2019/1/17追記:読者の方から情報提供いただいた内容を追記しました。
楽天出店者の皆さん、2019年1月31日から楽天ペイで「後払い決済サービス」が開始されますね。
基本的に全店舗、楽天ペイのフローでの導入必須です。後払い決済をやっていなかったお店も、独自にやっていたお店も対応する必要があります。放置していると、サービス開始後に対応方法がわからず業務に支障がでたり、(まれにですが)代金保証が適用されないケースに当たって損をしたりなどの可能性も…。
そこで今回は、「そもそも後払い決済とは何か」から、「お店側はどうすべきか」まで、前提と対応案をまとめてご紹介します。トラブルなく導入を迎えるための手引きになれば幸いです。
※なお、「業務に支障が出るのは避けたい!」「安心して導入作業を進めたい!」という方ために、便利な導入チェックシートや、お客さん向けの告知文のテンプレートをご用意しました。無料でお配りしています。記事とあわせてご活用ください。
何が起きている?(要約)
まずはじめに、今、何が起きているのか、要点をお伝えします。
ざっくりまとめると、
- 楽天ペイに「後払い決済」が追加導入される(1月31日開始予定)
- お店のサービス利用審査は自動で進行、通れば導入確定
- 換金性の高い商品などを扱う一部のお店以外、基本的に導入回避はできない
こうした動きが、2018年12月現在、進められています。
楽天から、身に覚えのない「後払い決済の審査通過結果」が届き、驚いたお店さんもいるかと思いますが、それはこの「後払い決済」の導入準備によるものです。
楽天側としては、「後払い決済」を全店導入することで、お客さんの満足度とお店の売上を両方ともアップさせたい意図があるようです。
「後払い決済」は楽天ペイのその他決済方法と同様、決済フローは楽天側で代行されるため、店舗側に手間が増えることはなさそうです。また、お客さんの未払いが発生した際の、保証(立て替え)もあります。
しかし、例外的にお店側がデメリットを被るケースもありそうです。(保証外のケースに当たり、代金が支払われず、損したりなど)
こうした事態を避けるため、リスクの起こる可能性がある例外ケースも把握した上で、導入の準備を進めていただきたいと思います。(これから詳しく説明します)
後払い決済って何?
では、楽天ペイの「後払い決済」とは、どんなサービスなのか。
よくわからない方に向けて、仕様を整理します。
これまで後払いサービスを使ってこなかった方は、要旨を確認しておきましょう。(すでにご存知の方は、適宜お読み飛ばしください)
「後払い」の概要
そもそも後払い決済とは、「お客さんが、商品を受取った後に、コンビニや銀行で代金を振り込む決済方法」のことです。
後払いというと、「先に商品を送ってしまって、もし、お客さんが支払いをしなかったらどうなるの?」と不安に思われるかもしれませんが大丈夫です。規定の取引き条件を満たしていれば、お客さんが代金未払いだったとしても、後払いサービスには立替え払いをしてくれる保証があります。(保証の上限は設定されていないようです)
お客さんには「詐欺にあわない安心感」や「お金の都合を後で付けられる」メリットが。そしてお店には、「売上アップの可能性」といったメリットがあります。(詳しくは後述します)
楽天ペイの後払い決済の仕様
今回の楽天ペイ版の仕様は、ざっくり以下のとおりです。
※立替払いが解消となる条件は、現時点で未定で、詳細条件が固まり次第、ガイドラインに盛り込まれる予定とのことです。
現時点の発表内容から読み取れる見どころとしては、大きく3点あります。
1:全店舗、楽天ペイのフローで導入必須
まず、全ての加盟店が、楽天の指定する後払いサービスを導入せねばならない点です。
これまで後払い決済を実施していなかったお店はもちろん、独自に後払いサービスを提供していたお店も、楽天のシステムに切り替えねばなりません。当然、新フローに向けた対応が必要になります。
2:代金が入金されないケースもある
次に、代金が入金されないケースもある点です。店舗側の過失やお客さん都合などで、注文がキャンセル(=売買取引不成立)になった場合は、代金は入金されません。まあこれは当然ですよね。
ただ、未払いが発生した際、規定の条件を満たしていないと、保証(立て替え)がされないケースがあるようです。(詳しくは後述します)
