多すぎるモールイベントの対応コストが「1/2~1/3」に!少ない手間で成果が出る方法

こんにちは。コンサルタントの亀田です。
今や、Amazon・楽天・Yahoo!と、各モールのセールがもりだくさんで、ECモールのお客さんのお買い物も、イベントがメインになってますよね。例えば、楽天市場だと、スーパーセールが始まるとアクセスが数十倍になるとか、「5と0のつく日」がよく売れるとか。Yahoo!も、楽天のポイントプログラムをマネしていますね。

特に秋~冬は、ハロウィン・独身の日・クリスマス・お正月など、季節イベントも多いので、数ヶ月間ずっとセール!というお祭り状態です。そのため、当社でもEC事業者のみなさんから、

  • 「イベントがありすぎて、どうしたらいいかわからない‥」
  • 「セールに参加しないと、売り逃す気がする。でも忙しいから、全部に参加するのは大変‥」
  • 「どのイベントに参加したらいいんだろう」「楽天とAmazon、どっちのセールに参加すればいい?」

などのお悩みやご相談をよくいただきます。特に、売上を背負っているネットショップ店長さんは、色々と考えてしまい、悩みも深いと思います。そこで今回は、

  • 1:どのイベントに参加するか、厳選するための考え方
  • 2:イベント運営を楽にする方法

をご紹介します。モールのセールイベントを上手に運用し、効率的に成果を出しましょう。

1:どのイベントに参加すればいいの?

まず、イベントを「重要度」で仕分けよう

必ずしもすべてのイベントに参加する必要はないので、まず、各モールのイベントを重要度でわけましょう。
「モールとイベントのかけ合わせ」で、重要度を決めるといいと思います。

  • イベントを洗い出す
  • 「モール×イベント」のかけあわせで、重要度を決める
    • 例)Yahoo!の売上が昨対で落ちている。優先度が下がってるので、Yahoo!の重要度は「低」
    • 例)イベントの「前年度の実績」などから、どのイベントに参加するかを決める。
具体例

例えば、ダブルイレブン(11月11日の「独身の日」)の企画があるとします。
今年のYahoo!のダブルイレブンがどうなるかは、分かりませんが(※Yahoo!イベントとしては、2020年に「いい買い物の日(=独身の日)」は「超PayPay祭」にリニューアル統合されています)。

「Yahoo!の11/11は毎年すごいから、ここは力を入れよう」
「でも、それ以外のイベントは、最近Yahoo!は落ちてるから、重要度を下げよう」
 
などのように、「イベント×モール」で優先度を決めます。イメージとしては、以下の感じです。
※注:この表はあくまでイメージです。重要度は店によって異なるので、このまま鵜呑みにしないでくださいね。

イベント楽天市場AmazonYahoo!
1月正月/初売
2月バレンタイン中(超PayPay祭)
3月新生活/卒業式
ホワイトデー
(スーパーセール)中(超PayPay祭)
4月新人入社
5月母の日
ゴールデンウィーク
6月父の日(スーパーセール)
7月お中元
Amazonプライムデー
(プライムデー)中(夏のPayPay祭)
8月お盆/夏休み
9月敬老の日
シルバーウィーク
(スーパーセール)
10月ハロウィン中(イーグルス感謝祭)
11月七五三/お歳暮
独身の日
ブラックフライデー
低(ブラックフライデー)
(ブラックフライデー)(超PayPay祭)
※独身の日
12月クリスマス
年末商戦
冬ボーナス/冬休み
(スーパーセール)
中(大感謝祭)
中(お買い物マラソン:毎月)

「重要度」ごとに、リソースを最適配分しよう

イベントを重要度で仕分けたら、次に「重要度に応じて、どう対応するか」を検討します。
ネットショップのイベント対応には、ざっくり以下の3つのレベルがあります。

レベルやること
レベル1メルマガやSNSで告知するだけ
レベル2リンク先のある特集ページなども作っておく
レベル3商品を仕入れて在庫を積んでおく。前夜祭で、売上を積んでおく

セールイベント対策というと、レベル3のことだと思っているケースが多いと思います。しかし、重要度の低いイベントに、たっぷり手間と時間をかける必要はないわけです。ですから、イベント重要度に応じてた労力を投入し、リソースを最適配分しましょう。

