売り方がわからない方へ。誰でもマーケティングがわかるようになる「ダレナゼ」のススメ

こんにちは。コンサルタントの林です。

今回は、商品を魅力的に紹介する当社独自のマーケティング手法「ダレナゼ」をご紹介します。

ダレナゼとは「誰が、なぜ、その商品を買っているか」を理解することです。ダレナゼが理解できると「どうこの商品を売ればいいの?」という迷いが激減し、お客さんの心を掴むマーケティング戦略が立てやすくなります

ダレナゼの基本的な考え方や活用法からよくある誤解まで、詳しく紹介しますので、ぜひネットショップの売上アップにお役立てください。

「ダレナゼ」とは?

「ダレナゼ」とは文字通り誰が、なぜその商品を買っているのかを言葉にして理解しておくことです。ECに限らず、マーケティング全般で活用できる考え方です。

ダレナゼを把握することで、コピーライティングの執筆など販促まわりの業務がスムーズになります。(具体的には後述します)

以下「ダレ」と「ナゼ」の意味について、それぞれ見ていきましょう。

ダレは「目的」や「用途」まで考える

まず「ダレ」とは、文字通り「誰が買っているのか?」を指します。…が、ダレナゼにおいては「商品購入者の目的や用途の深掘りをすること」と考えてください。

理解しやすいように、購入目的でよくある「自家用かギフト用か」の違いで説明します。

一口に自家用・ギフト用と言っても、いろいろなお客さんがいろいろな目的や用途で購入していますよね。例えば、自家用なら「自分へのご褒美として買う場合」もあれば「生活必需品として買う場合」もありますし、ギフト用であれば「親戚向け」「子供向け」「仕事向け」など、たくさんのシチュエーションがあります。

ダレナゼのダレでは、このような目的や用途の深掘りまでを定義します。具体的には以下のレベルまで掘り下げるイメージです。

  • このお客さんは、この商品を何の用途で買っているのか?
  • どんな目的があるのか?
  • この商品で何をしたいのか?

ダレと言うと、年齢や性別などお客さんの属性を思い浮かべがちですが、ここまで具体的に深掘りすることで、より精度高く売り方を考えられるようになります。

ナゼは「比較基準」を表す

次に「ナゼ」です。ナゼとは、比較基準を表します。つまり、商品を購入する際、どういう基準で選んでいるかということです。

例えば、ダレが「自分用に珍しいビールを買いたい」であれば、ナゼにあたる比較基準は「物珍しさ」が筆頭になります。この場合、よく見る安価なビールより、海外のローカルなビールが選ばれやすくなるわけです。

一方で、ダレが「自分が酔えさえすればいいので、安さを優先したい」ということであれば、比較基準は「値段」が筆頭になるので、よく見る安価なビールが選ばれやすくなります。(ちなみに、父の日や母の日のギフト商戦でよく見る「まだ間に合う」も、ナゼを利用した訴求です。ダレが「なんとかイベントに届けたい」であれば、まだ「間に合う」はかなり有力な比較基準なります)

このように、ナゼはダレと連動して変わる性質を持っています。人によって比較基準は千差万別ですから、常に万人にとって一定とは限らないので注意が必要です。

「ダレナゼ」を把握する方法

「ダレ」と「ナゼ」、それぞれの意味が分かったところで、どのようにダレナゼを把握すれば良いのかを見ていきましょう。

先に結論をお伝えすると、「すでに購入したことがある人の言葉から分析して把握する」のがおすすめです。
具体的には、次のような方法で情報を集め、掛け合わせて考えます。

  • 商品レビューを分析する
  • モニターアンケートを実施する
  • 電話や店頭でヒアリングする

具体的にイメージしやすいよう、ここでもビールを例に考えてみましょう。

ビールの商品レビューやアンケートの回答を分析すると、同じ商品でも、購入者によって目的や比較基準が大きく異なることがわかります。(以下例)

  • 珍しいビールだから試してみたい(お酒好きが自分のために)
  • 親の誕生日に、好物のビールを贈りたい(お酒好きな親のために)
  • 取引先に、高級感のあるビールセットを贈りたい(フォーマルギフトとして)

