売れないのは何故?「売りたい気持ち」が強い人ほど売れなくなるパラドックスについて

売れないのは何故?「売りたい気持ち」が強い人ほど売れなくなるパラドックスについて

今回は、「気持ちは誰にも負けないのに、うまくいってない…」とお悩みの方に向けたお話です。

商品への愛と売りたい気持ちが強い人ほど、見落としがちなポイントがあります。実は、「売ろう!」という気持ちこそが、うまくいかない原因かもしれません。売ろうとするほど売れない?はい。そもそも、努力と売上は必ずしも比例しません。

どういうことでしょうか?今回は、心理のパラドックスについて解説します。

売りたい人ほど売れない問題

私たちは中小EC事業者向けにコンサルティングをしており、売上アップや業務改善の相談を受けています。その現場では、こういうことがよくあります。

努力と売上が比例しない

  1. 良い新商品が手に入った。でも売れない。メルマガや特集ページで語った…けど売れない。
  2. もういいや…。諦めて放置したら、なぜか売れ出した。
  3. ならば…!と奮起したら、またすぐ売れなくなった。何なんだ!

お店の頑張りと、結果が比例しない。打てば響かず、打たねば響く。売れない理由も売れた理由もよくわからない。心当たりはありませんか。

あるいは力技に走るケースもありますね。ただでさえ利益の少ない入口商品に、ポイントとクーポンをくっつけて、広告まで打つ的な感じです。しかし残念ながら、投じた販促費を回収できるだけの利益は、なかなか残せないのがほとんどだったりします。

気まぐれな売上に翻弄される

つまり、お店の努力と、その結果が比例しないのです。

  • あんなに頑張ったのに売れない…(はあ…)
  • と思ったら、何もしてないのに売れだした!(ラッキー)
  • と思って頑張ったら、また売れなくなった…(はあ…)

みなさんも、こうした気まぐれな売上に翻弄されたことがあるかもしれません。
一体どうしてこんなことが起こるのか?ある程度でも予測できないものか?

この現象の背景には、「売りたい気持ち」が強いお店ほど忘れがちな、「自然の摂理」があります。その摂理に従って販促をすれば、努力と数字がつながって、売上もラクに伸ばしやすくなるはずです。

どういうことでしょうか?

なぜこんなことになるのか?

なぜ、売上に振り回されるのか?思うように売れないのか?

売上は「お客さん次第」

努力に見合った売上が得られないと、「やり方が悪かった?」「内容がよくなかった?」など、自分の過失を疑いがちですよね。あるいは「運気」や「流れ」みたいな運命論?を感じたり。

でもそうではありません。
売上を決めるのは、店ではなくお客さんです。売上は、最終的には「お店の努力」ではなく、「お客さんの都合」で決まります。

美味しい料理も、満腹なら食べない

たとえば、

  • 「シェフが工夫に工夫を重ねた、おいしい料理」。でも、お腹いっぱいのときに出されたら、いらないわけです。
  • 一方で、ドライブ中に全然飲食店がなく、やむなく道路脇の「普段なら入らないであろう店」に入ることもあります

これらの例では、「売れた・売れない」と店の努力は、全く関係していませんよね。商品や販促の上手下手と、売れたかは関係ありません。なぜでしょうか。

店の都合と関係なく、お客さんにとっては「いるタイミングなら必要」「不要なタイミングならいらない」んです。

日頃、激しい競争にさらされていると、お店としては「人一倍、売る努力をせねば」と考えがちですよね。気持ちは分かります。でも、残念ながら、努力だけでは売上はついてきません。

例えば、たまに実家に帰省すると、母親が腕によりをかけて大量に料理を作り、すすめられて、「感謝しつつもギブアップした」ことがある方も多いかと思います。どれだけ愛情や努力があっても、満腹なら食べられないんです。

「ハラペコ」ならラクに売れる

つまりこれは、お客さんが「ハラペコ」状態のときはラクに売れる、という意味でもあります。たとえば、にわか雨に降られた人は、何も売り込まれていないのに、傘を求めてコンビニに走りますよね。

ですから、売上を作りたいのであれば、お客さんが「ほしくなっている状態(ハラペコ状態)」をめがけて、販促すればいいわけです。逆風にさからわず、追い風に乗る。まさに自然の摂理、超シンプルな話です。

こうして言葉にして書くと、ものすごく当たり前に思えるのですが、売上アップに一生懸命だと、風向きを見ずに、ひたすら激プッシュしてしまいがちなんですよね…。

努力してもうまくいかないときは、いわば、お客さんの風向きを読まずに、ムリヤリ逆風に突進しているような状態…かもしれません。「そんなにほしくない」相手にムリヤリ売り込もうとするから、無理な値下げをすることにもなるんです。

具体的にどうすればいいの?

では、「ハラペコ状態のお客さんに売る」ためには、どうすればいいのか?主な方法を2つあげてみます。

  • 1.「ハラペコ」のタイミングを狙う
  • 2.「ハラペコ」になってもら」

1.「ハラペコ」のタイミングを狙う

「タイミング」は重要です。

どんなにすごい提案をしても「タイミング」が違えば売れません。逆に、完成度が低くても「タイミング」があえば、驚くほど売れます。タイミングは、中身以上に提案の成否に影響するんです。

事例

先日、私がグアムへ旅行にでかけたときの話。

現地の空港に到着した私は、ホテルへ向かうべく、空港前のロータリーでバスを待っていました。晴れた昼下がり、空にはギラギラとした太陽。

日本の何倍とも言われる紫外線を、まさに一身に浴びて「日焼けしそう…」と思ったその時。旅行会社の人が「よかったらどうぞ」と、UV化粧水のサンプルをくれたのです。当然受け取ってすぐに使い、「いいなこれ」と感じます。

