「ネットショップの配送遅延対応」2つのコツ。店長がクタクタにならない工夫とは?

こんにちは。コンサルタントの味藤です。 本日は、ネットショップ運営トラブルの代表格「配送遅延」と、ショップ側でできる対策についてお伝えします。 さて、「どうしようもない遅配」って結構ありますよね。

  • 首都圏に大雪が降った
  • 貨物が集中し、運送会社でキャパシティオーバーが起きた

…そして、お客さんからの問い合わせ・クレームの嵐! トラブル対応業務が膨れて、通常業務もままならず、更にトラブルが増える・・・悪循環にハマってしまう方も多いのでは。私も、店長時代は何度もそうなりました。 でも、対策はあります。遅配は防げなくても、お客さんの不安を抑え、問合せやクレームを減らす「工夫」は出来るはず。 今日は、そのためのお話をさせて下さい。すぐに使える事例やテンプレートもご用意しました。

お役に立つようでしたら、この記事を社内で回覧したり、店長さんや問合せ担当の方にお渡しください!

はじめに

配送遅延対応の考え方

配送遅延は、起こらないに越したことはありません。でも、もし配送遅延が起きても、スムーズに・的確に対応して、お店の評判も下がることがなければ、理想的ですよね。毎日を心穏やかに過ごせます。

では、どのような準備と対応が必要なのか。

起きた遅延はどうしようもないので、店としては「お客さんを不安にさせない」ことを第一に考えるべきかと思います。なぜなら、お客さんからの問合せやクレームが殺到する原因は、「不安」だからです。

では、なぜ不安になるのか。それは、情報が開示されず、どう行動したらよいのか、示されないからです。要するに「分からない」状態が、お客さんの不安を作るのです。

配送遅延の発生時にやるべきこと

そう考えると、問合せやクレームを減らすにはどうすべきか、浮かび上がってきます。「分からない」から不安になるのだから、対策はシンプルに「情報を開示すること」です。

  1. まず、遅延発生時の「初動」を早くする
  2. 的確で「分かりやすい案内」をする

「素早い初動」と「分かりやすい案内」の2点です。こうすれば、お客さんは不安にならず、問合せは殺到せず、「ちゃんとしている店」として評判も上がるはず。

ということで、ここからは、この2点を実現するための、具体的なやり方をお伝えしていきます。(後者については、実際の事例もたくさんお見せします。)

災害対策と同じで、日頃からオペレーションを固めておくことで、いざというときの対応ができます。なので、後回しにせずに「足りない対応がないか、ひと通りチェック」しておきましょう。

※これからの配送業界も色々ありそうですしね。。

対策1:遅延時の初動を早くするには

問い合わせやクレームを減らすコツの1つは、「初動の早さ」だと言いました。

遅延の発生をキャッチしたら、いち早くお客さんに情報を的確に案内できると、お詫びなどの事後対応が減り、効率化と満足度アップにつながります。(ただし、不十分な情報を伝えると、逆に問い合わせが増えるので、早ければいいというわけではありません。後で詳しく説明します。)

そのための準備を、以下の順番で掘り下げていきます。

  • 配送遅延の典型パターンの把握
  • アンテナの張り方
  • 遅配告知をする体制づくり

担当者は、普段から備えていただけるとよいでしょう。

配送遅延の典型パターンを把握する

遅配が発生しやすいのはどういう時か、過去の事例を知っておきましょう。そうすると、「この状況は遅配が起きやすいだろう」とピンと来るようになります。

交通麻痺による遅れ

自然災害
台風、大雪、地震など。※北海道の濃霧、沖縄の台風、普段雪が降らない地域の大雪は特に注意!
各地イベントでの交通規制
都市マラソン、花火大会、海外要人の来日など。
事故による交通規制
特に、「迂回ルートのない主要幹線」が通行止めになると、影響が大きい。

荷物量増加による遅れ

季節傾向あり
年末:お歳暮、クリスマス、お正月の配達などが集中 ※毎年高確率で配送遅延が発生する。
3月下旬~4月下旬:新生活準備や引っ越しで、運送会社のキャパが圧迫される。
7~8月:お中元の集中
不定期
増税前の駆け込み需要 ※実際8%の引き上げ時に、集荷制限が発動した

