EC運営経験コンサルタントが伝授!中小ECの伸びしろの見つけ方と伸ばし方

メルマガもやった、LINEもやった、SEOもやった、SNSもやった、でも売上が…。

このように「うちのネットショップはもう頭打ちなのか?」とお悩みの店舗さんもいるかもしれません。しかし、コンサルタントから見れば、まだまだ伸びしろがある店舗もたくさんあります。ECの伸びしろの見つけ方と伸ばし方について、コマースデザインで10年のコンサル歴を持つ、ECコンサルタントの石黒に聞きました。

EC経験者だからこそ、ネットショップ運営者の悩みが「わかる」

──まずは自己紹介をお願いします。

石黒:新卒で、ネットショップでエクステリア商材(住宅外観関連の建材)を販売する会社に就職しました。本店から始まってモール展開し、商品開発や輸入、販売、受注や出荷など、自分たちでなんでもやる会社でした。ネットショップの黎明期で、「運営に役立つちょっとしたシステムがほしい」となると、自社開発したりもしていました。

その会社でネットショップ運営の全体像を学ばせてもらったところで、ある時、当社代表と取締役が執筆した書籍『売れるネットショップ開業・運営 eコマース担当者・店長が身につけておくべき新・100の法則。』(インプレス)を読む機会があり、ネットショップ運営を教えることに興味を持ち、コマースデザインに転職しました。

これまで100社以上のコンサルティングを担当

石黒:入社して10年が経ち、おかげさまで100社以上の店舗様のコンサルティングを担当させていただいています。実際にネットショップを運営する仕事からは遠ざかっていますが、担当者の方のお悩みをおうかがいすると、当時の自分を思い出してしみじみ「わかる……」とシンパシーを感じてしまいます。

──いち消費者としては、普段ネットでどんなお買い物をしているのでしょうか。

石黒:最近は何でもネットにありますから頻繁に利用しますが、主なものは3つです。ひとつは子どもが生まれたばかりなこともあって、おむつなど子ども関連の日用品。ふたつめにギフトで、母の日などイベントを振り返ると、気づけばネットで注文しています。最後に趣味の音楽に関するものです。レコードの専門店などで「このサイト使いづらいな」と思いながらも、そこにしかないため利用しています。

どんなに優れた施策も、「納得」しないと成果が出ない

──日頃のコンサルティングで大事にしていることは?

石黒:どの仕事でも言えることですが、「結果を出すこと」が一番大事ですよね。
そのために、私は、相手を「知る」ことと、相手の「納得」の2つを大切にしています

我々は日々「このお店は、こういう状況でこうなりたから、これが必要そうだ」といった「仮説立て」をしているのですが、その確度を高める上で「知る」事が必要不可欠です。店舗のデータや市場に閉じず、モノ、人、細部に至るまでなるべく調べ、聞きこみます。相手の状況に沿うことで、提案の確度が高まるからです。

そして、その提案に、クライアントが納得できるかどうか。これがさらに大切です。
どんなにすぐれた提案でも、主体的に取り組んでもらえないと、成果が出にくいものです。私は、クライアントさんが「○○をすれば、現状がこの先よくなるイメージが持てたか」を確認させていただいた上でコンサルティングをはじめます。多くの経験から、物事の状況改善は簡単でないことを痛感していますが、改善のキーは、いかに自分で納得して動けるか、です。
そのため、相手に「納得」してもらえるよう、ていねいに伝えることに労力を注いでいます。
理にかなった提案と、主体的な取組みを両立させることが、クライアントの悩みを解消し、成長を促すコンサルタントとしての役割だと思って、日々皆さんのご支援をしています。

伸びしろの見つけ方と伸ばし方

──仕事でもプライベートでも多数のネットショップを見ている中、伸びしろの見つけ方と伸ばし方を教えてください。

レッドオーシャンでも伸びしろはある

石黒:ある程度市場規模の大きいジャンルは、レッドオーシャンと言われる分野であっても、やるべきことをやり切ればきちんと売上がとれることはよくあります。リサーチをかけ、それをもとに商品開発を行って……と、計算し尽くした上で臨んでいるところはもちろん売れますが、そこまで厳密にやらなくとも、市場規模が大きい=ニーズがあることを意味しますから、伸びしろは大いにあると考えています。