まずは、このようにニーズを洗い出して整理していくようにしてください。

ある程度、ニーズを洗い出せたら、次はそれぞれの購入発生頻度をカウントし、重要度を見極めていきます。例えば「珍しいビール用途で○個、誕生日用途で○個、フォーマルなギフト用で○個…」というように具体的に把握していきます。

こうして定量・定性の両面でダレナゼを把握していくことで、単なる販売数の把握を超えた、より深い顧客理解が可能になります。お客さんの隠れたニーズや、商品の新たな魅力ポイントも見えてくるので、より効果的なマーケティング戦略を立てられるはずです。

「ダレナゼ」を活用して魅力的なキャッチコピーを作る方法

ここからは、数あるダレナゼの使い道の中でもECサイト運営に役に立つコピーライティングへの活用についてご紹介します。

ダレナゼを手がかりにコピーライティングを行う

はじめに前提として、以下が商品を売るためのコピーライティングの基本構造であることを押さえておいてください。

「〇〇したい人へ。〇〇したいなら、これがオススメです。なぜなら、~だからです」

長くなるのでここでは語れませんが、商品を売るためのコピーライティングでは、お客さんの左脳(論理的思考を司る部分)を働かせることが大切です。これにより、お客様の理性的な判断を促し、購買意欲を高めることができます。(詳しくは「こだわりを捨てて、本当に伝わる商品のアピールポイントを探そう」の記事を併せてご覧ください)

ここから本題です。

まずダレナゼ分析で、以下のような結果が出たとしましょう。

  • ダレ→父の日にお酒好きの義父に毎年恒例のビールギフトを贈ろうとしている人
  • ナゼ→(無難な選択肢もあれば、面白い選択肢もある中で)たまには珍しくて面白いビールを贈って驚かせたい

つまり、お客さんは「父の日ギフトは毎年贈っているから、少しひねった商品の方がいいのではないか」と思っているわけですね。

このダレナゼで見えたニーズを念頭に、先ほどのコピーライティングの基本型に当てはめてみると、例えば以下のような宣伝文章が作成できます。

ダレナゼを活用して執筆したコピーの例
ビール好きのお父さんを驚かせたい方へ。珍しくて美味しい父の日ギフトをお探しなら、このクラフトビールがおすすめ。このビールは国際的な賞を受賞し、〇〇地域でしか販売していない限定品です。原料に◯◯地域の名産である希少な◯◯を使用することで、一般的なビールとは一線を画すプレミアムな味わいを実現しました。ネット通販だけでしかお届けできない贅沢な逸品です。

受け取り方は人それぞれかもしれませんが、あてもなく「おすすめです」「売れてます」と訴求するのに比べて、かなり具体的にニーズに対して訴求できているように感じられませんか。

ダレナゼでお客さんの目的や比較基準を把握した上で、商品の魅力を伝えることで、お客さんが「そうそう、それを探していたんだよ!」と購買意欲を刺激できるわけです。

実際に買ってくれた人の言葉をもとに考える

ダレナゼを活用してコピーを作成する際は、想像ではなく実際に買ってくれた人の言葉をもとにするのが重要なポイントです。

なぜなら、実際に買ってくれた人の言葉とは、すでに存在している需要だからです。その需要を発見し、キャッチコピーに変換するだけで、スムーズに売れるようになる、というわけですね。発明より発見がベターです。

なので、やはりレビューを分析したりインタビュー、アンケートを実施するなどして、商品を買ってくれた人の言葉からダレナゼを把握することが大事です。

購入者にインタビューして、「なぜこのビールギフトを買いましたか?」と聞く。

購入者:「お父さんがビール好きなんだけど、普通のビールは大体飲んだことがあるから。せっかくだし、ちょっと珍しいものを贈ったら喜ぶかなあと思って選びました」

上記のような人がたくさんいることが分かれば、より多くの人が「その商品の魅力や選ばれ方」に気づくように仕掛ければいいわけですね。この場合であれば「ビール好きな人が喜ぶ珍しいビールです」という表現を使えば、お客さんの反応も変わってくるはずです。

「ダレナゼ」と「ペルソナ」の違い

最後に、ダレナゼとよく似た概念である「ペルソナ」との違いをご説明します。

ペルソナとは、マーケティングや製品開発において使用される架空の人物像のことです。典型的なお客さんを具体的に想像し、その人の属性、行動パターン、価値観などを詳細に設定し、製品設計やマーケティング戦略の立案に活かす考え方です。

