社内勉強会レポート:ヤッホーブルーイング

こんにちは、川村です。

2017/4/13[金]、長野県のクラフトビール・メーカー「ヤッホーブルーイング」のもっちー(望月卓郎)さん&ヤタロー(家住泰裕)さんが、当社にお越しになりました。

※ヤッホーブルーイングさんは、社員全員にニックネームがあり、ニックネームが正式なお名前なんだそうです。普段まったく本名で呼ばないため、ニックネームは知ってるけど、本名が思い出せないスタッフもいるとかいないとか(笑)。

お二人から色々とお話を伺いましたので、ご本人に許可をいたき、簡単にレポートします。

 

ヤッホーブルーイングさんのご紹介

※今回から、ウェルカムボードを用意してみました!

ヤッホーブルーイングさんは「ビールに味を!人生に幸を!」をキャッチフレーズに、独創的なビールを世に送り出している、クラフトビール業界No.1のメーカー。

「夜な夜な(=毎晩)飲んでもらいたい!」という思いから名付けられた、「よなよなエール」。個性的なネーミングの「インドの青鬼」「水曜日のネコ」など、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

苦難の時代を乗り越え、SOY10年連続受賞

地ビールブーム終焉という苦節の時代を乗り越え(※詳しくは、以下の記事参照)、現在では「楽天のショップ・オプ・ザ・イヤーを10年連続受賞」という有名店。毎年恒例の個性的な仮装は、授賞式の名物にもなっています。

また、春には、軽井沢のキャンプ場を貸し切る1000人イベント「超宴」 を開催。

このように、ファンイベントや店長さんの仮装・チームビルディングなどで有名なヤッホーブルーイングさんですが、通販を始めた時以来、試行錯誤しながら続けてきた地道なお客さんとの関係づくりと、コンビニ等を通じて全国流通に乗り、さらに知名度をあげていくまでの様々な苦労がありました。

ヤッホーブルーイングさんから伺ったお話

今回お越し頂いたのは、おもいやり隊(通販受注)のもっちーさんと、通販団のヤタローさん。部署名も個性的ですね。

ゴールから逆算、日本に新しいビール文化を根付かせたい

まずは、「楽天出店から、2013年頃まで」を振り返って頂きました。

  • 楽天市場には、初年度に出店(1997年)
  • 商品は7~8種類と少ないので、セット商品などでバリエーションをつけている
  • 毎年、新商品の数も限られているので、効果的な宣伝を心がけている
  • お試しセットと父の日のギフトに力を入れ、楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーを受賞
  • その後も、ショップ・オブ・ザ・イヤーの常連に
  • 会社の体力もない中、お金をかけずにお客さんに楽しんでもらうことを考えてきた

クラフトビールという新しいカテゴリーの商品が市民権を得て「文化」となるには、最終的に全国流通に乗り、どこでも買っていただけるようになることが必要。

その夢を目指して、唯一自分たちで自由な発信ができた「インターネット」を起点に、限られた人数でできる施策を一歩一歩実行していったそうです。

  • (1)ネット通販で実績をあげる(お店の信頼度UP)
  • (2)メルマガやSNSなど、コミュニティ形成がはじまる
  • (3)じわっとファン拡大(個性的なビールと面白い活動に共感)
  • (4)全国流通で、徐々に採用されるようになる
  • (5)イベントや広報など、更にユニークなファンと一緒に楽しむPR充実
  • (6)大手と提携して、全国展開にも耐えられる生産体制を構築
  • (7)ローソンなどコンビニに採用され、全国展開へ
  • (8)さらに知名度が上がっていく

結果、熱心なファンの支持にも支えられ、ついに全国でヤッホーブルーイングさんのビールが販売されるように。「日本に新しいビール文化を創りたい」という共感を呼ぶミッションと、魅力的な製品、個性的で面白いスタッフさんたちの地道な努力の賜物です。

全国展開で認知が向上してきた今、改めて通販の役割とは?

コンビニに定番で商品を置いてもらえるようになり、SNSコミュニティや広報活動、イベントも以前よりかなり活発に行えるようになってきた今、通販ではそれまでの売れ筋だった「新規顧客のためのお試しセット」「個性的なギフト(父の日など)」に加えて、「熱心な通販ファンとのイベント」「定期購入の伸び」などが、新たな柱として育ってきたそう。

  • マスメディアでの露出の増加
  • メディアを見て、「ヤッホーから直接買いたい」というお客さんも増えた
  • 楽天市場(モール)より、自社サイトの注文が増加

などなど、運営する通販サイトの位置づけも、大きく変わってきたそうです。

「CRM」(定期購入やイベント)と「外部露出」(コンビニでの取扱やPRなど)。世の中との接触機会を増やしながら、共感してくれるファンを増やしていくという、通販ならではの仕組みがうまく回っていると感じました。

