こんにちは、コンサルタントの味藤です。
「キッチンやトイレや会議室を、こまめに片付ける」 「トイレットペーパーなどの備品は、切れる前に補充する」 細かい話ではありますが、快適な職場で効率的に働くためには、こういった「環境を整える作業」が欠かせません。
これらは、いわば「公共タスク」です。 公共ですから、『皆が心がけて自主的に対応する』のが理想です。しかし現実は、皆が「誰かがやるだろう」と思って、結局誰もやってない状態(=お見合い)になった経験はないでしょうか?
たとえば、そろそろ誰かが手配するだろうと思っていたら、トイレットペーパーが切れていた、みたいな感じです。困りますよね。大きな会社では専門部署がありますが、小さな会社では、皆で取組む必要があります。 でも実際、「敏感に気づく人」と「あまり気にしない人」にタイプが分かれますよね^^;
こういう公共タスクは、注意するのもされるのもストレスです。だって、皆が同じ意識ではないのですから。言い過ぎると、お互いに嫌な思いを抱えてしまう結果になりかねません。そんなことで人間関係に軋轢が生まれたら、不幸です。
私の場合は、「注意する事に気を揉むぐらいなら、自分で動く」という選択をしがちでした。しかし、それもなんだか不健全です。本業に支障もでますしね。
だから、考え方を変えました。「気を揉まずに済む方法」に逃げるのではなく、そもそも、どうしたら「公共タスクのお見合い」を防げるかを、真剣に考えてみたのです。
そこで今回の記事では、実際に当社であった事例を元に、特定の人に依存せず、公共タスクが滞りなく実行される具体的な工夫を紹介します。
当社で起きた「公共タスクのお見合い」問題
当社で起きた公共タスクのお見合いは、コピー用紙やトイレットペーパー、コーヒー豆など「消耗品の発注漏れ」でした。最初は、以下のルールで運用していました。
- 「備品を発注する担当者」は決まっている
- でも、担当が「コピー用紙の在庫数をチェックして発注する」のは手間
- だから、在庫が減っていることに「気付いた人」が、発注担当者に購入依頼する
ところが、実際には購入依頼がされず、いざ必要な時に在庫がなくて困るという事態が頻発していました。
たかが備品ですが、もし「切れたらいけない資材(例えば、ネットショップなら梱包資材)」でこうなったら、致命的ですよね。
「消耗品の発注もれ」の解決に取り組む
そこで、このステップで問題解決に取り組みました。
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問題が起きる原因は?
まず、「お見合い問題」が起きる構造を見つめるところからスタートです。
そもそも、「在庫が減ってきたら発注依頼してね」という定義が曖昧でした。「残り何個になったら発注依頼してね」なら明確です。曖昧な基準では、人によって判断がずれて当然ですよね。公共タスクでも「いつ・何をすればよいか」が曖昧なら、遂行されないほうが普通です。
問題解決のためにやったこと
つまり、分からない状態を取り除くことが必要なんです。
「いつ・何をすればいいか」すぐ分かるよう「確実に目に留まる場所に、『1:備品の購入申請を出すタイミング』と『2:手順』を明記しておく」という工夫です。
具体的には、以下のような書き方をしたんです。
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こんな感じでテプラを貼りました。
トイレットペーパーやティッシュを取り出す際に、確実に目に付きます。これで上手く回るようになりました!約1年半前のブログで、当時の工夫について書いていますので、よければ合わせてどうぞ。
環境が変わり、再度トラブルが発生
ところが、最近になって、再び備品の購入依頼が漏れるトラブルが頻発したんです。皆に注意喚起しても、効果はなく・・・仕組みを見直す必要に迫られました。以前はうまくいっていたのに、なぜ回らなくなってしまったのか。
なぜ、発注もれ問題が再び起きたのか?
皆の行動を観察しました。その行動観察から分かったことは、「他の人の対応状況が見えなくなっていた」という別の原因でした。
実は、当社では、ここ約2年の間に、スタッフ人数が2倍に増えています。以前は他の人の動きが自然と目に入っていたのですが、社内の人数が増え、見きれなくなっていたのです。状況が把握できなくなった結果、「前の人がやってくれているかも」とお見合いが起こっていたわけです。昔うまくいっていた仕組みも、環境変化に応じてチューニングが必要・・ということに気付かされました。
問題解決のためにやったこと
そこで取り入れた仕組みが、「購入申請状況の見える化」です。
具体的には、備品置き場に以下の札を設置しました。
以前から引き続きの「タイミングと手順の明確化」の工夫にプラスして、「状況の見える化」も取り込んだ仕組みにバージョンアップ!
備品を発注申請したら札を裏返しておけば、発注中であることが伝わります。
見える化の結果、どうなったか?
札を見れば、他の人の対応状況が一目瞭然に。
この札によって、「誰かがやってくれている」と期待するケースがなくなり、自分がやるのだと、自然と意識を持てるように変わりました。
発注状況が一目瞭然、申請もれもカバーできるように
また、万が一対応が漏れてしまっても、その次の人が「対応されていないこと」に気がつけるので、フォローもできるようになったのです
「公共タスクのお見合い問題」が解消され、無用なストレスが減りました!
まとめ:「心がけ」より「仕組み化」を
当社では「仕組み化」が上手くはまったことで、公共タスクのお見合いが起きなくなり、ストレスも生じなくなりました。
今回の問題の原因と、施した解決策は、以下の通りです。
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問題が起きる構造を見つめ、仕組みで解決
こういう状況を整えてあげたことで、公共タスクが漏れなく進み、ストレスや人間関係の軋轢もなく、快適な職場を手に入れられたというわけです。
今回は「公共タスクのお見合い問題」に焦点を当てましたが、この問題解決の手順は、どんなことにも応用可能です。どんなときも問題が起きる構造を見つめ、ひとつづつ潰していくことに尽きます。
人間ですから、何をしてもうっかりは起きます。こういう時、モラルや心がけに訴えても、結局改善しないんです。問題が多発してしまうとき本当に必要なことは、「仕組み化」なんだと思いますよ。
PS
弊社のコンサルティング・サービスでは、売上アップのサポートだけではなく、今回のような業務効率化などの「考え方とやり方」などもご案内しています。ご興味を持たれた方は、お気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
- 有名EC企業にて、店舗の立ち上げから店長まで一連の運営業務を経験し、実績を重ねる。その後、食品メーカーに転職、衰退した人気店の建て直しに尽力。2年間でアクセス数4倍、転換率2倍とし、再成長させる。メーカー型、仕入れ型、大規模、小規模共に経験している守備範囲の広さが強み。ネットショッピングが大好きで、女性ならではの柔らかい物腰の中に、鋭いお客目線が光る。