こんにちは、コンサルタントの林です。
今回は、ネットショップ関係者なら避けて通れない「モールSEO」についての話。
- モール店のアクセス数を伸ばしたいけど、何から始めればいいんだろう…
- SEOに必要なキーワードの見つけ方がわからない…
- 悶々するばかりで、具体的な集客施策が実施できていない…
そんな方へ向けて、モールSEOで大成功したお店の事例をヒントに「圧倒的にキーワードを網羅する鉄板手法」をお伝えします。
どんなお店にも通用する方法なので、きちんと理解して実践いただければ、順調にキーワードを増やしていただけるはずです。ぜひ参考にしてみてください。
モールSEOで成功する店は、何をしているのか?
はじめに、モールSEOの効果についてイメージしていただくために、当社のモールSEO支援の事例を1つご紹介します。
洗い出したキーワード数は1万超!モールSEOで売上5倍にした事例
楽天市場に出店中のあるファブリック系のお店のお話です。このお店は慢性的な集客不足に悩まされており、集客改善と売上アップのために当社のコンサルティングをご依頼いただきました。
コンサルタントと一緒に店舗の状況を分析すると、商品ページのSEO、特にキーワードの記入状況に不足があることが判明。そこで店長さんはモールSEOのやり直しを決意し、徹底的にユーザーが検索する可能性があるキーワードを洗い出すことにしました。
そしてコンサルタントとともにキーワードを洗い出すこと、その数なんと1万! キーワードを厳選しつつ記入を進めた結果、昨対比でアクセス数が3倍、売上は5倍と、驚異的な業績改善に成功しました。
ユーザーの検索キーワードを徹底的に洗い出し、ページに書く
モールSEOにはいろいろな考え方や方法がありますが、売上の伸びに特に影響するのはキーワードの豊富さ、すなわち商品ページに書いてあるキーワードの数です。
モールの検索エンジンは、商品ページの内容を読み取って検索にヒットさせるかを判断しています。そのため、商品ページに検索キーワードが多く含まれていると、いろいろな検索にヒットするようになります。結果、アクセスが集めやすくなり、自然と商品も売れやすくなっていくというわけですね。
こう聞くと「品揃えが多い店舗が圧倒的に有利では?」と思いますよね。確かに、商品数が多いほど、いろいろなキーワードで自分のお店の商品を検索にヒットさせられるメリットがあります。
しかし「商品数が少ないから、打ち手がない」と判断するのは早合点です。商品数が少なくてもキーワードは増やせますし、根本的な考え方や手法は同じ。ユーザーが検索する可能性があるキーワードを、徹底的に洗い出し、ページに書くことで、前述したお店のように売上を伸ばすことができます。
ではどうすれば、徹底的にキーワードを洗い出せるのか。次章から、キーワードの増やし方について、具体的な手法を説明します。
ゼロから始める、キーワードの増やし方
モールSEOをほぼ何も対策していない、いわばゼロからのキーワードの増やし方を説明します。以下のステップに沿って、一緒に順番に実践していきましょう。
【ステップ1:ウォームアップ】ひたすらキーワードを洗い出す
ステップ1は、準備段階。スムーズにキーワードを探すためのウォームアップと捉えていただけると、イメージしやすいと思います。
何をするかというと「ぱっと思いつく検索に使われそうなキーワード」を、エクセルやメモアプリなど使いやすいツールに、ひたすら箇条書きで洗い出していきます。例えば、ビジネスバッグを題材にすると以下のイメージです。
Q:自分なら「ビジネスバッグ」をどう検索するか?
・カバン
・仕事用 バッグ
・黒 バッグ
・通勤 カバン 大容量
などなど
分類や意図は考えなくても大丈夫です。できれば100個を目標に、ひたすら洗い出してみてください。なかなか思いつかない…という場合は、以下のポイントを参考にしてみてください。
- 玉石混交でOKなので、選別はせず、量より質の意識でとにかく書き出す
- 他店も巡回して参考にする
- (できる人は)サジェスト調査ツールも活用する
100個ほどキーワードを洗い出せましたか?