補足

実際のところ、各運送会社がかなり無理をきかせて配達してくれているため、実際に遅配となるケースは少ないようです。

ただ、無理の上に成り立っている現状ですから、いざ遅延が生じたときに迅速にフォローできるよう、先回りして危機感を持っておきたいところです。

日頃からアンテナを立てておく

ベテラン店長にとっては当たり前かもしれませんが、日頃から天気予報や、各運送会社サイトを確認し、問題が起きそうな地域を意識する習慣づけをしておきましょう

また、運送会社の担当ドライバーや営業担当者と、良い関係性を築いておくのも必須です。「最新の情報を、すぐに教えてもらえる」など、太い情報筋になってくれるはず。

事前に告知体制を整えておく

ここまでは、早期に察知する備えの話でした。次は、いざトラブル発生時に、現場スタッフが悩まずスムーズに動くための準備の話です。

配送遅延の対応マニュアルの準備

予め社内の対応指針を決め、マニュアルを用意しましょう。避難訓練のイメージです。

  • 日頃から〇〇がないか観察し、何かあれば〇〇するする(担当:〇〇)
  • 〇〇発生の報告を受けたら、〇〇を〇〇する(担当:〇〇)

といった手順を、書き出しておくわけです。

こうして手順を定めておくことで、「スタッフごとに対応が異なり、お客さんが混乱してしまう」といった、二次トラブル防止にも一役買います。

マニュアルを作ったら、絵に描いた餅にならないよう、社内への周知が大切です。たまにしか起こらないことは記憶しづらいので、社内マニュアルを「いつでも参照できる場所に置いておく」必要もありますね。

遅延告知テンプレートの準備

サイト上の告知掲載や、お客さんからの問い合わせ対応のスピードを落とさないためには、テンプレートを用意しておくのがベストです。

準備しておきたいテンプレートは、ざっと以下の通りです。

  • メール
    • 注文連絡メールに挿入する案内文面
    • 問い合わせ返信メール
  • サイト上の告知
    • バナー
    • 詳細情報案内ページ など
  • 買い物カゴ内の告知
    • 案内文面

※いずれもPCだけでなく、スマホの準備もしておくこと。

ゼロから準備するのは骨折りですから、過去に配送遅延が起きた時の対応履歴が残っていれば、それをベースに作りましょう。もし普段から多忙で、事前準備できない方は、「一度トラブル対応した直後」が絶好の機会です。実施ベースでテンプレ化し、自店の仕組みにしてしまいましょう。

用意はちょっと手間ですが、二度目に同じ状況になった際、対応が非常にスピーディーになります。スタッフさんは楽できますし、スピードが上がる分、お客さんの満足度もキープしやすく、いいこと尽くめです。

対策2:分かりやすく遅延を案内するには

問い合わせやクレームを減らす2つ目のコツは、「案内のわかりやすさ」だと言いました。

具体的には、「サイト上での情報掲載」と「購入者への連絡」があります。それぞれ詳しく案内していきます。

サイト上で遅延情報を案内する

目立つ形で事実を伝える

まず、ネットショップのサイトに、目立つように遅延発生状況を掲載します。

イメージをつかむために、こちらの事例をご覧ください。ご覧の通り、「目につきやすいヘッダー部分」に情報を載せています。

配送遅延時のサイト上の案内告知事例
参考:横浜チョコレートのバニラビーンズ

このようにお知らせを載せておくと、これから買い物するお客さんには、遅延の可能性を理解した上で購入するので、トラブルを減らすことができます。また、「当店は言いましたよ」という証拠にもなります。

この時の注意点です。情報の掲載場所は、お客さんの目がとまる場所を選びましょう。ページ上だけではなく、カート内にも同様の情報を載せておくこと。

お客さんがすべき行動を伝える

こちらの事例をご覧ください。
配送遅延時のサイト上の案内告知事例
参考:ディスクユニオン

遅延状況など「起こっている事実」(赤枠部分)と、「お客さんが取るべき行動」(黄枠部分)が書かれていますよね。この2点がポイントです。

「お客さんがとるべき行動」についての案内をどうするか、対応方針は各店舗で異なります。

例えば、「キャンセルを受け付ける」「配送指定日の変更を承る」なら、「希望があれば、発送日のX日前までに連絡ください。連絡がなければ、当初の予定通り店から発送します。」と書くなどですね。

  • 対応を選べばよいのか
  • 待つしかないのか

という、これから取るべきアクションを明確にすることで、お客さんの漠然とした不安は解消されます。(遅延事態はどうにもならないので、不満は残るかもしれませんが)

