こんにちは、コンサルタントの石黒です。
ネットショップが成長してくると、スタッフやパートナーなど、運営に関わるメンバーが増えてきますよね。人手が増えるのは良いことですが、一方で次のようなお悩みを感じてはいないでしょうか。
- 指示したことが、部下にうまく伝わらない…
- やり直しが多くて、時間がもったいない…
今回は、こうした困りごとを解決したい上司の方向けに「指示が上手な上司になるコツ」を紹介します。
今日からすぐに取り入れられるはずです。ぜひ実践してみてください!
- 目次 -
指示出しのよくある失敗パターン
まずは、解像度を高めるため、よくある指示出しの失敗例から見ていきましょう。「これ、うちでもよくある…」と感じた方は、要注意です。
事例1. お互いに解釈がズレてしまう
あるネットショップのチームでの出来事です。上司が部下に少し前に指示したキャンペーン特集ページの修正状況を尋ねようと「キャンペーンの修正の件、どうなってる?」と聞きました。
すると、部下は自信を持ってこう報告しました。
「差し替え対応済みです。次は最初からこのキーワードで広告を出したらもっとイケると思います」
どうやら広告の話をしているようです。上司は困った顔で特集ページの修正の話であることを説明しなおし、部下は申し訳なさそうに謝りました。
そう、上司と部下とで、キャンペーンという言葉の解釈がずれていたのです。ちょっと言葉がたりないがゆえに起こる、典型的なコミュニケーション不足の例です。
事例2. 想定したようにメンバーが動いてくれない
もう1つよくある例を見てみましょう。
ある日のチームミーティングでのこと。上司は「〇日までに商品ページの画像を更新しておいてください」と指示しました。
しかし、締切日になっても、誰一人として画像の更新作業を行っていませんでした。上司が確認したところ「誰が担当なのか分からなかった」「他の業務が立て込んでいて、手が回らなかった」という回答がありました。
メンバーが「誰かがやるだろう」と思い込み、結果的に誰も動かなかったわけです。チーム全体に対して指示を出す際に起こりがちなトラブルですよね。
なぜ指示のズレが起きるのか?
これらの事例からわかるように、指示のズレは、さまざまな原因によって引き起こされます。では、なぜこのようなズレが起きてしまうのでしょうか?
ここでは、先ほど紹介した2つの失敗事例をもとに、上司と部下それぞれの立場から、指示のズレが起きる原因を深掘りしてみましょう。(いろんな説が考えられると思いますが、代表的なところとしてお読みください)
上司の気持ち
まず上司としては、部下に対して、これくらい言わなくてもわかるだろうと期待していることが大きな要因として挙げられます。
具体的には、次のとおりです。
- (事例1)キャンペーンといえば、特集ページの準備状況のことだと伝わるだろう
- (事例2)商品ページの画像更新は、担当者が空いている時間に各自で対応してくれるだろう
- もしわからないことがあれば、いつでも質問してくれるだろう
上司も多くの業務を抱え、常に時間に追われているため、逐一指示を細かく説明するのは難しいという事情があります。また、部下の能力を信頼し、自主性を尊重したいという思いもあります。
しかし、実際には、上司の期待と部下の認識にズレが生じ、指示がうまく伝わらないという状況が起きてしまいます。
部下の気持ち
では、部下の方はどうでしょうか。
部下にもさまざまな事情がありますが、以下のようなケースが考えられそうです。
- 質問しづらい雰囲気
- 「こんなことを聞いたら、上司に”そんなこともわからないのか”と思われてしまうのではないか…」「忙しい上司に質問するのは迷惑かもしれない…」と考え、質問をためらってしまう。
- 時間がない
- 日々の業務に追われ、質問する時間がない。質問するよりも、自分で調べて解決しようとしてしまう。
これらの理由から、部下は上司に質問することを避け、自分なりの解釈で仕事を進めてしまうことがあります。つまり、部下なりに良かれと思ってやったことが、結果的にズレにつながってしまうのです。
ズレの根本的な原因は「解釈の幅」
上司は「これくらいわかってほしい」と期待し、部下は「聞き返すわけにはいかない」と考えてしまう。このように、上司と部下は、それぞれ異なる立場や考え方を持っているため、指示や意図が正確に伝わりにくくなってしまいがちです。
では、どうすればこの問題を解決できるのでしょうか?
