こんにちは、コンサルタントの槐(えんじ)です。
ネットショップに限りませんが、組織が拡大してくると「コミュニケーションの悩み」が増えてきますよね。例えば、新人スタッフを迎え入れるとき。はじめは「どこに住んでるの?」といった世間話もできますが、ネタが尽きてくると「何を話しかけよう」と気をもんでしまいがちです。
そこで今回は、すぐにできる&すぐに効く、コミュニケーション問題の特効薬「日報」についてご紹介します。日報があるとスタッフの動きや考えがよくわかるので、コミュニケーションが活性化するのはもちろん、組織内の状況を把握するのにも大きく役立ちます!
社内コミュニケーションでお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください!
- 目次 -
ネットショップが日報を取り入れる3つのメリット
まずは日報を取り入れるメリットから整理しましょう。ここではスタッフとのやりとりにフォーカスして、3つ紹介します。
1. 日報でスタッフの動きがわかる
まず1つ目は、スタッフの動きがよくわかる点です。
日報を取り入れると、直接スタッフ本人と会話をしなくても「今日どんな仕事をしたのか」「何を学んだのか」を文章で確認できるようになります。
例えば、新人スタッフ育成の場面で考えてみましょう。新人スタッフを教育する際、先輩社員をトレーナーとしてつけるのが一般的ですよね。しかし、先輩社員にも自分の仕事があるため、常に新人スタッフに張り付いて目を向けるのには難しいものがあります。そんなとき日報があると、先輩社員は仕事が落ち着いたタイミングで新人スタッフの報告を確認し、状況をしっかり把握できるんです!
※ただし「今日は出荷をしました」のような薄い報告だと、なかなか具体的な状況をつかめません…。そこで「今日やったこと」「学んだこと」「次にやること」など、状況を把握するために必要な項目をあらかじめ決めて運用するようにしましょう(詳しい考え方は後述します)。
2. 日報がコミュニケーションのきっかけになる
日報によってコミュニケーションのきっかけが自然と生まれるようになるのも大きなメリットです。
例えば、日報を通じて、とあるスタッフが「今日は広告用のバナー作成を3枚作る予定でしたが、着手できませんでした」と報告してくれたとしたら、管理者としては以下のようなコミュニケーションがとれますよね。
- 仕事が遅れてるみたいだね。業務量が多いのかな?
- 報告ありがとう。何か行き詰まっていることとかあるの?
ここからスタッフとのコミュニケーションが増え、自然とお互いの状況が把握しやすくなっていく、というわけです。
話題の取っ掛かりがない「ゼロの状態」から話をするのはハードルが高いものですが、すでにある話題にリアクションをする形なら、気軽に話かけられますよね。こうした人間の習性を利用できる点も、日報の利点と言えるのではないでしょうか。
3. 日報を通じて状況整理やスタッフ同士の連携が進む
3つ目は、スタッフが自身の状況を整理したり、他スタッフとの連携を深めやすくなったりする点です。
まず前者ですが、やることが多く忙しいネットショップの現場では、どうしてもスタッフは日々の振り返りを疎かにしがちです。しかし、日報があると、一日の終わりに強制的に振り返る時間を設けることができます。結果、落ち着いて自身の状況を整理し「順調に成長できているか」や「同じ失敗を繰り返していないか」といった自覚が持てるようになります。
次にスタッフ同士の連携です。同僚も日報を見れるようにしておくことで「その件なら◯◯さんに相談するといいよ」「Aの業務よりBの案件を先に進めてもらった方が良いね」といった会話が発生しやすくなり、スタッフ同士連携して業務にあたれるようになります。仕事のクオリティにもプラスの影響があるのは言うまでもありません。
このように、日報がひとつあるだけで、多くのメリットを享受できます。
※ちなみに、日報と定例のショートミーティングをセットで行うとより効果的です。毎日15分で良いので、日報を見ながら会話する時間をぜひ設けてみてください。詳しくは以下の記事をご覧ください。
中小企業のための「定例会議のやりかた」超基本
日報のはじめかた
ここからは、具体的な日報のはじめかたについて説明します。
立派なシステムのようなものを準備する必要はありません。みんなから見える場所で、大きな手間をかけることなく報告ができればOKです。以下、導入手順の例を紹介しますので、ぜひ参考に検討してみてください。
手順1 日報の雛形を用意する
日報導入に向けて、まずやるべきことは、日報の雛形を作ることです。具体的には「ツール」と「書式(報告してもらう内容)」の2つを準備してください。
まず、使うツールについては何でもOKです。クラウドツールの利用に抵抗がないのであれば、Googleスプレッドシートやオフィス365、Notionなど。ローカルデータでのやりとりが好ましい場合にはExcelやWordなど馴染みのあるソフトを活用してみてください。
「本格的に続けるかわからないし、ファイルを作るほどではないな…」という場合には、一旦チャットツールでやりとりするのも気軽で良いかもしれません。こちらもツールはslackでもチャットワークでもteamsでも何でも構いません。日報用のチャンネルを作成して、毎日報告しあえるようにしましょう。
