送料や仕入れ原価、モール手数料など、ネットショップでものを販売するために必要な経費は、どんどん値上がりしていますよね。
当社コンサルティングのクライアントさんからも、「値上げ」にまつわる相談はとても増えています。 経費が上がれば、当然利益が減りますから、こうした経費の変動に合わせて価格も見直しが必要です。
価格の見直しをせず、うっかり放置していると、気がついた時にはほとんど利益がなくなっていたり、赤字になっていたりするんです。 利益管理をないがしろにしたことで、店をたたまざるをえなくなったネットショップの話も、度々耳にしますよね。
「利益管理をしっかりしないと…」と思いつつも、つい税理士任せきりになっていたり、正しいやり方が分からなくてアバウトになりがち。
そこで、おすすめしたい利益管理方法が、「単品管理」をすること。 単品管理はシンプルに利益をキャッチでき、赤字を招く売り方にいち早く気がつくことができるんです。逆に、黒字を生み出す「金のタマゴ」のような商品がどれかも把握できます。 よって、赤字へのストレスのない日常と、よりお店を発展させるための成長原資を捻出できるようになるんです!しかも、難しくありません。 それでは、利益の単品管理をご紹介します。 サクッと限界利益を試算できるシートもご用意しました。ダウンロードしてご活用ください。
知らぬ間に赤字になっていませんか?
ここでチェック!皆さん、以下の状態ではありませんか?
・何年も前につけた価格のままで販売している
・なんとなく感覚で、値付けやセール・ポイント倍付を行っている
もし、上のどちらか(もしくは両方)に当てはまったら、危険信号です。
思わぬ赤字が潜んでいるかも・・・。放置すると、取り返しのつかない事態になることも少なくありません。
でも、赤字状態になっているって、実は気づきにくいものなのです。
赤字の察知が遅れてしまう主な原因は、2つあります。
1.「モール手数料」が複雑で、値上がりに気付きづらい。
2.ライバルとの価格競争が加熱し、価格調整を繰り返している。
以下、それぞれを詳しく解説します。
「モール手数料」の値上がりに気付きづらい
楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングなど、ECモールの手数料は、こまめに改定されています。お察しの通り、値上がりがほとんどです。
増えた手数料の分だけ、販売時にかかるコストも上がるので、変更前と同じように売っていたとしたら、利益は減少してしまいますよね。
だから、手数料が上がるたびに、価格の見直しは必須なんです。
最近目立った改定としては、こんなものがあります。
楽天市場出店者を対象に2、017年から各ショップに順次導入された「楽天ペイ」では、新たな利用料ができました。売上⾼の「3.5〜2.5%」とそこそこ大きい金額です。
また、Amazonでも2019年2月、FBAの手数料(配送代行手数料)が実質値上げされています。
こうした手数料の改定は、都度実施されますから、もれなくチェックするのは、なかなか大変ですよね。値上がりに気が付けないのも無理はありません。
ちなみに弊社でリサーチしたところ、楽天で現在かかる経費はこんな感じです。(2019年7月時点)
モールでの販売は、これだけの手数料がかかっています。
ですから、何か一つでも手数料の値上げがあると、利益構成が大きく変わってきますよね・・・
もちろん、多モール展開している方は、それぞれのモールの手数料も見て検討する必要があります。
競合に合わせた価格調整を繰り返している
特に、型番商品や仕入れ商品を扱う場合、周りが値下げを始めると、焦りますよね。
しかし、周りに合わせるために無計画にセールを始めたり、ポイントを倍付したりを繰り返すと、知らぬ間に赤字に転落する可能性が。
当初は利益管理ができていても、変更が相次ぐことで、利益管理が追い付かなくなることも多いです。
「この商品、確か利益率が高かったはずだから、強気のセールも問題ないはず!」と勘で動くと、月末の出納帳を見て、愕然としてしまうかもしれません。「なにこれ、儲かってないじゃない」と。。
「利益管理」どうやったらいいの?
こうした事態を食い止めるには、商品販売時に生じる経費をざっくりとでも把握しておき、赤字にならない価格に抑える必要があります。そのためのポイントは、まず2つ。
1.「月末にまとめて管理」はNG!
2.商品単品ごとの「本当の利益」を知る
つまり、簡単に言えば、利益は大雑把に把握せず、こまめに単品で管理しよう、ということです。これができると、黄色信号に気がつけるので、赤字を未然に防げます!
それでは、各ポイントについて、それぞれご紹介します。
税理士任せの月末管理では遅い!
一般的な会計は、税理士さんや会計士さんに管理を任せていたり、月末の請求書が出てから利益を計算しますよね。
しかし、月ごとの請求書で収⽀をチェックするだけでは、手遅れになる場合もあるんです。
既に利益がヤバい状態で販売を続けていた場合、1ヶ月間赤字を膨らませ続けてしまうことになりますよね。。恐ろしい・・・。
だからネットショップでの利益管理は、こまめにチェックすることが大切なんです。
商品ごとの「本当の利益」を知る
また、まとまった数字の請求書を見ても、どの商品が赤字を出したのかは把握できないですよね。そこで商品単位での「本当の利益」を知っておくのが有効です。
「本当の利益」とは「限界利益」のことを言います。売上から、売るためにかかったお金を引いた金額のことです。限界利益の求め方を計算式にすると、以下の通り。
実は、限界利益をしっかり管理している店舗は、大きな損や、予期せぬ赤字に悩まされていません。本当の利益を把握しているから、素早い赤字対策や価格調整ができるのです。
このように、単品ごとに利益を意識してチェックしていけば、赤字を回避し、ひとまず安全運転ができます。
サクッと単品管理できる「粗利益チェックシート」!
