【進捗あり】去年からの楽天方針について「楽天オプティミズム2019」前に簡単におさらい

楽天方針について

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今週水曜から、「楽天オプティミズム」が開催されますね。
例年は、「楽天EXPO」として開催されていた出店店舗向けのイベントが今年は大きく様相を変え、一般向けの大きなイベントとして実施されます。楽天市場の「戦略共有会」についても、同イベント内で開催されるようですが、こちらはさすがに出店者限定とのこと。

先日、今年の新春カンファレンスで発表された今後の戦略・方針について、久々に情報が出てきましたので、ご紹介します。

楽天独自の配送システムである「ワンデリバリー構想」に関して、今後の流れがより具体的に公開されました。

  • 「共通の送料無料ライン」の導入が検討されている
  • 楽天スーパーロジスティクスの関東運営拠点増設の予定
    など、確認必須です!

さらに既報の続報だけでなく、楽天の「新たな取り組み内容」についても併せてアナウンスされています。RMSアプリのリリースなど、担当者にとっては重要なトピックが含まれます。

下半期の新たな発表の前の、進捗共有という感じかと思います。オプティミズムでの戦略共有会前のおさらいとして、進捗を把握しておきましょう。

※なお、全トピックの詳細は、6月27日に楽天よりサポートニュースでアナウンスされた「ユーザー利便性向上にむけた店舗運営支援施策についてのお知らせ」をチェックください。

はじめに

まずは、前回までの発表内容のおさらいです。
昨年の楽天EXPO2018では、以下のような発表がありましたね。

その後、今年1月の新春カンファレンスで、以下のような発表がありました。

  • 楽天市場への新規客獲得の強化
  • ユーザー体験の「シンプル化」
    • 決済手段の統一・配送の統一・送料の統一
  • 店舗の「1to1接客」の促進
  • 店舗への支援強化

今回のアナウンスでは、以下についての続報が出ています。

  • ワンデリバリー構想
  • 1to1接客
  • アフィリエイトの仕様変更
  • RMSアプリのリリース

また、新たな動きとして以下の取り組みについてのアナウンスもありました。

  • 受注管理ソフト 「BOSS」のリリース(2019年秋)
  • クレジットカード決済手数料の引き下げ(2019年10月1日〜2020年6月30日)

それでは、これらの内容について一つ一つ見ていきましょう。
まずは「続報」の部分から確認していきます。

続報1:「ワンデリバリー構想」今後は?

送料無料ラインの統一

今年の楽天新春カンファレンスで発表された、「送料統一の導入」を目指した具体策として、共通の送料無料ラインの導入の検討が進められているようです。これについては、近日中に発表されるとのことです。各所に影響の大きな話ですから、引き続き要チェックですね。

楽天配送網の拡大

では、楽天独自の配送ネットワークである「ワンデリバリー構想」について、これまでと今後予定されている流れを併せて説明します。

2019年上半期(これまで)

まずは「2019年上半期」までの間に、以下が実施されました。

・楽天フルフィルメントセンターを、流山(千葉)と枚方(大阪)に設立。
 楽天スーパーロジスティクスの拠点として運用開始。
・楽天エクスプレス(※)配送エリアを拡大した(関東・関西・名古屋)。

※楽天エクスプレスとは?
楽天独自の物流網。
深夜時間の再配達希望の受け付けや、不在時でも希望の場所へ配達してくれる「置き配」などが使えるサービスのこと。

2019年下半期〜2020年(これから)

続いて、今後「2019年下半期〜2020年」に予定されていることはこれらです。

・楽天スーパーロジスティクスの新拠点を追加(エリアは未定)
・楽天エクスプレス配送エリアを拡大(エリアは未定)
・楽天エクスプレスの「集荷・持込サービス」の提供開始(2019年秋頃より開始)
・「楽天特別運賃プログラム」の料金改定(2019年9月1日出荷分より)

楽天スーパーロジスティクス(RSL)の拠点追加や、楽天エクスプレスの配送エリアの更なる拡大に加え、
下記の2つが追加されています。

  • 楽天エクスプレスの「集荷・持込サービス」開始
  • 「楽天特別運賃プログラム」の料金改定

この2点について、掘り下げてみます。

楽天エクスプレスの「集荷・持込サービス」が提供開始(2019年秋)

楽天エクスプレスを使うには、これまでは「RSL拠点からの出荷のみ」とされていました。
しかし、今後は「店舗の倉庫から出荷する荷物」についても楽天エクスプレスでの配達が可能となります。

つまり、今後は「集荷」か「持込」かを選んで楽天エクスプレス配送が使えるようになる、ということですね。それぞれの対象エリアは次の通りです。

  • 集荷(楽天が店舗の倉庫まで集荷にきてくれる)・・・東京都・千葉県の楽天エクスプレス配送地域(予定)
  • 持込(店舗が楽天の拠点に持ち込む)・・・RFC流山、RFC枚方(予定)