3:入金サイトは楽天ペイと同様
最後に入金サイトです。「後払い」ではありますが、入金のフローは通常の楽天ペイと同じ、当月末と翌月15日の2回です。なので、キャッシュフローが遅れて困るような心配はなさそうです。(先述した条件さえクリアしていれば、ユーザの支払い状況に関わらず、楽天市場が立替えて入金をしてくれる模様です。)
導入のメリット・デメリット
概要がつかめたところで、今回の後払いサービス導入で想定されるメリット・デメリットを、もう少し詳しく考えてみます。お客さん側とお店側と双方の観点でまとめます。
メリット
まずはメリットから説明します。
お客さんは「安心感」と「支払いタイミング」が嬉しい
お客さん側のメリットには、たとえば、「詐欺にあわない安心感が得られること」や「支払いタイミングを自分の都合にあわせられること」による決済のしやすさが考えられます。
まず前者の「安心感」ですが、最近は、ネット通販の詐欺事件(注文したのに商品が届かない、カード情報を奪われたなど)も増えていますよね。楽天のような大手モールの買い物であっても、前払い決済に不安を感じる人もいます。こうした方には、後払いで先に商品を受け取れるのは、大きな安心材料になります。
次に後者の「支払いタイミング」。後払いなら、与信審査さえ通れば、今、手元に満額のお金がなくても商品購入ができてしまいますから、"給料日前、あとでお金は都合付けるから、いち早く商品だけ入手したい!"といった方に喜ばれます。
お店は「転換率アップ」が嬉しい
一方、お店にとっては、「転換率のアップ(=売上アップ)」が何よりも嬉しいところです。先述したお客さんの「安心感」や「支払いタイミング」のメリットが、そのまま売上に上乗せされる可能性があります。
ファッションECモール「ZOZOタウン」の”ツケ払い(後払い)”サービスの盛り上がりは覚えていますか。2016年の開始から1年足らずで100万人が利用するなど、大きく話題を集めましたよね。ECの後払い需要を世に知らしめた、大きな出来事でした。
このツケ払いに象徴されるように、後払い決済には、売上を伸ばす大きなポテンシャルがあると考えられます。これまで後払い決済を導入していなかった店には、購入率を伸ばすチャンスと言えそうです。
デメリット
とは言え、良いことばかりではありません。今度はデメリットやリスクの方を見ていきましょう。
お客さんには手数料がかかるくらい
実は、お客さんにとってのデメリットは、そんなにありません。
多少の手数料が発生するくらいのもので、基本的にはメリットを感じるお客さんの方が多いサービスだと言えます。
お店には、料金が支払われない可能性が
一方で、お店側にはデメリットがゼロではありません。
まず起こりうるデメリットとしては、代金の未納トラブルです。
ガイドライン内には、こうした記述がありました。
- 「楽天が指定する配送方法を利用し、着荷確認が取れた取引であれば、代金が支払われる」
- 「楽天が指定する配送方法以外を使用し、ユーザが商品の未着等を理由に代金の支払いを拒否している場合は、立替払いの返還が発生する場合がある」
こちらを解釈すると、以下のようなケースでは、代金支払いがされないというように受け取れます。
- うっかり追跡出来ない配送方法(定形外郵便や、佐川の飛脚メール便など)で、後払いを受けてしまった
- 登録した追跡番号が間違っていて、着荷確認が取れない
こうした人為ミスが起こらないよう、受注担当者は注意が必要です。詳しくは後述します。
受注フローの懸念も…
また、お店側のリスクとして、導入時の受注フロー変更対応の懸念もあります。
概要でもまとめたように、今回の後払いサービスは、全店舗、「楽天ペイのシステム」にあわせなくてはなりません。
つまり、これまで後払い決済を実施していなかったお店も、独自に実施されていたお店も、新しい受注フローに変わってしまう可能性が高い…ということです。
特に、他モールや本店でも「後払い」決済を導入している場合は要注意です。「楽天だけ別フローでの受注」になるなど、オペレーションが煩雑になる恐れもあるからです。
例えば、楽天ペイの「後払い決済」手数料は、一律250円です。
支払いが可能な機関は「コンビニと銀行」のみで、郵便局払いには対応しないようです。
こうした条件が、現在導入している「後払い」と異なる場合には要注意ですね。
何をどう準備したら良い?