そして「重要度ごとにどう対応するか」を決めたら、やることを洗い出し、「それぞれどのくらいの作業量か」を見積もります。そして、スケジュールを立てて実行し、タスクを管理していくことで、イベント対応がスムーズになります。

2:少ない手間で成果が出る、上手なイベント運用方法

モールのイベントで売上は伸びますが、対応にかなり時間と手間をとられるケースが多いと思います。
一方で、「業務プロセスを効率化したことで、時間を短縮でき、イベント対応がいい感じなった!」という話も、色々な店からよく耳にしきます。要はやりようなんですね。

そこで、イベント対応の効率化のビフォー&アフター事例と、実践における考え方をご紹介します。

イベント施策を仕分け、業務プロセスを定義する

とあるお店で、実際にあった話です。

このネットショップでは、モールのセールイベントに参加すると、スタッフのリソースがかなり取られ、とても忙しい状況でした。そこで、常態化している忙しさをどうにかするべく、「同じやり方を漠然と続けている」ことを反省して、以下のようにイベント施策の効果を測定し、業務プロセスを整備しました。

  • 1:イベント施策の成果検証
    • 「どの施策が、意味があったのか、なかったのか」を検証する
  • 2:イベント施策の仕分け
    • 検証の結果、以下を判断し、仕分けを行う
    • 効果があるもの→残す(改善の余地があれば、次の3で簡略化したり調整したりする)
    • 効果がないもの→止める
  • 3:イベント施策のプロセス整備
    • 残った「効果的なイベント施策」について、TODOを洗い出し、整理する
    • ルールや手順などを定義する

部屋の片づけに似ていますね。いるもの・いらないものを仕分けて、不要なものは捨てます。
それから、残った本当に必要なものについて、置き場所や、使ったら必ず元の場所に戻す、1年間着なかった服は処分する、などのルールを決めるわけです。

今まで2~3日かかっていたイベント対応が、たった1日で終わるように!

では、実際どのようにイベント対応の業務プロセスを定義し、効率化したのか。具体例をご紹介します。

みなさん、楽天スーパーセールやお買い物マラソンなどのイベントの時は、「特設会場ページ」を作る方が多いと思います。このページに「割引商品や通常価格の商品」を混ぜるお店も、多いのではないでしょうか。
「スーパーセールの特設会場はこちら」など、目立つバナーを出し、特設ページに誘導したりしますね。

このお店では、イベントで必ずこの「特設会場ページ」を使うようにしました。
ページに掲載する商品もパターンを決め、担当者がスムーズにイベント対応できるようにしたのです。

  • 「モールのイベントでは、毎回この特設ページを使う」と、ルールを決める
    • 例)楽天スーパーセール、楽天お買い物マラソン、その他のイベント
  • 「特設ページに掲載する商品」も、パターンを作る
    • 「こういう風に入れ替える」「こういう風に載せる」「こういう風に外す」という風に、ルールと手順を定める

その結果、どうなったか。
ちゃんと売れている上に、これまで2~3日かかってたイベント対応が、1日で済むようになりました。イベントの対応コストが「1/2~1/3」に圧縮され、大きな業務効率化の成果がでたのです。

業務効率化は成功率が高い上、利益が増える

「その場その場の対応で、漫然とやってるな」
「きちんとしたルールや手順を決めず、流れでダラダラやってる」

など、業務フローややり方が定まっていない場合、まず業務のやり方や内容を見直しましょう。
不要な作業を削り、効果的なものを残し、改善の余地があれば、作業手順をブラッシュアップします。
そして、残った仕事をパターン化し、スマートな業務プロセスを定義し、スタッフに実行してもらいましょう。

このように業務を整えることで、モールのイベント集客効果を得ながら、対応コストは大幅にカットされ、利益率がアップします。イベント対応に限らず、作業のパターン化は、割と簡単に業務効率化につながります。是非みなさんの職場でも、できる所はないか探してみてください。

今回ご紹介した事例以外でも、業務効率化の成功例は、たくさんあります。
「セールイベントに参加するのは忙しいから、効率化しました」という話、本当に色々な方から聞きます。