定期購入には、とても力を入れている

  • ビールの定期購入サービスは、あまり例がない
  • 全国展開は始まったが、ヤッホーブルーイングの全てのビールを、リアル店舗で買えるわけではない。通販では、ほぼ全種類を買うことができる
    • ※ローソン専売や軽井沢限定などの、特別なビールは除く
  • 定期購入では、通販でしか売っていない、個性的な限定ビールも買うことができる

メーカーなので、基本値引きはしない

  • そんな中、定期購入は「年間に一定本数以上、当店のビールを買う方」にとっては、お得な設定となっている
  • ビールがお得という以外に、イベントなど様々な特典もついている

「ただのビール宅配サービスではなく、エンターテイメントにしたいんです」
(ヤタローさん)

いかにお客さんに喜んでもらうか、今後も、商品に同封している会報の充実や、お客さんを巻き込んだ企画などを検討しているそう。特に、お客さんから寄せられたという、「年間契約は、よなよなへの最上級の愛情表現です」ということばがとても印象的でした。

イベントなどの目立つ部分に注目しがちですが、地道な努力と戦略があってこそ、このようなお客さんの言葉に結びついているのではないでしょうか。

コミュニティの育て方

当社からも、色々な意見が飛び出しました。「前例がなく、先駆者なだけに苦労も多いと思うけれど、やりがいがあって面白い仕事」という話から、お客さんとの関係性の話に。

  • コミュニティは、時の流れとともに必ず変わっていく。同じではいられない
  • そんな中、「お客さんとの関係性の本質」を押さえることが大事
  • 例えるなら、ヤッホーブルーイングさんのファンは「野球チームのファン」に近い
    • ビールメーカーで試合がない分、話題作りが重要
  • ものとストーリーを混ぜ、いかに面白いことができるか
  • 濃密な関係を維持しながら、コミュニティの規模を大きくする
  • 何よりも、自分たちが一番楽しむ
  • お客さんと共に、日本に新しいビール文化を創っていきたい

その後、質疑応答タイムに。

  • 「お客さんからの意見には、どんなものがあるのか?」
  • 「デザインとネーミングはどうやっているの?」
  • 「イベントで試飲したビールを覚えてもらい、拡散を促す方法」
  • 「一見さんへのアプローチ」

など、質問だけでなくアイディアも飛び出し、もっちーさんがメモする場面も。

お二人からのコメント

最後に、もっちーさん&ヤタローさんからコメントをいただきました!

もっちーさん

坂本さん・川村さんとお会いするのは実は初めてなんですが、私が2009年末にヤッホーブルーイングの仕事を始めてから、右も左も分からないなか最初に頼りにした本が「マンガで納得!インターネット販売 売れるネットショップ開業・運営」で、それ以来ずっとバイブルとして繰り返し読んで参考にさせていただいています。

その他にも、多くの店舗仲間経由でよく坂本さんのお話を聞いたり、またコマースデザインさんのブログもストーカーのようにチェック(笑)していましたので、個人的に初めてお会いする気が全くしませんでした。

お二人と話していると、普段なかなか言語化できていない自分たちの感覚や仕事がスッキリ整理されて、不思議と「これでいいんだ」とか「こういう考え方をすればいいのか」という発見ができ、仕事に活かせるアイディアが次々と湧いてきました。

今回、思いがけずスタッフの皆さんとも知り合うことができて、大変貴重な機会となったので、今後もたまにビール通販の現場の声をお届けして、皆さまからも新しい着想をいただければと思います。

また遊びにきます!ありがとうございました!

ヤタローさん

初めて坂本さんとお会いして、お話をさせていただきました。

私たちが考えていることや想いを、うまく引き出し、整理していただき、新しいアイデアや発想が浮かび、「あぁ、早く仕事がしたい!」という気持ちにさせていただきました(笑)。

この度はお邪魔させていただき、ありがとうございました。また、飲みの場で熱く語らせてください!

PS
おみやげに、2017/3/31に発売したばかりの新商品、「軽井沢高原ビール シーズナル2017」を頂きました。ありがとうございました!

PPS
うちも「埋もれない店を目指したい」「オンリーワンを探したい」という方は、弊社のコンサルティングがお役に立てるかもしれません。ご興味のある方は、こちらからお声かけください。

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この記事を書いた人

川村 トモエ
コマースデザイン株式会社 取締役 コピーライター/コンサルタント
ライターからEC業界に転身。商品コンセプト立案やキャッチコピーなど「売れないオリジナル商品」の立て直しを得意とし、ヒット商品を多数企画。中小規模の店に対してわかりやすいコンサルティングを提供しつつ、講演や寄稿も行う。黄色本・マンガ本の著者でもある。
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