こんにちは、コンサルタントの亀田です。
組織でネットショップを運営していると、新しいスタッフの加入やベテランスタッフの退職、部署異動など、メンバーの入れ替えがよくありますよね。
人が増えたり、異動したりするのは会社にとっては大きな前進。しかし、業務分担をざっくり感覚で済ませてしまうとせっかくの人材も育たず、ショップ全体のパフォーマンスが落ちて売上減など後退につながるリスクもあります。
ということで、今回は「業務分担の鉄則」についてご紹介してみたいと思います。
「せっかくの人材投資、ショップの組織強化に繋げたい!」という方は、ぜひ最後までお読みください!
- 目次 -
やっていませんか?曖昧な業務分担
まずは、ネットショップでよくある「リスキーな業務分担」を見ていきましょう。
私はこれまでに、多くのネットショップを支援してきました。その中でも特によく見かけるのが「感覚による曖昧な業務分担」です。
例えば「パソコンが得意そうだからSNS運用お願い」といった依頼、というと想像しやすいでしょうか。感覚やイメージだけで業務を割り振ってしまうんですね。
もちろん、これでうまくいくこともあります。が、たいていの場合、担当者のスキルや適性とのミスマッチが発生しやすく、担当者のモチベーションや生産性を落とす要因になってしまいがちです。
当然、業務効率も落ちてしまいますので、せっかくの人材投資も期待したような成果がでなかった…なんてことにもなりかねません。
料亭に学ぶ「理想の業務分担」とは
では、どのように業務分担をすれば良いのでしょうか?
実は、ご飯を食べる「料亭」にそのヒントがあります。以下、詳しく見ていきましょう。
料亭の業務分担は理想的だった
料亭には、板長をはじめ、経験豊富なベテラン板前や、新入りの見習い、そしてアルバイトまでさまざまなスタッフがいますよね。
考えていただきたいのですが、この中で海苔を焼いたり野菜の皮をむいたりする、いわゆる「下ごしらえ」の仕事は、一般的に誰が担当するでしょうか?
もちろん、板長やベテランではありませんよね。経験と知識が豊富な板長は、店の売上を左右する新メニューの開発をし、ベテラン板前は調理や盛り付けといった難易度の高い業務を担当するはずです。
となると、もうおわかりですね。比較的難易度が低く、技術習得にもつながる下ごしらえは、新入りの見習いが担当するのが一般的です。そして、皿洗いや掃除など、調理スキルの向上に直接は関わらない業務はアルバイトが担うことが多いです。
このように、料亭では「その業務がどう将来につながっていくか?」「どう割り振ると、組織が円滑にまわるのか?」といった点も考慮して新入りの役割分担を決め、効率を高めているのです。
これ、非常に合理的な業務分担だと思いませんか?
この分担によって、新入りの見習いがスキルを身につけられるだけでなく、板長やベテランも「自分にしかできない業務」に集中できるようになっているんです。
いわば、短期的にも中長期的にもパワーロスを防いでいる状態。まさに、理想的な業務分担そのものですよね。
業務の難易度とスタッフの特性にあわせて業務分担を検討する
では、この料亭の話をネットショップに置き換えてみましょう。
まず戦略を考えるなど、高度な仕事はリーダーやベテランが対応するのが基本ですよね。もちろん、新人が特定の分野に秀でている場合は別ですが、育成段階の人材にいきなり難しい仕事を任せるのは難しいとみるのが一般的です。
となると、おのずと新人の方には、定型的な繰り返し作業などから入ってもらうことになります。そして、そこからスキルを身につけて、だんだんと高度な仕事に進んでもらうのが理想的です。
例えば、バックヤード業務であれば受注や出荷作業からスタートし、慣れてきたら業務効率化に取り組んでもらう。ページ作成なら商品説明文の作成や画像準備から入り、最終的にはカテゴリ全体のディレクションを担当してもらう、といった具合です。
さらにこのとき、スタッフそれぞれの特性を考慮して業務を割り振ることで、モチベーション向上に繋がります。例えば、裏方作業が得意な人、接客が得意な人、システムに強い人など、個々の特性を把握し、能力を最大限に活かせる配置を心がけましょう。
「パソコンができるから」といった安易な理由で業務を割り振るのではなく、一人ひとりとじっくり話し合い、スキルと適性を見極めた上で最適な業務を割り当てるのが理想的です。そうすることで、チーム全体のパフォーマンス向上にも繋がります。
スムーズな業務分担の進め方
