その値下げ、待った!「眠っている価値」を起こす接客方法

こんにちは、コンサルタントの石黒です。

商品を売っていて、人から「ちょっと高いね」「〇〇円だったら買うのになあ」等と言われる事はありませんか?

これは、自分の商品に対して、(その価格に見合った)価値がないと言われている状態です。悔しいですよね! 私も前職のショップで、自信の商品が売れず、値下げして処分したことがあります。悔しい。

多分この悔しさは、高値で売りたいというよりも、「分かってもらえない悲しさ」から来ているように思います。値下げしたら売れるんでしょうが、それは妥協です!

そこで今回は、私の体験談を通して、「どうすれば良さが伝わって、正価で売れるのか?」という課題について、考えてみたいと思います。

節約家の私が「13,000円のスニーカー」を買った理由

では早速、「最初『高いなあ』と言っていたお客さんが、『買いだ!』に変わった実話」をお話しします。ちなみにこのお客さん、実は私のことです^^;

先日、私は地元のABCマートでスニーカーを物色しました。
そこで、好みのスニーカーに出会いました。こんなデザインの、一見普通のVANSのスニーカーです。

第一印象は「高いですね」

私は最初、このスニーカーは「7,000円くらいかな」と思っていたのですが、13,000円でした。結構お高めです。
えー、高い。まさに冒頭で話した、「ちょっと高いなあ」という心理状態です。

嫁にも怒られるだろうし、やっぱやめよう。でも、デザインは気に入った。
なので、未練たらたらで「とりあえず試着だけ」してみることにしました。

割高だった印象が、商品説明で一変

試着をしていると、店員さんがスニーカーを説明してきます。聞き流しながら履いていると、ふと気になる一言が飛び出しました。

「あと、これはインソールが特殊な素材で、長時間歩いても全然疲れなくて、足が痛くならないんですよ!」

その一言を聞いて、私は気づきました。「・・コレ通勤に丁度いいぞ」

実は、私の家から最寄り駅までは結構距離があり、毎日、長い時間を歩きます。
バスに乗れば楽ですが、健康のためと思って歩いていました。が、唯一の問題として、「足の裏がちょっと痛い」という悩みを持っていたんです。かといって、今更バスで通うのもなあ・・と、ちょっとしたジレンマに陥っていました。

そんな背景を持つ私にとって、「(通勤で)長く歩いても足が痛くなりづらい」のは、大変魅力的です。

  1. 足の痛みも取れて、毎日の通勤が快適に
  2. 健康的だし、
  3. ささやかですが、バス代も浮きます
  4. そして、デザインがどストライク!

となれば、もう買わない理由はありません。

このように、「たった一言」で、「私にとってのこのスニーカーの価値」は倍増し、結局そのスニーカーを購入しました。

店員さんのたった一言で「感じる価値」が倍増

振り返ってみると、私は、まず第一印象では、そのスニーカーに「7000円くらいが妥当」というイメージを持っていました。
しかし、少し話を聞いただけで、「13,000円でも買う」と判断しました。
その価格差、約2倍です。

一方、もし店員の彼がこのことを教えてくれなかったら、私は、商品の価値に気付くこともなく、購入を見送っていたでしょう。しかも私は、VANSのスニーカーは、基本的に底が薄めで「疲れやすい」というマイナスイメージを持っていたので、尚更です。
ちゃんと説明してもらわないと、先入観は払拭できませんからね。

スニーカー側は何も変わっていないのに、ちょっとした情報を聞いただけで、商品価値が倍増したんです。冷静に考えてみると、不思議だと思いませんか?

「お客さんの感じる価値」を引き上げるには

このように、お客さんは、ちょっとした情報の有無で、商品の価値を高く感じたり、低く感じたりします。
その背景には、ある「メカニズム」があります。それが分かれば、無駄な安売りを避けられそうな気がしませんか。

「割高に感じる」場合と「割安に感じる」場合の違い

ということで、そのメカニズムについてお話しします。

人間は、まず商品を見た際、瞬間的に「コレは多分〇円くらいだろうな」と、「相場価格」をイメージします。たとえ相場価格が分からなくても、想像します。

次に、値札を見て、相場価格と比較します。そして、相場価格よりも高いと「割高」、相場感より安いと「割安」と感じるわけです。

缶ジュースを例にあげます。
普通、自販機で缶ジュースを買うと、大体120円で売られていますよね。これが「相場」です。

だから、量販店でジュースが80円で売られていると、人は「割安」だと感じます。一方、富士山に行くと、缶ジュースは400円くらいするそうです。これは「割高」と感じます。
相場価格を図にすると、こうなります。