では、楽天出店者は、今回の楽天ペイの後払い導入に対して、どんな準備や対策をすべきなのでしょうか。
ここまでに着目したデメリット、
- 料金の未回収リスクをどう防ぐか?
- 受注フローが変わってしまうことにどう対処するか?
この2つについて、それぞれ対策案を考えていきましょう。
どちらも、ページ内に後払いの案内を追記したり、新しい決済フローを確認して受注業務を見直したりなど、細々とした対応が想定されます。
「大変そうだ・・」と思った方のために、便利な資料を用意しました。後払い導入前の「準備チェックリスト」&「コピペで使える案内文面テンプレート」、です!これを見て頂くと、自分で考えて対応するよりも、ずっと効率的に切り替え作業を進められるはずです。無料でお配りしています。
代金未回収対策
まずは、代金未回収リスク対策です。
社内で(特に受注担当者)注意点を周知しておいてください。
後払いに使用可能な配送方法を把握しておく
「未回収」という事故の予防のためには、情報を把握しておく必要がありますよね。
「後払い決済」に使用できる配送方法は、現時点では以下の通りとなっています。
宅配便 |
楽天市場による指定配送会社で配送伝票番号等による配送状況の追跡、着荷確認が証明できる配送方法
(※「楽天市場による指定配送会社」というのが具体的に何を指すのか、ガイドラインを探したのですが特定できておりません。これから詳細が発表されるのかもしれませんね。ご存知の方は、是非情報を教えて下さいmm)
(2019/1/17追記)
「楽天市場による指定配送会社」とは、下記の11業者を指すようです。
ヤマト運輸・佐川急便・日本郵政・西濃運輸・西武運輸・福山通運・名鉄運輸・トナミ運輸・新潟運輸・エコ配・日通通運
メール便 |
メール便サービスの中で、現在「楽天ペイ 後払い」には、以下のもののみ対応可能です。
ヤマト運輸:ネコポス
日本郵便:ゆうパケット、レターパックライト、特定記録郵便
(2019/1/17追記) 読者の方から情報提供があり、下記のように情報を追加しました。 実際に楽天のサポートデスクに確認いただいた内容ですが、詳細が気になる方は、ご自身で最新情報をお調べいただけますようお願いします。
※追跡オプションを付けていない「定型外郵便」や、部外者が追跡を行えない佐川の「飛脚メール便」で荷物を送っている場合、着荷確認が取れず、代金が支払われない可能性があります。うっかり「後払い決済」を適用しないようにお気をつけ下さい。
「定型外郵便」や「飛脚メール便」を使用していても、支払い方法に「後払い」を適用できるやり方もあるようです。楽天ペイでは、配送伝票番号の登録がない注文データでも、注文ステータスを「発送完了」に移動し注文確定されれば、後払い代行業者からお客さんに、商品代金の支払い用紙は発送されるようです。
ただし、支払い用紙が発送された後の「入金督促」までは、サービス範疇に含まれないようで、もしも該当のお客さんが「商品が届かない」と申告した場合、店舗側で着荷証明を提示できない限り、商品代金は入金されない(もしくは、立替え金の返還が求められる)ケースもあり得るとのことです。
「追跡可能メール便」を設定しておく
2018/11/28(水)以降、RMSの配送方法設定で「追跡可能メール便」という選択肢が増えました。
(既存の選択肢にあった「メール便」は、11/28以降は「追跡機能がないメール便」と見なされます。)
この設定をしておくことで、後払いの未払いリスクを、システムが回避してくれます。
どういうことかというと、お客さんが「追跡可能な配送方法」が設定されている商品以外を注文した場合には、そもそも「後払い決済」が選択されることがなくなります。
そこで、メール便を使用している店では、配送方法設定の登録を、見直しましょう。場合によっては、「メール便」と「追跡可能メール便」に分けて再登録する必要があるかもしれません。
「追跡可能メール便」には、楽天が後払い決済に使用可能と定めた上記サービス内で(ネコポス、ゆうパケット、レターパックライト、特定記録郵便)自店舗で使用しているものを適用しておきましょう。
追跡番号の登録ミスに注意
「追跡番号の登録」は、お客さんに迷惑が掛からないよう、日頃からミスがないように気をつけて運営されていると思います。
ですが、「後払い決済」の注文で登録ミスがあると、コスト面での損害も出てしまうことが想定されますから、一層注意していきましょう。
受注対策:早めに切り替え準備を進める
楽天ペイの後払い決済導入にともなって、受注フローが切り替わってしまう場合は、来年1月31日のサービスインまでに、社内で下記のような準備を整えておきましょう。
- (現在独自で後払い決済を導入している場合)新フローへの切り替えの計画
- 新オペレーションの確認(受注〜発送の流れはどうなるか?)
