置き配とは?ECモールや配送会社の対応状況、利用するメリット&デメリットを紹介

置き配

更新日:2023/8/23

この記事では、置き配とは何か、各ECモールや配送業者の置き配対応状況などを、詳しく解説します。
「うちの店も置き配を導入しようかな」「置き配の導入にあたり注意する点は?」など迷っているネットショップ運営者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

非対面で荷物を受け取れる「置き配」

置き配(おきはい)とは「置き場所の指定配達」の略で、受取人の了承を得た場合に、荷物を玄関先や特定の場所に配送するサービスです。自宅の玄関前・宅配ボックスや車庫など、事前に希望した場所に届き、在宅でも「非対面での受け取り」ができます。
受取人が家にいない場合や、特定の時間帯に受け取ることが難しい場合に利用することが多い、受け取り手段です。

社会問題となっている荷物の再配達や配達員の人員不足や、また新型コロナウィルス拡大時に「対面で受け取りたくない」という人が増えたことから注目され、宅配事業者やEC事業者で「置き配」の導入が増え、利用者が増えています。

置き配のメリット

宅配便の受取人は、不在時でも荷物を受け取ることができます。また、在宅していても「手が離せない」などで玄関に出れない時も、置き配なら確実に荷物を受け取ることができす。

ご不在のため、荷物を持ち帰りました

ということがなくなり、配送時間にあわせて待機する必要がなくなる上、再配達手続の手間も不要になります。また、配達員と対面せずに済み、感染リスクにさらされずに済みます。

  • 家にいなくても受け取れる
  • ドアを開けずに受け取れる
  • 置き場所を選べる

配送業者としても、受取人が不在でも荷物を届けることができ、1回で配達が終わるので、再配達の手間やコストを省けるメリットがあります。また、配送時のCO2排出量の削減につながります。

このように 荷物の受取人&配送業者ともに負担が軽くなるのが、置き配のメリットです。

※置き配には利用条件があります。詳細は、各業者のページをご確認ください。

置き場所の例

置き配は、荷物の置き場所を選ぶことができるということも、大きなメリットです。

例1:玄関前

最もスタンダートな置き場所は、玄関前です。配達先の玄関前に、そのまま荷物を置くだけで配達完了となります。
オートロックのマンションの場合は、玄関前に荷物を届けられなかったり、共用部へ荷物を置くことが禁止されていたり、置き配を利用できないことが多いですが、一部のマンションは対応しています。

例えば、「Amazon Key for Business」を導入しているマンションでは置き配を利用できます。ヤマト運輸でも、オートロック付きマンション向けの置き配サービスを提供しています。

例2:宅配ボックス

盗難防止のため、ワイヤーロックや鍵付きの宅配ボックスの利用も増えています。
宅配ボックス付きのアパートやマンションでなくとも、設置できるボックスも市販されています。

例えば、郵便局では、Yper株式会社が提供している置き配バック「OKIPPA」を販売しています。玄関等に折りたたんで設置し、宅配ボックスと同様に利用することができます。盗難防止対策として、シリンダー式南京錠とワイヤーロックがついています。

置き配のデメリット

置き配のデメリットは「荷物を受け取れなかった時の保証」がなく、盗難の危険性・荒天時の商品汚損などのリスクがあること挙げられます。

  • 商品の盗難
  • 商品の破損・劣化・汚損(雨・猛暑・荒天・落下など)
  • 個人情報の漏洩(荷物や配達伝票の盗難など)
  • 個人情報記入ミスでの誤配
  • 不在であることが分かってしまう

玄関前や自転車のカゴなどは、雨風にさらされる恐れがありますし、軽い荷物であれば、強風で飛んでいってしまう危険性もあります。

また、置き配はすべての商品で利用できるわけではありません。
着払い・クール便の荷物などは、置き配を利用できません。各ネットショップが個別に「置き配禁止」と指定している荷物も、置き配は利用できません(例:医薬品や高額商品・大型商品など)。

ネットショップに置き配を導入する際の注意点

自社のネットショップに置き配を導入する際は、予めリスクやセキュリティ対応を検討しておくと安心です。例えば、盗難や紛失時のリスク対策として、

  • 高額商品や商品の合計金額が高額の場合は、置き配を利用しない
  • 1点物やメーカーからの直送品の場合は、置き配を利用しない
  • 利用者に、宅配ボックスや置き配用のバッグの利用を推奨する
  • ECサイトに、置き配の利用条件やトラブルへの対応を明記しておく
  • 置き配保険サービスを利用する

といったことが挙げられます。
例えば、LOHACOは置き配の紹介ページを用意しています。また、楽天が運営するネットショップ「楽天ブックス」は日本郵便の「置き配保険」を導入しています。

ECモールの「置き配」対応状況

各ECモールの置き配対応状況をご紹介します。

楽天市場

楽天市場では、Amazonのように注文時にどの店でも利用できる置き配サービスはありません。
ショップごとに利用している配送会社や配送条件が異なり、店によっては置き配を利用できる可能性があります。

