては、以下のように整理するとスッキリします。

  • 目的で分類
    • 「業務用」と「接客用」
  • 利用方式で分類
    • 「組み込み型」と「そのまま型」

順番に説明しますね。

目的で分類してみる

まず目的で分類してみます。

  • お客さんの買い物を助ける「接客用AI」
    • お客さんのために、比較検討などの手助けをしてあげます。
    • 「母の日 スイーツ」でのキーワード検索ではなく「私の母はこういう人でこういうのが好きです。オススメある?」という相談をするなど。
  • EC事業者の仕事を助ける「業務用AI」
    • 我々の仕事をAIが代わりにやってくれます
    • キャッチコピー・コンテンツ作成、CSV対応、SEO、在庫や利益などの分析、施策提案など

詳しくは後述します。

利用方式での分類

もう1つ、別の分類を紹介します。ChatGPTやMidjourney(画像生成AI)などの専用AIシステムを「そのまま」使う方式と、マイクロソフトオフィスやLINEなどに「組み込まれたAI」を使う方式です。

  • そのまま型のAI
    • ChatGPT、MidjourneyなどのAIツール
  • 組み込み型のAI
    • Photoshop(AdobeFirefly)、LINEチャットボット、NotionAI、Office365(予定)など

「そのまま型」は、わかりにくい。たとえば、ChatGPTの画面・・以下の通り、あんまり取っ付きやすいものではないですよね。この画面が苦手で触ってない方も多いようです。

仕組みを理解して慣れると便利ですけど、一般のお客さんがあれを触るかと言うと、、、なかなか難しいでしょうね。

逆に「組み込み型」は、わかりやすいんです。たとえばLINEのチャットボットでやり取りするだけなら、誰でも出来ますよね。なので、一般のお客さんの場合は「組み込み型」のAIを使うことが多いはずです。

分類ごとの将来展望

先に結論を述べておきます。
私の予想としては、以下のとおりです。詳細は後述します。

  • 一般消費者向けの「接客用AI」としては「組み込み型」が普及する。
    • なぜなら、一般消費者にとって「そのまま型」のAIは難しすぎるから
    • 接客用AIが普及すると、従来型ECモールはオワコンになるので、各モールは接客用AIを実装する
    • となると、中小EC事業者はこの動きに適応する必要がある(後述)
  • EC事業者向けの「業務用AI」も色々登場する(している)
    • 「組み込み型」が沢山現れるけど、なるべく「そのまま型」のAIを使いこなすのが正解
    • 特定用途に特化したツールよりも、汎用ツールをお箸のように使いこなす方が効率的
    • そのためのトレーニングが重要!(後述)

以下、それぞれ詳しく見ていきます。まず接客用から。

接客用AIの展望

ECにおける「接客用AIの存在意義」

ECにおいて、接客用AIは、大きな存在意義があります。
お客さんが従来型ECに対して感じていた不便を解消してくれるからです。

接客用AIが「検索しづらい買い物」を支援する

従来型の「商品検索」には限界があります。

ECで買い物する際の一番典型的なパターンは「欲しい商品を検索 → 出てきた商品を見比べて買う」という動き方ですよね。たぶん80-90%くらいはこれだと思います。この場合、価格や配送、その他の条件をもとに「お客さんが自分で」最適な商品を判断し、購入します

実は、このような検索経由では、やりづらい種類の買い物があります。たとえばギフト。「敬老の日」で検索するとたくさんの商品が表示されますが、選ぶのが大変なんですね。

  • うちのおじいちゃんは最近、糖尿になって甘いものは除外だなー
  • 血圧高いから、辛いものも駄目だなあ

といった具合に、「ああでもない」「こうでもない」と考えるギフトの購入に、検索経由の買い物はあまり向いていないのです。「価格と早さ」だけで判断するのはラクなんですが、考慮しなければいけない「比較軸」が増えてくると、人間の脳がツラくなってくるわけですね。面倒だから買わない、となってしまう心配もあります。

接客用AIによる「ギフト検討支援」

こういう局面では、接客用AIが上手く機能します。

さきほどChatGPTに聞いてみるとこんな回答でした。未来の話ではなく、「さっきの話」です。

いま現時点の、「何もいじってないChatGPT」でも、これくらいのことができます。ChatGPTのアカウントを持っている人は、是非試してみてください。

まだ店員さんのレベルではないかもしれませんが、ちゃんとデータと「ギフト用の提案ロジック」を教えてトレーニングすれば(=ファインチューニングすれば)、それなりの提案ができるはず。結構、ポテンシャルを感じますよね?