いくら「限界利益を単品ごとに求めれば赤字回避できる」といっても、あれこれ計算するのは、少し手間ですよね。
そこで、単品の限界利益をサクッと試算したい、ネットショップ経営者の皆さんのために、粗利益のチェックシートをご用意しました。
粗利益チェックシートに、商品価格・人件費・楽天でつけようと思っているポイント倍率を入力すれば、単品の限界利益が求められます。
商品の価格が生み出す、「本当の利益」が分かりますよ。
※楽天課金の12%は、「商品に個別でかかる手数料の合計」から算出したおおよその値です。
これに販売個数を掛け算すれば、店に残る利益額が分かります。
厳密なものではありませんが、手軽な方法で、日々の利益が分かるようになるため、この手法を取り入れているネットショップも多いです。
「正確な報告」は税理士がしてくれますから、粗利益チェックシートでは、大まかな状況をリアルタイムで把握できることを重視します。
シートの使い方
シートでは、主に3つのことに活用できます。
(A) 現在の限界利益を知る
(B) 値下げの趣味レーションに使う
(C) ポイント変倍のシミュレーションに使う
(A)現在の限界利益を知る
まず、現在の限界利益を確認しましょう。
シートの空欄に、各数字を埋めるだけです。「自動計算」と書いてある赤枠部分は、記入不要。すると、現在の値付けで販売した場合に、手元にいくら利益が残るか一目瞭然です。
下図の場合、1,500円で商品を販売した際の限界利益は、280円です。
万が一赤字になっているようなら、その商品は値付けを見直すべきです。
(B)値下げのシミュレーションに使う
このシートを使えば、値下げをしたときに起こる赤字のリスクも、シミュレーションできます。販売価格の数字を変えてみましょう。
500円割引をして1000円で販売すると、160円の赤字に!
(C)ポイント変倍のシミュレーションに使う
ポイント変倍による利益の変動も、管理できます。
「ポイント変倍」欄に数字を入れてみると、店に残る利益額が分かるので、ポイント変倍を実施すべきかどうか計画を練ることができます。
1500円の商品にポイントを20%つけて販売すると、20円の赤字に!
皆さんの値付けは、無理のないものですか?
特に、イベントやセール時の価格調整について、一旦このシートでチェックしてもらえれば、無茶な企画内容になっていないか確かめながら、企画を進めることができます。
ぜひ、シートを使って、商品ごとの限界利益をチェックしてみましょう。
シートを使って、無謀な運営を避けよう
値引きし、ポイントをUPさせれば、商品は売れやすくなります。
しかし、利益も大きく失ってしまうのです・・・
せっかくたくさんのお客さんに商品を買ってもらっても、お店に利益が残らない事態は避けたいですよね。
ですが、多くのネットショップが、無計画に値下げやポイント倍付をして、月末の請求書が来るまでピンチに気付かずにいます。
こうしたその場しのぎの運営は卒業しましょう!
単品ごとに限界利益をチェックし、周りに流されない安定した店舗運営を実現していきましょう!
なお、ここまでは「マイナスな事態を招かないため」にシートを使うお話しをしましたが、シートを使うことでのメリットもあります。
セールやポイント倍付の、「判断基準」ができる!
「周りがセールを始めたから、うちも値引きやらなきゃ」
「みんなに買ってもらうためにポイント倍付にしよう!」
と、買ってもらいやすくするために、なんとなくセールを始めたり、つい周りに流されてポイントをつけたら、知らぬ間に赤字になる可能性が高くなります。
だから、できるだけ商品を売る時に必要な金額を正確に把握し、商品の限界利益に合わせた価格設定が大事です。
「高利益商品」を、発見できる!
シートを使って単品ごとに限界利益を管理すると、どの商品が黒字なのかに気付けるんです。
月末のまとまった請求書でざっくりと管理すると、赤字だけでなく、黒字も見落としがち…。
一方、単品で管理をしていくと、黒字を生み出す商品を素早くキャッチでき、強みを生かして利益を大幅UPできますよ。
まとめ
競合が増えたり、大手の参入で市場は年々厳しくなっていきますし、送料をはじめとする諸経費の値上げも待ったなしですよね。
このような状況の中、生き残っていくには、「必要な利益」をしっかり残し続けるのが大切!
単品ごとに限界利益をしっかり管理していけば、赤字に悩まされずにもっとお店の利益をUPさせるチャンスにも気づけますよ。健全な店舗運営を長く続けられるよう、がんばりましょう!
P.S.「これからの方向性に迷ってる」「どうしていいか分からない…」という方は、1人で悩まずに是非ご相談ください。弊社コンサルティングは、ネットショップを運営されているみなさんの味方です!
この記事を書いた人
- 有名EC企業にて、店舗の立ち上げから店長まで一連の運営業務を経験し、実績を重ねる。その後、食品メーカーに転職、衰退した人気店の建て直しに尽力。2年間でアクセス数4倍、転換率2倍とし、再成長させる。メーカー型、仕入れ型、大規模、小規模共に経験している守備範囲の広さが強み。ネットショッピングが大好きで、女性ならではの柔らかい物腰の中に、鋭いお客目線が光る。