最近、電車に乗ると、一生懸命勉強する学生の姿をよく見かけます。私は以前、塾講師をしていたので、勉強する学生を見ると当時の生徒達を思い出します。
その時、必ず思い出すのは、偏差値45から61に上がって、下克上受験に成功した、とある生徒の顔です。そして彼のがんばりを思い出す度に「自分も、もっと勉強しなくては」と考えさせられるんです。
皆さんはどうでしょう。勉強をがんばっている学生を見て、「自分もがんばらなくては」と考えさせられることってありませんか?
まあそうは言っても、一般的に社会人になると、忙しくて勉強の時間をなかなかとれないですよね。 一方、短い時間でも上手に勉強して、しかもきちんと実務に役立てられている人もいます。
そんな「勉強のうまい人」を何人か観察していると、下克上を達成した先ほどの生徒の勉強と、「同じ工夫」をしていることに気づきました。
そこで、この記事では「少ない時間で、うまく勉強するための工夫」をご紹介します。どれも今日から使えるちょっとしたコツです。お金も時間もかかりません。
・「勉強がなかなか成果につながらない」という方
・「新しい部下への指導」にあたる方
・はたまた、本当にお子さんが受験を控えている方
参考になる部分があると思います。ご一読ください。
「成果の出ない」学生の思いこみ
実は勉強の成果を出すには、「頑張る」よりも、まずは「思い込みを抜け出す」ことが大事です。そしてそのためにはある工夫が必要です。
それがどういうことかをご説明するにあたって、冒頭の生徒の話をさせて下さい。彼自身、思い込みをある工夫によって抜け出すことで、1年たらずで偏差値が45から61まで伸びました。(※ビリでもギャルでもありません)
名前をタカシくん(仮名)といいます。勉強嫌いでもなく、どちらかといえば真面目な少年でした。ただ、一生懸命努力をしても、勉強が成果につながらないという悩みがあったようです。
そこで、入塾当初に、まずは状況を聞いてみると、
- 「皆のオススメ参考書を、素直にやっている」
- 「まとまった時間を確保して、勉強に取り組もうとしている」
とのこと。
一見普通ですが、実はここに「ハマってはいけない2つの思い込み」が隠れています。そこで、その「思い込みとは何か」、「どう対策したのか」を以下一緒に追っていきます。
1:皆が認める情報は、全て網羅しなければならない
1つ目の思い込みは、「皆が認める情報は、全て網羅しなければならない」というものです。そして、タカシくんの場合のそれは「皆が認める参考書」を網羅することでした。
ただそもそも、人それぞれ苦手な科目や範囲が違うので、「良い参考書」も人それぞれのはずですよね。それなのに、彼は「皆の評判の良い参考書」を集め、網羅的に勉強していました。いわば「参考書コレクター」です。
すると勉強する範囲が広くなる分、「今必要でないはずの勉強」にも力が分散してしまいます。なので、点数アップにはなかなかつながりません。
では、どうしたか。
工夫:目標から「いま必要な知識」を分解し、そこに集中する
そこで工夫したことは、「自分にとって今最も必要なことを明確」にして、そこに注力することでした。
タカシくんの場合、一旦立ち止まって「目標点を取るために今もっとも必要な分野」は何かを一緒に分解し、そこを集中して勉強しました。彼にとって「点数につながる」ところに力を集中させることができるので、勉強が進むようになってきます。
…ただ、実はこれだけですぐに成績の改善できたわけではありませんでした。なぜなら彼の場合は、そもそも「勉強時間が足りない」という問題もあったからです。
そして、ここに隠れているのが、2つめの思い込みです。
2:勉強はまとまった時間でやらなければならない
2つめの思い込みとは、「勉強は、一度にまとまった時間を確保するべきだ」というものです。
タカシくんの場合、部活や家の手伝いの合間をぬったり、睡眠時間を削ったりしながら「まとまった時間」を確保しようとしていました。
しかし、遅くまでの部活で疲れている中、家の手伝いもした後の夜に「まとまった勉強時間」など結局とれないわけです。当然、家での勉強自体ほとんどできていません。
工夫:スキマ時間で、無理なく勉強時間の総量を増やす
そこで工夫したことは、まとまった時間の確保は諦め、「毎日発生するスキマ時間」を勉強にあてることでした。
タカシくんの場合、まず目をつけたのは、「電車通学の20分」です。最初は短い勉強時間ですが、他のスキマ時間を探すことで、少しずつ1日の勉強時間は増やしていけます。また、意外な効果もありました。それは「一回あたりを少しずつ」とすることで心のハードルが下がり、勉強に手を付けやすくなったということです。
こうしてタカシ君は、スキマ時間を利用することで、勉強時間を無理なく安定して増やすことができました。
では、その結果どうなったのでしょうか。
2つの思い込みを捨て去った結果、下克上受験に成功!