仕様は、個別商品を提案するのではなく、検索キーワードを提案して、検索結果画面URLを渡す感じかなー。

接客用AIによる「需要の具体化」

こういう感じの「シンプルな商品検索だけでは済まない買い物」においては、接客用AIは非常に活躍すると思います。ギフト以外のパターンも紹介します。(といっても私の妄想ですが)

他には「お客さんの漠然とした需要」を聞いて、商品を提案することが出来ます。ちょっと画面をそれっぽく合成してみました。

普通の検索だと「釣り」に対して、ヒットする商品を返すだけですけど、この場合は、幅広く提案してますよね。これはつまり、AIが「需要を生み出している」わけですね。これも、商品検索では実現できない機能です。

この画面は私が妄想して、適当に合成した画面です。私が妄想した仕様としては「釣り糸」をクリックすると「釣り糸の検索結果」にリンクするイメージです。

以上のお話は、ChatGPTを使ったことがない人には未来の話のように見えるかもですが、これは「既に出来ること」です。ChatGPTを使っている人には「簡単に作れそうだ」という実感があると思います。ですよね!

興味がある方は、ChatGPTを立ち上げて「今度釣りに行くんだけど、何を買っておくといいかな?」などと聞いてみてください。そのあと「その商品を提案した理由を教えて」といったやり取りを重ねていくと、未来の「接客AIを絡めた買い物」のイメージがつくと思います。

まあ実際に提供するときは、前述の通り、色々AIを教育して、もっと専門家っぽい回答にしたいところではあります。

接客用AIによる「代理検索」

他にも色々できそうです。

たとえば「チャットで指示すると、代わりに検索してくれる」機能なんかも簡単に作れそうです。検索条件の指定って面倒ですからね。。

  • この検索結果の中で、◯月◯日までに到着するもので、なおかつピンク色の商品だけを表示して。
  • この検索結果の中で、ポイントを含めて最安のものだけを表示して。
  • この検索結果の中で、国産でグルテンフリーのものだけを表示して

この指示文から、検索結果画面に飛ばすところまでは簡単に実現できそうです。

が、裏側のデータが課題でしょうね。これを実現するには、商品情報(出店者が登録した商品情報)が、きちんと整備されている必要があります。あるいはモール側のクローラー(分析ロボットのようなもの)が商品を巡回して、商品の内容をちゃんと読解する、といった取り組みも必要でしょう。この辺の話は後述します。

他にも色々考えられますが、だいぶ「接客用AIで買い物が便利になる」イメージは湧いて頂けたのではないかと思います。親切な店員さんのようですね。他にも色々イメージはあるのですが、キリがないので一旦このへんで止めて、次の話をします。

ECモールにとっての「接客用AI」の意味

ECモールにとって、接客用AIには、「適応しないとヤバイ」と「適応すればチャンス」という複数の意味があります。

ECモールは「接客用AIを作らないとヤバイ」

人間は、「ラクに流れる」生き物です。NetflixやSpotifyなどの配信サービスが当たり前になったあとはDVDなどいちいち入れ替えるのは面倒に感じますし、コロナを気にしなくなったあとも、便利なウーバーイーツを使い続けます。都内では、タクシーアプリが普及したせいで、アプリを介した迎車が増えまくって、アプリを使わないとタクシーが捕まえにくくなりました。やれやれ。

というように、EC業界においては、前述の接客用AIが浸透して、そのシェアが上がってくると・・「商品検索して比較するのが面倒」という感覚が現れてくるはず。検索経由の買い物が全くなくなることはないと思いますが、AIを介した買い物は増えていくでしょう。

そうなると、楽天やアマゾンなどのECモールが今のままだと、オワコンになりかねません。なので、ECモールは、接客用AIに力を入れることになると思います。実際、アマゾンは自前でLLM(ChatGPTみたいなもの)を開発しているそうです。楽天はOpenAIと提携しましたね。

※ただまあ、以前AmazonのEchoが出てきたときにも、「テキスト検索がオワコンで、Amazon Echoを介して音声経由の注文が中心になるんじゃないか」「いやAmazon DASH ボタンで買われるようになってECサイト自体閲覧されなくなるんじゃないか」という話がありましたが、結局 AmazonEcho経由の買い物はほとんど発生せず、ダッシュボタンも終了しましたね。しかし、接客用AIは、今度こそ「商品検索の代替選択肢」になりそうだ・・と私は考えています。