こうした対応の案内を掲載しておくと、買い物したお客さんが、ショップへ問い合わせる前に案内に気付くので、問い合わせ削減にもつながります。

なお、この時の注意点です。「起きている事実」と「取るべきアクション」を、確実に受け取ってもらえるよう、十分な情報を載せてください。情報が不十分だと、「不明点の確認の問い合わせ」が増え、かえって対応が大変になるヤブヘビリスクがあります。

購入者へ遅れる連絡をする

遅配地域に該当する注文済のお客さんには、「遅れる(可能性がある)」ことを、お詫び連絡します。その際に必ず伝えることは、前述の通り「起こっている事実」と「お客さんが取るべき行動」です。

既に発送済の荷物について、お届け状況を確認したい場合は、店ではなく各運送会社へ問い合わせてもらうよう、お知らせするのが一般的でしょう。

配送情報の問合せテンプレート
参考:楽天市場

こういった案内は、「店が間に入ってくれないのは不親切では?」と、心証を悪くする懸念もあります。…が、店が中継して運送会社へ確認しても、かえって時間がかかってしまい、不満につながることも考えられます。自分たちはどう対応するか、社内で方針を決めておきましょう。

できたら検討したいこと

上記では、お客さんへの案内方法を工夫することで、トラブルを削減する方法をお伝えしました。

その他にも見直しの可能性がありそうなものを、2つご紹介します。

運送会社の予備準備

有事に素早く運送会社を切り替えられるよう、予備の運送会社で出荷テストをしておきましょう。

昨年末に起きた佐川の大規模遅延のように、特定の運送会社のみがパンクするケースでは、運送会社を早めに切り替えることで、トラブル回避ができるかもしれません。

そのために、伝票の印字テストや、代引きが使えるように、契約を進めておきましょう。 (代引きが使えるようになるには、半月ほど要しますので。)

※注意※
最近は運送会社の労働条件改善の動きがあり、契約条件等も慌ただしく変化しています。なので、今のタイミングで、新規契約を交渉するのは、ふさわしくないかもしれません。「以前はこうでした」という一情報として、参考程度にお読みください。

出荷時期や出荷方法の調整

遅配が発生した状況で、「可能な限り、間に合わせるための対応ができないか」考えられるといいですね。例えば、以下のような対応が考えられます。

  • 先納期の商品も、前倒しで出荷する
  • (どうしても急ぐメール便の場合は)メール便 → 宅配便に切り替える

※宅配便でも遅くなりますが、物量増加時、特にメール便は後回しにされる傾向にあります。 なので、よほど緊急度の高い荷物は、「お金をかけてでも、宅急便にしてもらう」方が得策かもしれません。

おわりに

まとめます。配送遅延のお知らせのコツは2つ。

すばやく把握すること」「分かりやすく伝えることです。

  • 1:初動を早くするコツ
    • 「遅延が発生するパターン」を把握しておく
    • 予め自店舗の行動を、「マニュアル化・テンプレ化」をしておく
  • 2:わかりやすく伝えるコツ
    • 遅延状況などの「起こっている事実」と、「お客さんが取るべき行動」をもれなく書く

サイトに案内を掲載したり、お客さんにメールで連絡したりするなど、やること自体は、ネットショップ運営において、スタンダードな内容だと思います。ただ、トラブルが起こってからでは、対応が後手に回ってしまいがちです。

この機会に、マニュアル整備にも取り組んでいただけると、いいと思いますよ。

また、配送遅延に限らず、自店都合の出荷遅延にも同じ対応が活かせます。ですから、このブログは、チームの皆さんでご覧になることをおすすめします。

お客さんの不安の芽を生まないよう、先手で動きましょう。

おまけ:事例&テンプレート集

最後になりますが、各ショップが実際に行っている、サイト上での遅延告知や各種メール文面を、参考事例として資料にまとめました!「どういう風に準備すればいいか」悩んでしまう方は、お手本としてご覧頂くことで、筆が進みやすくなりますよ。
※制作物には著作権がありますので、あくまで参考として活用くださいね。

PS
弊社コンサルティングでは、売上UPの対策だけでなく、こういったトラブル対応のご相談もお受けしています。困った時に何でも相談できると、ご好評頂いています。

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この記事を書いた人

味藤絵美子
有名EC企業にて、店舗の立ち上げから店長まで一連の運営業務を経験し、実績を重ねる。その後、食品メーカーに転職、衰退した人気店の建て直しに尽力。2年間でアクセス数4倍、転換率2倍とし、再成長させる。メーカー型、仕入れ型、大規模、小規模共に経験している守備範囲の広さが強み。ネットショッピングが大好きで、女性ならではの柔らかい物腰の中に、鋭いお客目線が光る。

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