こんにちは。コンサルタントの石黒です。
今回のテーマは、「定例会議のやり方」です。会議というものは、下手をすると時間をムダ遣いしてしまうもの。中には、
- 「色々話したけど、結局どう決まったのかよくわからない」
- 「話が脱線してしまい、本来の議題が全く進まなかった…」
- 「誰が何をやるのか、あいまいでよく分からない」
など、あまりよくない会議に参加したことがある方もいると思います。そこで今回は、仕事を前進させ、効率的に進めるための前向きで便利な会議のやり方をご紹介します。
はじめに
会議の種類
まず、会議には色々な種類があります。
- 定例会議 :EC事業部のメンバー全員で話す会議(週1回など)
- 緊急対策会議:何かトラブルがあった時に開く、突発的な会議(不定期)
- 情報共有会議:会社全体の方針を共有する会議(月1回、四半期に1回、年1回など)
それぞれの会議によって進め方や内容は違いますが、今回は一番多い「定例会議」のやり方を説明します。
イメージとしては、2人~6人ぐらいの規模で、部署単位や小さい会社の全社会議を想定しています。
※10人でもできなくはないと思います。
会議の役割分担
会議には、司会と書記が必要です。
司会をする人も、ホワイトボードに書きながら話したりしますが、タスクなどの細かい情報は、書記が記録する方が妥当でしょう。会議を開催する前に、役割分担を決めておいてください。
今回、説明すること
前半で「定例会議をやる意味」をお伝えします。後半で、具体的な会議の進め方を説明します。
- 1:定例会議をやる意味
- 中小企業に起こりやすい問題
- 定例会議をやる効果
- 2:定例会議の進め方
- どんな順番に何を話すか。会議の式次第を紹介
1:定例会議をやる意味
この記事を読んでいるのは、ほとんどが中小企業の方だと思います。
弊社も小企業ですが、「中小企業は、ついズルズルとぬるま湯になりやすい面がある」と自戒を込めて思います。
一度やると決めたことが、やるのかやらないのか・一時的に中止したのか、よく分からないまま、しばらく経つと消えてしまったり。なので、メンバーは「今は盛り上がってるけど、どうせ止まるんだろうなあ」と、成り行きを静観していたり。
また、「Aの話→Bの話→またAの話…」というように「話題が変わったり話が飛んだりして混乱する」こともよくあります。
まとめると、以下のようなことが起こりがちなのが、中小企業の現実かと思います。
- 一度決めたことが風化しやすい
- 話が混乱しやすい
- 誰が何をやっているか、よく分からない
そこでオススメしたいのが、定例会議です。定例会議にはどのような効果があるか、詳しく説明します。
会議がアクセントになり、仕事にリズムが生まれる
定例会議をやると、まず仕事にリズムが生まれます。
「今週の会議で出たこのタスク、次の定例会議までにやりましょう」というように、会議のタイミングでタスク(やるべき仕事)の〆切が設定されます。
Aさん「これは僕がやります」
司会「いつまでですか?」
Aさん「次の定例会議までにやりますね」
というように、会議の場で〆切を宣言するわけです。「お互いがお互いに対して約束する」ということですね。会議でタスクの約束が発生し、仕事のリズムが生まれます。
「約束を守る」という健全なプレッシャーが発生する
そして、次の定例会議で、「約束が守られているか」をチェックします。
司会「進捗を確認しましょう。Aさん、先週〇〇するというタスクがありました。進捗はどうですか?」
Aさん「終わりました」
司会「Bさん、〇〇するって言っていましたね。状況はどうですか?」
Bさん「すみません、まだやっていません」
このように、約束に対して「ちゃんとやりましたか?」と確認が入ることで、健全なプレッシャーが発生します。
このプレッシャーが仕事を前進させます。
「実行」と「チェック」を分けることで、メリハリがつく
また、定例会議には、「仕事をする→振り返る→チェックする」という、仕事の作業工程を分ける効果があります。
定例会議をやっていなかったり、会議がうまく機能していなかったりする場合、作業中にしょっちゅう確認が入り、「仕事が細切れになって集中できない」ということが起こりがちです。
例えば、仕事をしていたら「あの件、今どうなってるの?」と話しかけたら、「こういう状況です」と説明することになりますよね。このやりとりが都度発生すると、そのたびに手が止まるので、なかなか仕事が進みません。
こういった進捗のチェックは、定例会議でやりましょう。
定例会議でまとめて情報共有し、チェックすることで、会議と会議の間は実行に集中できます。
「情報共有する時間」「チェックする時間」「実行する時間」が明確に分かれ、メリハリがつくので、仕事が進みやすくなります。
このチェックタイムは、案件や状況によっては、週1の定例会議だけでは足りないこともあります。その場合は、朝礼や夕礼をすることもおススメです。
2:定例会議の進め方
ここからは、定例会議で「どんな順番で何を話すか?」について具体的に説明します。
(1)「会議で何をするか」を確認する
一番最初にやることは、「今日は何をする?」という確認です。
大企業出身の人などは、よく「今日のアジェンダは何?」と言いますね。「そもそもアジェンダって…?」という方もいると思うので、普通に「今日は何する?」という聞き方で十分でしょう。
(2)「会議のゴール」を確認する
会議の冒頭で、「今日は何をする?」に加えて「今日のゴールはなにか」を確認しましょう。
