ECコンサル会社の選び方とは?リスクや事前にやっておくべきことも解説

更新日:2023/10/30

この記事では、EC事業者の方へ向けて、自社に適したECコンサルティング会社の種類や選び方について詳しく解説します。依頼前にやっておくべきことや、失敗しないための考え方も紹介します。

あなたのEC事業に適したコンサルティング会社を見つける参考として、ぜひ最後までお読みください。

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ECコンサルティングとは

ECコンサルティングとは、EC事業者が抱えるマーケティングや販促、運営、戦略検討、経営などの問題解決をサポートする支援サービスのことです。

ECは少人数運営であることが多く、スタッフ1人ひとりが多忙になりがちです。そのため、上述したような問題解決まで手が回らないケースも少なくありません。そんなときにECコンサルティング会社の支援を受けることで、問題解決に向けた対策検討・実施がスムーズになり、着実にEC事業を前に進められるようになります。

ECコンサル会社3つの種類

まずはECコンサルティング会社にはどんな種類があるのかを、以下の順に整理します。

  • 種類1 顧問型コンサルティング
  • 種類2 専門特化型コンサルティング
  • 種類3 作業代行型コンサルティング

それぞれ詳しく見ていきましょう。

種類1 顧問型コンサルティング

まず1つ目が「顧問型コンサルティング」です。

顧問型とは、その名のとおりコンサルタントが顧問的に支援に入り、その時々の課題や悩み事を解決するスタイルです。SEOのような細かな販促施策から戦略立案まで、幅広い問題を相談できるほか「何が課題かがわからない」といった頭の整理からも支援をしてもらえます。そのため、以下のような内容でお困りの方に適しています。

  • EC事業をどう改善したら良いのか、右も左もわからない
  • 仕事が多すぎて、何が問題なのかもわからない
  • いろいろ問題は見えてはいるが、どれから手をつけるべきかわからない

基本的には、月次ないし年次での契約(サブスクリプション形式)であることが多いです。

種類2 専門特化型コンサルティング

次に紹介するのが「専門特化型コンサルティング」です。

専門特化型は、特定の課題や領域にフォーカスし、その点だけを徹底的にサポートするコンサルティングです。例えば、「SEO特化」「広告運用特化」「ページ制作特化」「SNS運用特化」などがあります。特化する範囲の広さは、サービス元により異なります。

顧問型と比べて相談できる範囲は狭くなりますが、その分、より専門的で深い支援を受けられる可能性が高いのが特徴です。以下のような内容でお困りの方におすすめです。

  • 明確になっている課題を解決したい
  • 課題解決に向けて自力でやりきったが、知識や技術が足りない

契約体型は企業次第ですが、数ヶ月から年単位での「プロジェクト形式」での契約になるケースが多いです。ちなみにテーマがピンポイントの場合は「スポットコンサルティング」として単発で1~2回だけやりとりをすることもあります。

種類3 作業代行型コンサルティング

3つ目の「作業代行型コンサルティング」は、EC事業者にアドバイスをした上で具体的な実務を代行するのが特徴です。具体的な代行内容の例を挙げると「商品登録代行」「SEO作業代行」「広告運用代行」「サイトリニューアル代行」などがあります。以下のような場合によく検討されます。

  • 社内に専門の知識や技術を持ったスタッフがいない
  • 短期間で一定の成果が確実に必要

支援内容によって、月次契約かプロジェクト形式の契約かは異なります。

なお、コンサルティングの体裁ではありつつも、実態は単なる「作業代行業者」である場合も多いため、あまりノウハウが手元に残らないというリスクもあります。詳しくは後述します。

ECコンサル会社を選ぶ前に知っておきたい3つのリスク

ECコンサルティング会社の支援は、多くのEC事業者にとって助けとなりますが、その活用には注意点もあります。以下を参考にして、選ぶ前に把握しておきましょう。

  • リスク1 100%成果が出るわけではない
  • リスク2 丸投げするとノウハウが残らない
  • リスク3 高額な費用がかかる

リスク1 100%成果が出るわけではない

まず必ず把握しておくべきなのが「ECコンサルティング会社に依頼すれば、100%成果が出るわけではない」ということです。

なぜなら、EC事業は、自社の商材や競合状況、市場の動向などによって結果が大きく変わる傾向が強いからです。例えば、広告運用を支援してもらったとしても、自社の商材において、競合が急激に増えたり市場のニーズが激減したりするなどの外部要因が発生すれば、期待した成果が得られないことも考えられます。

