こんにちは。コマースデザイン 坂本です。
今回は「売れない商品がブレイクするための秘訣」について。
なかなか売れない商品、需要が少なくて滞留在庫になっている商品。ありますよね。
でも実は、とあるポイントを抑えると、売れない商品が、途端にECで売れるようになった!という事例が沢山あります。そのセオリーを学ぶと・・もしかしたらご自分の売れない商品が「人気商品に化ける」かもしれません。ということで、今回は「売れないニッチ商品が売れた」EC事例とセオリーをご紹介します。
最近は「従来の売り方だけだと停滞気味だなー」という方が多いので、今回は現状打破的な話です。さすがに「どんな商品でも売れるようになる」わけではないんですけど。知っておくと時々使えるので、興味ある人は是非ご覧ください!
- 目次 -
ニッチ商品、どうやったら売れる?
まず、基本的な考えをざっとお伝えします。
※「そもそもニッチって何?」という方は、こちらをお読みください。
「思い込みで作った商品」は売れない
期待を持たせすぎるのは申し訳ないので「こういうニッチ商品は無理です(売れません)」という話をします。
たとえば、むかし私が楽天ECCだった頃に担当した、とあるお店の商品。木彫りの彫刻品を作るお店の方が、ある時こう言いました。
「木彫りのサッカーボールを売りたい(価格は1つ数万円)。W杯があるから売れるはず。広告を出してたくさん売れるようにしたい」
「売れないから辞めたほうが」とお伝えしたところ、「とにかく広告に載せろ!」と押し切られ、20万近くかけましたが、結果ひとつも売れませんでした。
このように、お客さんの需要があるかも確認しないまま、憶測だけで作った商品は、全く売れないことが多いです。自治体で事業者支援をしている方もよく「新商品を作るのはいいんだけど、モノを作った後に『売れない』って相談に来られても難しいなあ…」とぼやいているのを耳にします。
つまり、お客さん側に、どんな需要があるかを知ることが大切です。
不人気商品なのに「少し売れている理由」を謙虚に調べる
ただ、「売れない商品」といっても、全くのゼロではなく「誰かが少しは買ってくれている」ことが多いわけです。ゼロでもおかしくないのに、何で売れてるんでしょうか?間違って買ってるんでしょうか?
✕ 「なんでこの商品の素晴らしさが他の客はわからないのか!不思議だな」と考えるのではなく
◯ 「なんでこんな不人気商品をわざわざ買ってくれるんだろう?不思議だな」と考えましょう。
つまり、謙虚に調べることをお勧めします。
色々方法はありますが、直接話を聞くのが一番良いです。
- 思い込みで作った商品は売れない。
- 「なぜか売れている商品」については、思い込みを廃して謙虚に調べる。
それが突破口です。
ここまでは、ニッチ商品に限らず、商品を販売するときの大前提ですね。
※具体策など、興味がある方は弊社コンサルにご相談ください!
ニッチ商品がブレイクする秘訣は「用途の開拓」
で、今回のテーマは、売れないニッチが「ブレイクする」にはどうするか、でした。
売上急増させたいわけです。
どうするか?
簡単に説明すると・・「これまでとは違う、新しい市場で売れるようにする」と、以前と違う勢いで売れるようになります。
例えば焼き鳥を販売するとしますね。※実店舗で例えています。
- a 飲み屋街で「焼き鳥を食べたい、どの店がいいかな」と探している人に焼き鳥を売るのは「従来の市場」で売ってます。
- b お祭りや花見で「食べ歩きをしたい、どの店がいいかな」と歩いている人に、屋台を出して「(食べ歩きするなら)焼き鳥がいいですよ」と案内するのは「新しい市場」で売ってます。
伝わりますか?