価格は2019年夏頃発表予定。その他、細かいサイズ指定などありますので併せて確認しておきましょう。

「楽天特別運賃プログラム」の料金改定(2019年9月1日出荷分より)

「楽天特別運賃プログラム」は、以前から提供されているゆうパック・ゆうパケットの運賃割引サービスのことですね。こちらの料金改定が「2019年9月1日出荷分」より予定されています。
既に詳細な料金表が出ていますのでチェックしておきましょう。
集荷と持ち込みで価格差があり、持ち込みだと1点につき約50~100円安いです。

店舗の状況や申し込みプランなどによっても異なりますが、楽天試算で「約10%の値下げ」になるとのことです。

続報2:「1to1接客」の動きについて

ユーザーの利便性高める問合せの「メッセージ化」についても、進展しています。

「R-Messe」に問い合わせ機能が合体(2019年6月26日より)

2018年9月にスタートしたチャット機能「R-Messe」ですが、即時対応が求められることから「店舗側の負担が大きい」という課題が出ていました。

そこで今回、LINEのように「店舗の好きなタイミングでいつでも返信が可能なメッセージ形式」に機能が変わっています。
これ以外にも、ユーザー側と店舗側でできることには、次のような機能の変化が見られます。

  • ユーザー側・・・店舗からの返信や過去のやり取りを、問い合わせ一覧から確認できる
  • 店舗側・・・会話しているユーザーの「過去の問い合わせ」や「購入履歴」を参照可能。さらに、ユーザーの既読・未読状況も確認できるようになった(店舗側のみ表示)。

「R-Messe」の費用については、7月以降も当面の間は「無料」とされています(※複数アカウントの利用は追加費用が必要)。無料期間の終了時期は未定とのことですが、「当面無料」ということは、いずれは有料化があり得るのか気になるところですね。

「R-Messe」の効果は?

ちなみにこの「R-Messe」の効果ですが、チャット利用あり・なしを比べた場合の購買転換率は+128%という結果が計測されているそうです!

この結果から、「購入前に問い合わせができて、不安部分を解消できる」という点が、離脱を防ぎ、購入促進に大きくつながっているといえそうです。(もちろん、商材によりますが)

続報3:アフィリエイトの仕様変更

アフィリエイトの料率や条件に関しての詳細もアナウンスされていて、これについては2019年4月1日よりすでに開始されています。
※システムに不具合があったことから、店舗への発生報酬金額請求は、6月いっぱいまでは、従来の条件のまま据え置きとなっていました、7月1日以降は新条件で請求されます。

料率については、「かなり上がった」という声も出ていますね。自店舗の状況がどうなっているか、必ず確認してみましょう。
また、以前までの内容と、7月1日以降で何が変わったのかを改めて説明します。

旧制度

・アフィリエイト経由の購入額の1%を成果報酬額とする。
・店舗任意の割増料率が設定されている場合は、その料率を適用。
・計測期間は、アフィリエイトリンクのクリック後、30日以内の初回購入。

新制度

・商品ディレクトリID毎に定められた料率が適用される(2%〜8%)。
・成果報酬上限は1商品1個の売上につき1,000円とする。
・計測期間は、アフィリエイトリンクのクリック後、24時間以内に商品が買い物カゴに追加され、89日以内の初回購入。

この変更で、何が変わるの?

詳しくない方に向けて、一応補足説明しておきます。
旧アフィリの仕組みでは、アフィリンクをクリックしたユーザが、30日の間に楽天のどこかのショップで商品を購入すれば、アフィリンクを踏ませたアフィリエイターに報酬が発生するという仕組みでした。
これにより、商品紹介の質の低下を招いていました。

どういうことかと言いますと、アフィリエイターとしても、「自分のアフィリンクを一度踏んでもらえさえすれば、その後ユーザーが楽天で何か商品購入をすれば(別の店の商品でもOK)、自分に報酬が入ってきた」という訳です。
なので、「特定商品の購入者を増やすために、その商品を丁寧に紹介する」といった、「良質な紹介」がされづらい仕組みであったのです。そもそもアフィリエイトで目指したい姿から遠ざかってしまっていました。

また、店舗にとっても、「自店の商品以外が売れたときでも、自店に報酬の請求がくる仕組み」と言うのは、腑に落ちない部分がありましたよね^^;

そこで、今回の仕様変更です。
この仕様変更後は、「アフィリエイトリンクのクリック後、24時間以内にその商品が買い物カゴに追加され、89日以内に購入された場合」に報酬が発生します。
これによって、「何でもよいからアフィリンクを踏んでもらおう」というやり方は廃れ、良質な紹介コンテンツが増えることが期待できるというわけです。某アフィリエイターの方にこの変化の感想を聞きましたが、「報酬額がアップしているので、紹介記事の品質次第で稼げるようになりそう」と前向きに捉えているようでした。