出せていない方は、まだリミッターがかかっているのかもしれません。「これは検索されないだろう」と自制せず、頭を柔らかくしてもう一巡、取り組んでみることをおすすめします。
【ステップ2:分類】キーワードの「カテゴリ」を見つける
次は、洗い出したキーワード100個ほどを元手に、2倍3倍とさらにキーワードを膨らませていきます。
ここでおこなう作業は「分類」です。分類とは、そのキーワードがどんなグループに属しているかを分けること。キーワードを「カテゴリ分けする」と考えるとわかりやすいでしょうか。例えば「黒」なら、カテゴリは「色」といった具合ですね。
なぜ分類が必要かというと、キーワードの連想が大きく捗るようになるからです。例えば「色」という分類が見えてくると、他にもいろんな色の表現ができることに気がつきます。黒であれば「ブラック」「ダーク」「モノトーン」など。このように分類によって、さらに実用的なキーワードが増えていくのです。(詳しい手順はステップ3で説明します)
ということで、100個のキーワードをカテゴリに分類していきましょう。
ただ、ぼんやり頭で分類を考えているだけでは、右から左に思考が流れてしまいます。そこで引き続きエクセルなどでキーワードを整理しながら分類を進めます。具体的には以下のとおりです。
- 洗い出したキーワード群を整理して、似たもの同士をグループにまとめる
- まとめたグループが、どんな点で似ているのかを考え、カテゴリ名をつける
- カテゴリ名をもとに、キーワードをもう一度、整理し直す
前ステップと同様、ここでも柔軟な頭が必要です。溜まったキーワードの具体性や言葉の大きさを意識し、相互に行き来するように分類作業を進めてみてください。
<例>
キーワード例(具体・小さな言葉) | カテゴリ(抽象的・大きな言葉) |
---|---|
犬柄、猫柄、花柄 | 柄、パターン |
消臭、速乾 | 機能 |
赤、青、黄色 | 色 |
ベビー、子ども、女性、男性 | ユーザー、利用者 |
結婚、引っ越し、手土産 | ギフト |
【ステップ3:拡張】カテゴリからキーワードを徹底的に洗い出す
ステップ3で実施するのはキーワードの拡張です。
ステップ2でも触れたように「カテゴリ」をもとに関連するキーワードを徹底的に洗い出し、同じシートに整理しながら記入していきます。
先ほど例示で「黒」から「ダーク」「モノトーン」を連想したように、実際にやってみると、ひとつのカテゴリから驚くほどたくさんキーワードが見つかります。ここでどれだけキーワードを見つけられるか次第でSEOの結果にも差が出ますので、とにかく徹底的に洗い出すようにしましょう。個人の頭ではどうしても限界がありますので、可能であればメンバーを増やして取り組むことをおすすめします。
具体的には以下のように進めていきましょう。
- 各カテゴリごとに細かくキーワードを精査し、増やしていく
- 単語の言い換えなど、表現や言葉のバリエーションはすべて網羅する
特に単語の言い換えや、バリエーションの網羅は徹底的に行いましょう。(「表記揺れ」と言います)同じものを指していても、人によって言い方や表現の仕方が違いますよね。それも全部洗い出して、キーワードに追加していくのです。
<例>
赤 → 「赤」「レッド」
鞄 →「鞄」「カバン」「かばん」「バッグ」
レザー → 「レザー」「革」「本革」「皮革」
靴下 →「靴下」「くつ下」「ソックス」
ロエベ →「LOEWE」「ロエベ※」
※ブランド名はアルファベット表記のほか、カナ表記も必ず加えましょう
このステップでは、拾い忘れているキーワードがないか、繰り返し丁寧に確認することが大事です。例えば、子ども向けの商品でも「男の子用」「女の子用」と検索する人もいれば、「通園」「登園」で検索する人がいるかもしれない。同じ旅行バッグでも「修学旅行用」と検索する人もいれば「二泊三日用」と検索する人もいるかもしれない。
このように、対象について見る角度を変えると、異なるキーワードがいろいろ出てくる可能性があります。ですから、くれぐれも「これでおしまい」と早々に切り上げず、キーワードを網羅するまで、粘り強く取り組んでみてください。
【ステップ4:反映】キーワードを商品ページに追加する
このステップまで正しく徹底的に実行ができていれば、手元に大量の検索キーワードリストができあがっているはずです。
あとはそのキーワードを、自店の商品ページにしっかりと書き込み、検索にヒットさせるようにすれば完了です。キーワードは持っているだけでは意味がありません。ページに書き込んではじめて効果が生まれますので、しっかり記載までやりきましょう。