楽天市場では「日本郵便の置き配サービス」を利用できるので、これを利用している店舗は置き配が利用できます。また、楽天市場で注文後、ユーザー自身が配送会社に「受け取り場所の変更連絡」をすることで、置き配を利用できる場合もあります(※利用できるかは各配送会社のサービス内容による)。

尚、昔は楽天独自の配送サービス「Rakuten EXPRESS」で置き配が利用できましたが、Rakuten EXPRESSは2021年5月にサービスを終了しました。

Amazon

Amazonでは、Amazonが発送する商品について、対象地域エリアで置き配を利用でき、「玄関先への置き配」が初期設定となっています。
Amazon利用者は、注文時に置き場所を指定できるほか、対面で受け取りたい時は置き配の解除もできます。

※出典:Amazon

また、配達完了時にメールで配達場所の写真が送られてくるので、状態もわかりやすく安心です(写真を撮らない配送も指定可能です)。ただし、出品者が販売&発送する商品が含まれている場合、配送業者が置き配に対応していない場合などは、置き配の対象外です。詳しくはこちら

もしも盗難などで商品が届かなかった場合は補償があり、Amazonが商品の再送や返金に対応してくれます。

Yahoo!ショッピング

ヤマトEAZY(置き配)に対応している商品は、置き配が利用できます。

配送会社の「置き配」対応状況

配送業者の置き配対応状況です。

ヤマト運輸

ヤマト運輸は個人向けに「EAZY(イージー)」と言うサービスで、置き配に対応しています。一部のネットショップで置き配を利用できるほか(対応オンラインショップはこちら)、「クロネコメンバーズ」に入会しているエンドユーザーは、置き配を利用することができます(入会無料)。

商品を購入したお客さんが置き配を利用する方法は、3つあります。

  • 注文時に置き配を指定 ※置き配に対応しているネットショップのみ
  • ヤマト運輸からのお届け通知メール
  • ヤマト運輸のLINEトーク

注文時の指定だけでなく、荷物が届くまでの間に、受け取り方法を変更できます。
受け取り方法は、対面、玄関ドア前、宅配ボックス、自転車のカゴなどから選ぶことができます。配達完了後は、メールで置き配した荷物の写真を確認することができます。

また、宅配ボックスのあるオートロックマンションでも、置き配で受け取れるサービスもあります。配達員がデジタルキーでオートロックを解錠し、玄関先などに荷物を配達します。

佐川急便

佐川急便も、「指定場所配送サービス」を利用すれば置き配を利用できます。以下の利用条件があります。

  • 「個別契約を結んでいる荷主」から出荷される荷物であること
  • 対象は、飛脚宅配便、飛脚航空便、飛脚ジャストタイム便

荷物の受け取り場所として、玄関前や車庫の中などを指定することができ、配送員が置き配状態の写真を撮影します。

日本郵便

日本郵便で「置き配」を利用するには、エンドユーザーは「指定場所配達に関する依頼書」の提出や「置き配バッグの設置」が必要です。ただ、置き配バッグ「OKIPPA」と同梱の配送員向けプラカードを設置する場合は依頼書の提出は不要で、申請不要ですぐに置き配を利用することができす。

置き配を利用できる配送方法は、以下の通りです。

置き配の対象サービス 備考
郵便受箱または差入口に入らない
ゆうメール・ゆうパケットおよび郵便物
速達、特定記録、配達時間帯指定および配達日指定とするものを含みます
ゆうパック
国際郵便物 国際通常郵便物、国際特定記録郵便物、国際小包郵便物、EMS郵便物を含みます
書留郵便物等(※) レターパックプラスおよび国際書留郵便物を含みます
セキュリティサービスゆうパック(※)

※宅配ボックスが施錠ができ、受領証発行機能を備えたロッカー型の場合、またはアンカー等で躯体等に固定されている場合のみ

また、置き場所の条件もあります。

  • 受取人の住所または居所と同一建物内、または同一構内であること
  • 郵便物等が外部から容易に分からず、事故のおそれがないこと(宅配ボックス等の設置を含む)
  • 降雨等により、郵便物等が汚損するおそれがない等、郵便物等を安全に保管できること

まとめ

日々、忙しいスケジュールを送り、荷物の受け取りが難しい人の悩みを解決する置き配。
荷物の盗難や損傷のリスクがあることや、一部の荷物に対しては保証がないことなどを考慮する必要がありますが、宅配ボックスの設置など置き場所によるリスク軽減策もあります。

受け取り手のメリットだけでなく、運送業者のコストや時間削減にもつながるサービスなので、積極的に利用していきたいですね。

※各社の情報は執筆時点での情報です。サービス内容や利用条件は変更されることがあるため、最新情報は各社の公式サイトをご確認ください。

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    この記事を書いた人:コマースデザイン株式会社

    コマースデザインは、EC事業のコンサルティング会社として、ECのお役立ちツールECコンサルティングを提供しています。全サービスの累計支援先企業は23,000社を突破しました。
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