店舗にとっては、1件当たりの報酬料率は高くなりますが、以前の仕組みよりも、「自店の商品に関心を持つ購入者への投資になる」取り組みでもあります。

というわけで、7月分から、アフィリエイトの成果レポートの内訳が変化しているはずですから、確認をしておきましょう。

続報4:「RMSアプリ」は冬にリリース予定

新春カンファで予告されていた「RMSアプリ」は、実装時期が2019年12月となるようです。
「楽天RMSをスマートフォンでも簡単に使いたい」という店舗側の要望に応える形で、「RMSアプリ」が新しくリリースされます。利用は無料です。

<搭載予定の機能一覧>
・イージーログイン(指紋・顔認証でのログイン)
・受注の確認
・問い合わせへの返信
・新規問い合わせのプッシュ通知
・商品の個別編集
・店舗カルテの確認
・システムトラブル・メンテナンス情報の確認
・システムトラブル・メンテナンスのプッシュ通知
・サポートニュースの確認
・サポートニュースのプッシュ通知

新発表:楽天の新たな取り組みについて

受注管理ソフト 「BOSS」がリリース(2019年秋)

新しい受注管理ソフト 「BOSS」がリリースされます。
これは、楽天ペイでの受注管理がしづらい状況への打開策としての提示でしょうか。
ツール提供元はハングリード社で、「Robotシリーズ」の上位版という立ち位置になるようです。

利用料金は「基本料金1万円+受注件数に応じた従量課金制」となっていますが、従量課金部分の「楽天市場での利用分」は無料となっています。

<主な機能・特徴>
・受注処理の自動化(項目や値を自在に設定できる自動処理)
・楽天スーパーロジスティクスを含む、複数の出荷元を想定した出荷および在庫連動
・出荷倉庫の自動判別
・連携CSVファイルの項目や値の変換

≫製品ページ

クレジットカード決済手数料の引き下げ(2019年10月1日〜2020年6月30日)

既に申込を〆切っていますが、2019年10月の増税に伴って開始される「キャッシュレス・消費者還元事業」への対応として、楽天ではクレジットカード決済手数料の引き下げが予定されています。

手数料引き下げの恩恵を受けるには、7/25(木)までに消費者還元事業に申し込む必要がありました。対象となれば店舗側・ユーザー側のそれぞれにメリットがある内容となっています。

  • ユーザー側
    • クレジットカード決済での注文に対し、5%のポイントが付与
  • 店舗側
    • (1)クレジットカード決済利用料が3.25%以下に引き下がる
    • (2)1で引き下げになった決済利用料に対し、1/3の額が補助金として国から還付される

要するに、申請をしておくことで、店舗の「クレカ利用料の負担が軽くなる」ということです。
手数料負担が軽くなることからも、この制度に乗って、申請しておいて損はないかと思います。

懸念があるとすれば、既存の受注や会計システムが対応できるかどうか、という点ですが、事前にベンダーに確認を取ってから進めると安心かと思います。

すでに申し込みは開始されていて、10月1日の事業開始時から参加するには「7月25日まで」に申込が必要でした。申請には、謄本や納税証明、確定申告書など提出資料を揃える手間もあるので、間に合わなかった方もいるかもしれません。ただ、ひょっとしたら開始時期を遅らせた2期以降の募集もあるかもしれません。(未定)
≫詳しくはこちら(※要RMSログイン)

まとめ

8/1に開催される楽天オプティミズムの戦略共有会の中でも、これらのニュースについてより具体的な続報や、新発表があるのではないかと思います。
「何の話だっけ?」とならないように、本ブログで紹介した内容は押さえておいてくださいね。

また、こうしたモールの動きが発表される度に対応い振り回され、忙しさが増すのは、疲弊しますよね。
ですが、後手に回らないようなECの運営方針を考えていくには、まずはこれから起こる動きを知っておくことが必要です。情報があると無いのとでは、打ち手の成功率が変わって来るためです。

当ブログでも、皆さんの一助となるべく、重要な情報はできるだけお伝えしていきますので、是非引き続きお役立てください。

※2019/8/9追記:「送料無料ラインの統一」の記事をリリースしました。こちらも合わせてご覧ください。

PS
当社のコンサルティングでは、こうした新着ニュースの中から「運営者が知っておくべき」重要度の高い情報をピックアップし、店が何をしたらよいのかを分かりやすく解説しています。解説付きで情報が届くことで、いちいち右往左往しなくなりますし、ヘビーなテーマの時には、担当コンサルタントがじっくりご相談に乗り、一緒に乗り越えますので安心です。

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この記事を書いた人

味藤絵美子
有名EC企業にて、店舗の立ち上げから店長まで一連の運営業務を経験し、実績を重ねる。その後、食品メーカーに転職、衰退した人気店の建て直しに尽力。2年間でアクセス数4倍、転換率2倍とし、再成長させる。メーカー型、仕入れ型、大規模、小規模共に経験している守備範囲の広さが強み。ネットショッピングが大好きで、女性ならではの柔らかい物腰の中に、鋭いお客目線が光る。

ECコンサルティング会社コマースデザインの社員ブログです。

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