商品ページにニーズがある理由を書く

石黒:では、きちんとやり切るとは何か。例えばその内の一つに、お客さんのニーズに沿った商品ページにすることがあります。当社では、写真やデザインやキャッチコピーといった、アウトプットを考える手前で、「何を、誰に向けてなぜ伝える?」といった、その手前の「中身」をまず整理しましょうとお伝えしています。競合がいる以上、同じようなことを書いていては埋もれてしまいますから。

整理して導き出すのは、自社商品へのニーズです。コマースデザインでは「ダレナゼ」と言っていますが、誰が・なぜその商品を必要とするのか、お客様を想像して説明しようとすれば自社商品へのニーズが見えてきます。この芯となる部分をきちんと言語化した上で、さらに説明する写真やデザインを作っていくという順番です。

集客は正しいやり方でやり切る

石黒:次は集客です。集客に関してはシンプルで、SEO、メルマガ、広告など手法はさまざまありますから、やるべきだけれど十分にできていないところがあれば、そこが伸びしろになります。
ただ、今のネットショップは集客施策が本当にたくさんあり、大変だと思います…!昔はSEOや広告だけでよかったのが、今やSNSやら何やら、あれもこれもやらないと~となりますよね。これらたくさんある中から、どこに労力とお金をかけるかの見極めも求められると思います。

一方、運営者の方に集客についてお尋ねすると「(集客)やっています」とおっしゃる方が一定数いらっしゃるのですが、わたしたちコンサルタントから見ると「やり切ってはいない」ことがよくあります。界隈は日々進化しているため、情報収集が追いつかず、正しいやり方をご存じない、という方が正しいかもしれません。

また集客は、やるべき事がわかりやすい分、ある程度競合店舗もやりこんでいますので、やっておかないとそもそもスタート地点にすら立てていない、とも思います。あまりいらっしゃらないとは思いますが、「お店に商品を置いておけば売れるでしょう」という考えだと人は集まりません。

専門店こそ問い合わせ対応の強化を

石黒:「問い合わせの電話がかかってきたら高確率で売れる」なんて言いますよね。前職では、エクステリア商材という専門性の高い分野でしたから、問い合わせ対応にはリソースを割き、回答テンプレートを整備したり商品知識を勉強してもらうなどして、対応窓口を強化していました。
といっても、すべての質問に完璧に答えられたら良いわけではなく、お話をうかがって状況を整理し、必要なことを必要なタイミングでご案内することが重要です。対応のスピードや丁寧さがお客様の満足度に影響するため、伸びしろを伸ばすという意味では、ある程度のリソースを割く必要があります。

バックヤードの誠実さが未来の伸びしろをつくる

石黒:お店の印象、ひいてはブランドを位置付ける際に、バックヤードの正確さやスピード感、そして対応の誠実さが与える影響は大きいでしょう。直接のお客様だけでなく、レビューによって未来のお客様に与える印象が変わり、将来の売上まで左右していきます。

攻めのアクション量が成長を決める

──それぞれのポイントごとにアドバイスを聞きましたが、実際に伸ばせたネットショップはどこが違うのでしょうか。

石黒:100社以上の店舗さんをご支援してきた結果わかったのは、成長につなげられるかどうかの違いは、結局は、攻めの「アクション量」をどれだけ増やせるか次第で大きく変わることです。動いだ分だけ成長する。当たり前ではあるのですが、これをするのが本当に難しい…

わたしたちコンサルタントは、考え方やノウハウをお伝えすることはできますが、実際のアクションは店舗さんに行っていただかなくてはなりません。お伝えしたことをすぐに行動に移し、結果を検証し、それを踏まえて行動する。「PDCAをどれだけ回せるか」が成長効率に大きく影響しています。

とはいえ、自分たちでなんでもやるネットショップ運営を経験していますから、なかなかアクションを起こせないという言い分もわかります。ネットショップ運営は幅広くやることがたくさんあり、余裕がない場合が多いんですよね。自分たちの現状を見直すために一度立ちどまるには、時間と気力が必要ですから。

