ピンチのネットショップが店舗コンセプトを定義したら、昨対120%の大復活を遂げた件

こんにちは、コンサルタントの槐です。

日頃ネットショップの支援をしていると「店長やバイヤーが交代して売上が落ちた」「価格競争で利益が減った」といったお悩みをよく耳にします。

実はこれらの問題には「店舗コンセプト」の未設定が関わっていることが多いんです。

店舗コンセプトは、お店のありかたを決める大事な要素。適切に設定されていないと、人の入れ替わりでお店の方針がブレてしまったり、お客さんにお店の魅力が伝わらなかったりして、売上や利益が低迷してしまいます。

そこで今回は、店舗コンセプトの見直しによって店舗を再建させた事例をもとに、その重要性や効果について紹介します。

ネットショップの売上や利益でお悩みの方は、ご一読ください。

なぜ店舗コンセプトが大事なのか

前述のとおり、ネットショップの現場には、人の入れ替わりや、売上や利益の低迷がつきものです。

これらは一見、別々の問題に思えますが、実は共通の原因となる要素があります。それが店舗コンセプトの未設定、つまり自分たちはどういうお店なのかを言葉にできていないことです。

店舗コンセプトはネットショップの方向性をお客さんに伝える大切な要素で、言うなれば「扇の要」のようなものです。

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(画像出典:売れるネットショップ開業・運営新100の法則

店舗コンセプトがあると、運営はもちろん、店構えから品揃えまで、すべてがそのコンセプトを中心にまとまり、お店に一貫性が生まれます。

例えば、繁華街などで見かける、有機栽培の野菜しか扱わないオーガニック・健康志向のレストランを想像いただくとわかりやすいかもしれません。「オーガニック・健康志向」というコンセプトにそって、スタッフ・お店のあり方それぞれに一貫性を持たせることで、「身体にいいものを食べたい」と考えているお客さんに選んでもらえる、というわけです。

こういうと「ジャンクな気分のお客さんに選ばれなくなるなど、機会損失もあるのでは?」と思われるかもしれません。しかし、何でもかんでも中途半端に手を伸ばしてしまうと、何のお店なのかがお客さんに伝わらず、結果として選ばれないお店になってしまいます

店舗コンセプトは単なる言葉や体裁のようでいて、実は売上や利益に強く影響する要素でもあるのです。

コンセプトの見直しで店舗を再建した実例

では、ここから、コンセプトの設定・見直しによって、人の入れ替わりや売上や利益の低迷の問題を解決した実例をご紹介します。

このお店がどのようにコンセプトを活かして人の入れ替わりの問題を解決し、価格競争から抜け出せたのか、その過程を見ながら、コンセプト設定の実際の効果を考えてみましょう。

なお、以下の記事では店舗コンセプトの考え方についてより詳しく解説しています。こちらもあわせてご覧ください。

凄腕バイヤーが離脱、価格競争に巻き込まれる

ある仕入れ型の雑貨店のお話しです。このお店には抜群に目利きの上手い凄腕バイヤーがおり、そのバイヤーが「売れる!」と思った商品を仕入れてヒットさせる、という構造で売上を立てていました。

しかし、この状況には大きな問題がありました。凄腕バイヤーに頼りすぎるあまり、他のスタッフには、目利きの観点や方法が継承されていなかったのです。

そしてその後、凄腕バイヤーがまさかの退職。残されたスタッフは新しい商品を仕入れることができず、バイヤーが残した過去の人気商品を売るので精一杯な状況になってしまいます。

結果は明白で、新しい仕掛けができないために競合店舗の値下げ戦略に巻き込まれ、売上・利益ともに前年比割れ。他店と差別化しようとするも効果が出ず、時間と労力が無駄に流れていく状態にまで追い詰められてしまいました。

店舗コンセプトを見直し、再起をはかることに

この苦境に対し、店長は「店舗コンセプトを作りなおす」という決断をします。かつての凄腕バイヤーの影を追うのではなく、今の体制でどうお店を立て直すのかに思考を切り替えたわけですね。