ECモールは、接客AIで「エージェント」へと進化する

これは未来の話ですが、さらに進化していくと、AIは、ユーザの「執事」のように挙動するはずです。こういった挙動を、私は「代理人=エージェント」と呼んでいます。

たとえば身内の誕生日や、子供のアレルギーや、自分の趣味などの個人情報を登録しておくと、精度の高い提案をしてくれるようになるはずです。(ChatGPTのカスタムイストラクション機能と似てますね)

そして実は、接客用AIそのものよりも、こういう「個人情報を把握して、接客用AIと組み合わせる」ことこそが、本当の競争力になります。

類似したケースとして、Googleはユーザーの検索・閲覧履歴を持っていて「この人が何に興味を持っているか?」を活用してコンテンツの提案などをしていますよね。把握しているから強いのです。

たとえば楽天は日本一のクレジットカードとECがあり、購入商品や頻度を把握しています。これらのデータとAIエージェントが組み合わさると、(理屈の上では)色々な提案ができそうです。たとえば、よくワインを買う人にはオススメワインの案内をしたり、子供の学習机を購入していれば塾のDMを送ってみたり。

楽天はユーザ側のデータも、提案できる自社サービスも幅広く持っていますから、色々できそうですよね。セグメントとオファーの組み合わせ(=◯◯な人に◯◯を提案する)をAIに考えてもらうことも可能ですねー。

プライバシーに敏感な欧米では規制が入ると思いますが、日本と中国はプライバシー概念はユルいようです。中国は自由に米国製AIを使いづらいので、「プライバシーがゆるい&米国製AIを使える」という優位性から、日本では楽天を中心に、エージェント型ECが進化していくのでは・・と個人的に妄想しております。

楽天モバイルにAIパンダが搭載される(妄想)

ここからは更に妄想です。

楽天モバイルは「最強プラン」の登場で「申し込まない理由がない」状態になったので、私個人も便利に使ってます。通話やチャットができる独自アプリ「Rakuten Link」が入っていますよね。同じ感じで、AIアプリを楽天モバイル端末に入れるというのはどうでしょう。

キャラクターは、楽天パンダ(中身はGPT4)で、画面は一般ユーザでも使いやすいLINE風のもの。でパンダが買い物や生活の相談相手になったり、オススメの商品を案内してくれたりするわけです。

パンダというキャラクターが、AIのとっつきにくさを軽減します。アマゾンやソフトバンクと比較してみると、お買い物パンダの存在は楽天にとって優位性だと言えます。

最初は皆さん不慣れですから、「パンダ経由購入でポイントが+1倍」「パンダに相談するとポイントがもらえる」といった工夫で、AIとの接点を増やします。

これらがうまくいくならテレビCMです。一時期の「OK,Google」のTVCMのように「パンダに相談」を流行らせます。うまい切り返しができるようファインチューニングしておいて、パンダの言動をバズらせます。すると、皆さんパンダに相談したくなるので、楽天モバイルに契約したくなります。「安い」だけだと動かない客層を動かすために好奇心というファクターを使うわけです。

そしてパンダは、ユーザの名前を覚え、質問を通してプロフィールや近況を聞き出しつつ、可愛らしい雑談をしてくれるようになりますが、同時に個人情報を収集していますw 提携したメディアを参照して、閲覧すべきコンテンツやニュースを紹介してくれます。あるいは体調の心配をしたり病院や保険の紹介をしてくれます。パンダには色んなスキルがあるので、自分のパンダアプリにスキルをプラグイン的に追加していくわけです。するとパンダの機能が増えていきます。

このようにして、パンダはAIエージェント型のスーパーアプリになります。(スーパーアプリとは色んなミニアプリが中に入っているアプリのことです。日本だとLINEが近い)

このようにして、パンダアプリがLINEのように日本人に浸透し、楽天だけでなくOpenAIも大きな収穫を得ることになります。・・すべて妄想ですw

中小EC事業者は、AI時代にどう適応すべきか

ここからは仕事の話です。私たちは中小EC向けのコンサル会社なので、「EC事業者はこの状況下で何をするといいか」について考えていきます。

「接客用AI」への最適化

まず「検索対策」と同じように、「AI対策」が必要だと考えます。

検索対策をすると、検索エンジンが自分の商品を、より高い確率でより目立つよう表示してくれます。
AI対策をして、AIが自分の商品を、より高い確率でより目立つように、ユーザーに提案してほしいわけです。