次に書式です。日報というと「何時何分に何をしていたか」のような報告をイメージするかもしれませんが、本格的に労務管理や業務分析をしないのであれば、一旦そこまで緻密にやっていただく必要はありません。コミュニケーションや連携の改善を目指す程度であれば、以下で紹介する「YWT」や「KPT」のようなフォーマットで簡易的に作成するのがおすすめです。
どちらも使いやすいフォーマットですので、社風や日報で汲み取りたい項目の優先度で選んでいただけると良いかと思います。
日報の雛形1「YWT」
「YWT」とは、「やったこと(Y)」「わかったこと(W)」「次にやること(T)」の頭文字を取ったもの。日報の基本項目として扱いやすく、報告者側も書きやすいのが特徴です。
それぞれどういう項目かを整理すると、以下のとおりです。
- やったこと…その日の業務内容を具体的に記載する
- わかったこと…仕事を通じて得た学びや気づきを書く
- 次にやること…次のアクションに加え、今後の課題や目標を明確に書いておく
一日の振り返りから明日の予定までをシンプルに整理できるので、無駄なく状況を把握することができます。目先の作業や業務内容を中心に管理したいときに検討すると良いでしょう。
日報の雛形2「KPT」
もうひとつの雛形は「KPT」です。今度は英語の頭文字をとっていて、日報に書くことは以下の3つです。
- Keep…継続してやっている事
- Problem…問題、困っている事
- Try…やってみようと思っている事
YWTと似ているところもありますが、KPTでは「Problem」がわかりやすく拾えるので、課題やトラブルの対処を漏れなくしたい!という場合にピッタリです。また、全体的に中長期も視野にいれたニュアンスの項目になっているので、プロジェクトなど長い目で仕事に向き合う必要がある場合にも最適だと思います。
手順2 日報を導入する旨を説明しスタッフの承諾を得る
雛形が完成したら、次はスタッフの承諾を得ます。
どうして承諾が必要かというと、いきなり「日報をはじめます!」と押し付けるようにはじめると、スタッフから反発される可能性があるからです。日報作成はスタッフからすれば業務が増えることでもあります。事前の説明を怠ってしまうと「勝手に仕事を増やされた」「監視されている感じがして嫌だ」などネガティブなことにも捉えられ、失敗になりかねません。
必ずスタッフに説明し、了承を得てから日報の運用を開始するようにしましょう。
ちなみに説明の場面では、この記事でもご説明してきたような「日報の導入効果」や「スタッフ目線でのメリット」を伝えるのがおすすめ。スタッフに「日報があると仕事がしやすくなる」という点に納得してもらい、前向きに取り組んでもらえるよう心掛けてくださいね。
手順3 日報に反応しコミュニケーションをとる
日報の運用が始まったら、提出される日報にコメントをつけたり、口頭で感想を伝えたりするなど、積極的に反応を返すようにしましょう。
せっかく書いた日報がスルーされ続けてしまうと、いくらやる気のあるスタッフでも「何のために書いているんだろう?」と思ってしまいます。返事のない一方的なメッセージを送っているような感覚ですね。ですので、毎日反応するべきとまではいいませんが、数日に1回は日報の内容をもとにコミュニケーションをとることをおすすめします。
例えば「トラブルがあった」という報告があれば「大変だったね、大丈夫?」「手伝えることはある?」と声をかけてあげたり。あるいは「お客さんから嬉しいレビューをいただきました」という報告があれば「やったね!◯◯さんが頑張ってくれたおかげだね」と褒めてあげたりするイメージです。
日報で社内コミュニケーションを活性化させよう
以上、日報を始めるメリットと、具体的な始め方について紹介しました。
日報はスタッフのケアだけではなく、社内のコミュニケーション活性化にも効果が期待できるなど、意外なほどたくさんのメリットがあるということが少しでも伝われば嬉しく思います。
なお、今回は日報という「手段」を紹介しましたが、そもそも手段の手前、仕事は「人と人」で成り立つものです。人と人の関係は、お互いのことを理解し合うところから始まります。日報に限らず「お疲れさま」「ありがとう」といった日常の挨拶も大切にし、協力し合って仕事を進めていくことも、ぜひ心の片隅に置いておいてくださいね。
P.S)スタッフとのコミュニケーションのお悩みも解決します
なお、スタッフとのコミュニケーションでお悩みのネットショップ運営者の方は、コマースデザインにお任せください。当社では、これまで以下のようなお悩みをいくつも解決に導いています。
コンサルティングというと「売上アップ」や「利益率」という印象があるかもしれませんが、我々はこれらに加えて、組織が円滑にまわるための支援を得意としています。詳しくは以下のページで紹介しています。ぜひお読みになり、お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
- 槐と書いて「えんじ」。埼玉出身。10年以上EC業界に在籍し、アパレル/美容雑貨/ベビー用品など様々なジャンルを経験。某モールで講師も担当。店の個性を活かした支援、人が育つ環境づくりに興味を持ち、コマースデザインに入社した。中小ECの可能性を信じている。カメラ好きでcanon60D愛用中。スパイスカレーに目がない。