この記事の内容には、古い情報が含まれています。楽天ガイドラインの大幅な内容変更が発表され、大きく状況が変わったので、新しいブログ記事を書きました。 新しい記事はこちらからお読みください。
楽天出店者の方に向けた注意喚起です。
2019年3月1日から、楽天市場では、「オプション注文の新ルール」の罰則化が始まります。具体的には、項目選択肢や備考欄でオプション注文を受け、注文金額を後から変更するのが違反対象になります(例外はあります)。
『商品画像登録ガイドライン』の影で忘れられがちですが、こちらも違反対象なので放置は厳禁。なにせ、違反点数は20点!商品画像違反(5点)の4倍です!ある意味、商品画像登録よりマズいかもしれません…。
そこで今回は、商品画像対応で忙しい方でも、必要な部分を拾い読みできるよう「Q&A形式」でお届けします。目次をながめて、疑問に思ったところをサクッと確認してみてください。
ざっくり言うと?
まずは以下、要点をざっくりまとめます。
忙しい方は、ここで重要なポイントだけでも把握しておきましょう。より詳しく知りたい方は、後述するQ&Aをお読みください。
- 起こること
- 楽天で「項目選択肢などで有料オプション注文を受け、注文金額を後から変更すること」が罰則化
- 2019年3月1日から違反点数20点の対象に!
- 今後はオプション品もカゴで決済してもらう必要あり
- 詳細
- オプションとは、付属品や付属サービスの販売のこと。
- 「PCにウイルスソフトを付けて+5000円」「有料ラッピング+100円」みたいなプルダウン指定での受注がNGに
- 「見積もり商品」「遠方への送料加算」などはOK
- ただし、OK・NGの定義に曖昧な点あり。不安な点は楽天へ確認必須。
- ユーザーや消費者庁からの指摘を受けての規制とみられる。
- オプションとは、付属品や付属サービスの販売のこと。
- 対応
- 楽天的には「組み合わせ販売機能」の活用を推奨
- 組み合わせ販売が使えないケースでは、別の対策が必要
- RMS側のオプション販売機能の実装は現状未定
- 気をつけるべきこと
- カゴを分割する場合など、売上への影響リスクもあり
- 対応は手間。スケジュールを立てて進めないと間に合わないかも
詳細、経緯は?
ここから詳しい話に入ります。
ガイドラインには何て書いてあるの?
A. ガイドラインには以下のように書いてあります。
▼禁止対象
- 「本来買い物かごにて商品登録を行ったうえで取り扱うべき有料商品を、項目選択肢等を用いて商品登録せずに取扱う行為を禁止する」
- 「オプション商品等の有料商品を、項目選択肢を用いる等して商品登録せずに取扱うことを禁止する」
▼例外もある
- 「商品の性質上予めの販売価格の確定が難しく、金額修正が発生せざるを得ない商品(見積もり商品等)について、詳細見積もり実施後にやむを得ず金額修正を行うことや、一部地域の送料などを金額修正すること等に関しては今回の禁止対象には含まれません。」
難しい。つまりどういうこと?
小難しくてよくわかりませんよね。なので、大胆に翻訳してみます。
本件は、要するに、『有料オプション商品は、商品登録の上、商品として販売してください』ということです。
お客さん側の目線に置き換えると、『決済画面で、最終的な支払い金額が表示されるようにしてください』とも言えます。
聞いたことがない、初耳なんだけど?
A. いえ、実は前々からサポートニュースで案内されていました。
そもそも「項目選択肢等を用いた有料オプション商品の販売」云々のタイトルが分かりづらいので、見逃されたかもしれませんが、RON会議室の検索ボックスで検索してみると、当該ニュースがヒットします。
(画像引用:楽天市場)
18年12月には「よくある問い合わせへの回答」も追加されています。(詳しくはRMSをご覧ください)
うちに関係あるの?
A. はい。私が認識する限り、関係するショップは多いと思います。
こんな場合は関係します
例えば、あなたのお店では、こんな販売方法をしていませんか?
- パソコンの商品ページで、「ウイルスソフトがプラス5000円で付けられます。いかがですか?」とオプション商品をプルダウンで提案・販売する方法
- 上位グレードの商品を「スペシャル版を希望する人は+1000円(ご注文後に料金を加算します)」とオプション商品をプルダウンで案内、販売する方法
これらは全てNGです。心当たりのあるお店は、期日までに上記のような提案をすべて取り下げなくてはなりません。
こんな場合は大丈夫です
一方で、例外もあります。例えば、以下の3点は例外として認められています。
- 商品の特性上、予め販売価格を確定できない「見積もり商品」
- 一部地域の送料加算・修正
- 請求金額の「減額修正」(減らす分には違反にならない)
自店舗の販売方法が上記例外に当てはまるのか不安な場合には、楽天窓口へ確認を取るのが確実です。違反点数も関わりますので「大丈夫だろう」で済まさずに裏付けを取りましょう。
対応しないとどうなるの?猶予はいつまで?
