こんにちは、川村トモエです。
ネットショップで商品に興味を持ってもらうためには、まず、冒頭での商品アピールが重要です。「この商品を買うことで、あなた(または、あなたの生活)は、こんな風に良くなりますよ!」という「Benefit」(購入メリット)をお客さんに伝えることが必要です。(参照記事:「BEAFの法則」で売れるページを作ろう)
※この記事は、筆者が「ネットショップ担当者フォーラム」に寄稿した内容を加筆・修正したものです。
Benefit(購入メリット)の伝え方
このBenefitの伝え方は、商品特性で大きく2つに分けることができます。
「憧れ型」と「解決型」の2つです。もちろんハッキリ2つに分かれるわけではありませんが、分けて覚えておくと便利です。
何を基準に分けるかというと、ズバリ「お客さんの欲求」です。それぞれについて説明しましょう。
- 「憧れ型」商品……「ああなりたい」という、憧れを実現するための商品。
- 例:ファッション商材、家具など
- 「解決型」商品……「これをどうにかしたい」という悩みを解決するための商品。
- 例:健康食品、化粧品、洗剤など
次に、それぞれのタイプにどんな商品が適しているのかを紹介します。
「憧れ型」の商品アピールは「明るい未来」への誘い
「憧れ型」の商品アピールの表現方法は、「ポジティブアプローチ」が有効です。
例えば、可愛いくてスマートな自分、デキるビジネスマンとしての自分、美味しそうな食卓、家族の団らん、きれいな部屋など、文字通り“ポジティブ”で希望に満ちた明るい未来を描写し、「商品を購入することで、その憧れを実現できますよ」、と訴求します。
まず、商品ありきで「ステキ!」「こうなりたい!」「これ欲しい!」という感情(つまり右脳)に訴えるため、イメージ重視ですから、「解決型」と比べると文章よりも写真がかなり重要です。
わかりやすく言うと、「インスタ(Instagram)向き」。映える見た目のものはこっち寄りですね。
「解決型」の商品アピールは「現在の問題」を自覚させる
一方、「解決型」の商品アピールの表現方法は、「ネガティブアプローチ」が有効です。
ズボンの上に乗った脂肪、加齢臭、年々深くなる目尻のシワとほうれい線、なかなか取れないしつこい油汚れ、目に見えないのに子供のまわりで飛び散っているダニや雑菌など、“ネガティブ”な日頃気になっている悩みや、日常に潜んでいる問題点といったイヤな現状を描写し、「商品を購入することで、その悩みが解決できますよ」、と訴求します。
「解決型」の商品の場合、お客さんの悩みがまだ顕在化しておらず、抱えている問題に無自覚な状態でいることも多いです。例えば、風呂釜や洗濯槽のカビなどは日頃見えない場所なので、「実は汚れている」と言われないと気づかないものですよね。ですから、「解決したい」と思ってもらうために、商品のことを話す前に、まず問題点を自覚してもらう必要があります。これが、「憧れ型」との一番の違いです。
「○○でお困りではありませんか?」「実は○○が危険ですよ」など、危機感や不快感を思い出させることにより、解決策の価値を演出します。その後で初めて商品を登場させ、それを使うべき理由を説明、説得してきます。
「解決型」は欲求よりも理性(つまり左脳)に訴えかけるので、「憧れ型」と比べると、論理構成が重要です。
こっちは、同じSNSでも、いわば「X(旧Twitter)」でしょうか。悩みや問題などに、まずは「それな!」と共感・同調してもらい、そこから「でもいい解決方法あるよ」とソリューションを提示するイメージです。
このように、ひとくちに「商品アピール」と言っても、商材によって表現の仕方がまったく異なります。
テレビCMを見てみても、例えばファミリーカーは、家族の団らんを全面に表現した「憧れ型」のポジティブアプローチですし、ジムやエステのCMは、ビフォーアフターを顕著に表した、まさに「解決型」のネガティブアプローチです。
しかし、例えば同じ調味料でも「おいしさ」訴求でいくか、「時短・手軽さ」訴求でいくかによって、憧れ型、解決型両方の表現ができるものもあります。どちらかを試してうまくいかなかった場合も、別アプローチに訴求を変えたらその訴求が当たってヒット商品に!というケースも少なくありません。
「自店舗の商品は、お客さんのどんな欲求によって購入されるものなのか」は、似た商材のコマーシャルや、お客さんの声やレビューなどから知ることができます。商材をより引き立たせる商品アピールで、売上を伸ばしましょう。
PS
販売している商品はお店ごとに違いますから「セオリーが分かっても、実際に自分の店や商品に適用するのが難しい」という方もいらっしゃるかと思います。弊社のコンサルタントがお手伝いができるかもしれません。
一緒にコピーを考えたり、こちらから提案をしたり、現行のコピーに対してコメントをしたり、「スキルの習得」と「売上につながる実践」の両方をサポートします。興味のある方は、以下のページをご覧ください。
この記事を書いた人
-
コマースデザイン株式会社 取締役 コピーライター/コンサルタント
ライターからEC業界に転身。商品コンセプト立案やキャッチコピーなど「売れないオリジナル商品」の立て直しを得意とし、ヒット商品を多数企画。中小規模の店に対してわかりやすいコンサルティングを提供しつつ、講演や寄稿も行う。黄色本・マンガ本の著者でもある。
≫Twitterはこちら