そのため、コンサルティング会社に過度な期待を寄せるのはリスクが高いと言えます。事前にコンサルティング会社に問い合わせるなどして、自社がどのくらい成長余地があるのか、見解を尋ねて目線をあわせておくのがおすすめです。

リスク2 丸投げするとノウハウが残らない

コンサルティング会社に業務を一任することで、一時的には業績が向上することが考えられます。しかし、すべてを丸投げしてしまうと、自社内にノウハウが蓄積されず、長期的な視点で見ると不利になる可能性が高まります。

例えば、新たなマーケティング戦略を採用した際です。依頼中はうまく戦略が回り、成果が出ていたとしても、その手法を社内で理解していないと、次回からの取り組みに活かすことが難しくなります。コンサルティングを受ける際は、一緒に学び、内部にノウハウを持ち込む姿勢が重要です。

リスク3 高額な費用がかかる

ECコンサルティングのサービスは専門性が高く、かつ成果を出すまでに一定の時間を要するため、高額な費用がかかることが一般的です。

例えば、大企業が依頼するような有名なコンサルティング会社に「市場分析」や「戦略策定」などの高度な支援をお願いすると、数百万円の費用がかかることも珍しくありません。

将来的なリターンや投資対効果まで考えた上で妥当性があれば依頼しても構いませんが、見合った価値を得られるかどうかわからないまま「なんとなく運営が厳しいから支援してほしい」と安直に考えるのはおすすめできません。

ECコンサル会社を選ぶ前にやっておくべき5つのこと

ここからはECコンサルティング会社を選ぶ前に、社内で準備しておくべきことを紹介します。以下の内容を事前に行っておくと、コンサルティング会社とのやりとりがスムーズに進むため、より素早くより確実に成果が出しやすくなります。

  • 1. EC事業の実績を数字でまとめておく
  • 2. 自社の課題やゴールを明確にしておく
  • 3. 支援してほしいことを具体的に整理しておく
  • 4. 使える予算を明確にしておく
  • 5. 時間を捻出しておく

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.EC事業の実績を数字でまとめておく

ECコンサルティング会社に依頼する前に、自社EC事業の実績情報を数字でまとめておきましょう。具体的には「売上」「利益率」「アクセス数(PVやセッション)」「転換率」「客単価」など、EC事業のKPIに関わる数字を整理しておくのがおすすめです。

ECサイトの現状を数字で正確にまとめておくことで、以下のようなメリットがあります。

  • 自社のEC事業の課題を明確にした上で、コンサルティング会社に依頼ができる
  • コンサルティング会社から定量的なデータに基づいた提案が受けられる

コンサルティング会社の方でも、こうしたKPIに関わる数字は調べてくれることが多いです。しかし、事前に準備しておくことで、コンサルティング会社のリサーチ時間を減らすことにつながり、その分、スピーディーに具体的な提案を開始してもらえる可能性もあります。できれば事前に準備をしておきましょう。

2.自社の課題やゴールを明確にしておく

2つ目は、自社が抱える課題や将来設定するゴールを明確にしておくことです。

ゴールというのは例えば「1年後に月間売上を1.5倍にする」「半年以内に利益率を5%引き上げる」といったイメージです。こうしたゴールが明確になっていると、コンサルティング会社から具体的かつ効果的な支援を引き出しやすくなります。

もし余力があれば、目標としているECサイトも事前にリストアップしておくと良いでしょう。これもコンサルティング会社が具体的な分析や比較をするときの材料として役立ちます。

3.支援してほしいことを具体的に整理しておく

自社の実績や課題を明確にするだけでなく、それらをもとに「具体的にどういった支援をECコンサルティング会社にお願いしたいのか」もまとめておきましょう。

例えば売上をアップさせたいとしたら、それを達成するために「戦略立案」や「マーケティング施策の策定」を支援してほしいのか、それとも実際の売上アップ施策の実行や運用を支援してほしいのか、どちらかを明確に整理しておくイメージです。

この点が整理できていないと、具体的な依頼先を検討する時にも悩んでしまいますし、依頼したとしても「代行希望していたのに顧問の相談役をお願いしてしまった」といったように予定と違う契約をしてしまう可能性もあります。