キーワードの記載先はモールによって異なりますが、例えば楽天の場合は、主には「商品名」「キャッチコピー」「PC用販売説明文」「スマートフォン用商品説明文」が検索対象項目です。各ページに関連するキーワードを、文字数制限が許す限り記入していきましょう。
なお、このとき、お客さん目線に立つことを絶対に忘れないでください。読みやすい文章の中に、自然にキーワードが入っている状態が理想です。
- OK:ダークな黒が映えるビジネスバッグ。モノトーンで使用場面を選びません。
- NG:ダーク/黒/くろ/kuro/モノトーン/
上記のNG例のように、検索結果へのヒットだけを目的にキーワードを脈絡なく羅列するようなことは絶対にしないでくださいね。(スパム行為です)
ポイントを整理すると以下の通りです。
・検索対象項目に、関連するキーワードを反映する
・お客さんの目線に立って、自然な文章の中に、キーワードを含める
・モールのガイドラインをよく読んで、スパムや違反行為にならないようにする
キーワードの入れ方については以下の記事でも詳しく説明しています。あわせてご覧ください。
なお、商品数が多い場合かなりの労力を要します。一気に進めると負荷が大きいので、隙間時間を活用しながらコツコツ取り組むことをおすすめします。可能であれば、ステップ1の段階から、メンバーに入ってもらい、チームで取り組むのもいいでしょう。
キーワードを広げて「成長スパイラル」を生み出そう
今回はモールSEOで大成功したお店の事例をヒントに「圧倒的にキーワードを網羅する」鉄板手法をご紹介しました。
最後に要点をまとめておきます。
・商品ページに検索キーワードが多く含まれていると、いろいろな検索にヒットするようになる。結果、アクセスが集めやすくなり、自然と商品も売れやすくなる。
・ステップ1はウォームアップ。深く考えずに思いつく限りのキーワードを書き出す
・ステップ2は分類。集めたキーワードを分類し、カテゴリを見つける
・ステップ3は拡張。各カテゴリに属するキーワードを徹底的に洗い出す
・ステップ4は反映。商品ページに自然な文章でキーワードを書き込む
「キーワードSEO?前にやったけど効果がでなかったよ」と思う方もいるかもしれません。しかし、キーワードを徹底的にコンプリートするつもりで粘り強く取り組んでみると、どんどん可能性が広がっていきます。
実際に弊社のコンサルティングにおいても、キーワードを漏れなく商品ページに反映させたお店は、売上が相乗的に伸びていく「成長スパイラル」の環境が整っていくがあります。
キーワードを網羅することで起こる「成長スパイラル」
- 広がったキーワードを商品ページに反映させる
- 検索にヒットしやすくなり来客者が増える
- 売上が伸び、あらゆるキーワードでの順位が上がる
- さらに売上が伸び、さらにあらゆるキーワードでの順位が上がる
- さらにさらに…(以下繰り返し)
たくさん商品数がある場合は、キーワードが多くなるので労力も増えますが、その分成長の度合いも大きくなります。労力に対する人件費はかかっても、モールSEOの施策自体は、広告費と違ってお金がかかりません。お金をかけずに、売上を伸ばし続けるサイクルを創出することができるのであれば、労力や人件費は、非常に有効な先行投資と言えるのではないでしょうか。
モールSEOで結果を出したいなら、中途半端ではなく、徹底的に。キーワード対策に本気で取り組むことをおすすめします。
ぜひ、この記事を参考に、改めてモールSEOと向き合ってみてください。
P.S)ECモールのSEOのお悩みはコマースデザインまで
SEOの検索キーワードは、目を皿にして探すともう出ないと思っていたところで見つかることがあります。
しかし、ひとりで探すにしても、メンバーのみんなで探すにしても、マンネリになってしまうと、どうしても視界が狭くなりがちです。違う角度からのアドバイスがほしいときは、ぜひコマースデザインのコンサルタントをぜひお役立てください。
モールSEOについて、漏れなく対処するためのノウハウや最新の情報もご提供しております。気になる方は、以下よりお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
- 地方の中小酒蔵や酒屋、大手小売などで経験を積み、現場や地方の労働環境に精通している。EC部門立上げや、SNSマーケ、小売部門のマネージャーとして業務改善や販促全般に携わるなど、務めた業務も幅広い。売り方に悩む企業を支援したい思いからコンサルタントに転向。埼玉出身で、酒に目がない。カメラ、旅行、格闘技など多趣味である。