bの人たちは「焼き鳥を探していませんでした」が、「食べ歩き用」として焼き鳥を提案したことで、「新しい市場で売れた」というわけです。
従来の「飲食店」経由の焼き鳥売上に、別用途の「お祭り屋台」経由の売上が乗っかって、売上増!みたいなイメージです。「新しい用途でも売れるようにする」ことで、売上が増える。
これを用途開拓と言います。「既存商品の新しい用途を開拓する」という意味です。
ECでは具体的にどうやるのか・・は、もうちょっと後で説明します。
※余談ですが、お祭りのときに、屋台で焼き鳥を紙コップに入れて売っているのを買ったことがあります。普通のプラのパックに入っているよりも取り出しやすくて、大変食べやすかったです。ちょっとしたことですが「食べ歩き用の焼鳥」として進化してるなと思いました。
ニッチ商品「用途開拓」の事例
ということで、ここからは事例です。
「用途開拓」の伝説的事例
例として「北極で売れた冷蔵庫」をご紹介します。
北極圏では、モノがすぐ冷えるし、凍ります。だから北極圏に住んでいるエスキモーの皆さんには、あまり冷蔵庫の需要がないだろうな・・と思いきや、良く売れたそうです。
そのセールストークは 「この冷蔵庫の中に入れておけば、モノが凍らないんですよ!」「便利だね!」で、大人気!「エスキモーに冷蔵庫を売った日本人営業マンの伝説」として有名な話です。
エスキモーにとって冷蔵庫は冷やすものではないので、もはや「冷蔵庫」とは呼べないですね。。きっと「凍らない食品貯蔵庫」のような名前で売ってたはずだし、エスキモーにもそう呼ばれているはず。つまりこれ、「本来とは別の用途」で売れてますよね。冷蔵庫が別商品に転生した感じ。
事例:定番ギフトイベントに乗っかって販売
さきほど、焼き鳥屋さんが屋台を出して「食べ歩き用」として売る話をしましたね。
従来と別の用途を開拓して、新市場で売る話です。
これを、ECだとどう実践するか。
「商品カテゴリ検索」と「用途検索」を区別して考えると分かりやすいです。
たとえば検索キーワード「焼き鳥」がカテゴリ検索で、「食べ歩き」は用途検索ですね。
こんな感じです。
- 用途開拓:カステラを敬老の日に売る
- 商品カテゴリ検索だと、「カステラ」の検索結果にカステラが並びます。普通です。
- 用途検索だと、「敬老の日」の検索結果にカステラが現れます。別用途ですね。
- 用途開拓:工芸茶(中国茶)を母の日に売る
- 商品カテゴリ検索だと、「工芸茶」の検索結果に工芸茶が並びます。普通です。
- 用途検索だと、「母の日」の検索結果に工芸茶が現れます。別用途ですね。
- 用途開拓:ところてん(チョコ味)をバレンタインデーに売る
- 商品カテゴリ検索だと、「ところてん」の検索結果にチョコ味ところてんが並びます。普通・・?
- 用途検索だと、「バレンタインデー」の検索結果に商品が現れます。別用途ですね。
いずれも実在する成功事例です。
「◯◯を探している人」を想定して、検索キーワードの記入で先回りする感じですね。
もちろん、キーワード記入だけではなく、商品設計や表現方法も大事です。
- 商品設計:さっきの「お祭りの食べ歩きにちょうどいい紙コップ焼き鳥」の事例のように、同封物やメッセージカードやギフト包装などはひと手間掛ける必要があります
- 表現方法:第一画像を調整して、検索結果画面で伝わるようにしたいところですね。そうすれば、「焼き鳥ちょうどいいね」と同じ要領で「敬老の日にカステラちょうどいいね」が伝わるはずです。
既存商品のギフト化は、ド定番の「用途開拓」ですが、他にもいろんな別用途があります。
この商品、別の用途でも売れないかな?と常に考えるようにしましょう。
※前述の「工芸茶」は、中国茶の茶葉を束ねて花を包んだもので、ポットに入れてお湯を注ぐと、固まった茶葉が開き、花が咲く仕組みです。ゆっくり茶と香りが広がり、目にも楽しめるお茶です。工芸茶自体は中国で昔からあるものだそうですが、日本のECでは「母の日用途」で売れているわけです。エスキモーの冷蔵庫と似てますよね。
「あまり検索されない商品」ほど用途開拓が重要
特に「カテゴリ検索の回数(=市場規模)」が少ない商品は、用途開拓が重要です。
たとえば「ババロア」で検索する人はあまりいないと思います。ババロアで検索1位になったところで、さほど売れない。
でも「夏のひんやりスイーツギフト」「敬老の日のギフト」としてババロアは案外人気です。「歯が弱いお年寄りでも食べやすい」「入院してる人へのお見舞いにちょうどいい」など。
- 「夏のギフトを探しているなら、ババロアがいいですよ。なぜなら〜」
- 「敬老の日の贈り物を探してるなら、カステラがいいですよ。なぜなら〜」
- 「母の日のプレゼントを探しているなら、ポットに入った工芸茶がいいですよ。なぜなら〜」
このように、上手に理由をつければ、別用途で売れるんです。
※このへんの作戦はケースバイケースなので、ぜひ弊社コンサルタントにご相談ください!