どちらも具体的なお客さんの姿を想定するための施策なので混同しやすいのですが、以下の様な違いがありますので整理しておきましょう。

「ダレナゼ」は既存の実績が出発点

仮想のお客さん像を作り上げるペルソナに対し、ダレナゼは実際に購入したお客さんの声を分析する手法です。つまり、ダレナゼは、すでに売れている商品を分析するところが出発点です。いわば、現実の購買行動にもとづいた後付けでのニーズ発見と言えます。(だから精度が高くなるわけなのです)

では、新しい商品でダレナゼをしたいとなったらどうしたらよいのか?

新しい商品の場合は、モニターに商品を試してもらって、具体的な感想を聞きます。「どういうところが良いと思いますか?」といった質問から、実際の声に基づいた「ダレナゼ」を仮定し、まとめていくようにしましょう。

「ダレナゼ」は相対的にハズしにくい

繰り返しお伝えしているように、ダレナゼはお客さんの直接的な動機や用途、目的に着目します。実際の顧客の声から導き出されるため、よりリアリティがあり、本質的かつ多様なニーズを捉えやすいのが特徴です。

一方でペルソナは、動機や用途の前に「20代女性」「40代夫婦」「都内勤務の経理担当」のような属性定義や、詳細なライフスタイルなど外堀りから仮説を描いていきます。不慣れだとリアリティに欠けてしまう可能性があり、都合よく解釈した結果、お客さんのニーズを見落としてしまうリスクもあります。

つまり、相対的にダレナゼはハズしにくいわけです。

もし、過去に「どうもペルソナを考えてみたけど、よく効果がわからなかった」という経験をされたことがある方は、ぜひ一度ダレナゼを試してみてください。より短時間で、手堅くお客さんのイメージが掴めるかもしれません。

「ダレナゼ」でお客さんの心を掴もう!

今回はダレナゼという考え方についてご紹介しました。

まとめがてらポイントをおさらいします。

  • ダレ:「どういう用途・目的で、何をしたくてこの商品を買っているのか?」
  • ナゼ:「その目的を果たすために、どういう基準で商品を見比べたのか?」

ダレナゼでは、この2つの要素を組み合わせてマーケティング施策を考えます。レビューやアンケートなど実際に買ってくれたお客さんの言葉から発見するのが特徴で、ダレナゼをもとにコピーライティングなどマーケティング活用をすることで成果につながりやすくなります。

マーケティングには細かい施策や考え方など、いろいろなものがありますが、ダレナゼはかなりシンプルかつ本質的なので取り入れやすいはずです。ぜひ、ご自分のお店でも試してみてください。お客さんの心を掴むきっかけになれば幸いです。

P.S

「お客さんがほしいものを売る」のが商売の本質。マーケティングは、商品を必要としているお客さんに「まさにそれ!」というベストな案内をするのが基本です。

とはいえ、慣れないマーケティングに取り組もうとすれば、わからないことや悩むこともたくさん出てくると思います。そんな時は、ぜひお気軽にコマースデザインまでご相談ください。腕利のコンサルタントが「売れる仕組み」づくりのお手伝いをします。

詳しくは以下をご覧ください。

こちらの記事もおすすめ

この記事を書いた人

林智弥
林智弥
地方の中小酒蔵や酒屋、大手小売などで経験を積み、現場や地方の労働環境に精通している。EC部門立上げや、SNSマーケ、小売部門のマネージャーとして業務改善や販促全般に携わるなど、務めた業務も幅広い。売り方に悩む企業を支援したい思いからコンサルタントに転向。埼玉出身で、酒に目がない。カメラ、旅行、格闘技など多趣味である。

ECコンサルティング会社コマースデザインの社員ブログです。

値引きや広告に頼らない販促施策を中心に、小さな会社や1人事業のための業務改善・組織運営術など、経営全般の支援をしています。

RSS登録メルマガ登録

当社について

Eコマースの運営ノウハウ本を出版し、16回以上増刷されて業界で1位のベストセラーとなりました。

弊社の知見や取り組みは、NHKなど多くのメディアでも紹介されています。

コマースデザイン社長ブログ「ECバカ一代」