A. 2019年3月1日から、違反点数20点が加算されます。2月末までに対応必須です。
楽天では、規約違反のお店だと認定されると、違反点数が加算されます。そして違反点数が累積すると、ペナルティや罰金が課せられます。ですから、違反のないよう、ルールを守らねばなりません。
想像してみてください。
もし仮に、楽天からNGの指摘を受けて、早急に対応せねばならなくなったとして。
- 自分のお店はどう対応すべきか方針を考え、
- それに合わせて、外灯する商品ページをすべて修正し、
- 注文対応オペレーションも見直す
これらを即座に対応するとなると、結構な手間がかかりますよね。しばらく対応につきっきりとなり、受注やページアップなどの仕事も回らなくなるかもしれません。
ですから、本件は、ギリギリまで放置したり、言われてから直したりといった対応は難しいと思われます。日常業務に支障をきたさないためにも、期日までには、切り替え準備を済ませておくことをお勧めします。
今更どうして、こんな規制を?
A. ユーザトラブルを防ぎたい意向からだと見ています。
項目選択肢や備考欄での販売は、いわば直接カゴを通さない形での購入です。そのため、お客さんは、決済前に自分が支払う金額を、画面で正しく確認できないことになります。
当然、支払いに不安を感じたり、金額で混乱したりするお客さんがでてくるわけで、そこからトラブルなどに発展していたのは容易に想像できます。(実際に、楽天のリリースにも、ユーザーや消費者庁から指摘があったような記述が見られました)。
楽天としては、こうした問題を解決したいのだと思われます。
元楽天店長のつぶやき
とはいえ。事情はわかるものの、やり方としてちょっと強引だよなぁ…と思うところは正直あります。
そもそも、項目選択肢などでのオプション販売は、RMSのシステム上に「有料オプション設定機能」がなかったがために生まれた施策です。不便に対応すべく、店長たちが腐心してはじまったんです。それを「違反」という形で収束させるというのは、正直、元楽天店長としても、ちょっと疑問です。。
ただ、すでにYahoo!ショッピングで「有料オプション設定機能」が実装済みなことを考えると、楽天も遠からず同システムを開発していくのではと思います。(※あくまで私個人の推測です)
といっても、ガイドラインが罰則化する3月よりも前に、機能実装が間に合うことは無いだろうと思うので、今の仕組みの中で出来る対応を考える必要はあります。
どう対応したらいいの?
最終的にはどうなればいいの?
A. オプション商品も、カゴで決済できるようにしてください。そして、決済画面で、最終的な支払い金額が表示されるようにしてください。
今後は、オプション商品を商品登録し、カゴで一緒に決済してもらう必要があります。
たとえば、パソコンに「ウイルスバスター(5000円)」をくっつけて販売したいのであれば、「ウイルスバスター(5000円)」を商品登録して、PCと一緒に決済してもらう方法を検討します。
「一緒に決済」ったって、どうするの?
A. まずは組み合わせ販売機能の活用がおすすめです。
もちろん、ただウィルスバスターのカゴを用意するだけでは、一緒に決済してもらえませんよね。カゴ回りのプルダウンが使えなくなれば、当然、お客さんもオプション提案に気が付きにくくなりますし。ですから、引き続き注文してもらえるように工夫が必要です。
楽天としては、「組み合わせ販売機能」を使って、本商品とオプション商品を同時購入できるようにしておく方法を推奨したいようです。
※「組み合わせ販売機能」とは…
任意で選んだ自店の商品を、複数まとめて、カゴに追加できるようにするボタンのことです。ページを作り込む手間は不要で、RMSの簡単な設定のみ用意できます。PC・スマホともに、カゴボタンの下に配置されます。
ウチの商品は組み合わせ販売機能じゃ足りないよ…
A. この場合は、手作業で対応するしかありません。
但し、「組合せ販売機能」は全てのケースで使えるわけではありません。
例えば、
- 項目選択肢でSKUが設定されている商品(ファッションは大変です…)
- オプションの数が多すぎて「組み合わせ販売機能」でまかないきれない場合
これらの場合は、残念ながらうまく設定することは難しいでしょう。ですので、こうした場合は、
- 自力でHTMLを組んで、ページ内で同梱提案をする
- 本体+オプションのセット商品を用意して販売する
などの対策を考える必要があります。(なかなか大変です)
面倒くさいんだけど?