事例:話題のニュースに乗っかって販売
次は、上級編の用途開拓について紹介します。
わたしはこの話を聞いたときに、凄すぎて唸りました。
かつて、とある自転車グッズのネットショップでは、「自転車用のフツーの鍵」が売れなくて滞留在庫になっていました。特徴がなく普通すぎて年間で数個しか売れず、「もう処分しようかなあ…」と在庫処分を考えるような状況。
そんなある日、「電動自転車のバッテリーの盗難が増えている」というニュースを見ました。バッテリーは高価なため、転売目的で盗まれることが多いそう。
「これだ!」「あのカギは、バッテリー盗難対策にピッタリだ!」とひらめいたこの方は、なんと滞留在庫だったフツー鍵を「バッテリー盗難対策用」と銘打って販売。その結果、「常に売れ残っていた商品」だったのに、「バッテリー盗難対策用」として何百倍も売れるようになりました。
自転車グッズのキアーロのヨナイさんの事例です。いやーすごい。完全に「エスキモーに冷蔵庫を売った伝説の営業マン」の挙動ですね。
これはラッキーではなくて、こちらの店長さんは日常動作として「波を探す」習慣があり、売上につなげています。「よく見る」ことで色々「売れる波」を見つけているようです。「よく見る」対象は、楽天界隈だけではなく、検索結果だけでもなく、業界ウォッチャーのように、社会における自転車&グッズの動向やニュース、仕入元各メーカーの動向を見ていますね。この話の発端もニュースですし。
つまり多分、「楽天」や「EC」の盤面ではなく、もっと広い盤面をみることで、発想と打ち手が広がるんだと思います。
まとめ
ということで今回は、「売れないニッチ商品」をECでブレイクさせる秘訣、の紹介でした。
「うちの〇〇はまだ世の中に知られてないから、ECで売るのは無理かもしれない」と諦めてしまうのは、もったいないです。売れない商品でも「用途の開拓」がうまくいくと、ブレイクする場合があります。お客さんの様子を良く観察して、商品のポテンシャルについて考えてみましょう。
特にポイントはこのあたりですね。
- ギフトやその他の様々な「別用途」で売れる余地がないか、日々検討する
- 特に、カテゴリ検索に限界がある場合は、「用途での検索」について考える
- 楽天やECといった盤面ではなく、もっと広く世の中を観察して、商機を探す
多くの人が、「どの商品が売れるかな」に興味を持ちます。
それに加えて、「どんな用途で売れているのかな」にも、興味を持ってください。
日頃から観察していけば、いずれ大きなヒントが見つかります。
同じ商品でも、さまざまな用途で商品が売れるなら、市場も売上もどんどん広がります。
面白いことに、ニッチな用途でも、インターネット経由の商売だと、結構な売上になったりするんですよね。用途開拓で得られるニッチ市場は意外と広大です。それは、我々中小ECの持つポテンシャルとチャンスもまた「意外と大きい」という意味でもあります。
去年の秋ぐらいから、外部環境の変化で、EC売上が低下気味の方を多く見かけるようになりました。従来の延長線上だと厳しいなーという場面では、従来の売り方を磨くだけでなく、新しい用途・新しい市場を開拓してみませんか。
そうすれば、いずれ市場のコンディションが戻ってきた際に、ずっと大きな成長が見込めるはずです。
今日の話がご参考になると幸いです。
大変なことも多いですが、クレバーに立ち回っていきましょう!
P.S.
弊社のコンサルティングでは、市場開拓など「新しい打ち手」を一緒に考え、実行していくお手伝いができます。
今回は考え方をお伝えしましたが、「うちの商品の場合は、具体的にどうやって伸ばせばいいの?」「それ以前に何から手を付けたらいいのか」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
打ち手は商材やジャンルによってケースバイケースですから、相談相手が必要とお感じなら、きっと弊社がお役に立てると思います。ご興味のある方はぜひ以下ページをご覧ください。すぐに答えを出せるわけではありませんが、一緒に手探りして、一緒に用途開拓を考えることができます。
カテゴリー: 売上アップのヒント