必ず整理をしておきましょう。

4.使える予算を明確にしておく

ECコンサルティングを依頼する際には、使える予算の計算も欠かせません。どれだけの資金をコンサルティングに充てることができるのか、事前に明確にしておかないと、キャッシュフローの悪化などの問題になりかねません。

具体的な観点としては、例えば「何ヶ月でいくらくらいの費用を見込んでいるのか」「最大でどのくらいの金額までなら予算として許容できるのか」といった理想や上限の幅を決めておくと良いでしょう。

EC事業は領域が広いため、コンサルティングを受ける中で新しい課題が続々と見つかり、予定以上のサポートが必要になる場合がよくあります。そのため事前に予算を想定しておかないと、コンサルティング会社との話の流れなどから予定外の契約延長をすることになり、予算超過になってしまう恐れもあります。

自社の要望と予算のバランスを適切に管理し、必要なサービスを受けられるよう備えておきましょう。

5.時間を捻出しておく

ECコンサルティング会社とのやりとりは、実は多くの時間を要します。例えばコンサルタントに質問や相談をするほか、提案を受けたり、具体的な実行計画の進捗確認をしたりなど、細かいやりとり1つ1つに数十分~数時間の時間が必要になってきます。

そのため、社内でコンサルタントとやりとりするための時間を確保しておかないと、必要なコミュニケーションができず、効果的なサポートを受けることが難しくなってしまいます

コンサルティングを始める前に、必要な時間をしっかりと確保しておくようにしましょう。

失敗しない!ECコンサルティング会社の選び方7選

ここからは具体的なECコンサルティング会社の選び方として、7つの観点を紹介します。以下のポイントを抑えて、自社のニーズにあった支援企業を選びましょう。

  • 1.自社の課題感と支援内容がマッチしているか
  • 2.コミュニケーション方法は希望どおりか
  • 3.施策の実行スピードにズレはないか
  • 4.契約期間・予算感に問題がないか
  • 5.自社と同じジャンルでの成功例や実績があるか
  • 6.世間的な信頼性や評価は高いか
  • 7.インハウス化の支援があるか

1.自社の課題感と支援内容がマッチしているか

まず確認しておきたいのが「自社の課題感」と「ECコンサルティング会社が提供する支援の内容」とが一致しているかどうかです。

例えば、自社では「広告運用」を相談したいのに「広告運用に頼らない主義のコンサルティング会社」を選んでしまうと、希望する支援が受けられない可能性があります。

コンサルティング会社のサービス紹介ページや成功事例を読み込み、自社の期待と実際の支援内容とにズレがないかをチェックしておきましょう。

2.コミュニケーション方法は希望どおりか

次に確認するのがコミュニケーションの方法です。

ECに限らず、コンサルティングは「コンサルタントとのコミュニケーション」を通じて進められます。そのため、自社とコンサルティング会社と、双方が希望するコミュニケーション方法がかみ合っているかどうかは、成果を出す上で非常に大切です。

コンサルタントとのコミュニケーション方法には、例えば以下のようなパターンがあります。多くの場合、複数のパターンを組み合わせてやりとりをしますが、会社やサービスのプランによっては「電話のみ」「チャットのみ」など制限がかかることもあります。事前に希望通りのやりとりができるかは必ず確認が必要です。

  • 直接訪問などの対面形式
  • ZOOMやTEAMSなどオンラインミーティング
  • SlackやChatworkなどチャットツールでのやりとり
  • Eメールでのやりとり
  • 電話相談
    など

3.施策の実行スピードにズレはないか

施策の実行スピードも、依頼先を選ぶ上でとても重要です。

例えば、広告で集客対策をするとしましょう。EC事業者側が「1年かけて広告の運用担当者をじっくり育てて、集客の土台を作りたい」と期待しているのに対し、コンサルタント側が「2ヵ月でアクセス数1.5倍を目指すのが当社式です」といったスタンスだったとすると、双方の間に摩擦が生じてしまいます。

このように、同じ施策をするにしても、施策の実行スピード感にズレがあるとうまくいきません。契約前に、お互いにどのくらいのスピードでの対応や成果を期待しているか目線をあわせておきましょう。