何かいい方法はないの?
A. 現状は1つ1つやるしかありません。
19年1月末時点では、まだRMS側で、「有料オプション設定機能」は実装されていません。そのため、1つ1つ対応していくほかないのが現状です。
簡単に対応できるような機能追加はないの?
A. 現状は特に発表はありません。楽天が早期に対応してくれることを願うばかりです。
先述しましたが、すでにYahoo!ショッピングでは、「有料オプション設定機能」が実装済みです。楽天も遠からず同システムを導入してくれることを期待したいですね。。
ページで分からないようにこっそりやれば平気?
A. だめでしょうね。
項目選択肢のプルダウンなどの商品ペーシ上の表現のみならず、「後から金額変更が発生する販売方法」全般が当てはまります。
カゴ内の備考欄で「有料ラッピング希望」に○をつけてもらい、受注時に料金を加算する方法もNGだそうです。
じゃあ、何から手をつけたらいいの?
A. 要旨を理解して、曖昧さをつぶすことからはじめましょう。
以下詳しく説明します。
まずはガイドラインの把握
まず手始めに、ガイドラインの内容をしっかり把握することが先決です。
- どういったケースがNGに当たるのかを正しく把握する
- 自分のお店がNGに当たる行為をしていないかを確認をする
ここがすべての出発点です。
曖昧さを潰す
今回のガイドラインは、かなり曖昧な部分を残しています。(具体的な事例がまったく書かれていないなど)
例えば、『一体どういう商品が「見積り商品」と見なされ、ガイドラインの対象外になるのか』の定義も、フワフワとしています。
曖昧な部分があっては、なかなか安心した対応も進めようがないというもの。最終的にジャッジできるのは楽天だけですので、判断がつかないものは、早めに楽天の窓口に問い合わせて解決しておきましょう。
方針立てとスケジューリング
自店舗で必要な対応が見えたら、具体的に、
- どう修正対応を進めるか
- どんな障害が考えられるか
- 期日までに終わらせる作業時間は足りているか
など、社内で対応方針やスケジュールを固めておきましょう。
こんな場合はどうなるの?
ラッピングサービスもダメなの?
A. 有料ラッピングの場合は、対応が必要です。
ラッピングサービスが無料であれば、特に気にする必要はありません。問題なのは有料ラッピングです。そのまま、プルダウンで有料ラッピングを申し受けると、違反になります。
考えられる対処方法は大きく2つ。
(1)RMSの「ラッピングの設定機能」を使う
(2)有料ラッピングを商品として登録する
前者は、商品を購入した後に、商品カートの中で有料ラッピングを選ぶことができるというRMSの機能です。これを使えば、プルダウンや備考欄でのオプション請求は避けられます。(詳しい導入方法は楽天のマニュアルをご確認ください)
後者は、その他の商品と同じように、「有料ラッピング」を商品として登録し、一緒に決済してもらう方法です。商品と一緒に有料ラッピングをカートに入れてもらうように、組み合わせ販売機能に登録したり、回遊動線を設置するというやり方になるでしょう。
遠方・離島の送料請求はどうなるの?
A. 送料加算に関しては、対象外です。安心してください。
一部地域への送料加算に関しては、今回のガイドラインの対象外という風に明記されていました。送料アップ用の商品登録は不要です。
※ちなみに、送料加算に関しては、近々RMSのシステムに「商品ごとに地域別送料を設定できる」機能が追加予定です。恐らくこの機能により、この問題は解消されるでしょう。(これはうれしい開発ですね!)
見積もり商品ってなに?
A. 条件次第で販売価格が変動し、金額修正が発生せざるを得ない商品のようです。
楽天の発表によれば、見積もり商品とは、「商品の性質上予めの販売価格の確定が難しく、ユーザ確認後に金額が確定するため金額修正が発生せざるを得ない商品」とのこと。
かなり曖昧ですが、要するに、「追加されるオプション金額が一定ではなく、条件や状況に応じて注文金額が変わる」ようなケースを指すようです。(リフォームや、フルオーダーの家具などが該当するのかな…と見ています)
こうした商品に関しては、今回のガイドラインの適用外となる可能性があります。見積り商品として認識されるのであれば、今のまま販売を続けることができます。自分の店で扱っているのが見積り商品にあたるかどうか、先に楽天に確認しておきましょう。
量り売りは見積もりに入る?
