こんにちは、味藤です。今日はネットショップの「データの見方」についてお話します。
コンサルタントをしていると、「データが苦手」というネットショップ店長さんとよく出会います。もちろん、中にはKPIを設定し、毎日データを見て改善を続けている、という方もいらっしゃいますが、圧倒的に少数派です。
以下のどれかに当てはまる方は、このブログを読んでみてください。「データと友達になれる」とまでは言いませんが、「データへの苦手意識」は少なくなるはずです!
- 数字を見るのが苦痛。データのどこを見たらよいのか分からない。
- 「アクセス数」や「転換率」などのデータは毎日チェックしている。だが見るだけで終わっており、活用できていない。
- データに基づいた店舗運営ができていない。自分の店に必要な施策が何なのか自信が持てない。
KKD(勘・経験・度胸)だけで運営していると、一見上手くいっているようでも、何か問題が起きたときに正しい手が打てなかったり、成果の出ない施策に時間を費やしてしまったりと、無駄が多く、常に「これでいいのだろうか?」と悩みながら進むことになります。
そこでこのブログでは、初心者の方のためのデータの見方・使い方をお話しします。
コツは「データを塊で見ず、一口サイズにすること」。苦手な食べものでも、小さく切ったり細かくすれば、食べやすくなりますよね!データもそれと同じです。これを読んで少しでも、「データを見るのってそんなに難しくなかったんだ・・!」と思う人が増えるとうれしいです^^
どうしても、データは見ないとダメ?
ここに来ても、そもそも「絶対データを見ないとだめ?」と思う方がいたら、全力で「yes」と答えます。
理由は、前述のとおり、データを見ずに感覚頼みで運営した場合、いまやるべきではない、見当違いの施策に、貴重な時間を使ってしまうことが非常に多いからです。
これは、忙しいネットショップ店長や経営者にとって、大きなマイナスですよね。忙しいのに、無駄なことに時間をかけるのは、穴の開いたバケツに水を注ぎ続けるようなものです。
データ苦手運営「2つ」のあるある
そこで、そのバケツの穴を埋めるために必要なのが、データを見ることなんです。データの中には、自分の店が今すべきことのヒントが隠れています。まさに宝の山です!
しかし、データが苦手、見てるけど使い方がわからない、という方の多くは、その宝の山を無視して、以下の「あるある」のどちらかの状態であることがほとんどです。
あるあるその1:売上の低下原因がわからない
当社に寄せられるご相談の中には、「売上が下がってしまい、回復させたい」というお悩みが少なくありません。しかし、打ち手として、「まずは、サイトをリニューアルしようと思っています」と書かれていることが非常に多いです!
なぜか?それは、見た目にわかりやすいからだと思います。「長く運営してきたけど、しばらくそのままだし、古い感じもするから、きれいにしよう」というのは、サイトを見れば思いつきやすいことです。おそらく、知り合いや家族に聞いても、ページについての「もうちょっとこうしたら?」というアイデアはたくさん出ると思います。そのくらい、目に見えるのでわかりやすいですから。
が、しかし、売上が下がった原因が「アクセス数の悪化」だったとしたら、その対処としては、サイトのリニューアルは正しくありません。なぜなら、アクセスが少ない=サイトを見るお客さんが減っている(少ない)ということですから。
この場合、真っ先にすべきなのは、アクセス数UPのための、集客施策ですよね。
あるあるその2:売上のあげ方がわからない
また、下がりこそしないけど、売上がずっと横ばいで、成長が頭打ちという状態が続いている人も多いです。こういった場合、もしかすると、ルーチン業務以外の空き時間に、成長に繋がらないことをしてしまっているかもしれません。(これ、私がそうでした。)
「売上アップにつながるはず」と信じて続けているその作業も、ひょっとしたら無駄なことかもしれません。仕事に無駄なものなんてない、何かには繋がっていると信じたい!理想はそうですが、現実問題として数字を上向かせたいなら、その目的に見合った施策を実行していかなければなりません。
誰も読んでいないブログを書いたり、セールやポイント案内のメルマガを出すのが日課になっていたり・・・という方がいたら、その作業時間で別のことをすれば、店は前進していくかもしれません。
「一口サイズ」でデータを見よう!
今でこそ、コンサルタントとして、こんなブログを書いている私自身、前職でネットショップ店長をしていた頃は、データを活用した店舗運営なんて全然できていませんでした・・・。
一通りのノウハウ本を読んではいたので、「売上の公式」などの知識だけはありましたし、見てはいました。
「売上」=「アクセス人数」×「転換率」×「客単価」でしょう?知ってる!