実はGoogle検索も実態としてはAIなんですよね。Googleのロボットが、記事の内容を理解して、品質を判定し、ユーザーが興味がある検索キーワードとのマッチング度合いを踏まえて、検索順位を決めています。あと、サイトの品質も判定されます。Googleから品質が高いサイトだと思われると、ロボットが「新しい記事が書かれているかな?」かとチェックしに来る頻度(クロール頻度)がアップします。

これを踏まえると、接客AIに評価してもらうための方向性が見えてきます。

まずレビュー満足度が高く、売上がある程度高いこと。そして、AIに理解されやすい内容にすることです。楽天では、例の「SKUプロジェクト」で登場した「商品属性情報」をきちんと登録することが重要になりそうです。

楽天の商品属性とは・・「そんな細かいことまで!?」というぐらい、あらゆる商品のあらゆる属性について記入項目があります。例えば「ウクレレの木材」という項目があります。マジです。マホガニーとかサクラとかメープルとか。細かい・・。とても面倒ですが、もし、商品属性を全て登録できたら、非常にAIが提案しやすくなるでしょうね。

そんな感じで、総じて、私たち売り手は、AIが覚えやすく提案しやすいように、適切な情報登録をしていくことが大切になりそうです。あとは満足度や実績ですね。

楽天の商品属性まわりについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

以下は出店者の方へ補足です。

  • まあ、商品属性登録と接客AI云々は先の話です。商品属性を沢山登録することは、まずはAIよりモールSEO(商品検索対策)で効果的なはずです。ただ必須ではないので緊急性は低いですね。登録めんどくさい問題は、弊社内でも対策を研究中です(良い方法が見えてきました)。
  • SKUPJに関連して余談ですが、SKU統合については、一時的に売上が下がる展開になることが増えているので、ひとまず様子見をオススメします。弊社コンサル会員の皆さんは担当コンサルタントにご相談ください。

「業務用AI」の活用

次は、業務の効率化や精度向上のための「業務用AI」をどう使っていくかについて。

Windows11とOffice365にもAIが搭載

WindowsにAIが組み込みこまれていきます。

実は、Win11で(ちょっと設定を調整して)Windowsアップデートすると、BingベースのAIがインストールされます。機能としてはチャットで指示するとメモ帳などのアプリを立ち上げたりできます。アイコンがイルカだったらよかったのにw でも実用性はまだ微妙かなー。

あと、Office365にAI(Copilot)が搭載されます。Excelのファイルを見てデータの見立てを意見してくれる等。これなら仕事で使いそうです。まずは英語版で企業ユーザ向けに11/1から提供されるとのこと。月30ドル。

ただ弊社はGoogle Workplace派なんですよねー。幸い、Googleも同じようなものを提供するそうです。

こんな感じで、おなじみのツールにもAIが搭載されていきます。

ECでも色んなAIツールが登場

EC用途でも、「組み込み型」の色んなツールが登場していますね。色々ありますが、少しだけ紹介します。こちらは、接客用AIと違って、プライバシーが関係ないので、海外でどんどん進化したものが日本に入ってきそう。

たとえば本店のプラットフォームとして海外で有名なShopifyは、「商品Aと商品Bの設定をこう変えておいて」とチャットで指示を出すと、実行してくれるAIが登場しました。在庫数や価格や商品名とかをちゃちゃっと修正できるイメージですかね。人間のスタッフに指示していた作業を、AIが代行してくれるわけです。

弊社の解説記事をご覧ください。

日本のサービスだと、カラーミーショップやメイクショップはAIを使った機能を搭載済です。ChatGPTは商品説明の代筆は結構得意なので、裏はGPTでしょうかねー

画像処理AIについて

文章系ではなく画像加工については、たぶん(組み込み型の)PhotoshopのAIが最適解になりそうです。商用利用がOKになりましたので、これから皆が使っていくはずです。

midjourneyのような画像生成AIは素敵ですが、EC業務では「架空の商品画像」を作るわけにはいかないので、画像系AIのECでの活躍しどころは「撮影した画像の加工」になると思います。背景とか装飾ですね。

でも「そのまま型」がオススメ

ただ、個人的な意見ですが、、「組み込み型」は機能の選択肢が狭いです。上手くハマると便利でしょうが、これだ!というものは余りありません。WindowsやGoogle WorkplaceやPhotoshopくらいよく使うツールのAIなら使うでしょうけど。

