この記事は、公開から1ヶ月以上経過しています。弊社では他にも記事を公開しています。このジャンルの最新記事はこちらのページからご覧ください。
残念なことに、またコストアップのお知らせです・・・ クロネコヤマトの「DM便(※)」を使って発送している方へ。実は、近々クロネコDM便を使った商品発送が「全面的に禁止」されます。
※クロネコDM便とは、いわゆるメール便の1種です。コンパクトな荷姿でポスト投函型の運送手段です。
「いやウチはそんな通達が来てないよ」という方へ。残念ながら、この方針はヤマト全社の動きなので、いずれ連絡があるはずです。 ですので、現在DM便で商品を発送している方は、違うサービス(例:ネコポスなど)への切り替えと「コストアップ対策(後述)」を考えるべきです。
そこで本日は、次の手をどう考えるべきかの指針を、過去記事からピックアップしてご紹介します。 まずはDM便代替サービスの比較表が必要ですよね。 以下からダウンロードできますので、印刷して、眺めつつ読み進めてください。私見ですが、「特にどのサービスが有力候補なのか」も載せてあります。
そもそも「DM便」って何だっけ?
決裁権者や制作会社の方など「DM便って何だっけ」という方も多いと思うので、まず「そもそもの前提」から説明しますね。ご存じの方は読み飛ばしてください。
「メール便」とは
たぶん「メール便」は聞いたことがありますよね。「ポストに投函できる」商品を対象とした配送手段です。安価ですし、多くのネットショップで使われてきました。
サービスの正式名称は各社バラバラですが(佐川の飛脚メール便や、郵政のゆうパケットなど)、一般名詞として「メール便」と定着しています。
ネットショップでよく使われていて人気も効果も高い施策は「メール便 送料無料」。低単価、しかも送料無料なので、お客さんは衝動買いしやすいです。たまったポイントを使うのにもぴったり。お試し商品などの「入口商品」に使って、新規獲得に活用するお店も多いですね。
Amazonのような直接配送型ECの勢力が伸びている中、「メール便送料無料」はモール型ECにとって強力な武器なのです。
各社で類似サービスをやっていますが、代表格は「クロネコメール便」で、料金が82円と格安でした(過去形)。
「DM便」とは
が、「クロネコメール便」は、2015年に廃止になってしまいました(※)。
メール便の後継サービスとして、2015年4月に登場したのが「DM便」です。DM便は、旧「メール便」から料金が倍になっても(82円→164円)、他社サービスと比べ安かったため、多くのネットショップに選ばれてきました(本当は商品封入NGなんですが、黙認されていたんですよね・・詳細は後述)。
※クロネコメール便が廃止になった理由は「信書問題」という事件がありまして、、覚えてますか?経緯に興味があれば、以下の記事をご覧下さい。
「DM便で商品が送れない」ってどういうこと?
元々DM便は、その名前からも分かるように、「カタログやパンフレット以外、入れてはダメ」というルールでした。
クロネコヤマトとしては、ネットショップがコンパクトサイズの商品を送る場合は、DM便ではなく「ネコポス」か「宅急便コンパクト」の利用を推奨していました(後述)。でも、高いんです。。。
公式にはそういうルールですが、一番運賃の安い「DM便」に商品を封入しても、ヤマト担当者が黙認してくれていたケースが多かったようです。しかしここ最近、改めて「商品の封入は禁止だからね」という念押し通達が出され、黙認されなくなったわけです。
前提の説明は以上です。
「DM便通販NG」で、コストが上がります
では、「DM便が通販に使えない」と、ネットショップにはどんな影響があるでしょうか?
「メール便を止める」選択肢はない(多分)
DM便をはじめとするいわゆる「メール便」は、運賃が安い!ネットショップにとってなくてはならないサービスです。どのぐらい安いかというと、通常の宅配便運賃が「最低でも約400円」かかるのに比べ、DM便は「164円」。半額以下だったんですよね。
なので、コンパクトサイズの商品を扱う店はもちろん、そうでない店でも、通常商品を「少量」を送る「お試し商品」の発送手段として重宝されてきました。なので、いまメール便を使っている人がこれをやめる選択肢はおそらくないと思います。
代替サービスに切り替えるとコストアップ
そうなると、DM便を使っていたEC事業者は、メール便(コンパクトサイズの商品発送手段)を他のサービスに切り替えなくてはなりません。ヤマトの「ネコポス」にするか?他社のメール便サービスにするべき・・?