「売れるか・売れないか」は水物で、うまくいくか分からないことも多いもの。しかし、業務の効率化や短縮化は、確実に効果がでます。業務フローを吟味し、簡略化することは、成功しやすいんです。「値上げによる、利益アップ効果の方が高い」という話に似ていますね。
ですから、「業務の見直しや改善はあまりやってない‥」という方は、ぜひ意識して取り組んでみてください。

「がんばりと成果」は比例しない。がんばらずに成果は出せる

業務効率化に取り組む前に、1つ注意してほしいことがあります。

「がんばるためには、手をかけなければいけない」
「手をかければかけるほど、効果が出るんじゃないか」
「毎回工夫しないと、お客さんに飽きられてしまうんじゃないか」

という思い込みです。人間が、暗黙の内にかかるバイアスのようなものです。

理屈で言うと、おかしいですよね。時間や手間をかけなくても売れることあるし、時間をかけても売れないこともあります。ですが、無意識のうちに、「がんばる(=手間や時間をかける)と売れる」「がんばると報われる」という思い込みがあったりします。
また、売り手は毎日ショップを見ているので、マンネリをかんじやすいものですが、買い手はそんなに頻繁に1つの店に来店しませんよね(商材にもよりますが、よくて月1回ぐらいではないでしょうか)。
買い手目線に立つと、「同じレイアウトの使い回し=飽きる」とはなりづらいので、心配しなくても大丈夫だったりします。

商売って、がんばっても報われないことあるし、がんばってなくても報われることもあるんですよね(これは商売に限りませんけれど)。だから、「手間をかけることが重要、という思い込みが、無意識のうちにないか?」、自分に問いかけてほしいです。

楽して成果を出すことはできるので、楽できる点はどんどん効率化していきましょう。

まとめ

以上、「モールのイベント対応は、できる所から簡略化しよう」という話でした。

イベント毎に、それぞれ別のやり方で「手間やコストを惜しまず、じっくり取り組むこと」も一案です。しかし、やることや手順が似ている場合は、パターン化し、運用を統一することで、少ないコストで成果をあげることができます。

ただ、これは全てのお店にあてはまる話ではありません。なにが最適解なのかは、お店によってケースバイケースです。
重要なことは、「手をかければ、報われる」のではなく、楽して成果を出すことはできるから、「簡略化できる所はないか」をよく観察して見つけることです。こういった成功事例はたくさんあり、再現率の高い話ですから、是非、日頃から意識して頂ければと思います。

P.S.

こういったイベント対応について、「イベントの仕切りはパターンがあるから、その通りにやってよ」と、経営者の方は思うかもしれません。

ただ、定型的なオペレーション業務の経験しかないスタッフの場合、「やれ」と言われても、なかなかできないと思います。また、店としてルールを定めていない多忙でキチンとした作業手順やフローがないまま、担当者が時間に追われつつ対応しているお店も、多いのではないでしょうか。

  • 「業務フローの整備や作業の効率化について、自分が対応するのは大変‥」
  • 「こういったスキルを身につけて、社内に秩序をもたらしたい」

と思っている経営者やマネージャーの方がいらしたら、我々のコンサルティングがお役に立てるかもしれません。

私達は、他社の事例もたくさん知っていますし、新しい業務フローが定着するよう、ECチームのサポートも、よくやっています。また、「進行管理表はこんな感じではどうですか?」というような、現場の担当者向けの具体的な提案&支援から、経営者向けの「会社をよくするための組織改善」の提案まで対応しています。

「新人育成だけでなく、既存メンバーの腕を上げて、自己判断能力を上げていきたい」
「言われたことだけでなく、メンバーが自分で判断できるようにするにはどうすれば‥?」

などのお悩みがおありでしたら、今回のようなイベント対応に限らず、様々なご支援ができるので、ご興味ある方はお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

亀田 直人
大手印刷会社にて人事を経た後、営業として、店頭を中心とした様々な企業の販促支援に従事し、紙から鉄まで多様な企画・制作に携わる。色数や印刷方法など、「成果物の完成度」にズレがちなクライアントの要望をそもそもの目的に合わせ整理し直すなど、「成果とコストの見合った効果的な提案」を得意とする。趣味はサッカー(ポジションはGK)、二児の父。

ECコンサルティング会社コマースデザインの社員ブログです。

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