こんにちは、コンサルタントの槐です。
ネットショップを運営する上で避けては通れない、お客さんからのお問い合わせ対応。なかでも電話を経由したものは顧客満足度を高めやすく、転換率や客単価アップなど売上改善にも効果的です。
その一方で、セール期間中に問い合わせの電話が鳴り止まないなど、ほかの業務に支障をきたすケースもよくあります。
そこで今回は、お問い合わせ対応効率化の秘策になる…かもしれない「フリーダイヤル廃止」についてご紹介します。
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「ネットショップにはフリーダイヤルが必要」は思い込みだった?
ネットショッピングでは商品を実際に手に取れないため、お客さんの不安を解消する手段として電話でのサポートがよく取り入れられています。実際に「フリーダイヤルは必須」と考え、導入されてる方も多いのではないでしょうか。
しかし、実はそれ、思い込みかもしれません。以下、興味深い例がありますので紹介させてください。
フリーダイヤルを廃止しても、意外とお客さんの支持は失われない
当社はこれまで多くのネットショップの支援を行なってきました。その中で、実際にフリーダイヤルを廃止したり、電話の受付時間を短縮したりした事例を複数見てきたのですが、意外にもお客さんからの不満やクレームが寄せられることはほとんどありません。
「人気のないお店の話では?」と思われるかもしれませんが、有名モールで多くのファンを抱える人気ショップでも同様の事例がありました。フリーダイヤルを使わず、電話の受付時間を午前10時から12時までと大幅に制限しているにも関わらず、特に売上が落ちるようなこともなかったのです。
もちろん、一部のお客さんからサービスについて指摘される可能性はあるかもしれません。しかし、当社の経験上、大多数のお客さんは電話以外のガイドやサービスが充実していれば、十分に満足していただけると感じています。(ガイドやサービスについては、詳しく後述しますね)
フリーダイヤルがあった方が良いケースもある
ただし、すべてのネットショップでフリーダイヤルを廃止してOKかというと、そうとは限りません。
例えば、以下に代表される「相談しながら購入する方がお客さんも買い物がしやすい商材」では、電話での対応が重要となる場合もあるので、ショップの特性を見極める必要があります。
- 高額商品
- 腕時計やジュエリーなど
- 直接話せることで安心感につながり、高額でも決断しやすくなります
- お客さんが買い慣れていない商品
- 専門的な道具、種類が豊富で迷う商品など
- 専門的で適切な説明をすることで、購買意欲を高められます
これらのケースでは、むしろ積極的に電話を受け付けた方が良い場合もあります。しかし、低単価であったり、お客さん側も買い慣れている商品を扱っていたりするネットショップであるならば、フリーダイヤルの廃止を検討する価値は十分にあるのではないでしょうか。
フリーダイヤルをやめたら、電話が鳴り止んだ事例
実際にフリーダイヤルを廃止したあるネットショップの事例をご紹介します。
このショップは、年間数千万円規模の売上を少数精鋭体制で作っていました。しかし、セール期間中は電話対応に追われてしまい、出荷業務など重要な業務に支障をきたしているのが悩みでした。
悩んだ店長さんは「フリーダイヤルを止めてしまえば電話が収まるのでは?」と考えます。そして、FAQページの充実や、電話以外の問い合わせ対応の効率化を行った上で、フリーダイヤル廃止を断行しました。すると、効果はてきめん。それまで鳴り続けていた電話が、大型セール中でさえたった1本にまで激減し、重要な業務に集中できるようになったのです。
確かに電話対応も重要な接客仕事です。しかし、少数精鋭のネットショップできめ細かに電話接客しようと思うと、本来やるべき作業を中断して対応しなければなりません。当然、作業にも影響するわけで、場合によっては出荷の遅れなどの重要な問題にも発展しかねません。
1on1の電話接客を優先するあまり、数百から数千のお客さんへのサービス低下を招いては本末転倒です。この事例は、お店全体としてお客さんの信頼を失わないよう、うまくバランスを取った好例と言えるのではないでしょうか。
フリーダイヤルを廃止するためにやるべき3つのこと
ここまでを読んで「うちもフリーダイヤルを廃止してみようかな」と思った方もいるかもしれません。
そこでここからは、フリーダイヤル廃止と併せて実施しておきたい3つの施策を紹介します。実施することで、顧客サポートの質を落とすことなく、業務効率化を図ることができます。ぜひ取り入れてみてください。
1.サポートページを充実させる
まず1つ目が、サポートページを充実させることです。