まずは、どの程度コストが上がるか、すぐ確認しましょう。
「各社の代替サービスを取りまとめた表」を用意してありますので、以下からダウンロードしてチェックしてください。情報収集の手間が省けます。
※「特にどのサービスが有力候補なのか」も載せてあります。
ご覧の通り、代替サービスはいずれも運賃が高いです。店にとって、かなりのコストアップとなるでしょう。
ネットショップの経営全体に波及します
ただ、「単に切り替えるだけ」だと、メール便の料金が倍増し、経営を圧迫する可能性が高いです。かといって「単にそのまま値上げ」をすると、売れなくなる可能性があります。
よって、「工夫した値上げ」や「運賃以外でのコストダウン」が必要になります。
つまり「(通販業界における)DM便の廃止」は、それを使っている店舗にとって経営全体に影響を及ぼすわけです。
こんな風に「DM便で通販NG」連絡が来ます
さて皆さんの店には、ヤマトから「DM便で通販NG」の通達がありましたか?
まだ来ていない方は、どういう流れで禁止されるのか、気になるところだと思います。そこで、「DM便への商品封入禁止」の通達がどんな感じで届くのか、弊社が聞いた事例をお伝えします。
どのように通知されるか?
通達の流れは色々ですが、弊社クライアントから聞いた話だと、契約更新の流れで、DM便への商品封入禁止の再徹底が行われたとのことです。
「以前からDM便に商品入れるのは禁止だったけど、改めて契約書に盛り込んだので、確認してサインしてほしい」「もし商品を入れる場合には、ネコポスを使うように」という感じで念押しがあったそう。
いま起こっていること
2018年明け頃から、楽天市場内で「クロネコDM便での商品配送を廃止」という案内を掲げるショップが目立ってきました。
廃止時期は各ショップによってまちまちで、ヤマト営業担当者との打合せにより、タイミングが決まるようです。
ネットショップは何をすべきか?
この変化を受けて、ネットショップがすべきことは2つあります。
|
これらを順番にご案内します。
1)代替サービスを検討する
DM便は、「安さと追跡可能」がそろう便利な手段でしたが、商品の封入が全面的に禁止される以上、その他の配送手段に切り替えなくてはなりません。
まずは前述の「DM便代替サービスの比較表」を印刷して、眺めてください。
切り替えを検討する際は、価格だけでなく「自店にとって必要なサービスが備わっているか」も判断軸に加えましょう。例えば高額な商品を扱う店であれば、補償がないサービスの利用は慎重になるべきですよね。
ちなみにクロネコヤマトが推奨する「正しい通販用の配送手段」は、以下の通りです。黄色く色付けした部分をご覧ください。※ヤマト以外のサービスは前述の資料を参照。
2)利益構造を見直す
引越し先のサービスが決まったら、次に検討すべきなのが、店の利益構造の見直しです。
どのサービスに切り替えても、コストアップは免れません。そのままの状況で運営すると、利益が削られていくばかり・・・
そこで、以下のような切り口で、運賃が上がっても、利益を確保できる手段を考える必要があります。
- お客さんに送料負担してもらう
- 値上げ分を、商品代金に含める
- 商品容量を減らすなど、コストカット
- その他運営上のコストを切り詰める
上記について、より具体的な対策方法を説明した記事がこちらです。
以前もご案内した記事のため、「もう読んだよ」という方もいるかもしれません。ですが、実行しましたか?「内容は確認したものの、まだ対応していない」という人は、今すぐ本気で見直して下さい。(まず印刷しましょう!)
まとめ:コストアップから逃げないで、戦おう!
コストアップ傾向からの「逃げ道」はありません
運賃は上がることはあっても、当面下がることはないでしょう。
今回は「DM便廃止」がテーマでしたが、今後も様々な値上げが続くはず。ヤマトに追随し、佐川の飛脚メール便も、同じ流れをたどる可能性が高そうです。
更に、物流コストが上がると、色んな企業が値上げすることになるので、今後は運賃以外も、色んなコストが値上がりしていくはずです。
保留してそのままにしていても、状況が良くなることはありません。腰を上げて、値付けや送料設定など、利益構造を見直しましょう。
やり方に迷ったらこちらの記事をどうぞ!コストアップの対応を分かりやすく掲載しています。
誰かに相談しながら進めましょう
この問題、何でこんなにどんどんコストアップするんだ・・なんて思ってしまいますよね。分かります。ひとりで考えると煮詰まりやすいようです。でも、後回しにすればするほど、増えたコストを回収できず、ジリ貧になる一方です。頑張って戦いましょう!
でも、みなさん日々の業務も忙しいですから、つい先延ばししがちですよね。なので、誰かと話しながら考えるのがおすすめです。
弊社では、「コストアップ対策・利益確保策」や「値上げしても競合に埋もれないための工夫」など、1店舗1店舗に合わせて提案をしています。相談相手がほしい方は、ぜひ弊社のコンサルティングをご検討下さい。
この記事を書いた人
- 有名EC企業にて、店舗の立ち上げから店長まで一連の運営業務を経験し、実績を重ねる。その後、食品メーカーに転職、衰退した人気店の建て直しに尽力。2年間でアクセス数4倍、転換率2倍とし、再成長させる。メーカー型、仕入れ型、大規模、小規模共に経験している守備範囲の広さが強み。ネットショッピングが大好きで、女性ならではの柔らかい物腰の中に、鋭いお客目線が光る。