立ち止まって考えるための効率化やコンサル活用

石黒:会社によって状況は異なると思いますが、リソースが限られていても実際のアクションにつなげられる店舗さんは、アクションを起こすことを前提に、そのためにどうするかを逆算して考えていることが多いです。時間と気力をつくるために、簡単なシステムを自社で組んで業務を効率化した例もあります。

「そもそも自社の運営のやり方が古いのではないか」と違和感を覚えて、それを明らかにしてほしいとコンサルティングのご依頼をいただいたこともありました。我々のような外部のコンサルティングからの指摘で気づくこともあるでしょうし、すでに気づいていることを上司に伝えるためにうまく使っていただいても良いと思います。

相手への想像力がネットショップを伸ばす

──今後、ネットショップを運営していくにあたって大切になるポイントを教えてください。

石黒:今後はよりいっそう、ネットショップに求められることの抽象度が高くなっていくだろうな、と思っています。昔は「これをやればいい」がある程度明確だったけど、どんどん曖昧になっていく感じです。
それに対応するためには、「相手のことをどれだけ想像できるか」が決め手になると考えています。この場合の想像は、精神論ではありません。

たとえば、商品ページについて述べたところで「ダレナゼ」の考え方を紹介しました。
これは、自社の商品を購入してくださるお客様のことを想像しているわけです。お客様はなぜこの商品が必要になったのか、この商品があることでどんな不便が解消されるのか。想像し、それを的確な形で表現した商品ページは、お客様のお困りごとに先回って提案することができますから、結果的に売上を伸ばしていくことができるでしょう。

ネットショップ運営は幅広く、さまざまな工程があるため、「相手」はお客様に限りません。同僚や委託事業者の方の立場に立って、どのように協力を求めたら相手が仕事をしやすいかを想像できるかどうかが、ネットショップの運営効率を上げていきます。

そして、「想像し先回りした提案」を行っていくことと、「プラットフォームの進化に対する正しい知識」を掛け合わせることが重要です。

できていないからこそ伸びしろがある

──最後に、ネットショップ運営者にアドバイスをお願いします。

石黒当事者である店舗さんには見えていないだけで、基本的にどこのお店にも伸びしろはあると考えています。私達のようなコンサルティング会社は、その伸びしろを見つけるお手伝いをすることができます。

一度立ち止まってコンサルタントとともに自社のネットショップを見直し、伸びしろが見つかったら伸ばすため攻めのアクションを打つ体制を整える、といったことに取り組む覚悟を決めるのは、日々忙しい担当者の方には難しいことだと自分の経験からよくわかります。

しかしながら、根本に立ち返れば、相手があっての商売です。相手のことを想像し、先回りした提案ができるかどうかで商売は変わってきます。わたしたちも「ネットショップ運営者の状況を想像したうえで寄り添っていきたい」と思っていますので、ぜひコマースデザインに頼っていただきたいです。

日々忙しくて、やりたいことがあるけれどもできていない状況は、伸びしろがあるのと同義です。今回お話ししたことに取り組んでいただくことで、伸ばしていくことができますから、あきらめないでほしいと思います。

まとめ

ネットショップの伸びしろの見つけ方、伸ばし方について、ECコンサルタントの石黒に詳しく話を聞きました。

  • 「実際に成長につなげられるかどうか」の違いは、攻めのアクション量が決め手
  • 当事者である店舗さんには見えていないだけで、基本的にどこのお店にも伸びしろはある
  • 日々忙しくて、やりたいことがあるけれどもできていない状況は、伸びしろがあるのと同義

この3つを総合すると、忙しいお店ほどチャンスがあって、適切な突破口がわかればそこに集中するのが大切だということですね。

「まだやり残したことはあるのではないか?「忙しさが解消できたらこんなことができるのでは?」など、伸びしろについてのアドバイスもできますので、気になった方はお気軽にご連絡ください。

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この記事を書いた人

コマースデザインスタッフ
コマースデザインは、EC事業のコンサルティング会社として、ECのお役立ちツールECコンサルティングを提供しています。全サービスの累計支援先企業は23,000社を突破しました。「色々な個性を持ったお店が数多くあり、お客さんに豊かな選択肢があるEC業界」を目指し、中小ネットショップ事業者の皆様の「強み」を引き出す支援を行っています。
詳しくは、コマースデザインについてをご覧ください。

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