コンセプト作りはいろいろな進め方ができるのですが、このお店では、まずはシンプルにどのようなお客さんに来てほしいかから考えるようにしました。それまでは焦りもあって、とにかく売らねばという気持ちが先行していたと思います。しかし、焦る気持ちを落ち着けて「子育て中のお母さんを支えたい」というように丁寧にお客さんの姿と、それに対して自分たちができることを定義していきました。

お客さんのイメージが定まったら、次はそのコンセプトに沿った商品選びのルール作りに取り掛かります。具体的には「こういうお母さんを支えるお店なんだから、この商品は違うんじゃないか?この商品は取り扱うべきじゃないか?」といった観点や基準を定めて、それをもとに仕入れる商品や、打ち出す商品を選別していったわけです。

その後の販促においても「商品ページでこの要素を見せられたらお母さんたちは助かるよね」「こういうリンクがあるとお母さんたちは買い物がしやすいよね」など、店舗コンセプトに沿った議論が行われ、運営スタッフの目線はもちろん、お店に一貫性が生まれるようになっていきました。

じっくり時間をかけて店舗の再建に成功、前年比120%を達成へ

もちろん、コンセプトを設定した瞬間から新商品がすぐに売れ出したわけではありません。それでもスタッフがお互いに声を掛け合い、粘り強く取り組んだことで、少しずつお店は軌道に乗り始めます。

コンセプトの見直しから年単位の時間をかけ、お店の体制や売上は好転。具体的には、広告費や販促費を減らしているにも関わらず、前年比で120%を達成するほどに至ります。

価格競争に巻き込まれても頼るしかなかった旧人気商品への依存度も減り、現在は売上構成比で半分以下になったといいます。つまり、かつての凄腕バイヤー自分たちで作り上げた商品で売上が立てられるようになったのです。

あなたのお店のコンセプトは何ですか?

仕入れ型で似たような状態になっているお店は少なくないかと思います。「このままではマズい」と思いながらも、毎日の業務に忙殺されて、ズルズルと過去の商品や活躍してくれる個人のパフォーマンスに依存したまま時間が経っているというケースは本当によくお見かけします。

店舗コンセプトを定めること自体は、何のお金にもなりませんから「コンセプトなんて考えている時間はない!」と感じるお気持ちもよくわかります。

しかしそれでも、諦めずに、自分たちのあるべき姿をコンセプトとして言葉にまとめることで、ご紹介した事例のように状況が大きく好転するケースも多くあります。どれだけ忙しくても、どれだけ焦っていても、立ち止まってお客さんや店舗のことをよく考えることが、実は問題を解決する近道になることもあるんです。

コンセプト作りは簡単ではありませんが、諦めずに言葉にまとめて、スタッフやお客さんに伝えていくようにしてみてはいかがでしょうか。

あなたのお店のコンセプトは何ですか?

ぜひ、考えてみてください。

P.S.

  • そうは言ってもコンセプトを考えるのって難しい…
  • どのように考えたらいいのかわからない…

ECコンサルタントが、あなたの店舗の強みや課題を整理し、適切なコンセプト設定をサポートします。そんなときは、ぜひ私たちコマースデザインまでご相談ください。これまで多くのネットショップを支援してきた

「うまく言語化できないけど、何かモヤモヤしている」といった漠然とした状況でも遠慮は不要です。ぜひ壁打ちするような感覚で、あなたの想いや悩みを私たちにぶつけていただければ嬉しく思います。

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この記事を書いた人

槐 香子
槐 香子
槐と書いて「えんじ」。埼玉出身。10年以上EC業界に在籍し、アパレル/美容雑貨/ベビー用品など様々なジャンルを経験。某モールで講師も担当。店の個性を活かした支援、人が育つ環境づくりに興味を持ち、コマースデザインに入社した。中小ECの可能性を信じている。カメラ好きでcanon60D愛用中。スパイスカレーに目がない。

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