気がつけば滞在期間中、その化粧水ばかり使っていたという。でも、日本でUV化粧水を渡されてたら、見向きもしなかったと思います。

考え方

あの日差しを感じた瞬間だから、UV化粧水の価値が跳ね上がったわけですね。このように、商品は、ほしいと思った「その瞬間」に登場すると、とても売れやすくなります。

方法論としては、お客さんが「いつハラペコ状態になるか」を理解して、それに先回りします。

先程の傘の例で言えば、雨が降るときを待って、そのタイミングでお客さんの前に傘を出すイメージです。(どこのコンビニでもドラッグストアでも、やっていますよね。雨が降ると、店頭に傘の陳列什器を移動するとか)

実際、EC業界では、タイミング販促はたくさん行われています。期間限定ポイントが失効するタイミングでメールを送るとか、花粉が飛び始めたタイミングでプロモーションをはじめるとか、「モテる方法」のブログの脇に載るように、メンズファッションの広告を配信するとか、誕生日に合わせてクーポンを送信するとか。(※もっと有効な施策はたくさんあります)

とかくECでは、”語ること”が善しとされる文化がありますが、語るだけでなく、「タイミング」もいかに重要であるか、イメージをお持ちいただけたのではないかと思います。

2.「ハラペコ」になってもらう

では、ハラペコになるまで待たないといけないのでしょうか?いえ、できることがあります。

それは、言葉がけで「ハラペコ感」を引き出すことです。言い換えると、お客さんに「あれ必要なんだった」を思い出してもらう方法です。

典型的なフレーズは「もうすぐ◯◯ですね。〇〇を忘れていませんか?」「〇〇の準備は大丈夫ですか?」。他にも、「いま、◯◯で困っていませんか?」など。

事例

シチュエーションは「夏休み前」。

花火大会を一週間後に控えたあなたは、当日着る浴衣をまだ用意できておらず、「そろそろ準備しないとマズい」という心理状況だとします。

どちらのメールのほうに、興味をひかれますか?(スマホを想定しています)

A
あまり開封されないメルマガのタイトルの付け方
B
開封されやすいメルマガのタイトルの付け方

考え方

A
メールを開けば、お目当ての浴衣があるかも知れません。でも、「浴衣」と書いていないので、「浴衣が安い」ことに気づかないですね!もったいない。。他にも似たようなメルマガがわんさか届きますから、そもそも開封しなそうですし。
B
一方、ほとんど同じ販促でも、冒頭の一言があることで、お客さんに「それ必要なんだった」を思い出してもらうことができます。

セールスに入る前の一言が大切なんです。たった一言でも、お客さんの購買意欲を刺激することは十分できるのです。

なぜなら、お客さんは、存外、自分が何が必要かを忘れがちです。本当は必要なのに、何かが起こるまでは完全に忘れている。だから、思い出してもらうだけで、予想外に反響がよくなるものです。

似たケースとしては、弊社代表の坂本曰く、羽田空港の某売店には「機内は乾燥しています。ポカリスエットをどうぞ」という宣伝があるそうです。シンプルなメッセージですが、これも、必要性を思い出しますよね。

メルマガのみならず、ナビゲーションや特集ページなどなど、色々な施策に応用できるはずです。

※ちなみに、今回は説明しませんでしたが、開封率の観点からすると、店名も修正余地がありますね!(わかりますか?)

おわりに

ということで、今回は「売りたい人」ほど忘れがちな「売上はお客さんの都合で決まる」という観点についてご紹介しました。

今までうまくいかなかった施策は、「お客さんのハラペコ感」を見極めてやれていましたか?必要性を思い出してもらえるよう、働きかけていましたか?
ムリヤリお客さんに買わせようとしていませんでしたか?

もし思い当たる点があれば「、お客さんがその商品を必要とする瞬間がいつか?」そこから見直してみると良いかもしれません。

繰り返しになりますが、「売る努力」と「売上」は必ずしも比例しません。お客さんを理解して、自分のメッセージを調整しましょう。そうすると、選ばれやすくなります。選ばれると、売上が上がります。

販促だけでなく、その手前のお客さんを理解する努力。これを大切にしてください。
お客さんを理解すれば、同じ販促内容でも、今度はうまくいくかもしれませんよ。


最近、新しい販促方法が色々出ています。売上が伸び止まっている方が多いせいか、メルマガやコピーライティングのような旧来の施策に、「いまさら感」を持つ人も増えてきているように感じます。

でも、売れないのは、施策だけのせいではないと思います。当社のコンサルでは、こうした施策の「やり残しの徹底」に力を入れています。未知の施策より手堅く結果が出るからです。

PS

もし「うちの食べ残し・やり残し」はどこなのか、一緒に考えてくれる相手がほしい…ということであれば、ぜひご相談ください。弊社コンサルタント陣が、一緒に対策を考えます。

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この記事を書いた人

コマースデザインスタッフ
コマースデザインは、EC事業のコンサルティング会社として、ECのお役立ちツールECコンサルティングを提供しています。全サービスの累計支援先企業は23,000社を突破しました。「色々な個性を持ったお店が数多くあり、お客さんに豊かな選択肢があるEC業界」を目指し、中小ネットショップ事業者の皆様の「強み」を引き出す支援を行っています。
詳しくは、コマースデザインについてをご覧ください。

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値引きや広告に頼らない販促施策を中心に、小さな会社や1人事業のための業務改善・組織運営術など、経営全般の支援をしています。

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