目標から「いま目の前でやるべきこと」まで分解して範囲を決め、スキマ時間を中心にコツコツと勉強することで、タカシくんはどんどん成績が上がっていきました。
成績が上がってくると、勉強が面白くなり、更に成績が上がっていきます。なんと、受験直前には、入塾当初よりも偏差値が16上がるという快挙を達成しました。(最終的には、当初の第一志望はすべり止めです。そう、これが下克上です。)
他の生徒への横展開も成功
- 目標を分解して、今必要な知識に集中すること
- スキマ時間でコツコツ勉強すること
「この2つが、成績アップに効果的かもしれない」と気づいた私は、次々と他の生徒にも同じ工夫を伝えました。すると、面白いくらい、どの子の成績も上がっていきます。
つまり、多くの学生が、
- 皆に人気の、色々な参考書に手を出さなければいけない
- 勉強は、まとまった時間を確保しなければいけない
という、同じ思い込みに囚われた結果、勉強が上手くいっていなかったというわけなんですね。
「成果の出る」社会人の勉強法
では、ここまでの例を参考にしつつ、「2つの思い込みと工夫」をもとに、成果の出る社会人の勉強法について具体的に考えていきます。
1:目標から「いま必要な知識」まで分解して集中する
勉強がうまくいかない1つ目の思い込みは「皆が認める情報は、全て網羅しなければならない」というものでしたね。
例えばネットショップ担当者の場合、
「SNSで皆が薦める『webマーケティングの本』、いいねが多い『AIについての記事』などを読む。でも、あまり業務に役立ててない...」
などの話は本当によく聞きますし、正直言うと、私もやりがちです。これではタカシくんの「参考書コレクター」ならぬ「ノウハウコレクター」状態になってしまっています。
こんなとき、タカシくんが上手くいったのは、目標から「今、目の前で必要な知識」まで分解することでしたよね。
では我々にはどう応用できるか、考えてみます。
目標を分解して、優先事項を探す例
それではまず目標を、仮に「業務の効率化」であるとしましょう。
ここですぐに「業務の効率化について学ぶ」のではなく、まずは「業務を分解」します。すると「受発注業務」にかなり時間がかかっていることがわかりました。
ただ「受発注業務について学ぶ」では、まだ範囲が広すぎます。そこで更に「受発注業務を分解」すると、中でも「梱包」に特に時間がかかっていることがわかりました。
ここまで分解できたら、勉強を始めても良さそうです。「業務効率化を学ぶ」とざっくり見ると、どうしていいかわかりにくいですが、「効率的な梱包を学ぶ」まで分解すれば、何かしらすぐに手を付けられそうですよね。
これで梱包の効率化ができたら、時間がかかっている別の業務を検討し、また分解しては解決します。こうして一つ一つ優先問題を解決していくことで、確実に効率化を進めていくことができるようになります。
2:まとまった時間ではなく、スキマ時間を探す
2つめの思い込みは「勉強は、一度にまとまった時間を確保するべきだ」というものでした。
社会人でも、まとまった時間の確保が難しいのは学生と同じです。ただこんなとき、タカシくんは「まとまった時間を諦め、スキマ時間を探す」ことで上手くいきましたよね。
では我々にはどう応用できるか、考えてみます。
スキマ時間の例
といっても、スキマ時間を探すということは、タカシくんと変わりません。通勤時間はもちろん、それ以外にもスキマ時間を探してみましょう。
例えば、
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などなど、活用できるスキマ時間や工夫って意外とあります。
まとめ
ここまでの内容をまとめると、勉強の成果を出すには、「ただ頑張る」よりも「2つの思い込みと、その対策としての工夫」が重要という話でした。
言い換えると、以下のとおりです。
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皆さんも「今必要な知識」を「スキマ時間」で勉強できないか、試してみてくださいね。
PS
「スキマ時間の活用はできそう。でも何を優先したらいいか自信がない」という方、弊社コンサルティングをご検討ください。幅広くネットショップを見てきた観点から、あなたのお店の優先課題を一緒に考えます。
この記事を書いた人
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コマースデザインは、EC事業のコンサルティング会社として、ECのお役立ちツールやECコンサルティングを提供しています。全サービスの累計支援先企業は23,000社を突破しました。「色々な個性を持ったお店が数多くあり、お客さんに豊かな選択肢があるEC業界」を目指し、中小ネットショップ事業者の皆様の「強み」を引き出す支援を行っています。
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