でも、「じゃあ、この公式とデータを使って、自分の店の売上の伸ばし方を考えてみよう」と言われたら、途端に思考停止。つまり、聞きかじった「情報としての知識」はあっても、それを自分の店にどう取り入れたらいいのかまでは分からなかったんです。
データを見ているのと、使いこなせるのって、別ものなんだと実感しつつも、結局行動に結びつけることができず、意味もなくトップページを更新したり、店長ブログを書いたりと、思いつくままにすぐできる作業を続け、膠着状態から抜け出せずにいたんです。
そんなときに私が知った『ちょっとしたコツ』が、コレでした。
データを見ようと思うと、「全部を見なくては」と思い込みがあり、あらゆる数字を見ようとしていたんですが、そもそも数が多いのと、どこを見ればいいかわからないので、敷居が高かったんです。
でも、上記ブログでおすすめされていたデータを一口サイズで見ることなら、私にもできました。。
とはいえ、このブログはやや抽象的で、具体的な方法は書いていません。そこで、今回はデータ初心者でもわかりやすいように、具体的な方法に落として説明します。
成果を生むデータの使いみちとは?
ひとことで「データ」と言っても、ネットショップで使う指標は山程あります。でも、ROAS、CPC、CPO,CTR、CVR、LTVなどなど。ただでさえ苦手なのに、横文字でわかりにくさ倍増ですよね^^;
なので、まずは最初に必ず見るべき「基本の4つ」。「売上」「アクセス人数」「転換率」「客単価」を抑えましょう。
とはいえ、データが苦手でも、「売上」だけは、ほぼ皆さん見ていると思いますので、特に、その「売上」の構成要素である「アクセス数」「転換率」「客単価」についてを見ることが大切です。これらは把握しておくと、それぞれの数字と施策を連動させやすい「売上3要素」として、是非覚えて下さい。
【ケース1】売上の伸ばし方が分かる
もう何年もずっと膠着状態の店を、伸ばしたい場合のデータの活用方法です。
「さあ、売上のばすぞ!」と対策を考えようとしても、何から考えればよいのか迷いませんか?
ここで使えるのが、売上の公式です。
「売上」=「アクセス人数」×「転換率」×「客単価」というやつです。
EC運営者なら誰しも、目にしたことがある公式だと思いますが、使いこなせていますか?
この公式を使って、売上をつくる構成要素を「アクセス人数」「転換率」「客単価」と一口サイズに分解すると、ぐっと売上を伸ばすための計画を立てやすくなるんです。
「売上の公式」が使える!
公式は知っていても、店舗運営にどう生かすことができるかが、ピンとこないかもしれません。楽天市場の管理画面に入るとまっ先に表示されるデータですが、「ただ見るだけ」で終わっていませんか?
そういう時は、売上の公式を使って、どうすれば目標売上を達成できるのか、売上の要素を小さく分解しながら考えていきます。
まずは、現在のデータを書き写します。こんな感じで。
この店の場合、今の売上は60万円です。ここから売上を「100万円の大台突破したい!」と目標を掲げた場合、何をするとよいのかを考えてみましょう。
まず、「売上」欄に目標の100万円と記入して、計算をしてみると・・・
仮に、アクセス人数を8,333人に増やせると、100万円達成ですね!
とはいえ、現状5,000人しかアクセスがないものを、一気に1.6倍に増やすのはなかなか大変そうです。(テレビで取り上げられたり、広告を買えれば話は別ですが・・・)
そこで、その他の項目も増やすことを考えましょう。例えば、客単価を4,000円に引き上げられたとしたら、アクセス人数を6,250人にすることができれば、100万円を達成できるわけです。
こっちの方が、現実的な気がしませんか?
この数字は適当に入れたものですが、こうして3要素の数字を変化させてみることで、目標が具体的になるので、売上を実現する計画が立てやすくなってくるものです。
ここまで出来たら、
- どうやってあと1,250人にアクセスしてもらおうか?
- どうやったら客単価を1,000円アップさせられるだろうか?
と、計画を考えていきましょう。
立てた計画をやりきり、見込み通りに数字が伸びれば、100万円の売上目標到達です!
60万円を100万円にしようと思うと、何に着手すれば良いのかピンときづらいですが、目標を細かく分けることで、行動計画が立てやすくなるわけです。
こんな感じで、自分の店でも売上目標を立て、売上を達成する計画を考えてみると、データにとっつきやすくなるような気がしませんか?