「その人にとっての相場価格」より安いと「割安」、高いと「割高」です。簡単ですね。
割安なら売れやすい。割高なら売れづらい。

判断基準になっているのは、相場価格です。ここが大事なポイントです。

お客さんの相場感は「動かせる」

割高/割安の判断基準は相場価格ですが、これは、絶対的なものではありません。
相場感は、コミュニケーション次第で動かせます。つまり、割高/割安という評価は、後からひっくり返すことができます。

たとえば、一見普通のサンドイッチがあって「1食500円です」と言われると、「え、高!」と感じると思います。しかし後から付け足しで「ちなみに、このサンドイッチは松阪牛を使ってます」と言われると、途端に割安に感じますよね。

前述のスニーカーの例では、「足が痛くなりづらい」という情報一つで、私の中のこのスニーカーに対する評価が変わりました。

どちらの例でも、商品そのものは何ら変化していません。変わったのは「お客さんの知識の有無」です。それで感じられる価値が大きく変わっていますよね。

要は、「知っていると知らないのとでは、感じられる価値が全く違う」。だから「安く見られるのは、必要な情報が届いてないから」・・かもしれません。

同じ商品でも、情報によって価値は上がる

このように、「知らなかった知識」を投入することで、「確かにそれは必要だね」「それはすごいね」と、相場感覚が変わります。最初は高いと思われていた商品でも、情報によって相場感は後からいくらでも変えられる。だから割高/割安という評価も覆せる。ということです。

いま「高いね」等と言われている商品も、それは「商品が高い」のではなく、単にお客さんが「情報不足で商品の価値を知らない」だけかもしれないんです。

※もちろん、どんな情報でも良いわけではなく、私にとっての「疲れない靴」が刺さったように、アピールするための絶妙な角度を探る必要があります。そこを見極めて発信するのがキャッチコピーの技術です。

値下げは「諦めて低い相場に合わせた」状態

では逆に、「値下げ」についても見てみましょう。

下図のように、お客さんが知識不足で、低い相場感覚を持っている場合。「高いよね」と言われてしまいます。そのまま諦めて価格を下げるのが、値下げです。

値下げをすると、売れます。なぜなら、お客さんが第一印象として感じた(低い)相場価格に、値段を下げて「合わせている」からです。
何の説明もせずに、お客さんが「これなら買ってもいいよ」という値段にまで下げているわけですから、当然売れます。説明も要らないので、楽です。

でも、本来ならもっと高く評価してくれるかもしれないのに・・勿体ないですよね。

まとめ

モノを売っていると、最初は「それって高くない?」と言われるかもしれません。自信が揺らいで、値下げしたくなるかもしれません。

でも、売り手側が「実は〇〇なんですよ」「それに〇〇だし」などと情報提供することで、「それなら高くないね」「いいかも」等と言ってくれる人が、徐々に増えてくるはずです。

「実は〇〇」といった追加情報を書き加えるのは、お金は掛かりません。それだけで、もっと高く売れるかもしれません。そんなささやかな工夫もせずに値下げしてしまうのは、勿体ないのではないでしょうか。「諦めて値下げしたらそこで試合終了」です。

ネットショップで商品価値を上げる工夫

上記の例は実店舗が中心でしたが、ネットショップは画面上で情報提供を行います。

  • 商品ページに情報を足す
  • キャッチコピーを改善する
  • 使用イメージが湧きやすい画像を用意する

などなど。ちょっとした工夫ですよね。

なかなか商品が売れない時、安易な値下げに走る前に、商品ページを見直してみてください。情報を足す事で、無用な値下げを減らせるかもしれませんよ

「そんなの分かってるよ!」「できてるよ!」と思うかもいるかもしれませんが、いやいや実は、色々と抜けている部分があるものなんです。まだアプローチしきれていない、お客さんの悩みやお困り事がないか、確認してみてください。

もし「ひとりで考えるのは大変」「誰かに相談したい」などとお悩みの方は、ぜひ弊社までご相談ください。一緒に考えていきましょう!

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この記事を書いた人

石黒健
エクステリア通販会社にて、店長業務に加えて物流・ユーザサポート・システム開発まで幅広く担当。市場ニーズと競合度を見極めて自社オリジナル商品を企画、自ら販促全般まで行って人気商品を量産。楽天ショップオブザイヤーにてジャンル賞を受賞したが、独自ドメイン店にも明るい。休日はバンド活動中。

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