例えば、「〇〇の計画を立てること」が、今日のテーマだとしましょう。
そうすると、次のタスクの「計画書の作成」について、全員「できそう」と合意した状態がゴールになります。
これなら、「今日、あと1時間で何を話すか」が明確になりますね。
ゴールがあると、話が脱線しづらいんです。社長を筆頭に会議中に脱線する人は多いものですが、予め「会議で何をするか」と「会議のゴール」を決めておくと、脱線しづらくなります。ですから、ゴールを定義してから会議を始めましょう。
(3)前回タスクの進捗を確認する
前回の会議で約束したタスクが「きちんと終わっているか」をチェックし、消し込んでいきます。
この確認をするためには、議事録をとっておかないとダメです。
「誰がいつまでに何をするか」という約束の記録が残っていないと、チェックできませんよね。
なので、定例会議の議事録は必ず作りましょう。
(4)状況報告を行う
ここまで、「今日は何をする?」「今日のゴールは?」を話して、前回タスクの進捗を確認しました。
次は、状況の報告です。それぞれ何があったかを報告し、みんなに共有します。
できれば、この情報共有は、「会議の前に行っておくこと」が望ましいです。
例えば、刑事ドラマの捜査会議で、「目撃情報」や「誰が何してたらしい」と言う情報を集めていくと、犯人の足取りが浮かびあがりますよね。このように、情報を集めると状況がよく見えますから、みんなの情報を集めることは大事です。
(5)ディスカッション
4つ目は、状況報告を踏まえて、「どうするといいと思います?」という話し合いをします。
ここが一番時間がかかりますよね。だからこそ、事前に情報を集めて事前に考えておいた方が、当日の会議はサクサクに進みます。
ディスカッションをスムーズに進めるコツを1つ紹介します。
- 理想:「そもそも、何がどうあるべきか」
- 現実:「一方、現実はどうなっているか」
- 差分:「ここに、どのような差があるか」
このように、「理想→現実→差分」の順で整理した上で議論します。理想と現実の差から、何をすべきか解決手段が見えてくるので、迷子にならずに済むと思います。
また、話しているうちに、別の問題点や課題が見つかることはよくあります。新しいトピックが見つかったら、「あとで話す」というように進めましょう。数が多い時は、会議を別に設けてもいいですね。
(6)おさらい
最後は、「誰が何をいつまでにやるか」「会議の目的を達成したか」を確認します。
まず、「誰が何をいつまでにやるか」を確認します。実際は、タスクは会議中に次々発生するので、臨機応変に対応しましょう。
「誰かやるだろう」ではなく「担当は〇〇さん」と決めること。自分に対しても、言い逃れができないよう、「いつまでに何をやるか」を約束しましょう。「いつまで」がハッキリしてることが大事です。ここが終わると、「誰が何をいつまでにやるか」の約束のリストができます。
そして、今日の会議の目的を達成したかを確認し、最後に、書記が議事録をまとめて参加者に提出して終わりです。
以上が、定例会議の基本的なやり方です。
まとめ
長くなりました。最後、要点をおさらいして終わります。
定例会議をやる意味
中小企業は「やる」と決めたことが実行されず、誰が何やってるかよく分からない状態になりがちです。
あまり専任の担当者がいない中、色々な人がバラバラのリズムで働き、混沌とした中で仕事をする環境になることが多いです。だから、「能力がないから混乱する」とか「仕事が流れる」ということではなく、そのような環境によって「仕事が流れて消えていく」ことが起こると思います。
でも「この間のあの件どうなった?」といちいち聞くのも面倒だし、聞かれて答えるのも面倒ですよね。とはいえ、聞かないと消えていくので、割とズルズルになりやすいもの。
しかし、中小企業こそ、「やる」と決めたことが着実に実行されるよう、定例会議が必要です。
- 定例会議の開催により、週1回などのリズムができる
- 会議でまとめて情報共有し、意志決定や指示を伝えて約束し、会議と会議の間は実行に集中する
- 会議で「約束したことを実行できたか」をお互いチェックする。健全なプレッシャーが発生する
- チェックと実行を分けてまとめることで、考える時間・話す時間・実行する時間のメリハリがつく
会議の進め方のポイント
会議の本質は「約束して守ること」です。週一などのリズムをとり、脱線しないようにすることが大事です。
「何を話したか?」は絶対に風化するので、なにがしかの形で記録を残すこと。
「でも、忙しいし」と言う人は、最低限「誰が何をいつまでにするか」を記録しましょう。これを徹底するだけで、大きなヌケモレはなくなります。議事録の一番大事なポイントです。
記録がないとチェックもされず、仕事がズルズルになってしまいます。慣れれば簡単なので、「うちには議事録の文化がない」という方は、ぜひチャレンジしてみて下さい。
P.S.
こういった仕組み作りは、組織の成長において極めて重要です。
一人店長や個人事業のお店や、気心の知れたメンバーで運営しているお店の場合、なんとかなっているかもしれません。
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この記事を書いた人
- エクステリア通販会社にて、店長業務に加えて物流・ユーザサポート・システム開発まで幅広く担当。市場ニーズと競合度を見極めて自社オリジナル商品を企画、自ら販促全般まで行って人気商品を量産。楽天ショップオブザイヤーにてジャンル賞を受賞したが、独自ドメイン店にも明るい。休日はバンド活動中。