A. 楽天に確認するのが無難です。
グラムやセンチ単位の販売など、いわゆる「量り売り」商品は、一般的には見積もり商品の一部だと考えられます。
ですが、楽天のよくある質問資料の中で、『1,000円で商品登録し、オプション商品代金が2,000円の場合は2個購入いただき、3,000円の場合は3個購入いただく』という方法が推奨されていました。
ここから推測すると、恐らく量り売り商品は、1単位あたりの料金を設定し、必要な数量をお客さんに購入してもらう…というのが楽天の想定だと思われます。
※不安な場合は、必ず楽天に確認を取っておきましょう。
他にもわからないことがあるんだけど?
A. 都度、楽天に確認しましょう。
先述していますが、今回のガイドラインは、かなり曖昧な部分が多いです。
具体的な事例1つ1つを想定したリリースにはなっていないので、不明な点は、積極的に楽天に質問して、裏付けを取るようにしてください。
気をつけるべきことは?
売上への影響は?
A. 起こりえます。特にカゴを分ける際は要注意です。
たとえば、通常版と豪華版を1カゴでやっていたのを2つに分けるなど、1つのカゴを分割する際は、必ずレビューを引き継げない商品、つまり「事実上の新規登録」になる商品がでてくることになります。
楽天では、商品の売上やレビュー数・評価が、検索順位に影響していますから、新規に回る商品は、検索順位や転換率向上で不利になる可能性があります(レビューの引き継ぎ方を誤れば、売上が激減なんてことも…)。
ですので、カゴを分ける場合には、
- どの商品にレビューを引き継ぐのか?
- どうお客さんを、分割された各商品ページへ誘導するか?
など、念入りに計画を練っての対応をおすすめします。
作業上の注意点は?
A. 一番気をつけたいのは、対応が間に合うかのスケジュール立てです。
本件は、『商品画像ガイドライン』と並走する形になります(罰則化までの対応期日が同じなんです)。そのため、対応時間もかなり限定されてしまうお店も多いと想定されます。
肝心のガイドラインも曖昧な点が多いので(詳しくは先述)、いざ作業する段階になって、どうしたら良いのか、悩んでしまうだろうことも予想されます。
また、対応内容によっては受注フローなど、オペレーションも変わってしまう恐れがあります。出荷現場が混乱しないように、何を準備する必要があるのか、事前にタスクを整理して、計画を立てておきましょう。
ルーチン化も考えよう
なお、このガイドラインは、今後もずっと各商品ページに適用され続けていくものです。ガイドラインの内容は必ず社内に周知し、これから登録する新商品で誤って違反行為をしてしまわないようご注意しましょう。
まとめ
最後に特に大切なポイントをまとめておきます。「何だっけ?」と思うものがあれば、本文に戻って確認しておきましょう。
- 今後は、有料オプション商品もカゴを通して決済してもらいましょう
- 2019年3月1日までに対応しましょう。守らないと20点の違反です
- 例外商品の定義が曖昧なので、不安な点は早めに楽天に確認しましょう
- カゴを分割する際は、売上を落とさないよう注意しましょう
おわりに
本件を「ガイドラインの対応」と捉えると、作業も大変で、気持ちも重くなるかもしれません。「違反になっちゃうし、しょうがないからやるしかない」というお心持ちの方も多いのではないでしょうか。
ただ、楽天もやみくもにガイドライン設定をしているのではなく、ちゃんと『お客さんにとって親切なサイト』を目指して動いているのだと思います。
本件もお客さんを安心させる施策の1つですので、忙しく、大変な中ではありますが、少しずつ作業を進め、対応を完遂させましょう。
P.S)日頃からお客さんの立場でお店を見よう
ちなみに、日頃から、『この販売方法はお客さんにとって分かりやすいだろうか?』『お客さんにとって利益が大きいだろうか?』という所から考えて、店構えやサービスを見直していれば、毎回こうしてガイドラインに振り回されずとも、自然と対応が済んでいる状態になれる…かもしれません。
今後もガイドラインのリリースは続くでしょうし、『お客さんの立場になって』運営に臨んでいくのも大切ではないかなあと思います。
P.P.S)弊社がご相談にのります
といえ、「自分ではなかなかお客さんの立場になれない」「勘所がつかない…」なんてこともあるかと思います。そんなときは、弊社がお力になれるかもしれません。
弊社のコンサルティングでは、こういったネットショップ運営の相談をお受けしています。興味がある方はこちらをご覧下さい。
この記事を書いた人
- 有名EC企業にて、店舗の立ち上げから店長まで一連の運営業務を経験し、実績を重ねる。その後、食品メーカーに転職、衰退した人気店の建て直しに尽力。2年間でアクセス数4倍、転換率2倍とし、再成長させる。メーカー型、仕入れ型、大規模、小規模共に経験している守備範囲の広さが強み。ネットショッピングが大好きで、女性ならではの柔らかい物腰の中に、鋭いお客目線が光る。