4.契約期間・予算感に問題がないか

契約期間や予算感が、自社の課題感に対して過剰すぎないかも確認しておきましょう。

特に専門特化型や作業代行型のコンサルティングを依頼する場合、数か月から数年など一定期間の継続契約や、オプションによる追加サービスを提案されるケースが多いです。しかし、自社の問題の大小によっては、必ずしも長くてリッチな契約期間が適切とは限りません。例えば数回のスポットコンサルティングで済む程度の課題感であれば、短期で済ませるのも手であることは把握しておきましょう。

なお、あわせて「途中解約時の違約金」の有無も忘れずに確認することをおすすめします。

5.自社と同じジャンルでの成功例や実績があるか

自社との相性とあわせて確認しておきたいのが「成功例」や「実績」です。特に自社と同じジャンルや業界での成功例を持っているかどうかは、そのコンサルタントが自社の問題をどう解決してくれるのかを予想する上での大きな検討材料になります。

例えば、アパレルECサイトの業績向上を目指しているのであれば、まず参考にすべきは同じアパレル業界での成功事例を持つコンサルティング会社です。いくら立派な実績がある会社でも、自社のジャンルでの事例があまりない場合は、慎重に検討するのがおすすめです。

ECコンサルティング会社のオウンドメディアや、公式サイトに掲載されている事例、ホワイトペーパー、ウェビナーなどのコンテンツを確認し、どういった業界でどのくらいの実績を出しているのかは事前に調査をしておきましょう。

6.世間的な信頼性や評価は高いか

同じジャンルの成功事例や実績を調べるときは、一緒にその会社の世間的な信頼性や評価もチェックしておきましょう。なぜこうすべきかというと、世間からの信頼性や評判はそれこそECにおけるレビューのようなもので、評価の高いコンサルティング会社はサービスの質が高い傾向があるからです。

具体的な調査方法としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 会社比較サイトなどで評判や口コミをリサーチする
  • 同じEC業界の人に相談・質問してみる
  • ウェビナーやセミナーに参加して雰囲気を見る

7.インハウス化の支援があるかを確認する

最後に確認しておきたいのが、ノウハウや運用プロセスのインハウス化支援があるかどうかです。インハウス化というのは「内製化」、つまりコンサルタントの支援がなくても自分たちで課題解決後の運用を自走できるようにすることを言います。

通常、永年に渡ってECコンサルティングの支援を受け続けることはそう多くはありません。必要な課題が解決されれば契約を終え、以後は自社で運営や改善を進めることになります。このときにインハウス化ができていないと、社内にノウハウが残っていないため、コンサルティング会社との契約が終了した時点で運用が立ち行かなくなってしまいます。

こうしたことがないように、契約前にその会社がインハウス化をサポートする体制やサービスを提供しているかをしっかりと確認し、自社の成長と共にノウハウを蓄積していくためのサポートを受けられるよう選択することが大切です。

ECコンサルティング会社の選び方で悩んだら

ここまででECコンサルティング会社の選び方について解説をしてきました。しかし、いざ探し始めてみると、多くのECコンサルティング会社があって、どこの会社にしたらいいのか悩んでしまうかもしれません。

そんなときは、以下のような「勝敗表」を用意して整理することをおすすめします。スッキリと頭を整理しつつ、どこの会社に依頼すべきか判断しやすくなるはずです。

項目優先度A社B社C社
費用
コミュニケーション
契約期間
専門性
ジャンル実績

勝敗表とは、このように複数の候補のうちどれがいいのかを様々な観点からマルバツ形式で判断し、比較するものです。特に明確なルールはありませんが、一般的には縦軸に比較項目、横軸に候補を並べて比べることが多いです。(マルバツだけではうまく比較できない場合は、点数をつけたり、詳細を書き添えたりするのも良いでしょう)

ちなみに、どの項目をより重視するかの「優先度」を決めておくと、より判断がスムーズになります。費用を優先するのか、コミュニケーションを優先するのかなど、自社がECコンサルティング会社に期待する内容に応じて優先度を決めておきましょう。

自分のお店にあったECコンサルティング会社を選ぼう

以上、この記事では自社に適したECコンサルティング会社の種類や選び方を詳しく解説してきました。

コンサルティング会社を選ぶ際は、会社の知名度や料金だけではなく、その会社とのコミュニケーションスタイルや契約期間などの細かな条件も考慮して選ぶことが大切です。

この記事が、自社にとって最適なコンサルティング会社を探す参考になれば幸いです。

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