ここで目を向けたいのが、「ズレの根本原因」へのアプローチです。実は、上司と部下の間のズレは、元をたどれば解釈の幅があることが原因だったりします。
引用:Wikipedia
見る人によって、異なるものが見えるだまし絵ってありますよね。上図は「壺」もしくは「向かい合う横顔」に見えるものです。
不思議なもので、このだまし絵は、一度どちらかの形に意識が向くと、もう一つの形は認識しづらくなります。このように人間は、自分の認識が正しいと思うと、別の視点で見れなくなる習性を持っているんですね。
例えば、ある人が「この商品は若者向けだ」と認識すると、ファミリー層やシニア層へのアプローチを考えなくなってしまう、といった具合です。
これを先ほどの失敗例にあてはめてみます。上司が「キャンペーン」と言ったとき、部下は「広告の話」と解釈しました。そして「商品ページの画像更新」では「誰かがやるだろう」と解釈して、結果ズレてしまいました。
ここでもし「キャンペーンの特集ページの修正について進捗状況を確認したい」と具体的に伝えたり、「画像更新を◯◯さんにお願いしたい」と解釈のブレようがない指示を出していれば、ズレは防げたかもしれません。
そう、この違う解釈をしてしまう余地、つまり解釈の幅を減らすことが、ズレへの有効な対策になるのです。
今日からできる!ズレを防ぐ3つの対策
では、具体的にどうすれば、解釈の幅を減らすことができるのか。今日からすぐにできる具体的な対策を紹介します。
対策1. 上司からの指示は具体的に出す
まず1つ目は、上司からの指示を具体的にすること。
解釈がズレないように具体的に指示できているかを常に考えながら指示するようにします。やり方は簡単。「誰が・何を・なぜ・いつまでに」のように5W1Hでメッセージを組み立てることです。たったこれだけで、解釈のズレが防ぎやすくなります。
ちなみにこれは、上司から部下だけでなく、メンバー間のコミュニケーションでも有効です。打ち合わせの最後にTODO整理をする際などで「担当者」「期限」「目的」を明確に確認するルールを導入してみてください。
対策2. 部下が自信なさげなら「ひと言」添える
指示を出したときに、もし部下が自信なさそうな表情や返答をしたら、解釈ズレのサインかもしれません。例えば、以下のようなサインが見られたら、補足説明を加えましょう。
- 表情が曇る
- 返答が曖昧
- 質問がない
- 以前にも同じような質問をしてきた
具体的には「◯◯の企画をお願い」と伝えた際に、部下があまり腑に落ちていないようであれば「企画というのは、つまりこういうことだよ」と伝えるイメージです。経験則ですが、おそらく補足をした後、部下の表情や返答の声色が変わるはずです(腑に落ちたというサイン)。
チーム全体に対して指示を出す際も同様です。担当者が曖昧になりそうであれば「Aさんがやる想定でいたけど、大丈夫かな?忙しかったら、3人で誰が担当するか話し合ってくれるかな」と補足をするようにしましょう。具体的な名前を出すことで、担当者の認識違いを防ぐことができます。
対策3. 指示を復唱してもらう
最後に、指示を伝え終えたら部下に復唱してもらうようにしましょう。例えば、以下のようなイメージですね。
- 上司:◯◯の企画をお願いできるかな?XXと△△を◯日までにやってほしい。
- 部下:はい、わかりました!
- 上司:具体的に何をするか復唱してもらえる?
- 部下:XXを◯日までにやります!
- 上司:△△が抜けてるよ。それも忘れずにね。
このように復唱してもらうと、指示の内容や意図が正確に伝わっているかを確認できます。もし認識にズレがあれば、その場で修正するようにしましょう。
まとめ|指示出しの精度を高めて、組織を活性化
この記事では、指示が上手く伝わらない原因と、具体的な対策を紹介しました。
上司と部下の間でズレの原因は「解釈の幅」にあります。
今回紹介した3つのポイントを意識して解釈の幅を減らすことで、ズレは抑えやすくなるはずです。
- 指示は具体的に!「誰が・何を・なぜ・いつまでに」を明確に伝える
- 指示を出す際に、部下の表情や反応に注意し、必要に応じて補足説明を加える
- 指示を復唱してもらい、理解度を確認する
どれも今日からすぐに取り組めることですので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
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この記事を書いた人

- エクステリア通販会社にて、店長業務に加えて物流・ユーザサポート・システム開発まで幅広く担当。市場ニーズと競合度を見極めて自社オリジナル商品を企画、自ら販促全般まで行って人気商品を量産。楽天ショップオブザイヤーにてジャンル賞を受賞したが、独自ドメイン店にも明るい。休日はバンド活動中。