3要素の数字を上げるためのヒント
なお、「アクセス人数」「転換率」「客単価」のそれぞれの要素を伸ばすための方法として一般的な施策をご紹介しておきます。
アクセス数アップ |
たとえば、アクセス数アップには、以下のような施策が挙げられます。
- 検索対策(SEO)
- 広告
- 紹介促進(クチコミ、マスコミ、アフィリエイト)
- セール・クーポン
など
転換率アップ |
- 商品ページの作り込み
- イベント企画・セール・クーポン
- 店内の回遊動線設置
など
客単価アップ |
- ついで買い・まとめ買いの提案
- 送料無料ラインの見直し(例:5,000円以上で送料無料)
- セット商品の企画
など
※ちなみに、弊社の著書「売れるネットショップ運営・新100の法則」が無料で読めます。この本の中で、各要素を伸ばす方法も紹介していますので、ぜひ読んでみて下さい。
【ケース2】売上ダウンを立て直せる
続いてのケースは、落ちてしまった売上を戻したいときのデータの活用方法です。
このケースでも、考え方は一緒です。「下がった売上を元に戻そう」と捉えると、範囲が広すぎて途方に暮れてしまいますが、範囲を一口サイズに絞り込んだデータを見ていくと、原因がつかみやすくなるのです。
「売上が落ちた」というのは、何かがこれまでと変わったことで起こるものだと考えてください。言い換えると、「売上が落ちる前と全く同じ条件に戻せれば、売上は戻る」ということです。ですから、データを見ていって、以前と変化したデータがないか探していきます。
調子が悪くなると焦りが生じ、何かしなくてはと思ってしまいがちですが、新しく売上をつくる策はそうそうありません(あれば皆んなやってます)。現実的なのは「悪くなった部分を元に戻す」策です。落ち着いて変化した部分を突き止めていきましょう。原因が分かれば、どんな対策を打つべきか、自身で判断できるようになります。
見るべきデータは、先ほどと同様、「商品ごとの売上」と、「アクセス人数」「転換率」「客単価」でOKです。見どころを詳しくお伝えします。
売れなくなった商品はないか?
「売」上は商品が売れた個数によって決まりますから、売れていた時期と売れなくなった時期を比較して、特に売れなくなった商品がないかどうかを振り返ってみてください。
もしも一部の商品だけが売れなくなっているようでしたら、それが原因でしょう。原因商品を突き止められると範囲が絞られるので、検討施策を考えやすくなります。
もしかすると、人気のSKUが品切れになっていたりしませんか?(このケース、意外とよくあります^^;)であれば、早急に在庫を追加しましょう。
また、もしかすると、ライバル店が値下げをしたことで、売れなくなっているのかもしれません。この場合は、価格を合わせることができれば合わせる。厳しいようであれば、違う強みをアピールして、戦う土俵をずらすことを検討します。
売上3要素で落ちている数字はどこか?
また、一部の商品が売れなくなったのではなく、全体的に調子が悪いという場合には、売上3要素(アクセス人数、転換率、客単価)の数字を見てみて下さい。どの数字が落ちているでしょうか?
落ちた数字が特定できたら、なぜその数字が落ちてしまったのか、直近で何か変化がなかったかを振り返ってみましょう。そして思い当たる要因が見つかれば、元に戻していってください。
おわりに
今回は、「データの見方」の入門編をご紹介しましたが、いかがでしたか?
「データは難しくなさそうだ!」ということが伝われば良いなと思います。データから、自分の店が取り組むべき施策を見つけ、無駄のないショップ運営を目指しましょう。
ブログでは一旦ここまでのご紹介となりますが、データへの苦手意識が薄まったら、ぜひさらに色々な指標を使いこなせるようになってもらいたいです。自転車と同じく、一度わかってしまえば、一生使えるスキルですので!
とはいえ、店の状況によって、データの見方は変わってくるものです。本ブログで紹介した手順を試してみたものの、やっぱり苦手意識が克服できなかったり、何をすべきか指針が必要な際は、私たちがサポートいたします。
専任のコンサルタントが、御社の状況をデータから診断しながら、「何から手がけるべきか」、的確にアドバイスをいたします。もちろん、ご自身でデータを見ることができるように、サポートもしていきます。店舗運営で困ってらっしゃる方、データを見れるようになりたい方は、ぜひコンサルティングのご利用をご検討ください。
この記事を書いた人
- 有名EC企業にて、店舗の立ち上げから店長まで一連の運営業務を経験し、実績を重ねる。その後、食品メーカーに転職、衰退した人気店の建て直しに尽力。2年間でアクセス数4倍、転換率2倍とし、再成長させる。メーカー型、仕入れ型、大規模、小規模共に経験している守備範囲の広さが強み。ネットショッピングが大好きで、女性ならではの柔らかい物腰の中に、鋭いお客目線が光る。