なので、業務で使うAIは、ChatGPTなどの「そのまま型」を使いこなすのが正解だと考えます。「練習して慣れていく」イメージです。実際、私はそうしてますし、弊社コンサル会員のみなさんも同様です(毎週AIの勉強会をしています)。

なぜなら、それがもっともコストが低く、精度も高くなるからです。なぜ「そのまま型」のほうが低コスト・高精度なのかというと、「食べ物を直接生産者から買ったほうが安くて高品質」なのと同じです。

たとえばChatGPTだと、組み込み型にするためには、組み込みたい企業は、OpenAIに対してお金を払って、有料でAPIを使わせてもらうことになります。特に、精度の高い「GPT4」を使うと高額です。バージョンの低い「GPT3.5」のほうがAPI費用が安いので、組み込み型サービスでは大抵3.5を使っているはずです。

ChatGPTをそのまま使うと、GPT4は月3000円くらいで済みますが、組み込み型の場合は、企業側の取り分もあるので、もっと割高になるはずです。ちなみにGPT3.5は、ChatGPTをそのまま使う場合、無料で使い放題です。

「素のChatGPT」は画面が無愛想でとっつきにくいですが、自由度が高く、いろんな機能がどんどん登場しています。性能が高いし、リーズナブルなのです。というわけで、便利そうな組み込み型AIにお金を使うよりは、まず練習して、ChatGPTを使いこなしていくのが正解だと考えます。

まとめ

長文お疲れ様でした!

まとめます。あくまで私の妄想ではありますが、将来の参考になれば幸いです。この記事に書いた将来像は、せいぜい1、2年後のイメージです。その先は、もっと色々変わっていくと思います。

接客用AIの進化

一般消費者向けの「接客用AI」としては「組み込み型」が普及する。
なぜなら、一般消費者にとって「そのまま型」のAIは難しすぎるから。

未来の世の中で接客用AIが普及すると、従来型ECモール検索はオワコンになりかねないので、各モールは接客用AIを実装する。ギフト選びのような難しい買い物をサポートしたり、「釣りにいくけど何が必要?」といった潜在需要を顕在化したり。同時に、顧客情報を収集しつつ、次第に「エージェント化」していく。

となると、中小EC事業者はこの動きに適応する必要がある。考えられる対策としては、レビュー満足度と実績を高めつつ、商品属性をしっかり登録する等の「AIにとって分かりやすいよう情報を網羅する」ことが大切。

業務用AIの進化

BtoBサービスとしての、EC事業者向けの「業務用AI」が色々登場している。

ただ、まずは、ChatGPTを中心に「そのまま型」のAIを使いこなすのが正解。特定用途に特化したツールよりも、汎用ツールを練習して、お箸のように使いこなす方が効率的。ChatGPTについては、すでに多くのEC事業者が、コピーライティング・コンテンツ作成・問い合わせ対応・各種分析・マニュアル作成など、様々な業務で活用中。

ただ、画像加工については、PhotoshopAIが本命になる。

最後に

お客さんの行動は、なかなか変わりません。お客さんは、習性として「過去の行動習慣」に基づいて動くので、表面上はなかなか変わりません。だから、しばらくは今までどおりの世界が続くように見えるはずです。

しかし、ゆっくりと確実に行動習慣が変化していって、時計の針は戻りません。気がつけば、大きく変わっている・・という展開になるはずです。「テクノロジーによる変化」は、いつもそうでしたよね。初めてスマホが登場したときと近いですが、AIによる変化は、スマホ以上の変化になるはずです。

恐らく「お客さん側の変化」より、「売り手側」の仕事が変わる方が先です。商売人は、お客さんと違って「過去の行動習慣」に基づいていると商売がヤバくなるので、自ら変化しようとする習性があるからです。

最近は、大手でのAI導入事例も増えてきましたね。我々のような中小事業者は、大手より早く変化する必要があります

まずは業務用AIの活用からですね。既に多くのEC事業者が、AIを活用して業務効率化をしています。もう研究段階ではなく実用段階です。積極的に取り組んでいきましょう。

P.S.

当社はEC専門のコンサルティング会社です。EC業務におけるAIの活用方法についても日々研究しており、以前EC事業者向けのChatGPT活用セミナーを開催し、大変好評でした。
次回は内容をアップデートして10/26(木)に開催します。ご興味がある方はこちらをご覧ください。

カテゴリー: ECの未来

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