なるほど、理想はわかった。でも、実際問題、どうやって業務の難易度などを考慮して、業務分担をすればいいんだろう?そう思われた方もいるかと思います。
ということで、ここから具体的な「業務分担の進め方」について説明します。以下のステップにそって進めていきましょう。
ステップ1.すべての業務を洗い出す
まずは手持ちの業務を、すべて紙などに洗い出すところからはじめます。
いきなり思いつきで、業務分担を考えるのではなく、書き出して整理をするわけですね。こうすることで、業務の難易度やスタッフとの相性を整理しやすくなります。
書き出していくと、商品登録、在庫管理、受注処理、発送作業、顧客対応、画像作成、メールマガジン作成、SNS運用、広告運用などなど…組織によっていろいろな業務がでてくると思います。
一旦、順番などは気にしないでOKですので、とにかく手持ちの仕事を書き出しきることに専念してください。
ステップ2.一覧表にまとめる
次に、洗い出した業務を、ExcelやGoogleスプレッドシートなどを用いて一覧表にまとめて整理します。
例えば、次のような項目で、書く業務の内容をまとめていくイメージです。
- 業務内容(例:商品ページの作成)
- 担当者(現在担当しているスタッフ名)
- 業務頻度(例:毎日、週1回、月1回)
- 業務の難易度(例:高、中、低)
- 必要なスキル(例:HTML/CSSの知識、ライティングスキル、コミュニケーションスキル)
- 関連業務(例:商品登録、在庫管理)
- 所要時間(例:1時間、30分)
- 備考(例:マニュアルの有無、注意点)
これにより、業務の全体像が整理され、より客観的に把握しやすくなります。
ステップ3.メンバーと話し合い、分担する
そして作成した業務一覧をもとに、メンバーと話し合いを行います。
それぞれの経験、得意分野を考慮しながら「誰がどの業務を担当するのが最適か」「どの業務を優先的に引き継ぐべきか」を決定していきます。
上述したように、最初は決まった手順で行う定型業務や繰り返し業務は、若手や新人スタッフに優先的に割り当て、ベテランスタッフはより専門性の高い業務に集中することで、短期・中長期どちらにおいてもパワーロスを防ぎやすくなります。
「なんだか面倒そう」と思った方へ
ご紹介した業務一覧を作成する手順は、一見すると時間と手間がかかる作業に思えるかもしれません。
しかし、一度、業務一覧を作成しておくと、業務分担におけるミスマッチが防げるだけでなく、業務の偏りや重複の解消、業務効率化の改善ポイントの発見など、あらゆる面で生産性を向上させるのに役立ちます。
加えて、業務一覧があれば、誰が何を担当していたのかが一目で分かり、引き継ぎがスムーズに行えるので、休職・退職にも強くなるのもメリットですね。
中長期的な視点で見れば、業務の洗い出しと「見える化」は、ネットショップの成長に大きく貢献する、重要な取り組みだと言えます。
確かに面倒なところはありますが、このように大きな効果がありますので、ぜひチャレンジしてみてください。
より詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事も読んでみてください。
今一度、業務分担を見直してみよう
今回は、鉄則とも言える業務分担のセオリーについてお伝えしてきました。
業務分担は何かと曖昧に決めてしまいがちですが、ともすれば短期・中長期ともに大きなパワーロスにもつながる恐れもあります。生産性が重要な時代です。今一度、今回ご紹介した内容にそって、分担を見直してみてはいかがでしょうか。
「今は忙しいから」「面倒だから」と後回しにせず、ぜひ業務の洗い出しから取り組んでみてください。一度やってさえしまえば、その後の業務効率が格段に向上するはずです…!
P.S)業務の洗い出しや引き継ぎにお困りなら、ご相談ください
なお「自力で業務を整理するのが難しい」「この分担で合っているのか自信がない」とお悩みの方は、コマースデザインまでご相談ください。
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この記事を書いた人

- 大手印刷会社にて人事を経た後、営業として、店頭を中心とした様々な企業の販促支援に従事し、紙から鉄まで多様な企画・制作に携わる。色数や印刷方法など、「成果物の完成度」にズレがちなクライアントの要望をそもそもの目的に合わせ整理し直すなど、「成果とコストの見合った効果的な提案」を得意とする。趣味はサッカー(ポジションはGK)、二児の父。