- サイト上の案内変更の準備(支払い方法やFAQページ、備考欄の更新など)
- 受注時に使う、お客さんへの案内用テンプレートの準備
それぞれ細々とした準備や文面執筆など各種対応が必要になります。
やり漏れのないように、ダウンロード資料「チェックリスト」を使っての対応がおすすめです。
悪質なユーザが増える懸念も
通販を利用する人の中には、最初から代金を踏み倒すつもりで注文をするような悪質なお客さんも、どうしても一定数混じってきます。
こうした注文は、どの決済方法でも起こり得ることですが、特に「後払い」では顕著です。手元にお金がなくても商品を手に入れることが出来てしまうからです。
悪質注文への対応コストは割と高い
例えば、注文処理完了後に、お客さんから「思っていたのと違った」などとゴネられ、キャンセルとなった注文があった場合の処理を想定します。
「楽天ペイ」では、代金に関するやり取り(返金など)は、楽天が代行してくれますが、商品の回収に関するお客さんとのやり取りは、店舗側で対応しなくてはなりません。
こうなると、送付済みの商品をどように扱うかについて、お客さんとのやり取りの手間が膨れます。かといって面倒だからと放置すれは商品をみすみす無駄にしてしまう…と、このように、お店にとっては面倒なことが起こるリスクがあるわけです。
わざとイチャモンを付けるような悪質なお客さん、は予め除外しておきたいですよね。。
「悪質なユーザ」をけん制する
こうした悪質なユーザ"だけ"を遠ざけるためには、『一部のご注文に対して、ご本人確認など事前確認をすることがある』旨をページ内やカゴ内の備考欄に追記するのが有効です。
具体的には、
- 電話で本人確認を挟んでから発送する場合がある
- 着荷確認できる配送方法に変更する場合がある
といったことを書きます。(そして、対応できるようフローも準備しておきます)
これはいわば「"セコムのシール”を貼る」ようなもので、一般の問題のないお客さんを遠ざけることなく、ヨコシマな気持ちで注文しようとしている人だけをけん制する効果があります。※できるのは、けん制までで、100%困った注文を回避できるわけではありません。
もちろん、実際には、全てのお客さんに確認を挟む必要はありません。
- 同一商品を多数注文
- 住所や氏名の表記に不自然な点が多い
- 送付先がマンスリーマンション・コンビニ・ホテル・転送会社
など、怪しげな注文に対してのみ対応を行えば十分です。善意の一般のお客さんを巻き込まないようにしましょう。
おわりに
先日の「商品画像登録ガイドライン」しかり、今後も楽天では、ルール変更による対応作業や業務見直しが続くと想定されます。
弊社のECコンサルティングでは、施策提案やご相談をお聞きするのに加えて、こうした楽天の変化情報をまとめて解説する「会員向けメルマガ」も毎週提供しております。そして、多くのクライアントさんにご活用を頂き、喜びの声を頂いています。
お一人でお店を運営されていて、
- 相談相手がほしい
- サポートニュースがわかりづらくて、どうしたらいいかわからない
- そもそも、楽天の最新情報を集めることもできてない
とお悩みの方は、弊社がお力になれるかもしれません。詳しくは以下のページをご覧ください。
この記事を書いた人
- 有名EC企業にて、店舗の立ち上げから店長まで一連の運営業務を経験し、実績を重ねる。その後、食品メーカーに転職、衰退した人気店の建て直しに尽力。2年間でアクセス数4倍、転換率2倍とし、再成長させる。メーカー型、仕入れ型、大規模、小規模共に経験している守備範囲の広さが強み。ネットショッピングが大好きで、女性ならではの柔らかい物腰の中に、鋭いお客目線が光る。