サポートページとは、お客さんが買い物をする際に感じる疑問を解決するページを指します。具体的には、以下のようなページを準備しておきましょう。
- FAQページ
- FAQはカテゴリーごとに整理し必要な情報にアクセスしやすくしましょう
- 可能であれば検索機能を持たせておけるとなおよしです
- インフォメーションページ
- 送料や納期のほか、ラッピングサービスなど、お店からの案内やお知らせをわかりやすくまとめたページを用意しておく
このようなサポートページを用意し、お客さんの疑問に先回りをすることで、多くの問い合わせを未然に防げます。
なお、サポートページでは、画像や動画を積極的に活用するのがおすすめです。視覚的にわかりやすくすることで、お客さんの疑問が解消されやすく、購入の手助けにもなります。
2.電話以外の問い合わせ方法を増やす
次に紹介するのが、電話以外の問い合わせ方法を増やすことです。例えば、チャット、メール、SNSなどが考えられます。
以下、それぞれの特徴を整理します。参考に取り入れられるものがないか検討しておきましょう。
問い合わせ方法 | 概要 |
---|---|
チャット | ・お客さん側の利用ハードルが低く、利用してもらいやすい ・チャットボットを利用すれば、人の対応負荷をさらに軽減可 ・ただし最終的に1on1の問い合わせにつながるケースも多い |
メール | ・都合の良い時に対応できるので、業務支障が少ない ・問い合わせ履歴の管理がしやすい ・テンプレートを用意すれば、さらに業務効率アップ ・ただし件数が多いと管理が煩雑になる |
SNS | ・LINE公式や、X(旧Twitter)などのDMを活用 ・利用者も多いため、広く利用してもらいやすい ・お客さんとの継続的な関係構築にも繋がる(フォロー獲得) ・ただし準備が大変で、かつECモールによってはSNS誘導に制限がある場合も |
3.お客さんへ丁寧に説明する
3つ目は、お客さんに丁寧に説明することです。
フリーダイヤル廃止や電話受付時間の変更を行う際は、お客さんに説明をしておきましょう。意外と支持が失われないとはいえ、突然のサービス変更は一部のお客さんの反発を招く可能性もありえるからです。
具体的にお知らせする方法としては、メルマガでの案内やインフォメーションページでの案内が定番。SNSを運用されている場合は、そちらを利用するのもおすすめです。
お知らせする際のポイントとしては、下記が挙げられます。
- 「より迅速な出荷を実現するため」など、変更の理由を明確にする(顧客メリットを強調)
- 電話以外の問い合わせ方法を分かりやすく提示する
- 急な変更は避け、変更予定日を事前告知するなどお客さんが新しい対応に慣れる時間を設ける
ちなみに、先ほど紹介した「電話受付時間を大幅に制限したにもかかわらず多くのファンがいるショップ」では、受付時間の箇所に下記のような説明が記載されています。
少人数でコストパフォーマンスの良いお買い物をしていただくために、当店は少人数で運営しています。午後はスタッフ全員で出荷作業に集中し、お客さんにより早く商品をお届けできるよう努めています
実際には全スタッフが出荷作業をしているわけではないかもしれませんが、この説明があることでお客さんの理解と共感を得やすくなり、結果としてサービス変更への抵抗を減らすことができているのだと思います。
まとめ
今回は、お問い合わせの業務効率化について紹介しました。
電話での問い合わせ対応に追われているネットショップ運営者の方は、「フリーダイヤルの廃止」を一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、やみくもに電話対応を削減するのではなく、顧客サポートの質を維持・向上させる取り組みとあわせて実施することは忘れてはいけません。記事で紹介した工夫もあわせて取り入れつつ、実施するようになさってくださいね。
ご参考になれば幸いです。
P.S
なお「そうはいっても問い合わせ対応の効率化がうまくできない…」「顧客満足度を維持するにはどうすればいいのか…」とお困りの方は、当社までご相談ください。
腕利きのコンサルタントがあなたのネットショップ運営の状況を丁寧にヒアリングし、どのように問い合わせに関するお悩みを解消できるのかを一緒に考えます。ぜひ、以下のリンクからお気軽にご連絡ください。
以下のリンク先よりお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
- 槐と書いて「えんじ」。埼玉出身。10年以上EC業界に在籍し、アパレル/美容雑貨/ベビー用品など様々なジャンルを経験。某モールで講師も担当。店の個性を活かした支援、人が育つ環境づくりに興味を持ち、コマースデザインに入社した。中小ECの可能性を信じている。カメラ好きでcanon60D愛用中。スパイスカレーに目がない。